葬儀での喪主の挨拶はどうする?タイミングや実際に使える例文を紹介

喪主として参列者の前で挨拶することに、不安を覚える方もいるでしょう。葬儀での挨拶には、使ってはならない「忌み言葉」などもあり、葬儀の手配などで多忙な中で文面を考えるのは容易ではないかもしれません。

葬儀の挨拶で大切なことは、参列者に対する感謝の気持ちを、遺族の代表として伝えることです。基本的な構成や使ってはならない言葉を知っておけば、しっかりとご自身の気持ちを伝えられるでしょう。

この記事では、葬儀の中で喪主が挨拶するタイミングや、実際に使える例文などをご紹介します。

1分でわかる!記事の内容
  • 喪主の挨拶は、故人の生前に受けた厚意に対する感謝を伝えること
  • 喪主の挨拶の長さは1~3分を目安に、最大でも5分以内
  • 葬儀での挨拶には、使ってはいけない「忌み言葉」がある

葬儀での喪主の挨拶とは?

葬儀での喪主の挨拶は、弔問に対する感謝とともに、故人が参列者から生前に受けた厚意や親交に対する感謝の気持ちを、遺族の代表として伝えることです。

これとともに、故人の人柄が伝わるようなエピソードを紹介したり、遺族への今後の力添えなどを参列者にお願いしたりするのもでしょう。

ただし葬儀での喪主の挨拶では、使ってはいけない忌み言葉なども存在します。伝えたいことが多くあったとしても、長すぎる挨拶も良くありません。

一定のルールに従って、ポイントを押さえて文面を考えることも大切なのです。

喪主になるのは誰?

一般的には喪主を務めるのは、配偶者や子どもなど、故人との関係の深い家族です。とはいえ明確な決まりがあるわけではなく、故人にご家族がいないときには、友人などが喪主を務めても問題ありません。

ただし喪主についての考え方は、それぞれのご家庭でも少し異なる可能性があります。

そもそも喪主とは、葬儀を執り行う責任者です。遺族の代表として、参列者の弔意を受ける立場でもあります。

「家」という考え方が薄れてきた現在では、このような考え方が一般的になりつつあります。一方、葬儀からその後のすべての法要、そしてお墓の管理までを含めた「祭祀承継者」という考え方で、喪主を決めるご家族もあるでしょう。

そのような場合には、「長期間に渡ってお墓を守ることができる家族」が選ばれる場合もあるのです。

喪主になるのは配偶者や血縁関係の強い家族

喪主になるのは、配偶者や血縁関係の強い家族など、故人との関係性をによる順序で決められるのが一般的です。配偶者や子ども、故人が若い場合には親が喪主となるケースも見られます。

喪主になる人の一般的な候補
  • 配偶者
  • 長男、次男など直系の男子
  • 長女、次女など直系の女子

とはいえ、喪主には遺族の代表として参列者を迎える重要な役割がありますから、ご家族の年齢などの理由から兄弟姉妹が喪主になることもあるでしょう。

故人の遺言で喪主の指定があれば、それに従います。

喪主と施主との違い

喪主は遺族の代表としての葬儀を取り仕切る役割を担う一方で、施主(せしゅ)は葬儀費用を負担する役割を担います。一般的には喪主が費用を負担するケースも多いため、喪主と施主との違いは分かりにくいかもしれません。

喪主と施主との違い
  • 喪主:遺族の代表としての葬儀を取り仕切る
  • 施主:葬儀費用を負担する

しかし、配偶者が喪主となり、子どもが費用を負担するケースや、子どもが喪主となる場合に、故人の親が費用を負担するなどのケースで、喪主と施主が異なる場面が想定されます。

ともあれ喪主は、遺族の代表者として葬儀全般を取り仕切る重要な役割です。

葬儀社の手配はもちろん、お寺へ連絡して宗教者を手配すること、香典などを含めたお金の管理や、葬儀後のお返しなどの責任も生じます。

故人に近い血縁の方が喪主を務めるのであれば、役所に提出する死亡届火葬許可証の申請など、葬儀の手配と並行してさまざまな死後の手続きを行わなければならないケースも出てくるでしょう。

実は死亡届の提出は葬儀屋でも代行してもらえます。葬儀屋を探すタイミングで、どのような手続きを依頼できるのかも確認してみることをおすすめします。

相続手続きなどで専門家に力を借りるケースでは、死後の事務も合わせて依頼できるかもしれません。行政書士などの専門家とあらかじめ死後事務委任契約を結んでおけば、故人が亡くなった直後の煩雑な事務手続きを、相続手続きの流れとともに進めてもらえます。

喪主の挨拶のタイミング

葬儀の流れの中で、喪主が挨拶するタイミングはいくつも訪れます。主に通夜と告別式、精進落としで会葬者に向けた挨拶をする必要があるほか、読経をお願いした僧侶に対する挨拶、弔問客に対する個別の挨拶なども喪主の役割です。

