家族葬とは?参列者の基準や葬儀の流れ、メリット・デメリットを解説

故人との関わりが深い方々だけでお葬式を行いたいと思っていませんか?高齢になる中で葬儀にお呼びする方が少ないため、できるだけ小規模な葬儀を検討したい方もいるでしょう。

そこで近年ニーズが高まっているのが、ご遺族やごく親しい方のみで執り行う「家族葬」です。家族葬は、今後も益々需要が高まっていくことが予想されています。

今回の記事では、家族葬の概要や葬儀の流れ、費用などを解説します。メリットとデメリットも解説しますのでぜひ参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 家族葬とは親しい方々だけを招いたお葬式で、1日目に通夜、2日目に告別式と火葬を行う
  • 家族葬の参列者の基準にははっきりと決められた定義がない
  • 家族葬では一般葬より葬儀にかかる費用が抑えられる

家族葬とは?

家族葬とは、家族や親族、ごく親しい友人や知人のみで行う小規模な葬儀です。「家族葬」というネーミングから家族や親族だけしか参列できないのかと思われがちですが、はっきりと決められた定義はありません。

現代では、家族葬を選択する方が増えています。公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」でも、家族葬が増加傾向にあると報告されています。

家族葬はごく親しい方々だけで、ゆっくりと故人を見送りたい方のニーズに合った葬儀スタイルとして注目されているのです。

家族葬が選ばれるのには、日本の少子高齢化も影響しています。

少子化や核家族世帯の増加により、参列する親族自体が少なくなっています。高齢になると、故人と付き合いのあった方も少なくなるでしょう。親戚付き合いや地域コミュニティーなども変化し、たくさんの参列者を招く必要がなくなっています。

また、ごく最近では新型コロナウイルスの影響で、葬儀への参列に制限がかかるようなこともありました。

参列基準

前段で述べたとおり、家族葬の参列者の基準にははっきりと決められた定義はありませんが、一般的には1〜2親等までの親族に参列してもらうことが多いようです。1親等には故人の父母と子、2親等には兄弟姉妹と祖父母、孫が該当します。

もちろん、決められているわけではないので、3親等以上に属する親戚を招いても問題ありません。家族葬の定義は、故人と親しい親族や友人、知人をお呼びする葬儀であり、誰を呼ぶかはご家族次第です。

公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」では、参列者が50名未満の葬儀のことを家族葬と定義しています。しかし、親戚の範囲などははっきりと明確化されていません。

一般葬・一日葬との違い

「一般葬」と家族葬の異なる点は参列者の範囲です。一般葬には、親族以外にも故人と生前にお付き合いのあった知人や友人、会社関係の方など幅広い範囲の方が参列します。家族葬も一般葬も、お通夜と告別式を2日間にわたって執り行うので、葬儀の流れや内容は同じです。

「一日葬」はお通夜を省略して、告別式と火葬を1日で行う葬儀形態です。一日葬も家族葬と同様、親しい親族だけで執り行われます。

最近では、通夜も葬儀も省略し、ごく親しい方々だけで火葬のみを行う「直葬」を選択する方も増えています。

日本人のライフスタイルの変化から、従来の葬儀のスタイルである「一般葬」が減少し「家族葬」「一日葬」「直葬」などの小規模な葬儀のニーズが増えているのです。

密葬との違い

「密葬」とは文字通り、親族だけでひっそりと行う葬儀です。親しい親族だけで行う点は家族葬と似ていますが、密葬の場合は一般の参列者を対象にした「本葬」を後日設定します。

政治家や芸能人など著名な方が亡くなったときには、まず親族だけで密葬を執り行うことがよくあります。社会的影響力の大きい方が亡くなられた場合は、大勢の方の参列が見込まれ、ご家族がゆっくりと故人を偲ぶ時間が持てないためです。

密葬のあとに「お別れの会」「偲ぶ会」などのセレモニーを行い、大勢の方に参列してもらいます。

家族葬の流れ

家族葬は、一般的な葬儀の流れと同じで1日目に通夜、2日目に告別式と火葬を行うスケジュールです。ただし、家族葬は小規模な葬儀のため、所々が省略されることもあります。

一般的な家族葬の流れは以下のとおりです。

  1. ご遺体を搬送・安置する
  2. 葬儀の打ち合わせをする
  3. 納棺の儀を行いご遺体を棺に納める
  4. お通夜・通夜ぶるまいを行う
  5. 葬儀・告別式を行う
  6. 火葬場に出棺する
  7. 火葬後に収骨して骨壺に納める

