直葬での納骨はどうする?菩提寺に断られたときの対処法も解説!

「直葬での納骨を菩提寺は受け入れてくれるだろうか?」「断られたらどうしよう?」直葬での納骨について、このような疑問や不安を持っている方も多いのではないでしょうか?

しかし直葬での納骨を菩提寺に受け入れてもらいやすくなる方法や、万が一納骨を断られたときの納骨方法、納骨以外の供養方法はあるのです。

本記事では、上記方法の他に直葬の流れや直葬でよく聞かれる質問について詳しく解説します。

1分でわかる!記事の内容
  • 直葬で納骨したいときは事前に菩提寺と相談する
  • 菩提寺以外に納骨する場合、公営墓地や納骨堂を利用する
  • 納骨以外の供養方法として、自宅保管や散骨がある

直葬の流れ

直葬とは、通夜・告別式を行わず、家族・親族・親しい友人で火葬のみ行う葬儀です。直葬は次の順で執り行われます。

  1. 逝去・迎え
  2. 安置
  3. 打ち合わせ
  4. 納棺
  5. 出棺
  6. 火葬・骨上げ

それぞれ順に見ていきましょう。

逝去・迎え

故人が逝去された病院まで迎えに行き、担当医師に死亡診断書を発行してもらいます。

自宅で療養されている方が亡くなった場合は、かかりつけ医を呼んで死亡の確認を行います。その後、死亡診断書を発行してもらいましょう。

死亡診断書は火葬するときに必要なので、必ず受け取る必要があります。

安置

自宅または斎場もしくは葬儀会社の安置施設などに故人を運び安置します。火葬に関して墓地埋葬法は次の2つを規定しています。

火葬に関する墓地埋葬法
  • 死後24時間以内は火葬できない
  • 火葬許可証がないと火葬できない

火葬許可証とは、死亡した方の火葬を許可する書類であり、市区町村役場が発行します。多くの葬儀会社では役所への死亡届提出と火葬許可証の発行を代行しています。

打ち合わせ

葬儀会社と打ち合わせる主な内容は次の2つです。

葬儀会社と打ち合わせる主な内容
  • 直葬の日程
  • 直葬で使用するものの種類

通常の葬儀であれば僧侶の手配、通夜の後の会食、返礼品をどれだけ用意するか等を確認しますが、直葬では僧侶を呼ばず身内だけで葬儀を行います。そのため通常の葬儀と比較すると、打ち合わせで決める内容は少なくなります。

納棺

納棺とは、故人を棺の中に納める儀式です。通常の葬儀であれば通夜の前に行うことが一般的ですが、直葬の場合は出棺の前または出棺前日に行います。

納棺は下記の順で執り行われます。

  1. 末期の水:故人の口元を水で濡らすこと
  2. 湯灌(ゆかん):遺体を洗い清めること
  3. 死化粧:故人の顔を整え化粧を施すこと
  4. 死装束の着付け:専用の衣装を着付けること
  5. 副葬品の用意:故人の愛用品を棺に入れるため用意する

「副葬品の用意」に関しては、火葬するときに有害物質を発生させる素材はNGです。通常、葬儀会社のスタッフが行いますが、遺族も手伝えるので可能な限り同席することをおすすめします。       

