火葬式とは?家族葬との違いや流れから費用相場までを詳しく解説

「できるだけシンプルにお葬式をしたいけれど、どんなお葬式の形態があるのかな?」と疑問に思っていませんか?最近では、ご遺族や親しい方だけで小規模な家族葬を行っているのを多く見かけますよね。

家族葬と同じような、シンプルな葬儀に「火葬式」という葬儀のスタイルがあります。できる限りシンプルに葬儀を済ませたい方は知っておきたい葬儀の形です。

今回の記事では、火葬式の概要や家族葬との違い、費用相場などを解説します。メリットとデメリットも解説しますので参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 火葬式とは直葬とも呼ばれる、通夜や告別​​式を行わずそのまま火葬場へ移動するシンプルな葬儀
  • 最近では認知度の高まりにより火葬式を選ぶ方が増えている
  • 火葬式には費用が抑えられ時間の拘束が短くすむメリットがある

火葬式とは?

火葬式とは、お通夜や告別式を行わず、火葬と収骨のみをおこなう葬儀です。ご遺体を安置しているところから火葬場へ直接向かうため「直葬」ともいわれます。

ご家族や親族のみで執り行われ、一般の方の参列者を呼ばないのが通常です。

従来は、経済的に余裕のない方や、公に葬儀を行いたくない方に対応する葬儀の形として選択されていました。しかし、最近では経済的な理由や、ライフスタイルの多様化により火葬式を選ぶ方が増えています。

核家族の世帯が増え、親戚付き合いが希薄な方が多くなり、昔に比べて地域との繋がりも少なくなっています。高齢化により、故人がお付き合いのあった方の人数も少ないため、通常の葬儀を行う必要性が少なくなっているのも要因の1つでしょう。

最近では、終活に関するインターネットなどの情報からも、火葬式の認知度は高まっています。

火葬式の特徴

火葬式は、通夜や告別​​式を行わないのが1番の特徴です。通夜や告別式を2日間に分けて行う一般葬に比べ、そのまま火葬場へ移動するシンプルなスタイルの葬儀です。

通夜や告別式を行わない分、葬儀にかかる費用が抑えられます。また、短時間のお別れになるので、時間の拘束が短くすみます。

家族葬との違い

火葬式と似た葬儀の形態に「家族葬」があります。家族葬とは、ご家族などのごく親しい近親者のみで執り行う葬儀のことをいいます。火葬式との決定的な違いは、通夜と告別​​式を行う点です。

葬儀の行い方は一般葬と同じです。通夜と告別式​​を2日間に分けて行うため、小規模な葬儀でもゆっくりとお別れの時間を持てます。

家族葬という名前がついていますが、ご家族以外の一般の参列者も参加が可能です。参列者が少ないため、小規模な葬儀を行いたい場合には家族葬が選択されています。

火葬式のメリット

シンプルな葬儀の形式である火葬式には、以下のようなメリットがあります。

  • 葬儀の費用が抑えられる
  • 遺族の負担が抑えられる
  • 参列者の負担が抑えられる
  • 宗教にとらわれないお別れができる

詳しくみていきましょう。

葬儀の費用が抑えられる

1つ目のメリットは、葬儀費用が比較的少なく済む点です。

通夜や告別式を行わないため、斎場の費用や人件費、宗教的な儀式にかかる費用が抑えられます。また、参列者が少ないため、食事の場を設けたり返礼品を用意したりする必要がありません。そのため、一般葬に比べ、大きく費用が抑えられます。

遺族の負担が抑えられる

火葬式はシンプルな葬儀になるので、ご遺族の葬儀にかかる負担が抑えられます。ご親族が亡くなって、精神的な負担が大きい中での葬儀への対応はとても大変なことです。

例えば、一般葬であれば葬儀までにさまざまな事前準備が必要ですが、火葬式は準備することが少なく時間もあまりかかりません。

また、参列者への接待も最低限で済みます。2日間にわたり参列者への挨拶や会食の接待などに気を遣わなければならない一般葬に比べると、ご遺族の負担はだいぶ軽く済むでしょう。

