死亡届の書き方は?提出先や提出期限から注意点までを解説

「死亡届の書き方がわからない」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?家族や親族が亡くなったことを知ったら、期限までに死亡届を役所に提出しなければなりません。

死亡届の提出は相続の手続きなどを進めるための第一歩となりますが、死亡届の書き方を熟知している方は少ないでしょう。また、家族の死というつらい出来事に直面して落ち込んでいる方にとって、各種手続きは大きな負担となります。

こちらの記事では、死亡届の書き方についてわかりやすく解説します。家族や親族の誰かが亡くなり、死亡届の提出などを行う必要がある方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 死亡届は病院からもらうケースが多く、提出先は亡くなった方の死亡地がある役所
  • 医師に証明を依頼する欄がある
  • 死亡届は提出する前に複数枚コピーを取っておこう

死亡届とは?だれが書く?

死亡届とは、人が亡くなったことを法的に証明する書類です。死亡届を出さないといつまでも戸籍が変更されないうえに、法定期限内に提出しないと罰則を受ける恐れがあります。

死亡届は病院からもらう

死亡届は、役所の窓口やホームページから入手できます。しかし、病院で亡くなった場合は病院からもらうケースがほとんどです。

病院で亡くなった場合は病院からもらい、病院以外で亡くなった場合は役所の窓口かホームページで入手します。

死亡届は役所に提出する

死亡届の提出先は、下記のいずれかの場所となります。

死亡届の提出先
  • 亡くなった方の本籍地または死亡地の役所
  • 届出人の住所地の役所

亡くなった方の住所地の役所へ提出する方は多いですが、これは誤りです。上記以外の役所に提出しても受理してもらえないため、注意しましょう。

亡くなった方の住所地の役所へ提出しても受理してもらえません。

死亡届は亡くなったことを知った日から7日以内に提出する

死亡届は「亡くなったことを知った日から7日以内」に、役所へ提出しなければなりません。亡くなった後はさまざまな手続きを並行して行う必要があるため、7日はあっという間に過ぎてしまいます。

役所の閉庁日と亡くなったことを知った日から7日目が重なっている場合は、翌開庁日までに提出すれば問題ありません。死亡届を期限以内に提出していない場合、5万円以下の過料が科されるため、注意しましょう。

死亡届は誰が提出しても問題ない

死亡届は、誰が提出しても問題ありません。亡くなった方の家族や親族はもちろん、葬儀屋が提出するケースもあります。

ただし、死亡届の「提出」は誰でも可能ですが、「届出人」になれる方は下記のように定めがあります。

死亡届の届出人になれる人
  • 親族
  • その他の同居人
  • 家主・地主・家屋管理人・土地管理人
  • 後見人保佐人補助人・任意後見人・任意後見受任者

遠方に住んでいる一人暮らしの親が亡くなったときなど、地主や賃貸人が届け出るケースは実際に多くあります。

死亡届の提出では印鑑と身分証明書を持参する

死亡届を役所に提出する時は、印鑑と身分証明書も忘れずに持参しましょう。記載内容に誤りがあったときに、訂正印が必要です。

また、提出時に本人確認をするため、身分証明書の提示が求められることもあります。提出者の運転免許証やマイナンバーカードなども持参しましょう。

死亡届の書き方

死亡届の書き方は難しくないため、誰でも作成できます。以下で、死亡届の書き方をわかりやすく解説します。

  • 届出日・届出先
  • 氏名・生年月日
  • 死亡したとき・死亡したところ
  • 本籍・筆頭者
  • 死亡した人の夫または妻
  • 死亡したときの世帯のおもな仕事・死亡した人の職業、産業
  • その他・届出人
  • 連絡先
  • 死亡診断(検案)書

届出日・届出先

届出日・届出先欄には、死亡届を提出する日付提出先の役所名を書きます。例えば、亡くなった方の死亡地が品川区であれば「品川区役所」と書く具合です。

氏名・生年月日

氏名・生年月日欄には、亡くなった方の個人情報を書きます。間違えて自分の氏名や生年月日を書かないように気を付けましょう。氏名の漢字は戸籍上の漢字を使用し、略字は使いません。

死亡したとき・死亡したところ

死亡したとき・死亡したところの欄には、亡くなった日時と場所を書きます。死亡届の右半分は医師が記載する「死亡診断書(死体検案書)」となっており、死亡診断書(死体検案書)を参照しながら記入すれば問題ありません。

