弔問とは?香典や服装マナーから注意点まで詳しく解説

「弔問に行こうと考えているけど、どのように振る舞えばいいんだろう?」このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?初めて弔問に行く方にとって、作法やマナーなどは気になりますよね。

弔問とは、生前懇意にしていた方が亡くなられたときに、哀悼の意を示しつつ遺族の方へお悔やみを伝えることです。葬儀の前後で弔問の作法やマナーが異なるため、基本を押さえることが大切です。

こちらの記事では、弔問の一般的なマナーや作法、お伝えするべき内容などを解説します。弔問に行く予定がある方に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 弔問は亡くなられた方の遺族へお悔やみを伝えに訪れること
  • 弔問は葬儀のあとに行くとよい
  • できるだけ長居はしないのが一般的なマナー

弔問とは

弔問は「ちょうもん」と読み、亡くなられた方の遺族へお悔やみを伝えに訪れることです。亡くなられた方の仏壇に手を合わせて冥福を祈ることで、遺族の方々に寄り添う姿勢を示せます。

お通夜や葬儀に参列できなかったときは、後日遺族の方々のご自宅に弔問へ訪れるケースが多いです。弔問は亡くなられた方との最後のお別れとなるため、一般的な葬式と同じような服装で、マナーを守ることが大切です。

弔問にうかがうタイミング

弔問にうかがうタイミングは、葬儀の当日か、葬儀の日以降となるのが一般的です。生前懇意にしていた方が亡くなられたときに備えて、訪れるべきタイミングを把握しておきましょう。

葬儀の前は控えたほうが無難

葬儀前は弔問に行かないのが通例です。遺族の方々は大切な方を亡くして精神的に疲弊しています。さらにさまざまな葬儀の準備を行っており、忙しく過ごしていることが多いためです。

お通夜では参列者に対する香典を用意したり、僧侶との打ち合わせを行う必要があったり、遺族の方々は何かと忙しいものです。

亡くなられた方や遺族と親しい関係にある場合は、お通夜の前に弔問に訪れてお通夜の準備を手伝うケースもあります。ただし、基本的には遺族の意向を最優先するべきなので、遺族の方々の意思を事前に確認することが欠かせません。

葬儀の当日に弔問するのが一般的

多くのケースにおいて、弔問は葬儀の当日に行います。葬儀当日に行くと、一連の準備や僧侶との打ち合わせは済んでいることから、遺族の方々の負担も軽いです。長居はせず、速やかに引き上げるのが一般的なマナーです。

遺族の方々に対して、「このたびはご愁傷様でございます」「どうかご無理をなさいませんように」など、気遣う言葉をかけるとよいでしょう。

葬儀のあとの弔問は事前連絡が必要

葬儀のあとに弔問する場合は、必ず事前連絡を入れましょう。事前連絡をせずにいきなり訪れると、遺族の方々が対応でバタついてしまう恐れがあります。

特に、葬儀や告別式が終わって間もないタイミングだと、後片付けなどで忙しいことも考えられます。四十九日法要が行われる前までに、一段落したであろうタイミングを見計らって訪れましょう。

なお、四十九日法要が終わったあとに弔問しても問題ありません。亡くなられてから時間が経過してしまった場合でも、事前に弔問へ行く旨の事前連絡を行いましょう。

弔問の流れ

弔問に訪れたときは、亡くなられた方や遺族の方々に対して、失礼がないように振る舞う必要があります。 流れを知っておくことで、失礼がないように振る舞えるでしょう。

葬儀前に弔問する場合

都合により葬儀前に弔問する場合は、以下のような流れで進みます。

  1. 弔問に伺う事前連絡を行う
  2. 弔問するときは、「この度はご愁傷様でした」など挨拶する
  3. 遺族の方々の許可を得たうえで亡くなられた方と対面する
  4. 亡くなられた方の枕元で正座し、両手をついたまま一礼して合掌する
  5. 遺族に一礼し、引き上げる

葬儀前はさまざまな準備や打ち合わせを行う必要があることから、遺族の方々は忙しないケースが多いです。そのため、亡くなられた方への一礼や合掌が済んだら、遺族の方々の体調を気遣いつつ速やかに引き上げましょう。

葬儀後に弔問する場合

葬儀後に弔問する場合の流れは、下記のとおりです。

  1. 弔問に伺う事前連絡を行う
  2. 弔問するときは、「この度はご愁傷様でした」など挨拶する
  3. 遺族の方々の案内を受けたら、亡くなられた方の仏壇にお線香をあげる
  4. 香典やお供え物があれば渡す
  5. 遺族に一礼して引き上げる