出棺

出棺とは、納棺後に故人を火葬場へ送る儀式です。出棺は下記の順で執り行われます。

  1. 故人と最後の対面
  2. 別れ花の手向け
  3. 棺に釘打ち
  4. 故人を霊柩車まで運ぶ
  5. 出棺の挨拶
  6. 霊柩車で火葬場へ向かう

火葬・骨上げ

出棺後、遺族は火葬場へ向かいます。

火葬が終了するまで1時間ほどなので、控室で待機します。故人が亡くなってから疲労がたまっているはずなので、この間だけでも休みましょう。

火葬が終わると、骨上げを行います。骨上げとは、故人の骨を箸で拾い、骨壺に納める儀式です。火葬場のスタッフの指示に従いながら、ゆっくり進めてください。

通常であれば骨上げのあとに「精進落とし」という料理をいただきます。しかし、直葬では精進落としの席を設けないことが多いので、骨上げが終われば終了します。

直葬した場合の菩提寺への納骨

直葬が終わると、次は菩提寺への納骨です。

直葬を検討している方にとって一番不安なことは、菩提寺に納骨できるか否かだと思います。直葬は菩提寺が関わらない葬儀であるため、不安を感じる方は多いでしょう。

以下、菩提寺への納骨について解説します。

納骨を拒否される可能性が高い

直葬を行った場合、高い確率で菩提寺は納骨を拒否します。なぜなら菩提寺は直葬に関わっていないからです。

多くの菩提寺では通夜・告別式での読経と戒名の授与を納骨の条件としており、直葬の約80%は供養を拒否されるといいます。

通常の葬儀であれば、通夜・告別式で僧侶が読経します。直葬では火葬のみ行い、通夜・告別式といった宗教儀式が行われません。宗教儀式を伴わない直葬を快く思わない僧侶もいます。

事前に相談する

菩提寺が納骨を承諾してくれれば、直葬でも納骨できます。直葬する前のできるだけ早い時点で、菩提寺に相談してみましょう。

直葬する理由を丁寧に説明すれば納得してくれるお寺もあるので、まずは相談することをおすすめします。

くれぐれも直葬したあとでの納骨の依頼は止めてください。高確率で納骨を断られ、今後のお付き合いに支障をきたすでしょう。

納骨について菩提寺に交渉する方法

直葬では菩提寺に納骨を拒否されるリスクがありますが、故人の強い希望で直葬せざるを得ないケースもあります。

本章では直葬での納骨を受け入れやすくする方法を2つ説明します。

戒名を菩提寺に依頼する

1つ目は戒名だけ菩提寺に依頼するという方法です。

戒名だけでも菩提寺にお願いすれば、直葬での納骨であっても受け入れてもらえる可能性があります。戒名を依頼するときは、直葬を行う前のできるだけ早い時点で相談してください。直葬のあとに頼んでも断られる可能性が高いからです。

また戒名をつけてもらうためには戒名料が必要なので、この点も菩提寺に確認しましょう。

四十九日法要を菩提寺に依頼する

2つ目は四十九日法要を菩提寺に依頼するという方法です。

四十九日法要をお願いすることにより、納骨を承諾してもらえる可能性が高くなります。

通常、納骨は四十九日法要と同時に行われます。事前に四十九日法要の相談をすることにより、菩提寺とのつながりを保てるのです。

直葬では初七日法要が省略されるため、四十九日法要とあわせて依頼すれば、納骨を受け入れてもらえる可能性がより高まるでしょう。

納骨を菩提寺に断られたときの対処方法

上記2つの方法で納骨をお願いしても菩提寺に断られたら、他の方法を検討する必要があります。

墓に納骨する場合と納骨しない場合に分けて説明します。

墓に納骨する場合

直葬で菩提寺以外の墓に納骨する場合は、次の方法があります。

  • 公営墓地
  • 納骨堂
  • 永代供養
  • 樹木葬
  • 葬儀会社に納骨可能な寺を紹介してもらう

公営墓地

公営墓地とは、市区町村などの地方自治体が管理・運営している墓地です。

経営が安定していて、使用料や管理料が安いため人気を得ています。また、宗派や宗教観に関係なく利用が可能です。募集や申込資格のルールは地方自治体により異なるため、申込の希望時点で募集が少ないかもしれません。