本籍・筆頭者

本籍・筆頭者欄には、亡くなった方の本籍地を書きます。「亡くなった方の本籍地がわからない」という方は多いですが、わからなければ空欄でも問題ありません。

本籍地が空欄の状態で窓口に持参すると、役所側で亡くなった方の本籍地を調べてくれます。筆頭者欄は亡くなった方の氏名を記載するケースが多いですが、本籍欄と同じく空欄でも大丈夫です。

死亡した人の夫または妻

死亡した人の夫または妻の欄には、亡くなった方の配偶者の有無を記載します。配偶者がいる場合は年齢を記入し、いない場合は「いない」にチェックしましょう。

また、「未婚」「死別」「離別」などの事情がある場合は、該当する箇所にチェックしてください。

死亡したときの世帯のおもな仕事・死亡した人の職業、産業

死亡したときの世帯のおもな仕事・死亡した人の職業、産業欄は、亡くなった方が行っていた主な仕事や就労状況を申告します。該当する項目にチェックを入れましょう。

わからない場合は、未記入で提出しても問題ありません。

その他・届出人

その他の欄に関しては、空欄で大丈夫です。届出人の欄には、死亡届を提出する届出人の情報を書きます。実務上は家族や親族が届出人になるケースが多く、亡くなった方との関係について該当する項目にチェックを入れましょう。

届出人が家族や親族の場合、本人確認書類や亡くなった方との関係を証明できる書類は不要です。しかし、届出人が後見人・保佐人・補助人の場合は資格を証明する登記事項証明書や裁判所の謄本等など、添付書類が必要となります。

連絡先

連絡先欄には、届出人の電話番号を書きます。固定電話でも携帯電話でも問題ありませんが、連絡が取りやすい番号を記載しましょう。

死亡診断(検案)書

死亡届の右側は「死亡診断(検案)書」となっており、医師が記載します。もれなく記載されているか確認しておきましょう。

死亡届を書く時の注意点

死亡届を書くのは難しくありませんが、提出にあたって注意するべき点があります。以下で、死亡届を書く時の注意点について解説します。

  • 火葬が済んでいれば死亡届は提出済み
  • 死亡届を提出しないと罰則を受ける
  • 提出前にコピーを取っておく
  • 火葬許可証の申請も同時に行う
  • 亡くなった方の本籍がわからないときでも問題ない
  • 死亡診断(検案)書は医師が書く

火葬が済んでいれば死亡届は提出済み

既に亡くなった方の火葬が済んでいる場合、死亡届はすでに役所へ提出されています。火葬を行うためには「火葬許可証」が必要で、火葬許可証の交付を受けるためには「死亡届」の提出が必須であるためです。

実際に、家族や親族が死亡届を提出する前に、葬儀屋などが役所に提出しているケースがあります。

家族が亡くなった直後はバタバタしており、「葬儀社と何を話したのか覚えていない」というケースもありますが、火葬が済んでいれば死亡届の提出は不要です。

死亡届を提出しないと罰則を受ける

死亡届を「亡くなったことを知った日から7日以内」に提出しないと、5万円以下の過料を支払うという罰則を受けます。亡くなったことを知ってから7日というのは意外と短いため、忘れない内に提出を行いましょう。

提出前にコピーを取っておく

死亡届を提出する前には、複数枚コピーを取っておきましょう。死亡届は役所に原本を提出し、提出した原本は戻ってきません。保険金の請求など、さまざまな場面で死亡届の写しが必要になるため、提出前にコピーを取っておくと安心です。

火葬許可証の申請も同時に行う

死亡届を提出する際には、火葬許可証の交付申請もあわせて行いましょう。火葬許可証がないと火葬ができないため、いつまでも亡くなった方を送ることができません。

自治体によって、死亡届の提出と同時に火葬許可証を発行するケースや別途で申請書が必要なケースがあります。死亡届を提出するタイミングで、火葬許可証の手続き方法についても確認しておきましょう。

また、火葬が終わると火葬許可証に「火葬済」と押印がされます。火葬済の押印がある火葬許可証がないと納骨できないため、大切に保管してください。

亡くなった方の本籍がわからないときでも問題ない

死亡届には亡くなった方の本籍地を書く欄がありますが、亡くなった方の本籍がわからなくても問題ありません。書き方が分からない欄があると焦ってしまいますが、安心してください。