参列者の負担が抑えられる

火葬式で行うのは、火葬炉の前で10分〜15分程度のお別れのみです。葬儀にかかる全体の時間が短いので参列者の負担はかなり抑えられます。また、火葬式は一般葬のような参列者の葬儀場への移動や宿泊も必要ありません。

亡くなった方が高齢だった場合は、参列者も高齢の方が多い傾向にあります。長時間の拘束が負担になる参列者が多い場合には、短時間で終了することはメリットになるでしょう。

宗教にとらわれないお別れができる

火葬式では、故人とのお別れは火葬のみで終了するため、無宗教でのお別れになります。通夜や告別式がないので、読経などの宗教的な儀式は行わずお布施も必要ありません。

最近では、宗教観の変化やお坊さんに読経をしてもらうなどの形式にこだわらない方も多くなったため、一般葬で行うような儀式が必要ないと感じる方も多いでしょう。そのような方には、シンプルな火葬式で十分になります。

火葬式のデメリット

一方、火葬式のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?大切な葬儀で後悔しないためにもしっかり確認しておきましょう。

  • 故人とゆっくりお別れできない
  • 親族の理解が得られない場合がある
  • 参列者が限られる
  • 菩提寺で納骨を断られる可能性がある
  • 葬祭費が支給されない場合がある

故人とゆっくりお別れできない

前述のとおり、火葬式では10分〜15分程度で火葬するため、故人とのお別れはとても短くなります。お顔を見ながらゆっくりお別れをする時間がありません。

お別れの実感がわかなかったり、気持ちの整理ができなかったりと、あとで後悔する場合も考えられます。

親族の理解が得られない場合がある

火葬式のような、火葬のみ行い通夜や告別式を行わないスタイルは、まだ一般的には浸透していません。そのため、ほかの親族からの理解が得られないケースが考えられます。

宗教的な儀式がなくあまりにもシンプルなため、あっけなく葬儀が終了してしまい故人がかわいそうだと感じてしまうケースもあります。ご遺族間のトラブルにならないように、しっかり相談して決定することが大切です。

また、火葬式をご本人が希望する場合もあるため、生前からしっかり遺志を確認しておくことも必要です。

参列者が限られる

火葬式は、親族やそのほかごく親しい方の参列に限られます。そのため、参列できなかった故人の知人らがあとからご自宅に弔問に訪れ、個別で弔問客への対応をしなければならない場合があります。

また、参列できなかった方からの不満が出る可能性もあるため注意が必要です。トラブルを避けるためにも、亡くなったことや、生前のお礼、ご本人の遺志で火葬式を行ったことを挨拶状などで伝えるのも1つです。

菩提寺で納骨を断られる可能性がある

菩提寺に相談せずに火葬式を行った場合、納骨を断られる可能性があります。読経をあげない火葬式を認めていない菩提寺が多いためです。

お寺が納骨を行う際は、お坊さんがお経をあげて通夜や告別式を行うのが通常です。菩提寺に相談せずに火葬式を行うのは失礼にあたってしまいます。

菩提寺から納骨を断られた場合は、納骨堂・公営墓地・散骨・手元供養などを検討しなければなりません。菩提寺との付き合いを大切にするためにも、火葬式を希望していることを事前に相談しておきましょう。

葬祭費が支給されない場合がある

故人が国民健康保険に加入していた場合、葬儀を行ったときに葬祭費が支給されます。しかし、火葬式が葬祭費の対象外になる自治体があるため注意が必要です。

葬祭費はあくまで「葬祭」を行った際に支給するものなので、支給されない自治体もあるのです。自治体のホームページに明記されている場合もあるので確認しておきましょう。

火葬式の流れ

​​ここからは、一般的な火葬式の流れを解説します。

  1. 遺体を搬送・安置する
  2. 葬儀の打ち合わせをする
  3. 死亡届を提出する
  4. 火葬場に出棺する
  5. 火葬後に遺骨を骨壺に納める

1.遺体を搬送・安置する

医師により死亡が確認されたら死亡診断書を発行してもらいます。次に必要なのが、ご遺体の安置場所の確保です。日本の法律では、亡くなってから24時間は火葬ができないため、ご遺体を一時的に安置する場所を決めなければなりません。