葬儀後に弔問する場合も、遺族の方々へ最大限配慮することが欠かせません。亡くなられた方との思い出話や遺族の方々の体調を気遣う言葉をかけつつ、速やかに引き上げましょう。

弔問の服装マナー

弔問をする際は、葬儀の前後によって着用するべき服が異なります。葬儀の前に弔問するときは、スーツなどの平服で問題ありません。葬儀前に喪服で弔問すると、「不幸が起こることを予見していた」と思われるためです。

葬儀前であれば男性はビジネススーツ、女性はスーツかアンサンブルでうかがうとよいでしょう。

葬儀の当日に弔問する場合は、喪服でうかがいましょう。準喪服や暗い色のスーツを着用するのが、一般的なマナーです。

葬儀後に弔問するときは、スーツやアンサンブルなどの平服を着用します。平服とはいえ、カジュアルな服装ではなく、一般的なビジネスの場におけるスーツなどを着用する点は押さえておきましょう。

弔問で香典・手土産を渡すときの注意点

弔問するときには、遺族の方々に香典や手土産を渡すことがあります。香典や手土産を渡す際にも、意識するべきマナーがあるため、留意しましょう。弔問で香典・手土産を渡すときの注意点について解説します。

葬儀前には香典を渡さない

葬儀前には、遺族の方に香典を渡しません。葬儀前の弔問で香典を持参すると、「不幸が起こることを予測していた」という意味合いになるため、失礼にあたります。

「葬儀後の弔問で香典を持参する」と考え、葬儀前に香典をお渡ししないように気を付けましょう。

仮に葬儀へと出席できず、葬儀前の弔問でしか香典を渡す機会がないとします。その場合、葬儀へ出席する別の方に香典を預けたり、葬儀が終わったあとで改めて訪問したりして対処しましょう。

葬儀の当日以降は香典袋・袱紗に入れて渡す

香典をお渡しするときは、香典袋を袱紗(ふくさ)に入れて渡すのが一般的なマナーです。袱紗とは香典などの金封を包むための布のことです。渡すときは袱紗から出し、袱紗の上に香典袋を乗せて渡しましょう。

香典は、両手を添えながら、受け取る側から表書きの文字が読める向きで渡します。葬儀後に仏壇に香典を備える場合は、ご自身から見て表書きの文字が読める向きで供えます。

手土産は枕花や亡くなられた方の好物を用意する

弔問するときに手土産を持参する場合は、枕花や亡くなられた方の好物を用意しましょう。葬儀前に弔問する場合は枕花を、葬儀後に弔問する場合はお菓子や亡くなられた方の好物を持参するのが通例です。

また、遺族の方々が手土産を固辞している場合は、先方の意向をくんで手土産を持参しないのがマナーです。無理に手土産を渡すと遺族の方々にとって負担に感じることもあるため、気を付けてくださいね。

手土産は日持ちしないものは避ける

弔問で手土産を渡す際には、日持ちするものを選ぶのが一般的なマナーです。具体的に選ばれやすい手土産は、下記のとおりです。

弔問で渡す手土産の例
  • 日持ちするお菓子(カステラ・煎餅・クッキーなど)
  • 日持ちする果物(りんご・メロン・梨など)

一般的に、殺生をイメージさせる肉や魚などはお供え物としてふさわしくないため、注意しましょう。また、においの強い花や食品も避けるのが無難です。

弔問するときの挨拶

「弔問するときに、遺族の方へどのように挨拶すればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?以下で、弔問するときの挨拶の例文を解説します。

  • この度はご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます。
  • 何かお手伝いできることがありましたら、おっしゃってください。
  • 思いがけないお知らせをいただきまして、驚いております。心より、お悔やみ申しあげます。
  • この度のご不幸、誠に残念でなりません。心より、お悔やみ申し上げます。
  • 突然の悲報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
  • ご霊前へお納めください。(香典をわたすとき)

亡くなられた方にお悔やみを申し上げつつ、遺族の方々に寄り添う意思を示しましょう。

弔問するときの注意点

弔問するときに、注意するべき点がいくつかあります。亡くなられた方と遺族の方々へ失礼にならないように、以下で解説する内容を意識してみてください。

忌み言葉を使わない

弔問をする際には、忌み言葉を使わないように気を付けましょう。忌み言葉とは、死を連想させる言葉や同じ音を繰り返す言葉が該当し、具体的には以下のとおりです。

忌み言葉の例
  • 度々
  • 重ね重ね
  • くれぐれも
  • 死亡
  • 生きている頃
  • 追って
  • 消える
  • 切れる

普段と同じように話していると、ついつい出てしまう可能性があります。また、死因などを尋ねることも控えるのがマナーです。弔問の際には、言葉を慎重に選ぶことを意識してくださいね。

