家族葬でのトラブルとは?事例・対策や葬儀費用を抑える方法を解説!

「家族葬を行うと、どんなトラブルが発生するの?」「トラブルを避けるための対策は何か?」家族葬を執り行うにあたって、このような疑問、不安を抱いている方も多いのではないでしょうか?

家族葬は一般葬よりも新しい形態の葬儀であるため、親戚やご近所、菩提寺などとの間でトラブルが発生することもあり得ます。

本記事では、家族葬で起こり得るトラブル事例やその対策、葬儀費用を抑える方法を詳しく解説します。

1分でわかる!記事の内容
  • 家族葬は故人と近しい方だけで執り行われ、自由度が高い
  • トラブルは起こり得るが、回避する対策はある
  • 補助金・給付金などで葬儀費用を抑えられる

そもそも家族葬とは?

そもそも家族葬とは何でしょうか?一般葬との違いやメリット、デメリットを解説します。

一般葬との違い

家族葬とは、家族・親戚・親しい友人など内々で行うごく小規模な葬儀です。

ただし、参列者の数で家族葬と一般葬が区分けされているわけではありません。

家族葬は故人と近しい方だけで執り行われるため、自由度の高い葬儀を執り行えます。対して一般葬では家族・親戚以外に勤務先や仕事の関係者・近所の方々も参列します。

そのため自由度の高い葬儀は行いにくく、通常執り行われる葬儀の形式になりがちです。

メリット

家族葬のメリットは次の2点です。

家族葬のメリット
  • 静かに葬儀を執り行える
  • 故人・遺族の意向を反映させやすい

家族葬の参列者は親族・親戚など故人と近しい方々だけです。そのため来客の対応に時間を割く必要はなく、故人とゆっくりお別れができます

加えて、親族・親戚・親しい友人だけで執り行われるため、故人・遺族の意向を反映した自由度の高い葬儀を執り行えます。

デメリット

家族葬のデメリットは次の2点です。

家族葬のデメリット
  • 弔問への対応に時間をとられる
  • 家族葬の理解を得られない場合がある

会社関係者や近所の方々は家族葬に参列できないため、家族葬後に弔問に訪れることがあります。その場合、無下に弔問を断れないため対応しなければなりません。

家族葬で親族・親戚以外の参列や弔問を断った場合、「最後に故人とお別れがしたかった」「葬儀に参列したかった」という不満が遺族にぶつけられることも予想されます。

また、家族葬に対する認識の相違により、参列できなかった方々との間にトラブルが発生するかもしれません。

親戚間で起こり得るトラブル事例

家族葬により親戚間で起こり得るトラブル事例を2つご紹介し、それぞれの対策も解説します。

  • 事例1:葬儀の形式・内容が理解されない
  • 事例2:参列できなかった親戚に不満が発生する

事例1:葬儀の形式・内容が理解されない

家族葬は通常の葬儀のあとに誕生した葬儀形式のため、まだ一般的に執り行われている状況ではありません

したがって、「盛大な葬儀で故人を送り出すべき」「少人数での葬儀は寂しい」といった保守的な価値観を持った身内がいた場合、家族葬の形式・内容が理解されないことがあり得ます。

理解されないまま家族葬を執り行うと、今後の親戚づきあいがギクシャクするかもしれません。

対策:家族葬について説明し、理解を得る

家族葬が故人の希望であることを身内に説明すれば、おそらく納得してもらえるはずです。

それでも理解を得られないのであれば、葬儀会社との話し合いに身内にも参加してもらいます。

「家族葬は故人と近しい方だけで、ゆっくりお別れできる」「形式が自由なので、故人の希望をかなえやすい」などの利点をスタッフが説明し、疑念・不安が払拭できれば、家族葬への理解が得られるでしょう。

事例2:参列できなかった親戚に不満が発生する

家族葬の参列者をどこまでにするというルールはありませんが、一般葬よりも参列人数は少なくなります。家族葬に呼ばなかった親族・親戚がいた場合、葬儀のあと「なぜ自分を呼ばなかった」と遺族に不満をぶつけることも予想されます。

