お通夜のマナーとは?あいさつや服装などの基本項目を詳しく解説

お通夜のマナーについて詳しく知りたいと考えていませんか?

お通夜では、故人と関係の深い方々が集まります。故人を偲び供養するためにも、お通夜における正しいマナーを身に付けなくてはいけません。

本記事では、あいさつや服装をはじめとするお通夜で欠かせないマナーを解説します。香典や焼香に関するマナーもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • お通夜には、あいさつや服装、香典や焼香に関するマナーが存在する
  • 喪主・遺族と参列者によって、注意すべきマナーは異なる
  • お通夜のマナーは、地域の風習や親族の考え方に影響を受けている

お通夜とは故人を偲ぶための儀式

お通夜とは、故人の身内や親族、友人や知人が集まり、故人を偲ぶための儀式です。偲ぶという言葉には、亡き人を懐かしみ思い出すという意味があります。

故人と関わりの深い方々が、お通夜で一緒に偲ぶことで、故人の供養を願うのです。

お通夜でマナーが大切な理由

お通夜の参列者が、ゆっくりと故人を偲ぶためにはマナーが大切です。参列者がマナーのある行動を心がけることで、故人との思い出をゆっくりと懐かしんだり思い出したりできるのです。

もしも、マナー違反を繰り返す方がいれば、不快感を覚える方も出てきます。周りの失礼にあたるだけでなく、お通夜の主催者である喪主や遺族にさらなる負担がかかってしまうでしょう。

お通夜におけるあいさつのマナー

お通夜では、どのようなあいさつが適切なのでしょうか?はじめにお通夜における基本マナーを確認してから、具体的なあいさつをみていきましょう。

あいさつの基本マナー

お通夜では、忌み言葉と重ね言葉を使用しないよう注意が必要です。忌み言葉とは、縁起の不吉や不幸を連想させる言葉を指します。具体例がこちらです。

忌み言葉 言い換えた言葉 言い換えた例文
死亡、死ぬ、死 逝去、他界 NG:父が死亡しました
OK:父が他界しました
生きていた、生存、生きている 生前、元気だった頃、元気でいらした NG:母が生きていた頃は…
OK:母が元気だった頃は…

重ね言葉とは、同じ意味の言葉を繰り返し使う表現を指します。具体例がこちらです。

重ね言葉の例
  • 重ね重ね(かさねがさね)
  • 度々(たびたび)
  • 近々(ちかぢか)
  • いよいよ
  • だんだん
  • いろいろ
  • どんどん
  • みるみる
  • とうとう

日本では、言葉に不思議な力(言霊)が宿ると信じられてきました。現代の冠婚葬祭においても、忌み言葉や重ね言葉といった縁起の悪い言葉は避けられていますので注意が必要です。

喪主・遺族のあいさつ

喪主は、読経・焼香のあとに遺族を代表してあいさつを行います。喪主のあいさつでは、参列してくれた方々に感謝の意を表すことがマナーです。お通夜の会場まで足を運んでくれたこと、故人と生前親しくしていただいたことなどに対して、お礼の言葉を述べます。

参列者全体に向けたあいさつの例文がこちらです。

例文

本日はお忙しい中、父〇〇の通夜にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。おかげさまで通夜の儀は滞りなく終えることができました。

生前親しくしていただきました皆様にお越しいただき、〇〇もさぞかし喜んでいることと存じます。生前に故人が賜りました数々のご厚誼(こうぎ)につきましても、本人に代わり厚くお礼申し上げます。

ささやかではございますが、別室に酒宴の席を設けております。お時間の許す方はぜひおくつろぎいただければと存じます。なお、葬儀・告別式は明日の〇〇時〇〇分より、〇〇にて行いますのでよろしくお願い申し上げます。

参列者が困らないように、通夜振る舞いや葬儀・告別式の案内もお伝えします。なお、正しい言葉遣いであいさつすることも重要ですが、感謝の気持ちが参列者に届くように、ご自身の言葉で述べるとよいでしょう。

また、参列者からの個別のあいさつを受ける場面では、亡くなった日付や場所をお伝えすることもあります。亡くなった理由は必ずしも述べる必要はありませんので、参列者によって使い分けましょう。

参列者のあいさつ

参列者が遺族へあいさつするときは、お悔やみの言葉を述べるのがマナーです。お悔やみとは、故人を悼み遺族にかける言葉を指します。「この度はご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます」「このたびは残念ことでございます」と伝えましょう。

多くの参列者が遺族のもとを訪れているため、ご自身のあいさつは簡潔に済ませて次の方へ譲るよう心がけます。また、お悔やみの気持ちを表すために、声のトーンやボリュームは抑えましょう。その他の注意事項がこちらです。

