樹木葬でよくあるトラブルとは?後悔しないためのポイントを解説

新しいお墓のスタイルとして定着しつつある樹木葬に、関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

しかし、中にはトラブルにつながる事例もあり、事前に確かな情報収集を行うことが大切です。

この記事では、後悔のない樹木葬が行えるよう、メリット・デメリット、トラブルになりやすい事例などをご紹介し解説します。

1分でわかる!記事の内容
  • 新しい供養方法として注目される樹木葬
  • 起こりやすいトラブルやメリット・デメリット
  • トラブルを避け後悔のない樹木葬を行う注意点

樹木葬とは

樹木葬とは、従来の一般的なお墓のスタイルとは異なる、新しい供養方法です。近年認知度が上がり、利用を希望される方も増えています。

これまでの一般的なお墓では、遺骨を埋葬した際に目印として墓石を立てていました。その墓石の費用が、お墓購入時における費用の大半を占めており、お墓が高額になる一因となっていました。

しかし樹木葬では、墓石の代わりに樹木や草花をシンボルとして植えるため、墓石のような高額な費用が必要なく、コストが抑えられるのが大きなメリットです。

また、故人を自然の中で供養したいという希望に沿って、自然の山林の中や緑あふれる場所に埋葬できます。

樹木葬でよく起こるトラブル

樹木葬と一口に言っても、埋葬場所、埋葬方法、費用や管理形態など、様々なスタイルがあります。そのため、イメージしている樹木葬と合っているのかどうかを、事前に確認を行ってから契約をしないと、後悔する可能性も少なくありません。

ここからは、樹木葬で起こりがちなトラブルの事例について、項目別にご紹介していきます。

  • アクセスがよくない
  • 想定より高額になることがある
  • イメージとのギャップがある
  • 個別安置期間の延長ができない
  • 納骨人数の上限がある
  • 違法な埋葬になることがある
  • 親族から反対される

アクセスがよくない

交通アクセスがよくない霊園も多く存在します。樹木葬を行える場所は「墓地、埋葬等に関する法律」で定められた許可を得た墓地に限られています。そのような霊園は主に「里山型」と「都市型」があり、里山型は自然の山林を活かした場所へ埋葬するため、自然が豊かであればあるほどアクセスが不便になるのです。

郊外に位置している場合や、公共交通機関の利用では訪れるのが難しい場所、山登りをした先など、お墓参りで訪れる遺族に負担がかかる可能性もあります。

想定より高額になることがある

樹木葬のメリットとして、費用が安価で抑えられることが挙げられます。しかし樹木葬にも埋葬方法や埋葬場所などの選択肢が多くあり、その選び方によっては、費用が考えていたよりも高額になることがあります。

希望している故人の供養方法と交通アクセス、費用内訳を含めていくつかの霊園を比較検討し、予算内でおさまるのかどうかよく確認しましょう。

イメージとのギャップがある

元々自然葬の1つとしてのイメージが強い樹木葬ですが、徐々に様々なタイプの樹木葬が広がりを見せています。

自然の中で供養したい、土に還すように埋葬したい、と考えていても、実際には都市型の霊園で整然と整備された場所への埋葬となることも多いです。また、シンボルとして植えられる植物や草花のレイアウトが好みと異なっているなど、イメージとのギャップが起こることがあります。

個別安置期間の延長ができない

樹木葬では霊園の運営主体となっている団体によって、個別にルールが定められています。埋葬方法として合祀(ごうし)型と呼ばれる他の遺骨と一緒に埋葬されるタイプと、一人ひとりの遺骨を別々に埋葬する、個別型というタイプがあります。

個別型の埋葬では、契約された期間に応じて一定期間を経過すると合祀型に変えられることが一般的ですが、途中でその期間を延長しようとしてもできないことが多くあります。

納骨人数の上限がある

樹木葬では、納骨できる人数が限られており、さらにはそれが少人数であることが一般的です。事前に納骨人数を申し込んでおかなければならないことも多く、家族代々利用する場合には向いていない埋葬スタイルです。

