葬式の流れとは?逝去から葬儀までの流れや日数、葬儀後の法要を解説

ご自身に近い身内の方が亡くなった場合には、悲しみにくれる中でも葬式の手配をしなければなりません。とはいえ、葬儀が行われるまでの流れを正確に把握している方は少ないのではないでしょうか?

大まかな葬儀の流れを知っておけば、「どのタイミングでどのような手続きが必要か」「どの時点までに何の準備が必要か」が事前にわかるため、その場面に直面した際の不安を抑えられます。

今回の記事では、逝去から葬儀までの流れを時系列に沿って解説します。葬儀後の法要や、一部を省略した形式の葬儀にも触れるため、葬儀の主催に不安がある方はぜひお読みください。

1分でわかる!記事の内容
  • 逝去から葬式までは時間の猶予がないため、速やかに手配することが必要
  • 逝去の翌日に通夜、翌々日に葬儀・告別式、火葬までを行う流れが一般的
  • 繰り上げ法要や一日葬など、通常とは異なる形式で儀式を行う場合は家族や菩提寺へ事前に相談することが大切

葬儀の流れ

身内の方が亡くなった場合には、悲しみに包まれる中でさまざまな手続きをしなければなりません。葬儀の準備もその1つです。

身内の葬儀を執り行う機会はあまり多くありませんから、葬式の手配から当日の流れまでを理解している方は少ないでしょう。

一般的には、逝去の翌日に通夜を行い、翌々日に葬儀・告別式、火葬までを行います。ただし、葬儀場や火葬場の空き状況や菩提寺・僧侶の都合、参列する親族の予定なども考慮して決めなければなりません。

まずは葬儀の流れを把握しておきましょう。慌ただしい中で準備を進める必要がありますが、大まかな日程を把握しておくと安心です。

逝去から葬式までの流れ
1日目 逝去
葬儀社手配
遺体の搬送・安置
葬儀の打ち合わせ
2日目(葬儀前日) 葬儀準備
湯灌(ゆかん)・納棺
通夜・通夜振る舞い
3日目(葬儀当日) 葬儀・告別式
火葬
精進落し
繰り上げ法要 初七日法要・精進落し

逝去から葬儀の手配

逝去から葬式まではあまり時間の猶予がなく、精神的な苦痛をともなう中で、できるだけ速やかに手配しなければなりません。このため、逝去から葬儀までの流れを把握しておくことはとても大切です。

葬式の規模や形式を決めるのは喪主の責任とされますが、葬儀社のおすすめも参考に家族の意見を聞きながら進めていくのがよいでしょう。

逝去(臨終)

医師に臨終を告げられたら、まずは両親や兄弟など身近な家族に連絡します。ただし、亡くなった場所が自宅か病院かなどで対応が異なることに注意が必要です。

病院や老人ホームなどの施設で亡くなった場合には、医師から「死亡診断書」を受け取れば問題ありません。家族などへの連絡が済んだら葬儀社を手配しましょう。

ご自宅で亡くなった場合には、まずはかかりつけ病院に連絡する必要があります。死後の手続きをするためには、前述した死亡診断書が必須だからです。

死亡診断書とは、死亡を医学的・法律的に証明する書類です。仮に事故で亡くなった場合には警察に連絡し、死亡診断書の代わりに「死体検案書」を発行してもらいましょう。

故人に対する最初の儀式が「末期(まつご)の水」です。

末期の水は、故人の口元を湿らせる儀式で、死に水(しにみず)とも呼ばれます。「死後の世界で、のどの渇きに苦しまないでほしい」「水をとって生き返ってほしい」などの願いを込めて行うものといわれています。

葬儀社の手配

故人が亡くなったあとは、できるだけ速やかに葬儀社を手配しましょう。

病院で亡くなった場合、臨終後には病室から霊安室に運ばれますが、霊安室は長時間にわたって遺体を安置しておけません

このため、できるだけ早めに自宅や葬儀場の安置室など遺体を安置する場所を決め、搬送しなければならないのです。

搬送・安置

搬送先が決まったら、寝台車で搬送します。葬儀一式を依頼する葬儀社に搬送してもらうのが一般的ですが、葬儀社が決まっていない場合などは搬送を専門に行う業者に依頼することも可能です。ただし、タクシーなどで搬送することはできません