納骨堂

納骨堂とは、個人や家族の遺骨を納めるための施設です。個人用、夫婦用、家族用など遺骨の数により料金が異なります。

管理や運営を行っているのは、宗教法人・財団法人・社団法人などです。公営墓地と同様に使用料・管理料が安いことがメリットです。

管理や運営を寺院が行っていても、多くの場合お布施や檀家になる必要はありません。

永代供養

永代供養とは、遺族に代わって寺院が遺骨を管理・供養する埋葬方法です。「永代」となっていても、ほとんどの寺院は管理期間を定めています。

管理期間は17回忌、33回忌、50回忌などですが、一番多い期間は30回忌です。

樹木葬

樹木葬とは、墓地埋葬法により許可された墓地に遺骨を埋葬し、遺骨周辺の樹木を墓標として故人を弔う方法です。

費用の目安は70万円前後ですが、埋葬場所や埋葬方法により150万円前後になることもあります。

葬儀会社に納骨可能な寺を紹介してもらう

葬儀会社はいろいろなお寺とのコネクションを持っています。直葬での納骨を受け入れてくれるお寺を知っている可能性も考えられます。

また、過去に直葬を行った遺族から同様の相談を受けたかもしれません。納骨に困ったら葬儀会社に相談してみましょう。

墓に納骨しない場合

墓に納骨しない場合は、次の方法があります。

  • 自宅で保管
  • 散骨

自宅で保管

墓に納骨しない場合、遺骨を自宅で保管する方法があります。

墓地埋葬法により自宅の庭や私有地には遺骨を埋葬できませんが、自宅での保管はかまわないとされており、保管期間にも期限はありません。

墓の管理が難しい方や故人を身近に感じていたい方におすすめします。

散骨

散骨とはお墓によらない自然葬のことで、粉末状にした遺骨を海、山、川、空などに撒きます。

ただし他人の所有地、許可のない公共施設、漁場、養殖場などは散骨できません。散骨するときは、散骨可能な場所か否かを自治体などに確認してから行いましょう。

散骨するための必要書類は、死亡届、死亡診断書、火葬許可証です。

直葬に関してよくある質問

納骨は義務ですか?

納骨は義務ではありません。墓地埋葬法は納骨期限を定めていないため、遺骨を自宅で保管し納骨しなくても法的に問題ありません。

ただし自宅の庭に墓を作り埋葬することは、墓地埋葬法に違反するため控えましょう。

納骨はいつ頃行えばよいですか?

一概にいえませんが、四十九日法要の日に納骨する方がほとんどです。なぜなら、四十九日法要には親族が参列しているため、納骨のためだけに別の日に集まる必要がないからです。

ただし、亡くなったあとに墓を建てる場合は業者との契約から2カ月~3カ月かかるため、百箇日法要の時点で納骨するとよいでしょう。

直葬の場合、返礼品は必要ですか?

ほとんどの場合、返礼品は必要ありません。参列者は身内だけであるケースが多いからです。

ただし友人などの参列者から香典をもらったときは、後日にお返しをすることをおすすめします。

お返しは香典の半分程度のものがよいでしょう。食品であればお茶・海苔など日持ちのするもの、日用品ではタオル・石鹸などが定番です。

直葬は葬祭費の対象になりますか?

葬祭費の対象になるか否かは自治体への確認が必要です。

葬祭費とは、国民健康保険または後期高齢者医療保険に加入していた方が亡くなったときに喪主に支給される給付金です。金額は自治体により異なりますが、東京23区で一律7万円、その他の市町村では3万円~5万円になります。

葬祭費は通夜・告別式を行う通常の葬儀にかかった費用を補助するために給付されるので、直葬は葬祭費の対象にならないことも考えられます。

直葬に挨拶状は必要ですか?

直葬の挨拶状は必要です。挨拶状は故人が亡くなったことを伝えるための案内なので、亡くなってから1週間~2週間前後で送ります。

直葬の挨拶状を送る時期が喪中はがきを送る時期と重なる場合は、前者と後者を兼用してもよいでしょう。時期が重ならない場合は、別々に送ってください。

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