お通夜の挨拶とは?喪主を長男が務める場合の例文や注意点をご紹介

「人前で挨拶をした経験があまりないため、お通夜の喪主挨拶で何を話せばよいのかわからない」というお悩みはありませんか?

「喪主挨拶」と聞くと、難しく感じるかもしれません。たしかに言葉遣いに関するルールはありますが、あまり難しく考えず、ご自身の言葉で参列者に対する感謝の気持ちや故人に関するエピソードなどを話せばよいのです。

この記事では、長男が喪主を務める際のお通夜での喪主挨拶について、例文をご紹介します。注意点も解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

1分でわかる!記事の内容
  • お通夜での喪主挨拶とは、お通夜の席で喪主が行う参列者に向けた挨拶のこと
  • お通夜では、最後に喪主挨拶を行うのが一般的
  • 喪主挨拶はご自身の言葉で話すことが重要だが、「忌み言葉」や「重ね言葉」を使わないなど、言葉遣いに注意する必要がある

お通夜での喪主挨拶とは

お通夜での喪主挨拶とは、お通夜の席で喪主が行う参列者に向けた挨拶のことです。お通夜に駆けつけてくれたことや、故人が生前お世話になったことに対してお礼を伝えます。

翌日行われる葬儀の日程や、通夜振る舞いを行う場合は通夜振る舞いの時間や場所なども喪主挨拶の中で案内します。

なお、お通夜とは故人と生前親交のあった方が集まり、故人を偲ぶ儀式のことです。基本的に、葬儀の前日に営まれます。

そして通夜振る舞いとは、お通夜のあとに開かれる会食です。喪主や遺族が僧侶や参列者に料理を振る舞い、食事をしながら故人を偲びます。

お通夜の流れと挨拶のタイミング

一般的なお通夜の流れと喪主挨拶のタイミングは以下のとおりです。

1 喪主や遺族、親族の到着 控室で時間まで待機する
2 受付開始 芳名帳(ほうめいちょう)(※1)に記帳してもらう
3 僧侶の到着 控室に案内し、お茶とお茶菓子を出す
4 僧侶への挨拶 喪主・世話役が挨拶し、お布施を渡す
5 喪主や遺族、親族着席 お通夜開始15分前になったら会場に移動する
6 僧侶入場 開始時間になったら僧侶を祭壇前に案内する
7 お通夜・読経開始 読経は30〜40分程度が一般的だが宗派にもよる
8 焼香 読経開始から10〜15分後、喪主から順番に行う
9 読経終了 僧侶によっては読経後に説教を行う
10 僧侶退場 会場から退場し、控室に戻る
11 喪主挨拶・お通夜終了 喪主の挨拶でお通夜を締める
12 通夜振る舞い 僧侶や参列者に料理を振る舞い、会食を行う

お通夜での喪主挨拶は、上記のとおりお通夜の最後に行うのが一般的です。喪主の挨拶でお通夜を締めくくり、通夜振る舞いへと進みます。

なお、芳名帳(※1)とは、お通夜の参列者全員に住所と氏名を記帳してもらう名簿のようなものです。喪主がお通夜終了後に参列者の確認をしたり、後日香典返しを送る際、芳名帳の情報をもとに宛先を書いたりするために使用します。

通夜振る舞いの形式は、地域によって異なります。たとえば関東では一般の参列者にも声をかけて料理を振る舞いますが、関西では喪主や遺族だけで行われることが多いです。

一般の参列者も参加する場合、通夜振る舞いの開式や閉式などでも喪主挨拶を行います。

お通夜での喪主挨拶の構成

長男が喪主を務めるなら、参列者へのお礼のほかにも、故人の人となりや長男だからこそ知っているエピソードなどを挨拶に盛り込むとよいでしょう。喪主挨拶の文章は、構成に沿って作文すれば簡単に完成します。

基本的な構成は以下のとおりです。

  • 故人と喪主との関係
  • お通夜への参列・生前お世話になったお礼
  • 亡くなったときの故人の様子
  • 故人の人となりやエピソード
  • 通夜振る舞いや葬儀の案内