搬送の時間や手順に関しては、病院との打ち合わせが必要です。

人が亡くなったあとには、エンゼルケアと呼ばれる処置を施すケースがあります。遺体をきれいにするだけでなく、感染症予防などの目的もあるため、どのような処置をするかなどを確認する必要があるのです。

葬儀の打ち合わせ

葬儀社との打ち合わせでは、限られた時間で数多くのことを決めなければなりません。

一般葬か家族葬か、もしくは一日葬かなどの葬儀の形式や日程、参列者数に応じた規模などについて詳細に決めていきます。葬式は故人の宗教・宗派によって形式が異なるため、これを正確に伝えることが大切です。菩提寺(ぼだいじ)がある場合には、菩提寺に連絡を入れるとともに、葬儀社にもその旨を伝えましょう。

葬儀の形式や規模は葬儀の費用にも影響を及ぼしますから、ご自身の想定している予算を正確に把握しておかなければなりません。

また、死亡届の提出や火葬許可の申請なども葬儀社で代行してもらえます。これらの手続きもこの場で依頼しておくとよいでしょう。

訃報

通夜や葬儀・告別式の日程や会場が決まったら、親族や知人に訃報の連絡をします。ここでいう訃報とは、亡くなってすぐの近親者への連絡とは異なり、亡くなった事実とともに葬儀の案内を伝えるものです。

訃報の内容
  • 故人の名前や享年、亡くなった日
  • 通夜・告別式の場所と日程
  • 喪主の名前、宗派、連絡先など

一般の参列を受けずに身内だけで葬儀を行う家族葬の場合には、会葬を辞退する旨を伝えましょう

訃報を伝える手段は、電話が一般的です。葬儀までにあまり時間がないケースが多いため、迅速に伝えなければならないからです。電話での一報を入れたあとに、改めてはがきを郵送するのもよいでしょう。

近年では、メールやSNSで訃報を伝えるケースも増えています。電話と同等のスピードで、電話よりも正確に伝えられる連絡手段として、メールやSNSは非常に有効です。

しかし、メールを頻繁に開かない方も珍しくなく、高齢の方などでは、これらの連絡手段を訃報に用いることを好ましく思わない方もいるでしょう。年配の方や目上の方に送る際には、失礼にあたらないよう十分に配慮する必要があります。

葬儀の前日

葬儀の前日に通夜を行います。

通夜はもともと、親族や親しい友人が故人をしのぶ儀式という意味合いでした。しかし、近年は日中に行われる葬儀や告別式よりも、参列しやすい時間に行われる通夜に弔問客が集まる傾向がみられます。

社会的な儀式として性質が強くなっていることから、滞りなく行えるよう事前にしっかりと準備をしておくことが不可欠です。

葬儀準備

葬儀の前日には、通夜までの時間で葬儀社とともに事前準備をします。

喪服の用意など個人的な支度も必要ですから、家族で手分けをするなどしてスムーズに行うことを心がけましょう。

湯灌(ゆかん)・納棺

湯灌とは、故人の遺体を棺に納める前に洗い清める儀式です。湯灌を終えて清めた後に、故人を棺に納める納棺の儀式を行います。

湯灌の作法や手順はさまざまで、故人の服をお湯につからせて体や髪を洗うケースもあれば、タオルなどで拭いて清める程度に留めるケースもあります。喪主や親族の意向によって、葬儀社との打ち合わせが必要な項目です。

体を清めた後に化粧を施し、喪主や遺族、近親者などで故人を棺に納めます。納棺の際には、故人のゆかりのものや、持たせてあげたいものなどを副葬品として一緒に納めましょう

通夜

通夜は、葬儀の前日の夕方から夜にかけて、18時や19時ごろから行われます。かつての通夜は夜通し行われるのが通例でしたが、現在は2時間程度ですべての儀式を終える半通夜と呼ばれる形が一般的です。

