喪主の挨拶は息子が務める?注意点や通夜・葬式での例文を紹介

「葬儀で喪主になったら、うまく挨拶ができるだろうか」と不安に感じたことはありませんか?

葬儀では、故人の息子の立場にある方が、喪主を務める可能性が非常に高いのです。

この記事では、故人の息子が喪主の挨拶を行う際の注意点を例文と合わせてご紹介します。

1分でわかる!記事の内容
  • 喪主の挨拶は故人の息子が務める可能性が高い
  • 喪主の挨拶は一度だけでなく何度か必要な場面がある
  • 喪主の挨拶は、場面ごとに話す内容を変える

喪主の挨拶は息子が務める?

喪主の大きな役割のひとつに喪主の挨拶があります。息子が喪主を務めるのであれば、喪主の挨拶は息子の役目となります。

喪主は誰が務めればいいのか、また喪主にはどのような役割があるのかについてご紹介していきましょう。

長男など故人の血縁者が基本

喪主を誰が務めるかについての規則はありませんが、基本的には故人の長男といった血縁者が務めます。

既婚者であれば、配偶者が務めることも多いのですが、高齢や病気などの理由で困難な場合は、故人の子どもが務めることも少なくありません。

兄弟姉妹がいる場合は、長男が務める可能性が高くなります。また故人が商売をしていた場合には、商売を継いだ人が務めることがあります

喪主の役割

喪主は、実質的に葬儀の流れを仕切る役割があります。訃報の周知、葬儀社との打ち合わせや問い合わせに対する窓口としての対応、参列者や僧侶への対応なども喪主の役割です。

基本的に葬儀の準備や当日の進行を行うのも喪主の役割ですから、葬儀において重要な役割を担うことになります。

また、故人の息子であれば、喪主の役割を終えた後も、遺族の代表として様々な死後手続きを進めることになります。さらに遺産分割協議相続税申告などの手続きも待ち受けていますから、相続手続きの流れを把握しておくことも必要です。

喪主と施主の違い

葬儀では、喪主と施主(せしゅ)という立場があります。喪主は遺族をまとめ、代表して故人を弔う役割ですが、施主は葬儀にかかる費用を負担する役割を担います。

施主を務める場合には、僧侶へ渡すお布施の金額やタイミングを事前に把握しておきましょう。

施主は金銭面での責任者なので、喪主と同様に葬儀では重要な役割があります。しかし、施主は葬儀社とのやりとりが中心の仕事ですので、一般の会葬者にまで施主であることを表明する必要はありません。

一般の会葬者に対しては、喪主が中心となってやりとりや挨拶を行います

役割
喪主 ・遺族をまとめ、代表して故人を弔う
・葬儀の流れを仕切る
・訃報の周知、葬儀社との打ち合わせや問い合わせに対する窓口
・参列者や僧侶への対応
・葬儀の準備や当日の進行を行う
施主 ・金銭面での責任者
・葬儀にかかる費用を負担する役割
・施主は葬儀社とのやりとりが中心
・僧侶へ渡すお布施の金額やタイミングを事前に把握しておく

息子が喪主の挨拶をするときの注意点

息子が喪主の挨拶をするときには、いくつかの注意すべきことがあります。項目ごとにご紹介します。

喪主の挨拶が必要な場面を把握しておく

喪主の挨拶は一度だけのものではなく、何度か必要な場面があります。喪主は、挨拶が必要な場面をしっかりと把握しておきましょう。

喪主の挨拶が必要なのは、次のような場面です。

喪主の挨拶が必要な場面
  • 通夜終了時
  • 通夜振る舞い前後
  • 告別式の後・出棺前
  • 精進落としの開会時

喪主の挨拶は、場面や状況に合わせた内容で話すことが大切です。

自分の言葉で伝える

喪主の挨拶では、ご自身の言葉で伝えることが重要です。原稿を見ることなく挨拶ができればスマートですが、自信がないときはメモ書きを見ながら挨拶をしても問題はありません。

緊張で話す言葉を飛ばしてしまうよりは、伝えるべき言葉をしっかり口にした方が会葬者に伝わります。ご自身の言葉で話すことを心がけて、定形化された文書をそのまま読み上げることは避けましょう

また長くなり過ぎないということも重要です。だからといって短すぎても誠意が伝わりません。喪主の挨拶は2~3分程度で終わるように内容を考えましょう

重ね言葉は使わない

葬儀の場では「不幸が重ならないように」ということから、重ね言葉が禁句とされています。重ね言葉とは同じ言葉を二度続ける単語のことで、たとえば次のような表現が該当します。