それぞれ解説します。

故人と喪主との関係

まず、故人と喪主との関係性を伝えましょう。一般的なお通夜で久しぶりに顔を合わせる方が多い場合などは、喪主を務めているのが誰なのかわからないこともあります。

たとえば「私は故人◯◯の長男、△△です」というように、シンプルで構わないのではじめに自己紹介をするとよいでしょう。

お通夜への参列・生前お世話になったお礼

お通夜に参列してくれた方たちは、それぞれ忙しい中都合をつけ、故人のために集まってくれています。中には、遠方からわざわざ駆けつけてくれた方もいるでしょう。そのため、喪主としてしっかりお礼を伝える必要があります。

また、お通夜に来てくれたということは、故人が生前お世話になったということでもあります。故人が生前お世話になったことについてもお礼を述べましょう。

亡くなったときの故人の様子

亡くなる際、故人がどのような様子だったかを伝えましょう。参列者の中には、最後に会った元気な姿からは亡くなったことが想像できず、実感がわかない方もいます。

たとえば、亡くなった日にちや場所、年齢、差し支えがなければ亡くなった原因や闘病の様子なども伝えるとよいでしょう。

しかし亡くなった原因については、事件性があるケースや自殺によって亡くなったとき、話したくない場合などは無理に伝える必要はありません。

故人の人となりやエピソード

故人の人となりや、生前のエピソードなどを挨拶に盛り込むのもおすすめです。家族だからこそ知っているエピソードを多くの方に知ってもらい、共有するのもよいでしょう。

挨拶を手短に済ませたいなら省略しても構いません。しかし、「たくさんの友人に恵まれ、充実した人生だった」などの一言を入れるだけでも、故人の「多くの方に親しまれていた」という人柄は伝わります。

通夜振る舞いや葬儀の案内

最後に通夜振る舞いや葬儀の案内をして挨拶を締めくくります。それぞれ、開催する時間や場所をわかりやすく伝えましょう。とくに通夜振る舞いの案内は忘れがちであるため、忘れないよう注意が必要です。

長男が喪主として挨拶する場合の例文集

実際に喪主挨拶をする際の例文集を見てみましょう。ここでは、お通夜と通夜振る舞いで長男が喪主として挨拶する際の例文をそれぞれご紹介します。

お通夜

お通夜での喪主挨拶の例文は以下のとおりです。

私は故人◯◯の長男、△△です。
喪主としてご挨拶を申し上げます。

本日はご多用の中、父◯◯の通夜にお集まりいただき誠にありがとうございます。

父は半年ほど前から体調が思わしくなく、入退院を繰り返しておりましたが、昨日午後◯時△分、自宅にて眠るように息を引き取りました。
享年◇歳でした。

若いころはまさしく「厳格」という言葉の似合う父でしたが、歳とともに丸くなり、ここ数年は孫と遊ぶのが日課でした。
このように父が晩年を心穏やかに過ごせたのは、ひとえにみなさまのご厚情の賜物でございます。
父に成り代わりまして、厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

ささやかではございますが、別室に食事の席をご用意いたしました。
父との思い出話などをお聞かせいただけますと幸いです。

なお、葬儀・告別式は明日◯時より当斎場にて執り行いたいと思います。
ご都合のよろしい方は、ご参列いただきますようお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。

通夜振る舞い

通夜振る舞いでは「開式」「献杯」「閉式」と挨拶の機会が3回あります。このうち献杯の挨拶は、喪主以外の方が行っても構いません。ほかの遺族や故人の友人などに依頼するケースが一般的です。