また人が亡くなったあとの葬儀の準備はあわただしいため、呼ぶ予定だった方に連絡し忘れたということもあるでしょう。

対策:今後もつきあいが続く親戚はできるだけ呼ぶ

今後もつきあいを続けたい親戚は家族葬に呼んだほうが無難といえます。

なお、家族葬では三親等以内の親族・親戚を呼ぶケースが多いようです。本人からみた三親等以内の親族とは、父母、祖父母、叔父叔母、兄弟姉妹、子、孫などです。

また父母の葬儀を執り行う際に親戚を呼ぶ基準としては、次のものがあります。

  • 兄弟まで
  • 二親等まで(本人からみて、父母、祖父母、兄弟姉妹、子、孫など)
  • 隣の都道府県の親戚まで
  • 高齢者や病人は除く

近所との間に起こり得るトラブル事例

家族葬により近所との間で起こり得るトラブル事例を3つご紹介し、それぞれの対策も解説します。

  • 事例1:故人と仲のよかった近所の方を呼ばない
  • 事例2:呼んでいない方が参列を希望する
  • 事例3:家族葬後の弔問客が多い

事例1:故人と仲のよかった近所の方を呼ばない

「家族葬だから近所の方は参列してほしくない」として故人と親しかった近所の方を呼ばないと、今後のご近所づきあいが難しくなる恐れがあります。

家族葬という名称になっていても、故人と親しかったのであれば家族以外の方を呼んでも差し支えありません。たとえば、故人の長年の友人、親交のあったご近所の方なども参列していただいてよいのです。

対策:近所の方をどこまで呼ぶか決めておく

「故人は近所の誰と親しかったか」「どこまで呼ぶか」などについて遺族間で相談し、近所の方々への連絡リストを作成しておきます。故人のエンディングノートや遺言があれば、故人の意向どおりに声掛けします。

ただし、今後もご近所づきあいしていきたい方はできるだけ呼んであげましょう。特に喪主が故人と同居していた場合、そのほうが無難です。

事例2:呼んでいない方が参列を希望する

家族葬は遺族が呼んだ方だけが参列する葬儀ですが、呼んでいない方が葬儀会場に現れ参列を希望することも予想されます。

ほとんどの場合、座席や料理、お返しの品は当初の参列者分しか準備していません。そのため想定外の参列者には満足なおもてなしが難しくなります

対策:家族葬に呼ぶ方にだけ訃報を伝える

家族葬の知らせ方により、想定外の参列者トラブルは防げます。通常、家族葬では呼ぶ方にのみ訃報をお知らせし、葬儀の案内状を送ります。

町内の回覧板を使い、「葬儀は家族近親者だけで執り行うため、参列はご遠慮願う」旨を伝えることも可能です。

それでも参列する方が来られたときは迎え入れ、その場で帰っていただくことはないようにしましょう。

事例3:家族葬後の弔問客が多い

家族葬のあと、参列できなかった方が弔問に訪れることが往々にしてあります。

弔問された方には令状を送ることがマナーであるため、弔問が多いときは疲弊するかもしれません。

また弔問客のなかには香典を持参する方もおり、受け取ったときは返礼品を渡すのが礼儀です。これもあまりに多いと遺族は大変です。

対策:弔問を辞退する旨を死亡通知に記載する

弔問を遠慮してほしいときは、葬儀のあとに送る死亡通知にその旨を記載しましょう。香典や供物、供花を辞退したい場合も、弔問と同様にこちらの意思をはっきり伝えることが肝心です。

故人の交友関係が広く弔問客が多くなると予想されるときは、後日「お別れの会」を催すといった方法もあります。

菩提寺との間に起こり得るトラブル事例

家族葬は一般葬より自由度が高いため、菩提寺(ぼだいじ)のしきたりやルールから逸脱してしまう可能性があります。以下、菩提寺とのトラブル事例とその対策を解説します。

事例1:菩提寺との関係が悪化する

家族葬の葬儀形式・内容が菩提寺の慣習や住職の宗教観と相容れず、トラブルが発生することも考えられます。

その結果、法要や納骨を拒否されたり、一度納骨した遺骨を他の場所に移動させる「改葬」を求められたりすることもあります。

こうなると今後菩提寺とつきあい続けることは、ほぼ不可能といっていいでしょう。

対策:家族葬を検討した時点で相談する

家族葬を検討し始めた段階で、菩提寺と相談しましょう。「故人の意思で家族葬を執り行いたいのですが、いかがでしょうか」とあらかじめ問い合わせ、承諾を得ることで諸々のトラブルは回避できます。

