通夜振る舞いとは?流れやマナー、精進落としとの違いについて解説

「通夜振る舞いの流れやマナーがよくわからない」「どのような料理をどれくらい用意すればいいの?」など、通夜振る舞いに関するお悩みはありませんか?

通夜振る舞いとは、お通夜のあとで行われる会食のことです。一般的な会食とは勝手が異なるため、通夜振る舞いを行う際はマナーを知っておく必要があります。
この記事では、通夜振る舞いの流れやマナーについて解説します。料理や混同されやすい精進落としとの違いも解説しているため、通夜振る舞いについて知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

1分でわかる!記事の内容
  • 通夜振る舞いとは、お通夜のあとで行われる会食のこと
  • 通夜振る舞いでは大皿料理を中心に、つまみやすい料理を選ぶ
  • 通夜振る舞いの席では大声での会話や忌み言葉、故人に関係のない話題を避ける

通夜振る舞いとは

通夜振る舞いとは、お通夜のあとで行われる会食のことです。僧侶や参列者を招待し、遺族とともに故人を偲びながら最後の食事をします。なお、お通夜とは故人と関係のある方が集まり、故人を偲びながら見送る儀式のことです。

通夜振る舞いには僧侶・参列者への感謝やお清め、故人を偲ぶといった意味があります。故人を知る方たちが集い、思い出話をすることが故人への供養になるのです。

お通夜といえば、以前はろうそくと線香を絶やさないよう、夜通し故人に付き添うのが一般的でした。そのため通夜振る舞いも夜が明けるまで行われていましたが、現在ではお通夜と合わせて1〜2時間程度で済ませることが多いです。

ただし、通夜振る舞いの形式は地域や宗教・宗派によっても異なります。たとえば、地域によっては会食というかたちではなくお菓子を持ち帰ってもらうだけのところもあれば、お茶を出すだけのところもあります。

精進落としとの違い

通夜振る舞いと間違えやすい儀式に「精進落とし」というものがあります。僧侶や参列者への感謝、故人を偲びながら食事をするという点は共通していますが、通夜振る舞いと精進落としでは会食を行うタイミングが異なります。

前述のとおり、通夜振る舞いが行われるのはお通夜のあとです。しかし、精進落としは初七日の法要後か火葬後に開かれます。

また、通夜振る舞いではお通夜の参列者全員に声をかけるため参加者が大人数になる可能性がありますが、精進落としは僧侶と親族のみなど少人数になることが多く、会食の規模も異なります。

通夜振る舞いの流れ

通夜振る舞いはどのような流れで行われるのでしょうか?ここでは、通夜振る舞いの流れについて解説します。

参列者や僧侶への案内

お通夜が終わる際、挨拶とともに通夜振る舞いの案内もします。喪主から伝えるのが一般的ですが、葬儀社のスタッフが案内してくれるケースもあります。

僧侶にはお通夜終了後、葬儀の打ち合わせを行うタイミングで伝えるとよいでしょう。あらかじめ5,000〜1万円程度の「御膳料」を用意しておき、僧侶が通夜振る舞いへの参加を辞退したときは、その御膳料をお車代とともに渡します。

お車代とは僧侶に渡す交通費のことで、移動距離によって包む金額は異なります。お通夜が寺院で行われた場合は交通費が発生しないため不要です。

喪主による開式挨拶

会食の前に、喪主による開式挨拶があります。挨拶といってもうまく話そうとする必要はなく、定型的な挨拶で構いません。僧侶が出席しているときは、僧侶への感謝の言葉を忘れないようにしましょう。

開式挨拶のあと献杯を行い、会食がスタートします。挨拶が終わるまでは誰も食事に手をつけないのがマナーです。

なお、会場での席順についてとくにルールはありませんが、通常は僧侶が上座、喪主が下座に座り、親族は喪主の近くに固まります。親族のうち、誰か1人が接待役として僧侶の隣に座るとよいでしょう。

開式挨拶と献杯の例文については後述します。

開式挨拶の例文

挨拶というと、「何かうまいことを言わなければならない」と考えてしまうかもしれませんが、月並みな言葉で問題ありません。短すぎず、長すぎずが理想です。1分以内に収まるようにしましょう。

