葬式の受付のやり方は?挨拶や受け答え、返礼品の渡し方まで徹底解説

葬式の受付を依頼され、「どのようなことをするのか」と不安を覚える方もいるでしょう。逆に、「誰に受付を依頼すべきか」を悩む遺族の方もいるかもしれません。

受付は、遺族に代わって弔問客・会葬者を迎える大切な係です。遺族の代理として、しっかりとマナーをわきまえなければなりません。

今回の記事では、葬式の受付の役目や手順について、詳しく解説します。挨拶や受け答えに不安がある方もぜひ最後までお読みください。

1分でわかる!記事の内容
  • 葬式の受付は、遺族に代わって弔問客・会葬者を迎える係
  • 芳名帳への記入や香典の受け取り、返礼品の進呈などを担当する
  • 受付は遺族の代理という立場のため、適切な身だしなみとマナーが必須

葬式の受付とは?

葬式の受付とは、通夜や葬儀・告別式の場で遺族に代わって弔問客や会葬者を迎える係です。参列した方を迎え、芳名帳(ほうめいちょう)に記入してもらったり、香典を預かったりなどを行います。

受付を行うのは遺族の友人や仕事関係の方など、喪家ではないものの近しい関係の方が依頼されて行うケースが多いです。

主催者側の人間として参列者に初めに挨拶する立場でもありますから、手順やマナーをしっかりと身に着けておかなければなりません。

葬式の受付の流れ

葬式の受付は、参列者を迎えるとともに「誰が来られたか」を確認し、香典を受け取って返礼品を渡すなどが主な役割です。

受付を依頼されたら、葬儀開始の1時間前には会場に到着しておきます。遅くとも葬儀の30分前には受付を開始する必要がありますから、この間に遺族や葬儀社のスタッフと打ち合わせを行い、把握しておくべき項目をしっかりと確認し、受付開始に備えましょう。

受付の場では、参列者に挨拶をして記帳をお願いし、香典を受け取って返礼品を渡すのが主な流れです。

ただし、イレギュラーが生じた際に自己判断で対応することはあってはなりませんから、特に受付開始前の打ち合わせをしっかりと行いましょう。

記帳を促す

受付での最初の仕事は芳名帳への記帳です。

参列者が来たら、「本日はお忙しい中お越しいただき、誠にありがとうございます」など、一言挨拶をしてから記帳を促します。「お名前とご住所をご記入ください」などと声をかけましょう。

記帳の方法は、受付に備え付けた芳名帳に記入してもらう方法のほか、参列者に芳名カードを渡して記入してもらうなどの場合もあります。

いずれの場合でも、名前と住所が記載されているかを確認しておきましょう。

香典を受け取る

参列者が持参した香典を預かります。「お預かりいたします」の一言を添えて両手で受け取り、一礼する手順です。受け取った香典は、遺族に渡すまでしっかり管理しなければなりません。

お供物を持参された場合にも、この場で受け取りましょう。お供物は葬儀社のスタッフなどに渡し、祭壇に供えてもらいます。

遺族側の意向で、香典を辞退することもあります。事前に香典を辞退する旨を伝えていても、香典を持参する方がいるケースも少なくありません。

その場合には「申し訳ありませんが、ご遺族(故人)の意志(遺志)により、御香典は辞退申し上げております」と説明し、丁重にお断りします。

返礼品を渡す

記帳を済ませ香典を受け取ったら、返礼品を渡します。「こちらをお持ちください」などの言葉を添え、両手で渡しましょう。

返礼品を渡すタイミングは、受付ではなく「参列者が帰る際」という場合も少なくありません。焼香などで荷物になってしまうからです。

ここまでで一連の受付の手続きは終了ですが、会場によっては受付にクロークが設けられている場合もあります。その場合には参列者のコートや手荷物などを預かり、引き換え札を渡します。貴重品を預からないことにも注意が必要です。

会場へ案内する

受付の最後の仕事が会場への案内です。会場の入口を参列者に伝え、入場を促します。待合室が設けられている場合には、そちらへ案内しましょう。

案内の際には、トイレの場所などを尋ねられることも少なくありません。このため会場の位置関係などはしっかりと頭に入れておきましょう。

葬式の受付に必要な準備

葬式の受付を担当する際には、事前の準備が大切です。

受付の最中に想定外の事態が生じても、その場を離れることは望ましくありません。さまざまなケースを想定して、参列者の対応に関する遺族の意思や、質問を受けた際に答えるべき項目を、事前にしっかりと確認しておくことが不可欠です。

受付台に必要なもの

受付台に必要なものは、芳名帳や筆記用具、香典受けなどです。受付係が準備をするケースは多くないですが、必要なものがすべてそろっているか、受付の流れの中でご自身がどのような動きをするかなどを確認しておきましょう。

受付に準備しておくもの
  • 筆記用具(筆ペン・サインペンなど)
  • 芳名帳(もしくは芳名カード)
  • 香典を入れる箱など
  • 名刺受け
  • 返礼品

喪主の意向を確認

受付は、いわば遺族の代理ともいえる立場です。参列者に失礼がないよう、スムーズに案内しなければなりません。

このため、事前に喪主や遺族の意向をしっかりと確認し、それに従って進めることが大切です。特に注意すべき点を確認しておきましょう。

香典に関する確認事項

遺族が香典を辞退していても、香典を持参する方もいます。また、線香代や御花代という名目で持参される方や、香典辞退の意思を踏まえたうえで「どうしても渡ししたい」と言われるケースも考えられます。