葬儀の流れを大まかに把握しておきましょう。

1.ご遺体を搬送・安置する

ご逝去の知らせを受けたら、医師に死亡診断書を発行してもらいます。同時に、ご遺体を安置する場所を確保しなければなりません。

安置場所はご自宅か、葬儀会社に手配してもらった安置施設です。ご自宅に帰る場合は、安置用の清潔な寝具を準備しましょう。安置場所が決定したら、葬儀会社に寝台車で搬送してもらいます。

安置をする際のドライアイスも、葬儀会社に準備してもらえます。

2.葬儀の打ち合わせをする

故人が亡くなられて大変な中ですが、すぐに葬儀の打ち合わせを行わなければなりません。

喪主を決定し、葬儀の日程・開催場所・プラン・予算などを決定します。菩提寺(ぼだいじ)のお坊さんに読経してもらう場合、菩提寺とのスケジュール調整も必要です。このとき、葬儀で必要なサービスや追加オプションなどもしっかりと確認しておきましょう。

葬儀の日程や会場が決まったら、親戚や友人、知人などに訃報のお知らせをします。

家族葬の訃報連絡は参列してもらう近親者に限定し、それ以外の方には後日、葬儀が終わってから報告する場合もあります。

ほかにも、ご遺体を火葬するまでに必要な「火葬許可証」を入手しなければなりません。火葬許可証の発行には「死体埋火葬許可申請書」と「死亡届」が必要です。

死亡届は、故人の死亡診断をした医師によって作成された「死亡診断書」がその用紙になっています。右半分が医師による死亡診断書、左半分が死亡届です。死亡届に必要事項を記載し、申請書とともに自治体の窓口に提出します。

この一連の手続きは、葬儀会社が代行してくれるケースが一般的です。ただし、選択した葬儀のプランに含まれていなければ、オプションサービスになる場合もあります。手続きが負担になる方は葬儀会社に確認してみましょう。

3.納棺の儀を行いご遺体を棺に納める

​​納棺の儀とは、故人の身支度を整え棺へ納める儀式のことです。故人の体や髪を洗い清め、死化粧と死装束への着がえをして旅立つ準備を行います。また、ご遺族の手で棺の中にお花や思い出の品、愛用品などの副葬品を納めます。

副葬品には、納めてはいけないものがあるので注意が必要です。

納棺は、納棺師や葬儀会社のスタッフが行ってくれることが多いものの、家族が主体となって行う場合もあります。

4.お通夜・通夜ぶるまいを行う

家族葬のお通夜の流れは、一般葬と変わりありません。18時ごろから開始し、僧侶による読経・弔辞や弔電の紹介・焼香が行われます。

通夜のあとには「通夜ぶるまい」と呼ばれる会食を行います。通夜ぶるまいとは、参列された方に、感謝の気持ちをこめてお酒や軽いお食事をお出ししてもてなす儀式です。しかし、家族葬では省略するケースもあります。

5.葬儀・告別式を行う

通夜の翌日に葬儀・告別式が行われます。告別式は、火葬の時間を考慮して午前中に執り行われるのが一般的です。

葬儀・告別式は、お坊さんの読経から始まり、喪主から順に焼香を行います。弔電の読み上げや喪主の挨拶の場も設けられますが、家族葬では省略される場合もあります。

6.火葬場に出棺する

葬儀・告別式が終了したら、火葬場に棺を移動させる「出棺」です。

祭壇から棺が降ろされ、納棺の際に入れられなかった品やお花などを棺の中に納め、最後のお別れをします。棺は参列者の手で霊柩車へ乗せられ、喪主が故人の位牌、ご遺族の代表者が遺影を持って霊柩車に乗り込みます。

火葬に立ち会うのは、故人の親族や縁が深かった方のみです。ただし、家族葬の場合は参列者全員が火葬場に向かうケースが多いでしょう。

火葬場に着いたら受付に火葬許可証を提出し、火葬の手続きを行います。係の方の案内に従うようにしましょう。

7.火葬後に収骨して骨壺に納める

火葬場に到着したら、納めの式が行われたあとに火葬が始まる流れです。

納めの式とは、火葬炉の前で行う故人とお別れをするための儀式をいい、火葬炉の前に棺が安置され、僧侶による読経と焼香が行われます。ただし、宗派や火葬場のルールによっては儀式が省略されます。