参列者が遺族へあいさつするときの注意事項
  • 死因について詳しく尋ねない
  • 「がんばってね」「元気を出してね」という励ましの言葉はNG
  • 笑い声や笑顔は遠慮する

遺族に励ましの気持ちを伝える際は、「どうかご自愛ください」とお伝えするのがよいでしょう。

お通夜における服装のマナー

お通夜は、かしこまった場であるため礼服である「喪服」を着用するのがマナーです。喪服やその他のマナーをみていきましょう。

参列者は格式の高い喪服を避ける

喪服には、正喪服、準喪服、略喪服の3種類がありそれぞれ格式も異なります。葬儀の席では、「参列者は遺族より格式の高い喪服を着用しない」という風習がありますので、以下の表を確認しておきましょう。

喪服の種類 具体的な服装
正喪服 男性 和装
モーニングスーツ
女性 和装
アンサンブル
ワンピース
準喪服 男性 ブラックスーツ
女性 ブラックスーツ
ワンピース
略喪服 男性 ビジネススーツ
女性 ワンピース

正喪服は最も格式が高く、続いて準喪服、略喪服と続きます。遺族は正喪服または準喪服を着用しますので、参列者は準喪服または略喪服を着用すればマナー違反にはあたりません。

男性の身だしなみ

喪主・遺族の男性は、正喪服または準喪服を着用します。参列者の男性は、準喪服または略喪服を着用しましょう。

スーツの場合は、スーツの下に無地で白色のワイシャツを着用して黒のネクタイを合わせます。ネクタイピンを付ける際は、金色のものを避けて装飾のないシンプルなものを選びましょう。その他の注意点がこちらです。

項目 内容
髪型・顔 清潔感のある外見を心がける
寝ぐせや無精ヒゲはNG
ワックスやジェルは光沢のないものを
アクセサリー 結婚指輪以外は身に付けない
ピアスなどはNG
黒のビジネスシューズを選ぶ
先のとがっているものはNG
その他 体臭にも気を配る
香りの強い香水はNG

女性の身だしなみ

正喪服である和装を身に付けるのは、喪主または遺族のみとなります。参列者の女性はブラックスーツまたはワンピースを選びましょう。

黒無地のブラウスを着用して、ひざ下またはふくらはぎ丈のスカートを合わせます。ストッキングは黒のものを選び、ベージュのストッキングや素足は避けましょう。

ノーメイクはマナー違反となるため注意が必要です。ナチュラルメイクを心がけ、ラメやグロスは避けましょう。その他の注意点を以下の表にまとめました。

項目 内容
髪型 清楚な髪型を心がける
まとめた髪は耳よりも下の位置に
ヘアアクセサリーは地味なものを選ぶ
アクセサリー 1連のパールネックレスを選ぶ
白や黒などのパールネックレスを選ぶ
ゴールドなどのネックレスはNG
結婚指輪はOK
黒無地で光沢のないパンプスを履く
ヒールの高いものはNG
その他 華やかなマニキュアはNG
黒の手袋を着用するのはOK

子どもや学生の身だしなみ

保育園や幼稚園に通うお子さんの場合、園指定の制服を喪服として着用できます。制服がない場合やお子さんが小さい場合は、黄色や赤といった目立つ色合いの服を避け、襟のある白シャツや落ち着いた色合いの長ズボンを着用しましょう。

学生の場合は、学校の制服が喪服となります。ブレザーや詰襟、セーラー服などの制服は礼服にあたるため葬儀に着用して問題ありません。

また、学校指定の制服の場合、柄のあるシャツも着用できます。ネクタイをきちんと結び、ワイシャツをズボンから出さないなどの一般的なマナーを守りましょう。

お通夜における香典のマナー

香典とは、線香や抹香をお供えする代わりに包む金品のことです。故人にお悔やみの気持ちを示すとともに、遺族の金銭的な負担を補うという目的もあります。相場や包み方などのマナーを確認しましょう。

相場

香典の相場は、故人との関係性によって決まります。一般的な相場がこちらです。

故人との関係 相場
両親 5万円から10万円
兄弟・姉妹 3万円から5万円
祖父母 1万円から3万円
伯父・叔母 1万円から3万円
友人・知人 5,000円から1万円
仕事の関係者 5,000円から1万円
仕事の関係者の家族 5,000円未満
近所の方 5,000円未満

香典に包む際は、数字にも注意しましょう。「4(死、死ぬ)」や「9(苦しむ)」といった不吉を連想させる数字や「6」「8」などの偶数は「故人との縁が切れる」ことを連想させるため好ましくないとされています。