禁句とされる重ね言葉の例
  • 重ね重ね(かさねがさね)
  • くれぐれ
  • しばしば
  • ますます

この他、繰り返すことを意味する言葉として「再び」や「再度」は使用しません。また死に直結するような言葉として「急死」や「死亡」も葬儀の場では控えましょう

ゆっくりと話す

慣れない場で挨拶をすると、緊張のあまりつい早口になることがあるので注意しましょう。話した言葉が会葬者に伝わらないと、せっかくの挨拶が意味のないものになってしまいます。 

また早口での挨拶は、おざなりに済ませた印象が残りますから、しめやかな雰囲気が緩んでしまうこともあります。

挨拶を始めて自分が早口だと気づいたら、意図的に話すスピードを緩め、言葉と言葉の間を空けるように努めましょう。大事なことは挨拶の言葉を一言一句丁寧に会葬者に伝えることです。 

喪主の挨拶の基本的な組み立て

喪主の挨拶を考える際には、基本となる構成を組み立てることから始めましょう。

たとえば、告別式の後の出棺前に故人の息子が喪主の挨拶をするケースだと、次のような構成で組み立てます。

  1. 故人との関係と会葬のお礼
  2. 最期の様子
  3. 故人のエピソード
  4. 故人がお世話になったお礼
  5. お礼の言葉

故人との関係と会葬のお礼

喪主の挨拶では、ご自身と故人との関係の紹介に続き、会葬者への感謝の気持ちを伝えます。

例文

私は、故人の長男の〇〇でございます。本日は、ご多用中のところ、亡き〇〇〇〇の葬儀にご参列を賜りまして、誠にありがとうございました。

葬儀のときの天候に合わせて、「ご多用中のところを」を「お足元の悪い中」「厳しい寒さの中」などに変更できます。

例文
  • お足元の悪い中ご参列いただき、誠にありがとうございます。
  • 厳しい寒さの中ご足労いただき、誠にありがとうございます。
  • お暑い中お越しいただき、誠にありがとうございます。

最期の様子

故人が亡くなる最期の様子を可能な範囲で伝えましょう。

たとえば、長年闘病していた父親が亡くなったのであれば、次のようになります。

例文(闘病していた場合)

父は、ここ何年か入退院を繰り返しておりました。一時は快復したかのように見えたのですが、一昨日容体が急変いたしまして、最期は家族の見守る中、眠るように息を引き取りました。

故人の死因によっては、具体的なことが話せなかったり、話すことが辛かったりするでしょう。そうした場合は、無理をせず大まかに伝えるだけでも問題はありません。 

ただし、最期の様子は生前親しかった会葬者にとって知りたい情報でもあるので、様子だけでも伝わるように話した方がいいでしょう。

老衰で亡くなった場合は、以下のような文章になります。

例文(老衰の場合)

父は5年ほど前から老人ホームへと入っておりました。年々足腰が弱くなって車椅子生活を送っていたものの、幸いなことに大きな病気を患うこともなく、静かに息を引き取りました。

故人のエピソード

故人の人柄が偲ばれるような、具体的なエピソードがあると喪主の挨拶に深みが出ます。

例文
  • 走ることが好きで、入院するまでは、毎朝5kmの距離を走っていました。
  • 日頃は無口でしたが、サッカーが好きな孫とは気が合ったようで、いつも夢中で話をしていました。
  • 定年後にピアノを習い始めて、何曲か弾き語りができるようになりました。

故人の人柄は、具体的なエピソードを伝えることで会葬者に生前の姿が鮮明に蘇ります会葬者も共感できるようなエピソードで故人の人柄を語りましょう。

 生前故人がお世話になったことへのお礼

生前故人がお世話になったことへのお礼の言葉を会葬者に伝えるとともに、今後の交流についても触れます

例文

生前はひとかたならぬご厚誼(こうぎ)にあずかり、深く感謝いたします。今後とも、私ども遺族に対しましても変わらぬご支援、ご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。

お礼の言葉

喪主の挨拶は、次のようなお礼の言葉で締めくくります。

例文
  • 本日は最後までお見送りいただきまして、ありがとうございました。
  • 以上をもちまして、ご挨拶と代えさせていただきます。ありがとうございました。
  • 簡単ではございますが、以上で挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