納めの式が終わったら最後のお別れです。棺の窓を開けて故人の生前の姿が見られるのはこれが最後になります。

棺が火葬炉に納められて火葬が始まったら、参列者は控室で待機します。

火葬の時間は1時間程度です。終了の連絡が入ったら収骨室へ移動し、遺骨を骨壺に納める「お骨上げ」を行います。

お骨上げは、故人と関係が深かった方から順に収骨するのがマナーです。2人1組となり、箸を使ってお骨を骨壷に入れていき、最後に故人と最も縁の深かった方が喉仏を収骨します。

お骨上げが終わったら、骨壺を白木の箱に入れ、綿袋(きんたい)といわれるカバーをかけてご遺族のもとに渡されます。このときに「埋葬許可証」も一緒に入れられているのが一般的です。大切な書類なので必ず確認するようにしましょう。

家族葬の費用相場と内訳

小規模な葬儀である家族葬の費用相場は、100〜110万円前後といわれています。一般葬の費用相場が150万円前後といわれることから、50万円ほど安く抑えられます。

家族葬は一般葬より参列者が少ないため小さめの式場で執り行われること、料理や返礼品の数も少なく済むことなどが安い理由です。また、一般葬で行われる儀式が所々省略される場合もあるため、その分の費用が安くなります。

ただし、家族葬では参列者が少ないため香典などの収入面が少なくなります。香典を辞退するケースも多く、かえって負担増になる可能性もあるでしょう。

ここからは、具体的な費用の内訳を確認していきます。

葬儀自体にかかる費用

通夜・葬儀・告別式を執り行うためにかかる費用は50〜80万円が相場です。

葬儀自体にかかる費用には、まずご遺体を搬送し安置するための費用があげられます。「寝台車での搬送費」「ドライアイス」「棺」「納棺の儀にかかる費用」などが該当します。

次に必要なのが「式場の使用料」「スタッフの人件費」「儀式に必要な物品」などのセレモニーにかかる費用です。具体的には「受付」「外の看板」「祭壇」「位牌」「遺影」「霊柩車」などの費用が該当します。

注意しておきたいのが、葬儀のプランには「火葬」にかかる費用が含まれていないことが多い点です。火葬料金は自治体によって異なり、無料の自治体もありますが、東京などの火葬料が高い地域では5万円以上かかるところもあります。

住んでいる自治体や、火葬場があるところに住民票があるかないかでも大きく費用が変わるため確認が必要です。

寺院へのお布施

宗教者へお渡しするお礼のお金は、葬儀会社を介さずに直接やりとりするため、別途かかる費用になります。

宗教によっても異なりますが、寺院へ宗教儀式をお願いする場合の謝礼は、お布施が20〜30万円程度、戒名料が10〜20万円程度が相場です。他にも、僧侶が精進落としなどの会食の席を辞退したときは「御膳料」と「お車代」をお包みします。

飲食にかかる費用

飲食にかかる費用とは、お通夜のあとの「通夜ぶるまい」、告別式のあとの「精進落とし」にかかる金額です。

通夜ぶるまいの費用相場は1人2,000円〜3,000円程度、精進落としは1人4,000円〜5,000円程度です。会食に参加する方の人数分の費用がかかります。

ただし、家族葬の場合は会食が省略されるケースもあります。

家族葬で香典はどうする?

家族葬は、親しい親族だけが参加するため、香典は辞退する場合が多い傾向です。その理由には、参列者である身内に負担をかけたくないことや、喪主側も香典返しの負担を減らしたいことがあげられます。

ただし、香典を受け取ることも可能です。辞退していても持参される方もいます。受け取った場合は必ず香典返しを行うのが礼儀です。

参列者側の立場では、香典を辞退すると連絡がなかった場合には包んで行くのがマナーです。受け取ってもらえるかどうかわからないときにも、念のため持参しておきます。

そして、その場でお断りされた場合にはご遺族の負担を考慮し、無理にお渡ししないことが大切です。

参列者へ事前に香典辞退の旨を連絡する

ご遺族が香典を辞退したいと考えている場合には、事前に参列者の方に伝えておきましょう。香典辞退の伝え方は、訃報の連絡をするときに伝えるか、葬儀の案内状に申し添えておく方法があります。

