家族葬の準備には何が必要?事前に考えておくべきことや流れを解説

一般的なお葬式と比べて小規模な家族葬では、事前準備で何が必要か気になる方もいるでしょう。

葬儀の規模が小さいとはいえ、すべきことに大差ありません。死亡後に手続きを迅速に進めるためには、あらかじめ参列者の範囲・人数、お葬式の概要、依頼する葬儀会社を決めておきたいところです。

今回は家族葬で必要な準備を、存命中と死亡後に分けてご紹介します。お葬式が終わったあとにすべきことにも触れているので、ぜひご一読ください。

1分でわかる!記事の内容
  • 存命中にお葬式の内容や依頼先の葬儀会社を決めておくのがおすすめ
  • 訃報の通知は参列者をはじめ必要最小限に抑える
  • 死亡の事実を知った7日以内に死亡診断書・死亡届を役所に提出する

家族葬の前に考えておくべきこととは?

ご遺族や故人が満足される家族葬を行うためには、亡くなる前から準備が必要です。死亡から葬儀までの流れは早いので、お葬式の内容をあらかじめ固めておかないとスムーズに進みません。

家族葬の前に考えておきたい5つのことをご紹介します。

  • 参列者の範囲と人数
  • 家族葬のスタイル
  • 葬儀を行う予定のエリア
  • 宗教・宗派
  • 依頼する葬儀会社

参列者の範囲と人数

参列者として呼ぶ範囲はどこまでか、また人数は何名までにするか、存命中に考えましょう。

家族葬に参加できるのは家族だけに限らず、友人や知人、会社関係者を招いても差し支えありません。基準やルールは存在しないため、故人の意思や、ご遺族の判断で決められます。

葬儀会場の規模を決める基準ともなるので、目安の人数まで把握しましょう。参列者が少ないと、小規模な施設の準備で済み、葬儀費用を抑えられます。参列者から受け取る香典は減ってしまいますが、何十人も参列される通常のお葬式と比べて安価です。

家族葬のスタイル

家族葬の日程や当日の催し物、式場の装飾など家族葬の内容を具体的にしましょう。まず考えたいのは、お通夜とお葬式を別日で行う二日葬か、同日にまとめる一日葬のどちらにするかです。

費用面の負担を抑えたいなら一日葬がおすすめですが、二日葬でもお通夜後の会食を省くことで安価なお葬式が実現します。

家族葬は自由度が高く、しきたりや風習にとらわれないオーダーメイドの式典を開催しやすいのも特徴です。

会場の装飾に故人の好きな物を散りばめたり、BGMで頻繁に聞いていた曲を流したりしても問題ありません。存命中にどのようなお葬式にしたいか、ご本人に確認してもよいでしょう。

葬儀を行う予定のエリア

家族葬を執り行う斎場の大まかなエリアも、あらかじめ目星をつけましょう。一般的には、自宅から近いか、最寄りのターミナル駅との距離感などを考慮します。葬儀の予定エリアは、依頼先の葬儀会社を決めるうえでも重要な基準です。

葬儀業界では、首都圏でのみサービスを展開する業者が少なくありません。地方での開催を希望される方は、全国対応の大手や地域に根ざす小規模な葬儀会社を見つける必要があります。

斎場と一体化した式場もなきにしもあらずですが、多くの場合、火葬場は事前予約が必要です。葬儀を行う予定のエリアが明確にならないと、葬儀会社側で会場の確保ができなくなってしまいます。

宗教・宗派

故人が特定の宗教・宗派を持つ場合、その信仰に基づいて、家族葬を行う必要があります。日本は無信仰の方が多いですが、ほとんどのケースで仏教(仏式)に則り、実施されます。なかにはキリスト教や神道、創価学会を崇拝するご家庭もあるでしょう。

宗派ごとに葬式の進め方が異なると、家族葬の形態も大きく変化します。たとえば仏教ではお坊さんがお経を読み上げますが、キリスト教では神父や牧師を招きます。お悔やみの言葉の有無や、香典袋の書き方なども宗教・宗派ごとに違いがあるのが特徴です。

故人が何を信仰しているかわからない場合、事前に確認をとりましょう。

依頼する葬儀会社

依頼する葬儀会社も亡くなる前に決めておくことがおすすめです。死亡から葬儀を行うまではせわしなく、限られた時間のなかで打ち合わせや参列者への案内の対応を迫られます。病院の安置室に遺体を保管できる期間は1日程度です。

そのあとはご自宅や、葬儀会社が手配する施設を利用します。死亡まで葬儀会社について何の準備もしていない場合、時間の関係上、満足いく業者選びは難しくなるでしょう。

存命中に葬式の手配を考えるのは不謹慎な気がするかもしれませんが、十分な事前準備は故人が喜ぶ式を挙げるために必要です。

家族葬の一連の流れは?