例文は以下のとおりです。

本日はお忙しい中、父◯◯の通夜にご足労いただき誠にありがとうございます。
皆さまにお集まりいただき、父も喜んでいることと存じます。
ささやかではございますが、お食事の用意をいたしました。
お時間の許すかぎり、お召し上がりになりながら父との思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。

献杯の例文

全員に飲み物が行き渡ったら献杯をします。献杯と乾杯とでは、意味も方法も異なります。お祝いの場を盛り上げるために行うのが乾杯です。それに対し献杯は、故人に対して敬意を表す行為です。

そのため、杯やグラスをほかの方と合わせたり、高くかかげたりはしません。また、飲み物を一気に飲み干すのではなく静かに口をつけます

開式・閉式の挨拶は喪主が行うのが一般的ですが、献杯の挨拶については喪主ではなく、故人の友人やほかの遺族が行うこともあります。

献杯の挨拶をほかの方にお願いする場合は、故人とどのような関係の方なのかを喪主から紹介しておくとよいでしょう。

ただ今ご紹介をいただきました、△△と申します。
◯◯(故人の名前)くんとは、学生時代から親交がありました。
彼とこのような形で突然別れることになるとは思っておらず、今でも気持ちの整理がついておりません。
ご遺族の皆さまの悲しみを思うと言葉もございませんが、◯◯くんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
それでは、ただ今より献杯をさせていただきます。
献杯。
ありがとうございました。

会食

会食中は遺族が参列者の席を回ってお酌をします。かぎられた時間の中で参列者一人ひとりに挨拶しなければならないため、時間配分が重要です。軽く話す程度にとどめ、あまり長く話し込まないようにしましょう。

また、お酌と挨拶は参列者全員を1周すればよく、同じ方に何度もお酌をしに行く必要はありません。喪主が挨拶回りを行うのが理想ですが、難しい場合は遺族や親族の中で動ける方をあらかじめ決めておくとスムーズです。

喪主による閉式挨拶

会食は、1時間程度でお開きにするのが一般的です。終了の際にも、開式のときと同様に喪主が挨拶をします。

挨拶は、シンプルなもので構いません。あらためてお通夜に参列してくれたことへのお礼を述べ、この場で葬儀の案内もしておきましょう。

閉式挨拶の例文については、次の見出しでご紹介します。

閉会挨拶の例文

閉会挨拶も定型的な文言で構いません。気負わず手短に済ませましょう。

例文は以下のとおりです。

本日はお忙しい中お越しいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、滞りなく通夜を終了できました。
皆さまから父との思い出話をお伺いでき、嬉しく存じます。
それでは、名残惜しくはございますが、勝手ながらこのあたりでお開きにさせていただきます。
なお、明日の告別式は午前◯時から△△斎場にて行います。
ご都合がよろしければ、ご参列のほどよろしくお願いいたします。
あらためまして、本日は誠にありがとうございました。

通夜振る舞いで出す料理

通夜振る舞いではどのような料理をどのくらい準備すればよいのでしょうか?

また、避けるべき食材はあるのでしょうか?

ここでは、通夜振る舞いで出す料理や準備すべき量、避けるべき食材などについて解説します。

人数は参列者の7割程度を想定して準備する

料理は遺族や親族、手伝いの方も含めて、参列者の7割程度を目安に準備するとよいでしょう。通夜振る舞いにはできるだけ参加するのがマナーですが、それでも全員が出席するケースというのはあまりありません。

また、通夜振る舞いの席で料理を大量に食べる方も少ないです。7割程度の量を準備しておけば、料理が足りないなどという事態にはならないでしょう。

なお、料理の準備方法には以下の3つがあります。

料理の準備方法
  • 自宅で用意する
  • 仕出し屋に注文する
  • 葬儀社に手配してもらう

バタバタしていて自宅で準備するのが難しい場合は、仕出し屋や葬儀社に頼むとよいでしょう。

取り分けやすいよう大皿で出す

通夜振る舞いでよく出されるのは、取り分けやすい大皿料理です。大皿料理であれば、参加人数が予想どおりにいかなくても臨機応変に対応できます。メニューは寿司やオードブル、サンドイッチなどの軽食も多いです。