挨拶を簡単にすませる場合の例文

告別式後の挨拶は前述した5つの構成で組み立てることを解説しました。しかし、5つすべてを取り入れる必要はなく、場合によっては省略できる部分もあります。

喪主の挨拶を簡単に済ませたい場合、「最後の様子」と「故人のエピソード」を省いても問題ありません。以下に告別式後の喪主挨拶を簡単に済ませる場合の例文をご紹介します。

例文1

本日はお足元の悪い中、亡き○○の葬儀にご参列いただき誠にありがとうございました。父が晩年を穏やかに過ごせたのも、みなさまのご厚情があってのことと存じます。亡き父に代わりまして、厚くお礼申し上げます。

簡単ではございますが、以上をもちましてお礼のご挨拶とさせていただきます。改めまして、本日は誠にありがとうございました。

例文2

本日はお忙しいなか、亡き父○○の葬儀にお運びいただきありがとうございます。故人に代わりまして、厚くお礼申し上げます。

皆さまのご厚情には、故人もさぞ感謝していることと存じます。今後とも変わりなきご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

例文3

本日は厳しい寒さのなか、亡き父のためにお集まりいただき誠にありがとうございます。皆さまのお力添えのおかげで、つつがなく葬儀・告別式を終えることができました。

生前懇意にしてくださった皆さまにご来場いただき、故人も喜んでいることと存じます。亡き父に代わり、厚くお礼申し上げます。

今後ともぜひ変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

故人の息子が喪主の挨拶をするときの例文

告別式の後の出棺前の喪主の挨拶については、前の項でご紹介しました。ここでは、その他の場面で、故人の息子が喪主の挨拶をするときの例文をご紹介します。

 通夜終了時

通夜の場で、僧侶が退席した後に喪主の挨拶をします。以下は通夜振る舞いがあるケースの挨拶です。

例文(通夜振る舞いがある場合)

本日はお忙しい中お越しいただきまして、誠に恐れ入ります。故人に代わりまして御礼申し上げます。父は、昨日、午前9時40分に、入院中の病院にて息を引き取りました。享年77歳でした。生前のご厚誼(こうぎ)に対しまして深く感謝申し上げます。

ささやかではございますが、別室にお食事を用意しましたので、故人の供養のためにも召し上がっていただければと存じます。

なお、告別式は明日午前11時より、当会館にて執り行います。本日は、ありがとうございました。

例文(通夜振る舞いがない場合)

本日はご多用にもかかわらず足をお運びいただき、誠にありがとうございます。父○○も喜んでいることと存じます。故人に代わり、生前のご厚誼に対しまして深く感謝申し上げます。

本来であればここでお食事を用意し、皆さまとともに個人を偲ぶところですが、都合によりご用意できておりません。何卒ご了承くださいませ。

なお、告別式は明日午前11時より、当会館にて執り行います。改めまして、本日はお集まりいただき誠にありがとうございました。お気を付けてお帰りください。

通夜振る舞いの前後

通夜振る舞いの開始時に挨拶が必要なことがあります。すでに通夜終了時に挨拶をしているので、短い挨拶にします。

例文

本日はお忙しい中をお越しいただき誠にありがとうございます。亡き〇〇と懇意にして頂いた皆さまにも、沢山の思い出話があることと思います。ささやかではございますがお食事の用意をしております。お時間の許す限り、〇〇との思い出話をお聞かせください。それでは献杯をお願いいたします。

通夜振る舞いの予定時間を過ぎたら頃合いを見計らい、喪主が挨拶をします。この場は、親族代表や世話役代表が挨拶をしても構いません。通夜が滞りなく終了したお礼と、お開きにする旨を手短に話します

例文

本日はお忙しい中、亡き〇〇の通夜に参列を賜りましてありがとうございました。皆さまからたくさんの思い出話を拝聴し、かけがえのない時間を過ごすことができました。

お疲れのところ、遅くまでお引き止めするのも申し訳ございませんので、このあたりでお開きにさせていただきます。夜もふけておりますので、足元にお気をつけてお帰りください。本日は誠にありがとうございました。

精進落としの開会時

精進落としは、僧侶や世話役などの葬儀でお世話になった人たちへの感謝の気持ちを表すために設ける会食の席です。一同が揃ったら会食に入る前に、喪主の挨拶を行います。

例文

本日は、亡き〇〇のために、様々なお心遣いをいただきまして、誠にありがとうございました。滞りなく告別式をすませることができました。故人もさぞ喜んでいることと存じます。

ささやかではございますが、精進落としの席を用意しましたので、どうぞ、ごゆっくりお召しあがりください。本日は、ありがとうございました。

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