受け取る予定がないのであれば、あらかじめ連絡しておくことで参列者も準備の手間が省け、香典についてあれこれ気を揉まなくて済みます。

香典の金額の目安は一般葬と変わらない

家族葬で香典をお渡しする場合の費用相場は、一般葬と変わりありません。

香典の目安は以下のとおりです。

5~10万円
兄弟姉妹 3〜5万円
祖父母 1~5万円
叔父・叔母 1~3万円
友人 5,000円〜1万円
職場関係 5,000円〜1万円

上記はあくまでも相場です。香典を渡す方の年齢や、お亡くなりになった方との関係性により金額は異なります。また、ご自身が葬儀の喪主を務める際には香典は包みません。

香典返しは当日か忌明けに行う

香典返しは、通夜や葬儀の当日にお渡しするか、忌明け後に改めてお渡しする方法があります。忌明けとは、仏式でいうと「四十九日」の法要後です。

香典返しを当日にお渡しすることを「当日返し」や「即日返し」といいます。当日返しの場合は、2,500円〜3,500円程度の品をあらかじめ準備しておきます。そのため、当日にお渡しするものは、香典の金額に関係なく同じ品物です。

後日改めて香典返しをする場合には、いただいた香典の金額に応じた返礼品を選んでお渡ししなければなりません。

香典返しは、いただいた額の半額の返礼品をお返しする「半返し」が一般的です。ただし、高額な香典をいただいた場合は、「金銭面から遺族を助けたい」という相手の意向を汲み、半額よりも少ない1/3~1/4返しでも問題ないとされています。

最近の家族葬では、香典の数が少ないことや、費用や手間を省くためにも当日返しをする方が増えています。

家族葬のメリット

家族葬は現代の価値観に合った葬儀の形態です。家族葬を選択するメリットには、どういったものがあるのかを改めて確認していきましょう。

ゆっくりと故人とのお別れの時間が持てる

家族葬は、ごく親しい間柄の方々だけで行う葬儀のため、ゆっくりと故人とのお別れの時間が作れます。故人が亡くなって精神的にも大変な中で、大勢の参列者への挨拶や接待に追われることがありません。喪主の挨拶などの緊張感からも解放されます。

気疲れすることなく家庭的な雰囲気の中で、故人との最後の時間を過ごすことが可能です。

葬儀の準備にかかる負担が少ない

家族葬は、参列者が少なく所々の儀式が省略されることもあり、葬儀の準備にかかる負担が軽減できます。

家族葬の訃報連絡は、参列してもらう近親者にのみ行い、それ以外の方には葬儀が終わってから連絡する方法が一般的です。葬儀の案内なども参列者のみで済ませられます。

また、一部の儀式や会食などもないため、その分の準備にかかる手間が省略できます。加えて、費用負担も軽減できるでしょう。

葬儀内容を柔軟に対応できる

家族葬では、世間体などを気にせず、葬儀の形を柔軟に決めることが可能です。最近では、宗教にこだわりのない「無宗教葬」「自由葬」を選択される方もいます。

「好きだったものをたくさん並べる」「故人の作品を展示する」「好んでいた音楽を流す」など、故人が生前好きだったものに囲まれながらお見送りするのも1つです。食事や返礼品も形式にとらわれず自由に選択できます。

故人の意向に沿う形で葬儀内容を決定し、堅苦しくないアットホームな雰囲気の中で葬儀が行えるのがメリットです。

家族葬のデメリット

近年人気の家族葬にはデメリットも存在します。デメリットも頭に入れておきながら葬儀の形式を検討しましょう。

参列者が限られる

家族葬の参列者はごく親しい親族や知人のみですが、はっきりとした定義がありません。そのため、お声がけする方の線引きが難しいのがデメリットの1つです。

ご家族としては、決まりがないため、どこまでの関係性の親族にお声がけしたらよいのか迷ってしまいます。あとでトラブルにならないように、葬儀プランの参列できる人数を基準にするなどして、範囲を明確化しておかなければなりません。

曖昧な決め方をしていると、参列できなかった方から不満が出る可能性があります。最後のお別れをしたかった方のお気持ちを害してしまうことや、トラブルに発展するリスクもあるでしょう。

とくに、故人がお仕事での関わりや交友関係が多かった方であれば、親族以外にも参列を希望する方が多いことが想定されます。家族葬を選択する際には参列できない方に対しての配慮が必要です。