申し込みを行う際には、何人で利用する予定があるのか、事前に計画をして必要な人数が無駄なく埋葬できるような契約を行いましょう。

違法な埋葬になることがある

遺骨を埋葬する場所は、法律に基づいて許可を得た場所でなければいけません。

自然葬である樹木葬であっても、火葬や埋葬に関する法律として定められた「墓地、埋葬等に関する法律」の規定に則って、墓地として運営されている場所にのみ遺骨を埋葬できます。

たとえば景観のよい山林を見つけ、その土地がどんなに気に入ったとしても、許可を得ないまま遺骨を埋葬してしまえば、それは法律に違反することになるのです。たとえその土地を自ら所有している場合であってもです。

樹木葬を行う業者においては、許可を得て運営していることが前提ですが、中には詐欺目的で近づいてくる業者がいるかもしれません。事前の確認をしっかりと行いましょう。

親族から反対される

近年、一般的にも認知度が上がり、樹木葬に興味を持たれる方も増えてきました。しかし、まだまだ新しいタイプのお墓であることは変わりありません。親族の中には、故人を樹木葬で埋葬し供養することに対して、受け入れられないという考えの方も出てくる可能性があります。

親族に反対された状態で、樹木葬での埋葬を押し進めることは難しく、申し込みを済ませたものの断念せざるを得ない場合もあるでしょう。事前に親族間での話し合いをしっかり行って、理解を得ておくことが大切です。

樹木葬のメリット

樹木葬が新しいスタイルの埋葬方法であるにも関わらず、人気を集めているのは、現代のライフスタイルに沿ったメリットが多くあるからです。

ここからは、現代社会に適したお墓のスタイルである、樹木葬のメリットについてご紹介します。

  • 継承者を必要としない
  • 費用が抑えられる
  • 宗教や宗派を問わない

継承者を必要としない

継承者を必要としない点が、樹木葬の大きなメリットです。

従来のお墓は、家族が代々受け継ぐことを前提としていました。しかし家族の形が変化しつつある現代では、親族間の関係性も希薄となり、単身世帯の方や子どもがいない夫婦だけの家族も増えています。

代々引き継ぐスタイルのお墓は、そういった家族の形には向いていないことから、継承者をどのようにしたらよいかと悩まれる方も少なくありません。

樹木葬の場合には、永代供養を前提とした契約が一般的で埋葬方法も様々です。個別埋葬をしていても一定の期間が過ぎれば合祀され、管理も行われます。先々の継承者を考えなくてもよい、新しいスタイルのお墓です。

費用が抑えられる

樹木葬のメリットとして、費用が通常のお墓よりも抑えられる点が挙げられます。

従来のお墓は遺骨を納めた際の目印として、墓石をシンボルに据えていました。この墓石の金額が高額になることが多く、そのために新しいお墓の購入費用は高額になっていました。

樹木葬の費用は、墓石の代わりに樹木や草花を設置することで負担が少なくなります。

宗教や宗派を問わない

宗教や宗派を問わないことも樹木葬のメリットです。

従来の墓地や霊園では、宗教や宗派に限定した利用者を受け入れていることが多く、希望した埋葬形態を選べないことがありました。寺院がその檀家向けに開いた墓地も多く存在します。

しかし樹木葬では宗教や宗派にこだわらずに埋葬を受け入れるところが多くなっており、希望の埋葬スタイルを選択できる可能性が広がっています。

樹木葬のデメリット

現代のライフスタイルに適していることから人気を集めている樹木葬ですが、新しいお墓の形であることから、一般的にはそれほど浸透していません。

デメリットとなる点もあり、それをよく知らないまま利用を考えるとトラブルにつながる可能性もあります。

ここからはデメリットについてご説明します。

  • 一般的な供養ができないことがある
  • 返骨ができないことがある
  • 粉骨しなければならない場合がある
  • 植物の管理や手入れに手間や費用がかかる
  • 季節によって景観に大きな違いがある
  • ゆっくりお墓参りできないことがある