安置場所は、ご自宅に帰るか、葬儀会社で手配してもらうことが可能です。ご自宅で安置する場合は、安置用の清潔な寝具を準備しましょう。

安置場所が決定したら、葬儀会社に寝台車でご自宅か専用の安置施設まで搬送してもらいます。安置をする際に必要なドライアイスも、葬儀会社に準備してもらうことが可能です。

2.葬儀の打ち合わせをする

ご遺体が無事に安置できたら、担当者と葬儀の打ち合わせです。ご遺族の予定に合わせて葬儀プラン・日取り・費用を決定します。地域によっては、すぐに火葬が行えず待機が必要な場合もあります。

火葬式の場合はシンプルなプランなので、打ち合わせにかかる時間は短めです。場合によってはオプションを申し込む必要もあるので、葬儀の内容や費用などを見積もり書でしっかり確認しておきましょう。

3.死亡届を提出する

火葬を行う手続きには死亡届が必要です。

亡くなったときは、死亡診断をした医師によって「死亡診断書」が記載されます。その用紙の右半分が医師による死亡診断になっており、左半分が死亡届です。左側に必要事項を記入して自治体に提出をする必要があります。

火葬は「埋火葬許可証」がなければ実施できません。自治体の窓口に「死体埋火葬許可申請書」と「死亡届」を提出することにより「埋火葬許可証」が交付されます。

葬儀のプランによっては、この自治体への手続きを代行してもらえる葬儀会社もあります。ただし、火葬式のプランでは含まれていないケースも多いので確認しておきましょう。

4.火葬場に出棺する

自治体での手続きが完了したら、納棺の儀を行い出棺します。

「納棺の儀」とは故人の身支度を整え棺へ納める儀式のことです。納棺の際には、ご遺族の手で棺の中にお花や思い出の品、愛用品などの副葬品を入れることが可能です。

プランによっては、納棺をすべてご遺族の手で行わなければならない場合と、納棺士にお任せし、ご遺族は直接火葬場に集合する場合があるので契約時に確認しましょう。

納棺の儀を終えたら火葬場へ出棺されます。

5.火葬後に遺骨を骨壺に納める

火葬場に着いたら最後のお別れをし、炉の中に棺を納めます。希望すればお坊さんに読経を依頼することも可能です。火葬場によっては炉前で読経ができない場合があるので、希望する際は確認しておきましょう。

火葬は1時間程度かかるため、火葬中は控え室で待ちます。火葬が終わったら遺骨を骨壺に納める「お骨上げ」を行い、火葬式は終了です。

最後に「埋葬許可証」を受け取ります。埋葬許可証はお墓に遺骨を埋葬する際に必要です。

火葬式にはいくらかかる?

最後に火葬式にかかる費用を確認しておきます。

火葬式にかかる費用相場

一般的な火葬式の相場は10〜40万円程度です。場合によっては追加費用がかかることもあります。一般葬にかかる平均費用が100万円前後であるため、費用はかなり抑えられます。

火葬式はお坊さんを呼ばないプランで設定されているのが一般的です。オプションで追加した場合には、お布施が必要になります。

火葬式にかかる費用の内訳

火葬式にかかる費用の内訳は以下のとおりです。

遺体の搬送代1万~2万円
安置費用3,000円〜2万円/1日
ドライアイス代1万円/1日
副葬品(棺・骨壺など)5万円〜8万円
人件費3万円〜
火葬料金自治体の住民:無料~4万円
民営の火葬場を使用した場合:3万~6万円

費用は葬儀会社により異なります。プランの中に含まれているケースや、オプションとしてつけなければならないケースもあるので、必ず見積もり書で確認しましょう。

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