通夜では、僧侶の読経や参列者の焼香を終えた後、弔問に来てくれた方全員に向けて挨拶するのが基本です。

また、通夜振る舞いの席を設けているのであれば、開始と終了のタイミングで、参列者に簡単な挨拶をします。

告別式では、式の最後に挨拶をするのが一般的です。会葬に対する感謝と、生前の故人との親交に対する感謝の気持ちを伝えます。

精進落としでは、会食の開始前と終了時に参列者全員に向けて挨拶します。

精進落としの終了時が最後の挨拶です。葬儀を無事に終えたことに対する感謝も、この場で伝えるとよいでしょう。

葬儀の形も時代とともに移り変わっています。挨拶のタイミングなどについても、葬儀社に相談してみるのもよいでしょう。

葬儀で使える喪主の挨拶の例文

喪主の挨拶では後述する「忌み言葉」など、注意しなければならないポイントがいくつか存在します。

  • 通夜
  • 告別式
  • 精進落とし開始時
  • 精進落とし終了時

シーンごとに、喪主の挨拶の例文を見ていきましょう。

通夜の挨拶の例

本日はご多用の中、故人、〇〇の通夜にご参列いただき、誠にありがとうございます。皆様の生前のご厚誼に対しまして、本人に代わり、厚くお礼申し上げます。

葬儀・告別式は明日○○時より執り行う予定です。ご都合がよろしければ、ご会葬くださいますようお願いいたします。

この後ささやかではございますが、お食事の席をご用意いたしました。故人の思い出話などお聞かせいただければと存じます。

本日のご列席、誠にありがとうございました。

告別式の挨拶の例

遺族を代表いたしまして、皆さまにひとことご挨拶を申し上げます。故人の妻の〇〇でございます。本日はご多用にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜り誠にありがとうございました。

おかげさまで葬儀・告別式も滞りなく進み、これより出棺の運びとなりました。大勢の方々にお見送りいただき、故人も喜んでいることと存じます。

(故人の生前エピソード)

生前に賜りましたご厚誼につきまして、〇〇に代わりまして厚くお礼を申し上げますとともに、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。

精進落とし開始時の挨拶の例

本日はご多用の中、○○の葬儀にお集まりいただきまして、誠に有難うございました。皆様のお力添えのおかげで、葬儀、告別式を滞りなく終えることができました。あらためてお礼申し上げます。

ささやかではございますが、精進落しの席を用意させていただきましたので、お時間の許す限りおくつろぎください。

精進落とし終了時の挨拶の例

本日は〇〇のためにお付き合いいただき誠にありがとうございました。

皆様にあたたかいお見送りをいただき、故人もさぞかし喜んでいることと思います。

故人の思い出話などをもっとお聞きしたいところですが、皆様もお疲れのことと思いますので、そろそろお開きとさせていただきたいと思います。

皆さまどうぞお気をつけてお帰りください。本日は誠にありがとうございました。

喪主の挨拶でよくある質問

ご自身が喪主になったら、葬儀の準備などで慌ただしい中で挨拶を考えなければならず、不安を感じるかもしれません。

よくある質問もチェックして、できるだけ心配ごとを解消しておきましょう。

喪主の挨拶の長さは?

喪主の挨拶は、あまり長すぎても短すぎてもよくありません。長さの目安は1~3分です。最大でも5分以内を心がけましょう。

葬儀に参列してくれたことへ感謝と、故人が生前に受けた厚意に対する感謝の気持ちを伝えることが大切です。さらに葬儀や告別式、精進落としなど続く案内がある場合には、それも盛り込みます。

挨拶の締めでは、改めて弔問のお礼を述べるとともに、遺族に対する今後の力添えをお願いしてもいいでしょう。

最低限でも必要な内容はこのぐらいですが、時間が許すのであれば、故人に代わっての感謝の意を伝えるとともに、故人のエピソードなどを紹介してください。

例文を紹介しましたが、最も大切なのはご自身の言葉で感謝の気持ちを伝えることです。

喪主の挨拶で使ってはいけない言葉は?

葬儀の挨拶では、避けるべき言葉がいくつか存在します。「忌み言葉」と呼ばれ、お通夜や葬儀の場では「縁起が悪い」という印象を与えてしまう言葉です。

しかし、この忌み言葉には、普段何気なく使っている言葉も多く含まれます。「重ね重ね」という言葉を例に挙げましょう。

同じ言葉を繰り返す表現は、日本語では珍しくはありません。「重ね重ね御礼申し上げます」などのように、つい使ってしまいがちな言葉でしょう。

しかしこのような表現は、不幸が重なることを連想させるという意味で、葬儀などの場では避けるべきとされています。

また、葬儀が必ずしも仏教の儀式として行われるとは限りません。

キリスト教や神道など、仏教以外の宗教では、仏教の言葉を使うことも避ける必要があります。

例えば「故人の冥福を」「他界した」などの表現は仏教の考え方に基づく表現であるため、他の宗教で使ってはならない言葉です。

忌み言葉の例を紹介します。

重ね言葉 重ね重ね
たびたび
またまた
次々
ますます
返す返す
いよいよ
繰り返しを連想させる言葉 繰り返し
繰り返す
再び
再三
再び
続いて
追って
相次ぎ
不吉を感じさせる言葉 消える
落ちる
焦る
離れる
浮かばれない
4
9
直接的な生死の表現 死ぬ
亡くなる
死亡
急死
生存
生きる
逝く

喪主の挨拶はカンペを使ってもよい?

喪主の挨拶は、あらかじめ用意したメモ、いわゆるカンペを使っても問題はありません

事務手続きや葬儀の準備などで慌ただしい中、挨拶を暗記することも難しいでしょう。人前で挨拶をする機会が多い方以外は、緊張でうまく話せないかもしれません。

例えメモや原稿を読みながら挨拶をしても、それが失礼に当たるとはいえません。ご自身の言葉で、落ち着いてお礼の気持ちを伝えることが大切です。

ただし、あくまでも紙に書いたメモを用意するようにしましょう。スマートフォンなどを見ながら読み上げるのは、良い印象を受けない会葬者も少なくないかもしれません。

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