このような場合にどう対処するかは、受付が判断できるものではありません。事前に遺族の意思を確認しておきましょう。

返礼品に関する確認事項

返礼品の位置付けは、葬儀によってさまざまです。葬儀に参列してくれたことに対するお礼、いわゆる「会葬御礼」である場合もあれば、香典に対する返礼、つまり「香典返し」ということもあるでしょう。

返礼品がどれに該当するかによって、また遺族がどのような意向を持っているかによって、お返しする返礼品の数が異なるケースが生じます。

例えば「複数人が連名で香典を包んで来られたときにはどう対応するか?」「参列できない方の香典を持参された場合はどうするか?」などは、事前に把握しておかなければならない項目です。

また、参列者が返礼品を辞退された場合の対応なども確認しておきましょう。

受付のマナーと身だしなみ

受付を担当する際には、清楚な服装や髪型で、かつ適切なマナーで参列者を迎えることが重要な役割です。

知っておくべきマナーや、身だしなみの注意点について説明します。

準喪服を着用する

受付の係は、遺族に代わって参列者を迎える立場です。このため通夜であっても準喪服を着用するのがマナーと考えましょう。

男性の場合には、シングルまたはダブルのブラックスーツに、白無地のワイシャツと黒く光沢のないネクタイを着用します。靴や靴下も黒一色のものを選びましょう。髪形やひげなども清潔に整えることが大切です。

女性の場合は、黒く光沢がないスーツやワンピース、アンサンブルなどのほか、和装などが該当します。ストッキングは織り柄などがない黒のもの、靴は光沢のない黒のパンプスが基本です。髪が長い場合は耳より下で1つにまとめ、化粧も控えめにするのがよいでしょう。

スケジュールを把握する

受付では、参列者から当日のスケジュールを質問されるケースが少なくありません。すぐに答えられるよう、式の進行表と大まかなタイムスケジュールを把握しておきましょう。

スケジュールの把握は、受付をされる方が焼香に行くタイミングを知るうえでも大切です。

受付の方が焼香する際、受付が無人になると、遅れてきた参列者の対応に支障が出る可能性が生じます。どのタイミングで受付を終了するか、複数人の受付がいる場合には交代で焼香をするかなど、事前に確認しておくことが必要です。

会場内を把握する

トイレや控室の場所などを質問されるケースが最も多いのも、受付を担当する方といえます。このため受付開始前に館内図など確認して、会場全体のレイアウトを把握しておくことが必要です。

案内をする機会が多いと考えられるトイレなどは、事前に受付からの動線をご自身で確認しておくとよいでしょう。

受付の挨拶と言葉遣い

受付は、葬式の場で初めに参列者を迎える立場で、遺族に代わって第一の挨拶をする役割ともいえます。

丁寧な言葉遣いで適切な挨拶をすることは、受付に必須のマナーです。

弔問客・会葬者への挨拶

本日はお忙しいところお越しいただき、誠にありがとうございます」といった挨拶が基本です。喪主の親族が参列された場合には、「心よりお悔やみ申し上げます」などのお悔やみの言葉も添えましょう。

声量は控えめに落ち着いたトーンで、早口になりすぎないように話すのがコツです。ただし、高齢の方は耳が遠いケースもあるので、その場に応じた配慮も必要と覚えておきましょう。

言葉遣いのマナー

葬式の受付では、正しい敬語を使って丁寧に話すことが基本的なマナーです。また、不幸を連想させる言葉や重ね言葉などは「忌み言葉」とされ、葬儀の場では避けなければなりません。

忌み言葉は、不幸を連想させる「消える」「落ちる」、「4」や「9」という数字、不幸が重なることにつながる「たびたび」「重ね重ね」などが該当します。

また、受付での長話は禁物です。「丁寧」かつ「簡潔」を心がけて、挨拶や説明をしましょう。

受付は誰がやる?

葬式の受付には、誰がやるという特別な決まりはありません。遺族・故人の友人や遠縁の親戚、仕事関係の方などに依頼するのが一般的です。

とはいえ、遺族の代わりに参列者を迎えるとともに、香典などの金品を預かる立場ですから、信頼のおける方に依頼しなければなりません。

一般葬の場合

一般葬の場合、喪主の友人や会社の同僚などの方、遠縁の親戚、親交の厚い近所の方などが受付を担当することが一般的です。葬儀の規模に応じて人数を決めましょう。

多くの参列者が想定される葬式では、受付の中で「記帳を管理する方」「返礼品を渡す方」「香典を管理する方」など、それぞれの役割を分担しておくことが望ましいです。

家族葬の場合

家族葬の場合には、家族以外の参列者が限られるため、親族の中で受付の担当者を決めましょう。喪主以外の方が、交代で担当するケースもよくみられます。

ただし家族葬といっても、規模は一律ではありません。近親者だけの家族葬であるか、故人と親しい友人などを招いて行うかによっても、受付での対応が異なります。

身内以外の方を招いている場合には、受付の担当を決めておくことが望ましいでしょう。

適任者がいないときの対処法

受付を依頼する適任者がいない場合には、葬儀社に受付スタッフを依頼することが可能です。

1人につき1万円程度の費用がかかりますが、葬式の受付に慣れた方に安心して任せられるというメリットもあります。適任者がいない場合には、無理に探そうとするよりも、葬儀社をおすすめします。

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