弔問者が個別に訪問してくる場合がある

家族葬では、式に参加できなかった方が、後日自宅まで弔問に訪れるケースがあります。弔問が続き、個別での対応に追われてしまうと、ご遺族にとって負担になってしまうことがあります。

来客のために予定を空け、部屋を片付け、お茶を用意したり香典返しを用意したりと気が休まりません。後日多くの弔問客が訪れた場合には、一般葬で一度に弔問客への対応をしておいたほうがよかったと、後悔する可能性もあります。

親族の理解が得られない場合がある

家族葬を選択した場合、葬儀を簡素化することや、小規模に開催することに対して親族から理解が得られない場合があります。

最近では家族葬を選択する方が増加しており認知されつつありますが、ご高齢の方などにはなじみがなく、十分に理解されているとはいえません。

とくに、しきたりを重んじる方やご遺族に立場のある方がいる場合などは、しっかりとした規模で、従来の形式通りの葬儀を望まれることもあるでしょう。

近年の家族葬のあり方をよく説明して理解してもらうことや、生前からご本人の遺志をしっかり確認して、ご家族で話し合っておくことが大切です。

家族葬での服装・身だしなみ

家族葬は参列者が親しい方々に限定されるため、身だしなみなどもそれほどかしこまらなくてよいのかと考える方もいるかもしれません。しかし、家族葬の服装や身だしなみのルールは、一般的なお葬式に参列する際と同じです。

家族葬にふさわしい、節度のある服装と身だしなみを確認しておきましょう。

服装の基本的マナー

喪服は格式により「正喪服」「準喪服」「略式喪服」に分類されます。

通常、ご親族は正喪服を着用します。ただし、和服などを着る機会が減っている現代では、喪主であっても正喪服ではなく準喪服を着用するのが一般的です。

喪服の格式は以下のとおりです。

正喪服 準喪服 略式喪服
男性 【和装】紋付羽織袴
【洋装】モーニングコート
シングルかダブルのブラックスーツに白シャツ 黒・濃紺・ダークグレーなどのビジネススーツに白のシャツ
女性 【和装】黒の五つ紋の着物
【洋装】黒無地のワンピースにボレロ・スーツ・アンサンブル
ワンピースにボレロ・スーツ・アンサンブル 黒・紺・ダークグレーなどのワンピースやスーツ
子ども 高校生以下の子どもは幼稚園や学校の制服
制服がない場合は、落ち着いた色味の服装

参列者側の場合、葬儀の案内状に「平服でお越しください」と記載されていた際は、略礼服を着用します。略礼服とは上記の略式喪服に該当する、地味で落ち着いた服装のことです。

平服とは、礼装ほどきっちりした格好ではなくてもよいという意味で、普段着ではないので注意しましょう。

持ち物のマナー

葬儀の際の、靴・バッグなどの持ち物は黒が基本です。男性のネクタイやベルト、女性のストッキングの色も黒を選択します。光りものはふさわしくないため、光沢のある素材や大きな金具がついているものは避けます。

「革」や「毛皮」などの衣服や持ち物も、殺生をイメージさせる素材のため控えるべきです。革の靴やベルトは黒色で光沢がなく、シンプルなデザインのものであれば問題ありません。

ハンカチは白か黒が基本です。地味な淡い色、落ち着いた柄や刺繍、控えめなレースなどのデザインは許容範囲とされています。

また、男女とも結婚指輪以外のアクセサリーは控えるのがマナーです。アクセサリーの中で認められているのが、涙の象徴とされる真珠のアクセサリーです。ただし、ネックレスの場合は一連の短いデザインのものに限られます。

身だしなみのマナー

葬儀に参列するときの髪色は、暗い色であることがマナーです。ただし、最近では髪色を染めている方のほうが多いため、派手すぎる場合以外は許容範囲とされています。気になる場合は、スプレーなどで一時的に黒くしたり、染め直したりするのが無難でしょう。

髪が長い方は耳より下でまとめて清潔感のある髪型を心がけます。髪をセットする際には、スタイリング剤で光沢感が出過ぎないようにします。

また、女性がノーメイクなのも失礼にあたってしまうため注意が必要です。派手なメイクは避け、血色がよく見えるようなナチュラルメイクで参列します。派手なネイルも落としておきましょう。

おすすめの記事

ほかにもこちらのメディアでは、家族葬の費用家族葬での喪主の挨拶の文例についても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。

\相続1分診断!/