金銭面で起こり得るトラブル事例

金銭面で起こり得るトラブル事例を2つご紹介し、それぞれの対策も解説します。

  • 事例1:実質的な負担が増える場合がある
  • 事例2:請求額が予想額を超えていた

事例1:実質的な負担が増える場合がある

家族葬は近親者、親しかった友人などの少人数で執り行われるため、香典の額は一般葬よりも少額になります。そのため遺族の実質的な負担が増えることも少なくありません。

また、家族葬のあと遺族宅へ弔問する方が多かったときは、応対費用が想定以上にかかることも考えられます。

対策:葬儀費用をあらかじめ確認しておく

事前に葬儀会社から見積りを取って実際の葬儀費用を確認しておけば、実質的な負担が想定を超えることは回避できます。

また喪主が葬儀費用を支払うことが難しいときは、兄弟間での支払い分担も選択肢の1つです。費用負担についてもトラブルの原因となり得るため、前もって相談することをおすすめします。

事例2:請求額が予想額を超えていた

当初聞いていた葬儀費用は100万円だったが、請求書では150万円となっていたということもあり得ます。家族葬は一般葬よりも自由度が高いため、色々なオプションを追加しやすくなっています。

しかしオプション費用は基本プランとは別料金になるため、追加が多すぎると最終請求額が当初のものを上回ることは避けられません。

対策:プラン内容を確認の上、最終見積りをとる

まず基本プランに何が含まれているかを確認しましょう。基本プランの金額が相場をかなり下回るときは、注意が必要です。家族葬に最低限必要なものが含まれておらず、オプションを追加し続けることで想定外の金額になりかねないからです。

そして葬儀会社から最終見積りをとってください。基本プランとオプションプランの内容と金額に納得したうえで、葬儀会社に依頼しましょう。

家族葬の費用を抑える方法

家族葬の費用を抑える方法は次の2つです。

  • 市民葬・区民葬を利用する
  • 補助金・給付金を活用する

それぞれ見ていきましょう。

市民葬・区民葬を利用する

市民葬・区民葬とは、市区町村が行っている葬儀プランです。市区町村と提携している葬儀会社と協定料金を定めているため、一般葬よりも葬儀費用を抑えられます。

申込方法

申込方法は「市区町村の窓口で申し込む方法」と「提携している葬儀会社に申し込む方法」の2つです。

市区町村の窓口の場合、故人の死亡届を提出するときに市民葬・区民葬を行いたい旨を口頭で告げるか、専用の申込書に記入して提出するかのいずれかで申し込めます。

葬儀会社の場合は葬儀会社の窓口にて、市民葬・区民葬で執り行いたい旨を伝えることで、協定料金が適用されます。

補助金・給付金を活用する

家族葬で利用できる補助金・給付金には、葬祭費、埋葬料、埋葬費があります。

葬祭費

葬祭費とは、故人が国民健康保険または後期高齢者医療保険に加入していた場合に喪主に対して支給される給付金です。

葬祭費の金額は、東京23区では7万円、その他の市町村では3万円から5万円程度です。給付を受けるためには、市区町村の窓口で申請手続きを行う必要があります。

埋葬料・埋葬費

埋葬料とは、故人が国民健康保険以外の健康保険に加入していて業務外の事由で死亡したときに、故人と生計維持関係にあった方が受け取る給付金です。給付額は一律5万円です。

埋葬費は、故人が国民健康保険以外の健康保険に加入していて、故人と生計維持関係にない方が葬儀を執り行ったときに受け取れます。給付額は葬儀費用の実費で上限5万円となっています。

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