一般的な供養ができないことがある

豊富な植物に囲まれている樹木葬では、線香を供えられないことがよくあります。火事を防ぐためにろうそくも同様の扱いとなっています。

また食物などのお供物を供えられない霊園も多く、従来のお墓参りをイメージしていると、できないことが多く落胆してしまうかもしれません。

故人をどのようにして供養したいのか、ご家族でよく話し合ったうえで決断するようにしましょう。

返骨ができないことがある

樹木葬では返骨ができないケースがあります。

樹木葬は遺骨を自然の中に還すことが、大きな目的です。そのため、遺骨を骨壷には入れずにそのまま土に埋葬するスタイルが基本になっており、複数の遺骨と一緒に埋葬する合祀型が一般的となります。

しかし、一旦埋葬してしまうと、そのあとで改めて従来のお墓の形態に埋葬し直したいと考えても、返骨ができないというデメリットがあるのです。

粉骨しなければならない場合がある

樹木葬では、複数の遺骨を同じスペースに埋葬する合祀スタイルが多く利用されています。ただし複数の遺骨を骨壷にいれたままで埋葬するには、多くのスペースが必要です。そのため、骨壷から出したうえでさらに粉骨して埋葬することもあります。

樹木葬自体には抵抗がなくても、合祀や粉骨に対しては抵抗を持つ方は多いでしょう。知らずに樹木葬を申し込んで、あとになってそれを知ることのないよう、希望される霊園ではどのような埋葬方法が選択できるのかを確認しましょう。

植物の管理や手入れに手間や費用がかかる

お墓を管理するのに手間や費用がかかるのも、樹木葬のデメリットです。

樹木葬の大きなポイントになるのは、シンボルとして植える樹木の存在です。周囲に植えられる草花やそのデザインも、お墓のイメージに大きく影響します。

ただし、植物の管理や手入れがどのように行われるかが、樹木葬の満足度を左右します。

霊園によっては、利用者自身が手入れを行わなければならない場合もあるため、管理がどのように行われ、それに対する費用はどのようになるか確認が大切です。

季節によって景観に大きな違いがある

樹木葬にはお墓参りの際に景観を楽しめるというメリットがある反面、季節によって景観が大きく異なるというデメリットがあります。

新緑や草花に囲まれた春の明るい雰囲気を気に入って契約したものの、冬に訪れた際に景観が寂しく落胆することも少なくありません。

季節ごとの景観や訪れる際の道中の状況なども、実際に現地へ行って確認しておくようにしましょう。

ゆっくりお墓参りできないことがある

樹木葬、特に合祀の場合には、複数の遺骨が同じスペースに埋葬されるため、お墓参りの際に利用する参拝スペースも、他の利用者と共用となっている場合が一般的です。

そのため、お盆やお彼岸などお墓参りにくる方で霊園が混雑する時期には、自分たちのペースでゆっくりとお参りができないこともあります。

霊園を契約する際には、お墓参りのスペースについても確認しておくとよいでしょう。

トラブルを回避する注意ポイント

ここまで、樹木葬で起こりやすいトラブルや、メリット・デメリットについてご紹介してきました。新しいスタイルのお墓の形態であるため、少なからずデメリットやトラブルが起こる可能性はあります。

後悔のない樹木葬を実現するために、できる限り樹木葬のトラブルをなくすにはどうしたらよいか、解説します。

交通の便を確認する

都心部から離れた場所に墓地が位置している場合があるため、交通の便を事前に確認しておきましょう。

里山型の樹木葬の場合には特に、郊外の自然の山林を利用していることが多く、公共交通機関では簡単に行けない可能性があります。

契約した時点ではよかったとしても、年齢を重ねたときには車を手放してしまい、ご自身の力でお墓参りへ行けなくなるかもしれません。

後々のことまで考慮しておくことがトラブルを回避することにつながります。

公共交通機関で行けるのか、駅からは徒歩で行けるのか、駐車場はあるのかなど、状況をよく確認しておきましょう。

家族の理解を得る

故人の供養は、故人自身のためだけでなく、残された遺族のためのものでもあります。ですから、お墓を決める際に、家族皆で話し合い理解を得ることは非常に大切です。

これまでのお墓の価値観から考えれば、比較的新しいスタイルである樹木葬を受け入れられないご家族も少なくないでしょう。理解を得ないままで押し進めてしまえば、あとになって親族内での揉め事につながる可能性もあります。