僧侶による読経や法話、遺族や弔問による焼香などが行われます。

参列者の受付は開始の30分前が一般的ですから、遺族は1時間前には会場に入りましょう

通夜振る舞い

通夜を終えた後、弔問客に食事やお酒などを振る舞う会食の席が通夜振る舞いです。「故人をしのんで思い出を語り合う」「遺族から僧侶や弔問客への感謝の気持ちを示す」などの意味があるとされています。 

通夜振る舞いの形はさまざまで、通夜を終えたあとに喪主が挨拶をして会食を始める形式や、焼香を終えた順に通夜振る舞いの席につく形式があります。また、会食の席を設けずに、折詰や商品券などを渡すことで通夜振る舞いとする形式もみられます。

地域によっては、昔から通夜振る舞いの慣習がないところも多いようです。

葬儀から火葬まで

葬式の当日は、葬儀・告別式から火葬までを行います。

葬儀は朝10時ごろから始めるのが一般的ですが、遺族の方は式が始まる1時間前には集合しておきましょう。

葬儀・告別式は1時間程度ですが、その後の火葬までを含めるとほぼ丸1日の長丁場です。

葬儀・告別式

葬儀と告別式は厳密には異なるものとされますが、現在は葬儀と告別式を分けずに行うケースが多いようです。

葬儀とは近親者が集まって読経をあげてもらう儀式、一方の告別式とは故人の友人や生前に関わりがあった方が集まり、別れを告げる儀式です。葬儀は宗教的な儀式、告別式は社会的な儀式と考えるとわかりやすいでしょう。

葬儀・告別式では、僧侶による読経や焼香などのほか、弔辞や弔電の紹介、喪主の挨拶などが行われます。かかる時間は1時間程度が一般的です。

出棺

出棺とは、故人を火葬場へ送り出す儀式です。遺族や親しい友人らが最後に故人と対面し、別れを告げて生花を手向け、霊柩車まで運びます。

喪主が位牌を、他の遺族が遺影を持ち、親族や友人などの手で棺を移動させるのが一般的です。

火葬

火葬場は、最後の焼香や僧侶が枕経(まくらぎょう)を読む「納めの式」を行って、火葬、骨上げという流れで進みます。

火葬には1~2時間程度かかります。火葬場には控え室が併設してありますので、そこで待機しましょう。

骨上げ

火葬を終えた後に行うのが骨上げです。故人と縁の濃い遺族から順番に、2人1組で「箸渡し」という風習に沿って行います

ただし、この箸渡しはさまざまな作法で行われており、地域によっても火葬場によっても異なります。「1つの骨を2人で挟む」「遺骨を箸から箸へと渡す」などの作法がありますが、「三途の川の橋渡しをする」という意味から、いずれも箸渡しと呼ばれているものです。

繰り上げ法要

本来であれば葬儀後の別の日程で行うべき法要を、葬儀の日に繰り上げて行うことを「繰り上げ法要」といいます。

遠方から参列する親族への配慮の意味などで定着してきた形で、特に葬儀の数日後に行われる初七日法要が葬儀当日に行われるケースも増えてきています。

初七日法要

仏教の教えでは、故人は亡くなってから7日ごとに極楽浄土へ行けるか否かの審判を受けると考えられており、それに合わせて忌日法要を行います。このうち初めての審判にあたる7日目に行われるのが初七日法要です。

忌日法要は、本来であれば49日目の四十九日法要まで7回行うものですが、現在は7回すべてが行われることは稀といえます。初七日法要を葬儀当日に繰り上げ、49日目に四十九日法要を行うなどの形が一般的です。

葬儀当日に初七日法要を行う場合には、葬儀終了後にそのまま初七日法要を行う「式中初七日」か、火葬を終えてから行う「戻り初七日」のいずれかの形で行います。

葬儀当日に初七日法要を行う場合
  • 式中初七日:葬儀終了後にそのまま初七日法要を行う
  • 戻り初七日:火葬を終えてから行う

いずれも宗教上の儀式を本来の教えとは違う形で行うことになるため、親族の理解を得るとともに、菩提寺にも相談しておくとよいでしょう。

精進落とし

精進落としとは、遺族が葬儀のあとに会葬者や僧侶をねぎらって行う会食のことです。本来は故人が亡くなってから49日間は精進料理を食べるとされており、この忌明けの際に食べる料理のため精進落としと呼ばれます。