仮に4万円を遺族にお渡ししたい場合は、香典に3万円を包み、残りの1万円で盛篭(もりかご)を供物としてお送りする方法もよいでしょう。盛篭は、イオンなどの大型スーパーやインターネットなどで購入できます。

包み方

香典にお札を包む場合は、お札を「裏面」にします。人物の肖像が印刷されている面が「表面」にあたりますので、人物の肖像が印刷されていない裏面を、香典袋の表面に合わせましょう。お札が複数ある場合は、お札の向きをすべて同じ方向に揃えてください。

また、香典には使い古されたお札を使用しましょう。新札を包んでしまうと「不幸を予期していたようだ」と捉えられるおそれがありますのでご注意ください。新札しか用意できない場合は、お札に折り目を付けてから包みます。

表書き

香典の表書きは、故人の宗教や宗派に合わせて記載します。故人の宗教や宗派がわからない場合や無宗教の場合は、「御霊前」と記載しましょう。

仏教、キリスト教、神道の表書きがこちらです。

仏教 キリスト教 神道
御霊前、御仏前 御花料
御ミサ料(カトリック)
御神前、御玉串料

袱紗(ふくさ)

袱紗(ふくさ)とは、御祝儀袋や香典袋などを包む布のことです。香典袋の水引がくずれるのを防いだり、金品に汚れがつかないようにしたりするのに活用されます。

香典は袱紗に包んで持参するのがマナーです。香典袋のまま持ち歩かないよう気を付けましょう。また、お通夜は弔辞の席ですので「左開き」にして包む必要があります。1枚布の袱紗の包み方は以下のとおりです。

  1. 袱紗をひし形にして置く
  2. 置いた袱紗の中央に香典袋を置く
  3. 右、下、上、左の順番でたたむ
  4. 止め糸にはめ込む※爪付きタイプの場合

お通夜を含む弔辞用の袱紗を選ぶ際は、紺色、灰色、緑色といった寒色系の色を選びましょう。赤やピンク、オレンジといった暖色系のものは祝儀用の袱紗にあたります。

なお、香典を簡単に包みたいという方には「金封袱紗」を選びましょう。金封袱紗はお財布のような形をしており、香典の出し入れが簡単です。

渡し方

香典は、お通夜の受付でお渡しするのが通例です。もしもお通夜に遅れて受付が終了している場合は、遺族に直接お渡ししましょう。具体的な作法は以下のとおりです。

  1. 左開きになるように袱紗を持つ
  2. 袱紗を開いて香典袋を取り出す
  3. 香典袋の表書きを、相手が読める向きにする
  4. 両手で持ち、香典袋を相手にお渡しする

香典袋をお渡しする際に、「この度はご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」とあいさつを述べてからお渡ししましょう。

お通夜における焼香のマナー

焼香とは、細かく砕いた抹香を香炉に入れて焚く行為を意味します。香を焚くことでことで、邪気を払い故人に弔意を示すのです。焼香の順番や作法にもマナーがありますので、大切な項目を確認しましょう。

焼香の順番

焼香は、故人との関係が深い方から行います。基本的な順番がこちらです。

  1. 喪主
  2. 遺族・親族
  3. 会社関係の方
  4. 友人・知人
  5. 上記以外の参列者

遺族・親族内での焼香の順番は、「家族単位で焼香すればよい」「血縁関係を重視すべき」など、地域の風習や親族の考え方によって違いがあります。そのため、葬儀後に親族間の関係が悪くならないように、葬儀社の方や年長者に相談しておきましょう。

立礼焼香

立礼焼香(りつれいしょうこう)とは、立ったまま焼香する方法で、椅子席を用意できるお通夜の会場で用いられています。立礼焼香のやり方がこちらです。

  1. 祭壇の1歩手前まで進む
  2. 遺族と僧侶へ一礼する
  3. 祭壇に近づき遺影に一礼する
  4. 右手で香をつまみ押しいただく
  5. 香を香炉にくべる
  6. 遺影に合掌する
  7. 後ろに数歩下がる
  8. 僧侶・遺族へ一礼する

座礼焼香

座礼焼香(ざれいしょうこう)とは、座ったまま焼香する方法で、寺院や自宅などの比較的小規模な会場で用いられています。座礼焼香の順番がこちらです。

  1. 祭壇の手前まで膝行※で進む
  2. 遺族と僧侶へ一礼する
  3. 祭壇に近づき遺影に一礼する
  4. 右手で香をつまみ押しいただく
  5. 香を香炉にくべる
  6. 遺影に合掌する
  7. 後ろに下がる
  8. 僧侶・遺族へ一礼する