相手の宗教に配慮する

相手の宗教に配慮することも大切です。宗教ごとに使う言葉と避けるべき言葉が異なるため、失礼がない弔問をするためにも宗教について意識しましょう。

例えば、「ご冥福をお祈りいたします」という挨拶で使われる「冥福」という言葉は、仏教ならではです。そのため、亡くなられた方が仏教以外の神道やキリスト教を信仰していた場合、「ご冥福をお祈りいたします」という挨拶はしません。

お悔やみの言葉は短く伝える

お悔やみの言葉を遺族の方に伝えるときは、できるだけ短く伝えましょう。遺族の方々は、さまざまな準備があるうえに多くの弔問客の対応をすることから、忙しいケースが多いです。

遺族の方々に負担をかけないためにも、できるだけお悔やみの言葉は短く端的に伝えましょう。また、挨拶をしたあとは長居をせず、速やかに引き上げることも意識してくださいね。

遺族に寄り添う姿勢を示す

弔問では、亡くなられた方を悼むことに加えて、遺族の方々に寄り添い元気づけることも意識しましょう。「おつらいでしょうが、私に手伝えることがあればお声がけください」など、遺族に寄り添う姿勢を示すとよいでしょう。

「自分が弔問客を迎える側だったら」と考えれば、どのような言葉をかけてほしいかイメージできます。遺族の方々が少しでも早く悲しみから立ち直れるように、言葉選びや振る舞いを意識してみてください。

線香をあげるときは1本立てる

宗教によって違いがあるものの、弔問で線香をあげるときは、1本立てるのが一般的です。火のついた線香は息ではなく手を仰いで消し、香炉に立てます。おりんを一度鳴らしてから合掌し、深く一礼したあとにロウソクの火を手で仰いで消しましょう。

線香を上げ終えたら、仏壇と遺族に一礼し、座布団から下がります。 もし線香を上げる本数や立て方に悩んだら、遺族の方々に確認すると安心です。

弔問を控えるべきケースもある

遺族の方々に意向によっては、弔問を控えるべきケースもあります。遺族の方々から弔問を固辞する旨を伝えられている場合、亡くなられた方を悼みたい気持ちがあっても、うかがうのは控えましょう。

特に、葬儀の準備や片付けなどで忙しいタイミングだと、遺族にとって負担になりかねません。どうしても伺いたい場合は、事前に遺族の方々へ連絡し、了解を得ることが大切です。

弔問はいつまでに行くべきか

葬儀に参列できなかったときは、遅くとも四十九日法要までに弔問に行きましょう。一般的に、遺族の方々も四十九日法要が終わるまでは後飾り祭壇を設けて、弔問客が来ることを想定しています。

ただし、葬儀が終わってから2~3日は、遺族の方々は心身ともに疲れている可能性があるため控えましょう。遺族の方々のさまざまな手続きが一段落し、落ち着いた頃を見計らって弔問にうかがい、亡くなられた方に手を合わせるとよいでしょう。

四十九日法要前に行けなかったとしても、問題ありません。四十九日法要後に弔問にうかがうことも可能で、特段失礼にはあたらないため、長期不在などで都合がつかなくても安心してくださいね。

葬儀後に弔問する場合は香典を持参(遺族の方々が固辞している場合は不要)し、必要に応じて手土産も渡すとよいでしょう。

弔問に関するよくある質問

弔問に関するよくある質問をご紹介します。

弔問の手土産にはのしをつける?

弔問の際に手土産を持参する場合、「のし」ではなく、水引きのみが印刷された「かけ紙」をつけましょう。

のしは結婚祝いや出産祝いなど、おめでたい場に使用されます。一方、かけ紙は通夜や葬儀などのお悔やみの場で使用されるため、弔問の際はかけ紙が適しているのです。

かけ紙の付け方がわからないときは、購入した店のスタッフへ依頼すれば問題ありません。その際は、表書き(御霊前、御供など)と、ご自身のフルネームを伝えましょう。

家族葬でも弔問してよい?

家族葬は近しい親族だけで執り行う葬儀であるため、式当日に弔問するのは控えましょう。故人と親しい関係にあった場合、遺族側から弔問の依頼があります。ない場合は伺わず、辞退されていないのであれば弔電を送ってお悔やみの気持ちを伝えましょう。

なお、家族葬であっても葬儀から3日ほど経過しているのであれば、自宅への弔問が可能です。その際、事前に連絡を入れてから伺うことがマナーです。

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