そのほか、個包装のお茶菓子なども用意しておくとよいでしょう。通夜振る舞いでのマナーとして、出席したなら一口は口をつけるべきとされていますが、中には大皿での食事に抵抗を感じる方もいるためです。

地域によっては持ち帰り用のお菓子などを用意するところもあります。

通夜振る舞いで出す料理といえば、以前は肉や魚を使わない精進料理が主流でした。しかし、現在では精進料理にこだわらないケースがほとんどです。

ビールやソフトドリンクを用意する

飲み物はビールや日本酒といったアルコール類のほか、お酒が苦手な方や子ども、車で来場した方のためにソフトドリンクを数種類用意するとよいでしょう。

ただしアルコールを出すかどうかは宗教・宗派にもよります。たとえば、キリスト教ではアルコールを出しません。

なお、お酒を出す以上飲むのは問題ありませんが、酔っ払うほど飲むのはマナー違反です。酒癖に自信がない方も、セーブしながらいただく必要があります。お酒の強さにかかわらず、ほどほどにしておいたほうがよいでしょう。

おめでたい食材を避ける

以前は四十九日の法要を終えるまでは肉や魚、飲酒を避けるべきだと考えられていましたが、現在はそこまで神経質になる必要はありません。とはいえ、一般的に「おめでたい」とされる食材は避ける必要があります。

たとえば鯛や伊勢海老、昆布などの縁起物は通夜振る舞いには向きません。

通夜振る舞いにかかる費用

料理にかかる費用は、参加者1人あたり2,000〜3,000円程度が相場です。ただし、料理の内容や通夜振る舞いを行う会場によって費用相場は異なります。

たとえばホテルなどで立食会を行う場合は、1人あたり3,000〜5,000円程度と通常よりも少し相場が上がります。

また、僧侶が通夜振る舞いを辞退したときに包む「御膳料」も忘れてはなりません。

通夜振る舞いに関する知っておきたいマナー

通夜振る舞いを行うにあたって、知っておいたほうがよいマナーはいくつかあります。ここでは、通夜振る舞いに関する知っておきたいマナーをご紹介します。

大声での会話は避ける

大声での会話は避けましょう。お酒が入った状態で思い出話をしていると、つい大声になったり笑ったりしてしまいがちです。

しかし、通夜振る舞いの席に大声での会話や笑い声などはふさわしくありません。重々しい空気が漂っているよりは和やかな雰囲気のほうがよいですが、騒がしくすることはまた違います。故人を偲ぶ場であることを忘れないようにしましょう。

忌み言葉を使用しない

お通夜や葬儀の場で避けるべきとされている「忌み言葉」を使用しないよう気をつけましょう。忌み言葉には、たとえば以下のようなものがあります。

忌み言葉の例
  • 浮かばれない
  • 迷う
  • 大変
  • いろいろ
  • ますます
  • 引き続き
  • 追って
  • 死ぬ
  • 生きる

「浮かばれない」「迷う」「大変」といったネガティブな言動は、不吉で縁起が悪いとされています。また、「いろいろ」「ますます」など、同じ言葉を繰り返す単語は「重ね言葉」といい、不幸が重なることを連想させるため避けるべきです。

「引き続き」「追って」なども不幸が続くとされ、葬儀に関係する場では使用を控えなければならない言葉です。そのほか、「死ぬ」「生きる」など、生死に関する直接的な言葉も使わないようにしましょう。

故人に関係のない話はしない

故人に関係のない話はしないようにしましょう。通夜振る舞いは交流の場ではないためです。

たとえば仕事で付き合いのある方同士が通夜振る舞いの席で顔を合わせたとしても、仕事の話は控えます。名刺交換などもマナー違反です。

通夜振る舞いでは、料理をいただきながらゆっくり静かに故人との思い出を語らいましょう。それが何よりの供養になります。

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