※膝行(しっこう)とは、正座の状態でつま先を立て、地面にひざをついたまま移動する方法です。ご自身の座席から祭壇まで遠い場合は、中腰で移動してもよいとされています。

回し焼香

回し焼香とは、抹香と香炉がのった移動式焼香台を用いて焼香する方法です。祭壇の前まで移動せず、ご自身の座席で行います。回し焼香のやり方がこちらです。

  1. 会釈して隣の方から焼香台を受け取る
  2. 遺族と僧侶へ一礼する
  3. 祭壇に近づき遺影に一礼する
  4. 右手で香をつまみ押しいただく
  5. 香を香炉にくべる
  6. 遺影に合掌する
  7. 後ろに下がる
  8. 僧侶・遺族へ一礼する

移動式焼香台は、足にキャスターがついており簡単に移動できる装置です。隣の方にお渡しする際や受け取る際は、会釈を忘れずに丁寧な所作を心がけましょう。

お通夜における数珠のマナー

お通夜では、故人や遺族に対して敬意を表すために、数珠を持参します。お通夜に参列する際は、1人1つ専用の数珠を用意しましょう。万が一忘れた場合は、貸し借りをせずに仏具などの専門店や紳士服の販売店などで購入できないか探してみてください。

数珠には、本式数珠と略式数珠(片手数珠)の2種類が存在します。本式数珠は、宗派ごとに形が決まっている場合に、購入するとよいでしょう。迷った場合は宗派を問わない略式数珠を用意します。

お通夜における通夜振る舞いのマナー

お通夜後に、参列者が通夜振る舞いに招かれることがあります。通夜振る舞いで失礼がないように、大切なマナーを確認しておきましょう。

通夜振る舞いとは

通夜振る舞いとは、足を運んでくれた僧侶や参列者の方々へ、食事を振る舞うことで感謝の意を表す場です。お通夜終了後に、別の会場で執り行われます。参加は義務ではありませんが、故人と食事を共にする最期の機会となりますので、極力参加しましょう。

なお、喪主や遺族は通夜振る舞いを行わないことも可能です。参列者に粗供養品(そくようひん)をお渡しすることで、参列してくれたお礼やお香典などへの感謝の意を表しても問題ありません。

その場合は、葬儀の案内状に通夜振る舞いを行わない旨を記入して、参列者に事前にお知らせするのがよいでしょう。

故人の供養のために食事に口を付ける

通夜振る舞いでは、故人の供養のために、食事に箸を付けるのがマナーとされています。そのため、参列する前の夕食を少なめにしたりして、一口でもいただけるように配慮しましょう。

また、通夜振る舞いは喪主・遺族が僧侶や参列者をもてなすことが目的ですので、僧侶・参列者が上座、喪主・遺族は下座となります。僧侶と参列者では、僧侶が上座となりますのでご注意ください。

お通夜に遅れる場合のマナー

お通夜は、故人を偲ぶための儀式ですので、遅れても駆け付けることとされています。30分から1時間ほどの遅刻であれば、会場のスタッフまたは遺族に連絡を入れたうえで、参列しましょう。

ただし、大幅に遅刻するとお通夜の読経や焼香が終了している可能性があります。仕事の都合や距離の問題などで、開始時刻より2時間ほど遅刻しそうな場合は、欠席の連絡を入れたうえであらためて弔問するのがよいでしょう。

後日弔問する際の注意点

弔問とは、遺族へお悔やみを伝えるために訪問することです。お通夜を欠席した場合は、お通夜の翌日に執り行われる葬儀・告別式や葬儀後の法要に弔問に伺いましょう。

香典をお渡ししていない場合は、香典を持参します。故人が好きだったものを供物として持参するのもよいでしょう。

お通夜後の弔問の際は、お伺いしてよいか必ず遺族に連絡したうえで、ビジネススーツやワンピースを着用して伺います。「お通夜における服装のマナー」の項目を参考にしていただき、適切な服装を心がけましょう。

お通夜の当日の流れ

最後にお通夜当日の流れをご紹介します。

儀式 内容
受付・記帳 参列者の氏名・住所の記帳
香典のお渡し
読経・焼香 遺族・親族を含む参列者の焼香
喪主のあいさつ 参列者へのあいさつ
葬儀・告別式の案内など
通夜振る舞い 遺族と参列者で故人を偲ぶための食事会
閉式 通夜振る舞い終了後に閉式

お通夜を短時間で執り行う「半通夜」の場合は、開式から通夜振る舞い後の閉式まで、2時間から3時間ほどが目安です。

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ほかにもこちらのメディアでは、お通夜の香典袋の書き方お通夜の開始時間と流れについても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。

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