亡くなった方の本籍を把握していない方は多いですが、わからない場合は空欄でも提出できるため、焦らずに死亡届の提出を進めていきましょう。

死亡診断(検案)書は医師が書く

死亡届の右半分は死亡診断(検案)書となっていますが、この欄に関しては医師が記載します。家族や親族が書く欄ではないため、医師に記入をお願いしましょう。

死亡届の提出以外に遺族が行うべきこと

家族や親族が亡くなると、死亡届以外にも遺族が行うべき死後の手続きがあります。以下で、手続きの内容を解説します。

  • 埋葬料・葬祭費の申請を行う
  • 住民票の世帯主変更届を提出する
  • 健康保険の資格喪失手続きを行う
  • 介護保険の資格喪失手続きを行う
  • 年金受給を停止する手続きを行う
  • 準確定申告を行う
  • 10カ月以内に相続税の申告と納税を行う

埋葬料・葬祭費の申請を行う

健康保険制度には葬儀費用の負担を軽減する「埋葬料・葬祭費」という給付金があるため、忘れずに申請しましょう。

亡くなった方が加入していた保険が健康保険の場合は「埋葬料」、国民健康保険か後期高齢者医療保険の場合は「葬祭費」と呼ばれます。

  • 埋葬料:健康保険
  • 葬祭費:国民健康保険か後期高齢者医療保険

埋葬費は一律5万円で、葬祭費は自治体によって2万円~7万円と差があります。申請にあたって必要な書類も健康保険協会や自治体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

住民票の世帯主変更届を提出する

亡くなった方が世帯主の場合は「世帯主変更届」の提出が必要です。世帯主が亡くなった日から14 日以内に、住所地の役所で手続きしなければなりません。

世帯主を変更する必要がない場合や、「2人暮らしの内、片方が亡くなった場合」など、変更にあたって選択の余地がない場合は、手続きを行わなくても大丈夫です。

健康保険の資格喪失手続きを行う

亡くなった方の健康保険、あるいは国民健康保険の資格喪失手続きも忘れずに行いましょう。健康保険に加入していた方が亡くなった場合は、勤務先の会社が行ってくれます。

本人の健康保険証や、被扶養者がいる場合は被扶養者の健康保険証を返却する必要があるため、担当者の指示に従いましょう。

亡くなった方が国民健康保険に加入していた場合、亡くなった日から14日以内に「国民健康保険資格喪失届」を提出します。提出先は、亡くなった方が住んでいた住所地の役所です。

亡くなった方が後期高齢者医療保険に加入していた場合も、亡くなった日から14日以内に「後期高齢者医療障害認定申請書及び資格取得(変更・喪失)届書」を、亡くなった方が住んでいた住所地の役所に提出します。

介護保険の資格喪失手続きを行う

40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた方や、65 歳以上の方が亡くなったケースでは、介護保険の資格喪失手続きも忘れずに行いましょう。

介護保険の資格喪失手続きは、亡くなった日から14 日以内に、亡くなった方が住んでいた住所地の役所で行います。

年金受給を停止する手続きを行う

亡くなった方が年金を受給していた場合、年金を停止する手続きを行う必要があります。国民年金の場合は亡くなってから14日以内、厚生年金の場合は亡くなってから10日以内に、年金事務所または街角の年金相談センターで手続きを行わなくてはなりません。

  • 国民年金:亡くなってから14日以内
  • 厚生年金:亡くなってから10日以内

日本年金機構にマイナンバーを登録している方が亡くなった場合は、年金受給を停止する手続きが不要です。役所に死亡届を提出すれば、当該情報が年金事務所にも共有される仕組みとなっているためです。

準確定申告を行う

亡くなった方が収入を得ていた場合は、相続人が亡くなった方に代わって確定申告をする「準確定申告」を行う必要があります。なお、下記の2つの要件に該当する場合、準確定申告は不要です。

準確定申告が不要になる要件
  • 年金収入が400万以下
  • その他の所得が20万以下

もし準確定申告が必要な場合、亡くなった日から4カ月以内に申告と納付を済ませる必要があります。

10カ月以内に相続税の申告と納税を行う

亡くなった方の遺産総額が相続税基礎控除額を超える場合は、亡くなった日から10カ月以内に相続税の申告と納税を行わなければなりません。遺言の有無や相続人の人数次第では遺産分割がまとまらず、相続税の申告と納税が法定期限内に間に合わないことがあります。

亡くなった方の遺産を確認し、相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えるようであれば、相続税の申告・納付期限を意識しましょう。

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