費用内訳を確認する

樹木葬でのトラブルを避けるためには、費用内訳の確認が欠かせません。

樹木葬は墓石代が必要ないために、一般的なお墓よりも費用が抑えられると考えられています。しかし「樹木葬=安い」という思い込みだけで手続きを進めると、意外に費用がかかってしまったということになりかねません。

また、それぞれの霊園によって費用の内訳や金額設定が異なり、別途銘板彫刻料や手数料などの費用が追加されることがあります。プランやオプションの比較、確認をして決断することが大切です。

埋葬方法を確認する

樹木葬と聞いてイメージするものは、大自然に囲まれた山林に埋葬する、土に散骨していずれは土に還る、といった「自然葬」を思い描く方が多いでしょう。

しかし実態としては、都市型の霊園における樹木葬も多く存在しており、骨壷に納めて埋葬する樹木葬も少なくありません。

自然に還すという目的からは外れる埋葬方法を採る霊園も多いため、事前に確認を行って申し込みをするようにしましょう。

また、今後改葬の可能性がある場合には、返骨ができない埋葬方法に注意が必要です。

利用のルールを確認する

霊園によって、利用ルールは異なります。運営主体、埋葬方法や管理方法、費用内訳はどのようになっているのかを確認しましょう。

1人あたりの納骨費用や年間管理費の計上方法なども、それぞれに考え方が異なります。予算や複数の霊園のプランと比較をしておくと、後悔しないですむでしょう。

宗派による供養方法の違いなども、確認しておくとトラブルを避けられます。

現地の見学を行う

現地を見学して、希望の樹木葬が実現できるのかどうかを、ご自身の目で確認するようにしましょう。

一言で樹木葬と言っても、その形態はそれぞれの霊園や墓地によって様々です。

アクセスのよさや景観を含めた霊園の雰囲気、埋葬方法、費用内訳などを現地でよく確認することが、後悔をなくすためのポイントとなります。実際に契約をする前に、見学することが大切です。

樹木葬をおすすめする場合

ここまで、樹木葬で起こりやすいトラブルや、メリット・デメリットについてご紹介してきました。

新しいものが人々の中に定着するまでには、少し時間はかかるかもしれません。その経過の中で、トラブルが起こることは少なくないでしょう。しかしメリット・デメリットをよく知ってそのポイントに注意すれば、トラブルなくメリットを十分に活かして利用できます。

以下に樹木葬をおすすめする方をご紹介します。

自然志向な方 

自然に還る埋葬方法を希望される方にとって、樹木葬はおすすめの埋葬方法といえます。樹木葬は、散骨とならんで自然葬といわれ、遺骨を自然に還す供養方法として注目されており、希望される方が少なくありません。

霊園の形式や埋葬方法によっては、自然葬とかけ離れたスタイルもあるため、事前の確認が大切です。

お墓の継承者にお悩みの方

お墓の継承者にお悩みの方にとっては、永代供養を前提として管理者側でお墓の管理や故人の供養を行ってくれる樹木葬は非常に適しています。

従来のお墓のように、親族で代々引き継いでいくことを考える必要はありません。基本的にはその代で終えるお墓のスタイルであるため、核家族化や親族間の関係性が希薄になりつつある現代では、利用しやすいお墓の形態といえます。

お墓の費用を抑えたい方

一般的なお墓と比較すると、樹木葬は費用が抑えられます。生きている間に、もしくは残された家族にお金を使いたい、お墓にはあまりお金をかけたくないと考える方におすすめです。

墓石を立てる場合には石材費用や工事費用が必要になり、これがお墓の費用の大部分を占めています。樹木葬の場合にはお墓の目印となる樹木を植えるだけなので、その費用は大きく抑えられます。

ペットと一緒にお墓に入りたい方

樹木葬は従来のお墓の形式にこだわらず、ペットと一緒にお墓に入りたいと考えている方におすすめです。

現代社会の中で家族の価値観は大きく変化しており、親族間の関係は希薄になりつつあります。結婚にこだわらず生涯独身で過ごす方、結婚しても子どもを持たない家庭など、価値観やライフスタイルは多様化しています。

その中でペットは家族も同然と考えている方も増えており、ペットと一緒にお墓に入りたいと考える方もいて、樹木葬の中にはそれができるところもあるのです。

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