順番にご紹介します。

開式

開式挨拶の例文は以下のとおりです。

本日はご多用の中、父◯◯の通夜にご参列いただき誠にありがとうございました。
みなさまにお越しいただき、さぞ父も喜んでいることと思います。

ささやかではございますが、食事をご用意いたしました。
お時間の許すかぎり、父との思い出話をお聞かせいただけますと幸いです。
どうぞお召し上がりください。

献杯

献杯の挨拶を、喪主が行う場合の例文は以下のとおりです。

本日はご多用の中、父◯◯の通夜にご参列いただき誠にありがとうございました。
おかげさまで無事通夜を終えられ、父も安心していることでしょう。

本日は父の好きだったお酒を味わいながら、父との思い出をお聞かせいただければと思っております。
それでは、献杯のご唱和をお願いいたします。
献杯。

なお、「献杯」とは、故人に敬意を表し杯を捧げることです。お祝いの席や飲み会などで行われる「乾杯」とは異なり、杯を合わせたり注いだ飲み物を飲み干したりはしません。

故人の友人が行う場合は以下のとおりです。

ただ今ご紹介にあずかりました◇◇です。
◯◯くんとは、学生時代から仲良くさせていただいておりました。
このたびは突然のことで、今でも信じられない思いです。

ご遺族のお気持ちを思うと言葉もございませんが、故人を偲び、献杯をさせていただきます。
献杯。
ありがとうございました。

喪主以外の方が献杯の挨拶を行う際は、挨拶の前に紹介をしておくとスムーズです。また、挨拶をする方も話しやすいでしょう。

閉式

閉式の挨拶の例文は以下のとおりです。

本日はご多用の中、父◯◯の通夜にご参列いただき誠にありがとうございました。
みなさまのおかげをもちまして、無事通夜を終えられました。

また、家族も知らなかった父の新たな一面を知ることができました。
父と生前親しくお付き合いいただきましたこと、改めて感謝いたします。

夜もふけてまいりましたので、本日はこの辺りで終了とさせていただきます。

なお、葬儀・告別式は明日◯時より当斎場にて執り行いたいと思います。
ご都合のよろしい方は、ご参列いただきますようどうぞお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。

お通夜の喪主挨拶に関する注意点

お通夜の喪主挨拶では、どのような点に気をつければよいのでしょうか?ここでは、お通夜の喪主挨拶に関する注意点をご紹介します。

できるだけご自身の言葉で話す

喪主挨拶では、できるだけご自身の言葉で話しましょう。定型文を暗記して卒なくこなすより、たとえうまく話せなくても現在の心境や故人とのエピソードをご自身の言葉で話すほうが、参列者の心に響くためです。

大切なのは、参列者に感謝の気持ちをきちんと伝えることと故人を思う気持ちです。うまく話そうとは思わず、例文を参考にしながらご自身なりの挨拶をしましょう。

なお、メモを見ながら挨拶をしてもマナー違反にはなりません。途中で頭が真っ白になってしまう可能性に備えて、挨拶文を書いたメモを用意しておくと安心です。

言葉遣いに注意する

「ご自身の言葉で話す」と前述しましたが、言葉遣いに注意しなければなりません。なぜなら、お通夜や葬儀といった弔事では「使用してはいけない言葉」があるためです。

使用してはいけない言葉とは、以下のような言葉です。

  • 「迷う」「浮かばれない」「4(死)」「9(苦)」などの忌み言葉
  • 「生きる」「死ぬ」といった生死を連想する直接的な言葉
  • 「重ね重ね」「ますます」などの重ね言葉
  • 「乾杯」「お開き」など、お祝いの席で使用する言葉

忌み言葉とは、使用すると不吉、縁起が悪いとされる言葉のことです。

上記のうち、とくに重ね言葉は何気なく使ってしまいがちです。挨拶文を考える際は、上記の言葉を避けましょう。

家族葬の場合は喪主挨拶を省略できる

家族葬を行う場合、喪主挨拶を省略するケースが増えています。家族葬の場合は身内しかいないため、形式にこだわる必要がないためです。

たしかに、ご自身の子どもや親などに対して喪主として挨拶をするのは、かしこまりすぎであるように思えるでしょう。そのほか、形式にとらわれずゆっくり故人を偲びたいという理由から、喪主挨拶を省略するケースもあります。

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