死亡から家族葬が終了するまでの流れは次のとおりです。

  1. 逝去
  2. 安置
  3. 納棺
  4. 通夜
  5. 葬儀・告別式
  6. 火葬
  7. 四十九日法要

遺族が行う手続きの内容を具体的に解説します。

1.逝去

家族が亡くなった場合は、家族や近親者が死亡の確認をします。自宅で息を引き取ったときは警察や葬儀会社に連絡を入れ、病院ならば死亡後に職員の手でエンゼルケアが行われます。病院で旅立たれた場合、火葬場の申請や戸籍の除籍に必要な死亡診断書が必要です。

臨終に立ち会った医師や、遺体を検案した医師に作成をお願いしましょう。

2.安置

亡くなってから葬儀まで安置場所で遺体を保管します。病院の霊安室から指定の場所へと亡骸を移す場合、ご自身の車で運び出すほか、葬儀会社に依頼できます。

寝台車にはご遺族の乗車が認められることや、ご近所に訃報を知られないよう、早朝や深夜を指定することも可能です。安置場所へのルートを指示できるのも特徴で、故人が好きだった場所への立ち寄りも叶えてくれます。

3.納棺

安置が済み、葬儀の準備まで終わったら、納棺を行います。納棺とは斎場への移動に際して、ご遺体を棺へと入れる行為です。故人をお風呂に入れて体を清める湯灌(ゆかん)を済ませておきましょう。

納棺の際は、故人と関わりが深い副葬品を一緒に入れるのが一般的です。愛用品や好きな食べ物、旅支度の品などが該当します。最後に死化粧を施し、死装束に着替えさせます。

4.通夜

家族葬のお通夜の流れを、仏式を例に挙げてご紹介します。

  1. 受付(葬儀会社が対応)
  2. 僧侶の入場・開式
  3. 読経・焼香
  4. 僧侶の法話・喪主挨拶
  5. 通夜振る舞い

基本的な流れは一般葬と変わりありません。祭壇の設営や式場の準備は葬儀会社が行いますが、ご遺族も早めに会場へ到着して、担当者と打ち合わせをし、返礼品や供花に間違いがないかチェックします。

通夜振る舞いはご参加いただいた僧侶や参列者に感謝の意を表し、故人との思い出を語らう会食の場です。きちんとした食事をふるまう必要はなく、お寿司やオードブルを準備するのが一般的です。

5.葬儀・告別式

2日目に行われる葬儀・告別式の流れをご紹介します。お通夜同様、一般的な葬儀と流れは変わりありません

  1. 受付(葬儀会社が対応)
  2. 僧侶の入場・開式
  3. 読経・焼香
  4. 弔電の奉読
  5. お花入れ~閉式

読経が始まると、僧侶に続いて喪主・ご遺族と血縁が近い方から順々に焼香を行います。参列者が少ない家族葬では、焼香は早く終わりますが、読経が短縮されるわけではありません。また、通常だと弔辞・弔電は省略されます。

読経が終わると僧侶は退場し、喪主の方が挨拶を述べて終了です。一般葬では参列者たちが会場を出たあと、ご遺族や親しい友人たちだけがとどまり、お別れの儀が執り行われます。ただし元々人数が限られた家族葬では全員が斎場に残り、儀式に移行するのが一般的です。

6.火葬

火葬場へと場所を移し、火葬が終わるまで待機します。次は収骨となり、故人と近しいご遺族から順々に遺骨を拾い上げ、骨壺へと納めてください。お通夜やお葬式を行わず火葬のみとする形の葬式は直葬と呼ばれます。

葬儀会社では家族葬プランと別個で直葬プランを設けています。故人のご希望がある場合や、費用を抑えたい場合は直葬の実施も1つの手です。

7.四十九日法要

仏式ではお通夜・告別式に合わせて、故人が亡くなってから49日目に四十九日法要が行われます。この世に滞在していた死後の魂があの世へと旅立つ日です。仏教では7日ごとに裁きが行われ、49日目に極楽浄土へ行くか、別の道に達するかの審判が下ります。

ご遺族は四十九日法要が済むまでは弔問客の対応に追われますが、その後は通常の生活に戻ります。

規模が小さい家族葬であっても、四十九日法要は省略できません。

死亡から葬儀までに必要な準備は?