葬儀当日に初七日法要を行う場合には、法要後に精進落としとして会食を行う例が多いです。

現代では、通夜から葬儀・告別式、初七日法要までを2日間にわたって行う形式が広まってきています。初七日法要を当日に行わない場合には、この精進落としを火葬のあとに行うのが一般的な流れです。

葬儀後の法要

葬儀のあと、故人の追悼のために節目ごとに追善供養を行います。節目の日に行う法要が忌日法要(きにちほうよう・きじつほうよう)、年の命日ごとに行う法要が年忌法要(ねんきほうよう)です。

四十九日法要

四十九日法要は、亡くなってから49日目の最後の審判の際に営まれる法要で、七七日(なななのか)とも呼ばれます。この日をもって極楽浄土に行けるかどうかが決まると考えられていることから、読経や焼香などで極楽へ行けることを祈るのです。

お墓の用意ができているときには、この際に納骨式を行い遺骨を墓に納める流れが一般的です。

また四十九日法要のあとにも、お斎(おとき)と呼ばれる会食が行われます。

年忌法要

年忌法要とは、故人が亡くなった命日に行う法要です。このうち命日の翌年に行う一周忌や2年目に行う三回忌、6年目の七回忌などは、節目の法要として特に重要視されています。

仏教では、すべての人が三十三回忌までに極楽浄土へ行くと考えられているため、32年目の命日に行う三十三回忌を最後に「弔い上げ」とされるのが一般的です。

とはいえ年忌法要をいつまで行うかは、宗派によっても、それぞれの家庭の考え方によっても異なります。故人を知る遺族が少なくなるという現実的な理由もあり、三十三回忌まで行わないケースも少なくありません。

家族葬の場合の流れ

家族葬とは、近親者だけで行う小規模な葬儀のことです。家族以外に故人と親しかった友人などを招くケースもあり、多くの場合、参列者が30人程度までを家族葬と呼びます。

一般葬と家族葬の違いは、参列者を限定し規模を小さくしている点です。このため葬儀自体の流れは家族葬であっても一般葬と変わりません。

ただし近親者だけで行うことから、会食の席を省略したり、本来の流れとは異なる形で行ったりすることもあります。そのため、一般葬に比べて遺族側の負担が軽くなる点が家族葬の特徴です。

葬儀の規模を小さくしたいときはもちろん、通常とは異なる流れで葬儀を行いたいときにも考えられる選択肢です。

一日葬とは

一日葬とは、通夜を行わずに葬儀・告別式と火葬だけを1日で行う葬式のことです。

まだ一般的とはいえない葬儀の形ですが、遠方から参列する方や高齢の方の時間的・体力的な負担を軽減するという点から、一日葬を選ぶ方も増えてきています。

一日葬では、当日に湯灌や納棺を行い、通夜と通夜振る舞いを省略して葬儀から始めます。葬儀から火葬、納骨までの流れは一般葬と変わりません。

一日葬は宗教上の教えから定められた儀式を省略する形ですから、必ずしも親族の同意を得られるとは限りません。また菩提寺がある場合も同様に、一日葬を認めない可能性は少なくないでしょう。

一日葬を検討する場合には、親族やお寺とに事前に相談し、合意を得てから進めることが不可欠です。

葬儀以外の諸手続き

身内の方が亡くなった場合には、葬儀以外にもさまざまな手続きをしなければなりません。死亡届の提出もその1つです。

死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に、亡くなった方の本籍地もしくは届け出をする方の住所地、亡くなった場所などの市区町村に提出する必要があります。この際、火葬許可・埋葬許可の申請書を合わせて提出するのが一般的です。

このほかにも、数多くの事務手続きが義務付けられています。

以下の表を参考に、やらなければならない手続きと期限を把握しておきましょう。

葬式以外の死後事務手続き
死亡届の提出 7日以内
火葬・埋葬許可証の交付申請 7日以内
健康保険の資格喪失 5日以内or7日以内
介護保険の資格喪失 14日以内
年金受給権者の受給停止 10日以内or14日以内
免許証・パスポートなどの返納 なるべく早く
葬祭費・埋葬費の支給申請 2年以内
遺族基礎年金遺族厚生年金の請求 5年以内

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