訃報からお通夜・葬儀の当日までに、ご遺族が行う必要がある準備をご紹介します。精神的な負担が大きいなか、つつがなく進めるには何をすべきか事前に把握しておくのが重要です。

大きく分けて、葬儀会社との打ち合わせ・参列者に対する訃報の連絡・市役所への死亡の届け出が必要になります。

葬儀会社と家族葬の日時・場所の打ち合わせをする

葬儀会社に連絡して、担当者とお葬式の日時・場所を決めましょう。ご遺族の意向や斎場・火葬場の空き状況、宗教者の都合を考慮して、決定します。日時・場所が決まったら、予算に合わせて葬儀プランを決定してください。

葬儀本体にかかる費用のほか、参列者のおもてなしや宗教者への謝礼が伴うことがあります。料金プランはすべて込みの価格か、別途追加で負担が必要か、総額でどの程度の費用が発生するのか把握しましょう。

葬儀会社との打ち合わせに入る前に喪主を決めておくのも重要です。当日の挨拶を含め、家族葬を取り仕切る役割が定まっていれば、以降の手続きはスムーズに進むでしょう。オリジナルのお葬式をご希望の場合、遺影や祭壇、供花などの取り扱いも話し合います。

親族から家族葬へ呼ぶ方に連絡する

あらかじめ選定した参列予定者に対して、訃報の連絡を入れましょう。お呼びする方のみに案内を出すのが一般的です。訃報の事実が広く知れ渡ると、参列予定者以外の方まで参加を申し出てしまいかねません。

香典や供花の辞退を希望する場合、お葬式の案内文に合わせて、その旨を伝えると負担が和らぎます。電話だと伝達事項に漏れがあるといけないので、メールやファックスの活用おすすめです。

死亡診断書・死亡届を提出する

人が亡くなったあとは、役所に対して死亡の届け出が必要になります。申請書類の名称は「死亡診断書・死亡届」で、事実を知った日から7日以内死亡した場所または故人の本籍地を管轄する市役所や町役場に提出します。

死亡診断書は臨終に立ち会った医師が作成する書類です。発行には手数料がかかりますが、死亡後の行政手続きには必須の書類なので確実に取得しましょう。死亡届は届出人自ら記入する必要があり、書式は役所の担当課のほか、病院や葬儀会社でも入手できます。

家族葬が終わったあとにすべきことは?

家族葬が無事終わり、役所関係の手続きが済んでもご遺族がすべきことは残っています。一息ついて心身の回復に努めたいのはやまやまですが、もう少し踏ん張りましょう。家族葬が終わったあとは、関係者へのお礼や参列者以外に対して通知が必要です。

関係者へのお礼やご挨拶

いそがしい中、足を運んでいただいたことへの感謝の気持ちを示すため、会葬御礼を渡します。また、家族葬には参列していないながら香典や供花を頂いた方たちに、返戻品(香典返し)を送付します。

両者は別個の扱いであり、会葬御礼は当日参列したすべての方に渡すものです。一方で、香典返しは当日に渡す「即日返し」と、四十九日法要が過ぎてから渡す「後返し」に分かれます。

参列者以外の方への通知

家族葬に声をかけなかった方たちに対して、逝去の事実を知らせる場合があります。あとになって、参列予定者から外れた親族や関係者から、連絡を怠ったことでクレームを受けるリスクがあるためです。

小規模で家族葬を行うため、訃報の連絡は最小限に済ませるのがよいとお伝えしました。関係性が遠い親戚や友人、職場の関係者には、死亡の事実および故人の意思で近親者のみで葬式を執り行ったことを伝えましょう。

家族葬の準備Q&A

家族葬でよくある持ち物や服装のマナーについてお答えします。

家族葬の持ち物は?

家族葬だからといえ、基本的な持ち物は一般的なお葬式と相違ありません。バックは男女とも黒で光沢がない物を選びましょう。葬儀に持ち込むハンカチは黒または白のカラーが無難です。

数珠も葬儀に不可欠な仏具の1つで、宗派ごとに略式・本式の異なる種類に分かれています。香典は必須ではありませんが、追悼の意を示すために準備する方がいます。持ち物の種類にかかわらず、光り物や革製品は避けたほうが無難です。

時計やアクセサリーは外したうえで式に臨みましょう。

家族葬の服装のマナーは?

家族葬では男性は喪服が基本、女性は黒スーツのほか、ワンピースの着用も認められます。以下で男女別のふさわしい服装をご紹介します。

男性 ・光沢のない黒スーツ、白無地のシャツ
・光沢のない無地の黒いネクタイ
・装飾品は結婚指輪のみ
・クールビズは不可
・ネクタイピンやカフスボタンも不可
女性 ・光沢のない黒スーツ、またはワンピース
・靴は高くない黒のパンプス
・装飾品はパールのみ
・メイクは地味め

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