樹木葬の費用相場はいくら?内訳や費用を抑える方法を解説

近年人気が高まっている樹木葬について、興味をお持ちであってもあまり詳しくはご存知ない方が多いのではないでしょうか?

樹木葬とはお墓の目印である墓標を、従来の墓石ではなく樹木にしたものです。通常の形式とは大きく異なったお墓であることから、費用相場や選び方のポイントなどのイメージが湧きづらいかもしれません。

後悔しない樹木葬のための、チェックすべきポイントを整理してわかりやすく解説していきます。

1分でわかる!記事の内容
  • 樹木葬とは今注目の新しい埋葬スタイル
  • 比較的費用が抑えられバリエーションも豊富
  • 特徴をよく知り適したスタイルを選択することが大切

樹木葬とは

樹木葬とは、従来墓石を立てて目印としていたところに樹木を植え、それをシンボルにしたスタイルのお墓のことです。基本的に継承することを前提としないタイプのお墓であり、通常とは異なるお墓の形式です。

そのため、一般にはあまり馴染みがなく、費用相場や選ぶポイントについてイメージがわかない方が多いのではないでしょうか?

一口に樹木葬と言っても、様々なタイプや形式があり、霊園を管理する運営主体によって異なるルールに基づいて運営されています。そのため、事前によく確認をして、思い描いている樹木葬のイメージと違いがないかを見極める必要があります。

樹木葬の費用相場

樹木葬の費用は大まかにまとめると3万円〜150万円程度です。

一般的な埋葬によるお墓の場合には、150万円〜300万円程度が相場となっており、その費用と比較すると樹木葬は安いと言えます。

従来の一般的なお墓では目印として墓石を用意しますが、この費用が高額となります。そのため、墓石の代わりに樹木を植える樹木葬は、墓石の購入をしない分だけ価格が安くなりやすいのです。

また、樹木葬にも様々な種類があるため、どのような樹木葬にするかで費用は大きく変わります。

タイプによって費用が異なる

まず樹木葬は霊園のタイプで大きく2種類に分けられます。

  • 都市型
  • 里山型

この2つのタイプには立地や埋葬スタイル、イメージに大きな違いがあり、費用も大きく異なります。

都市型

都市型の樹木葬とは、都市部に作られた寺院の境内や霊園の中に設けられた樹木葬用墓地です。墓地用に整地された区画に埋葬することから、一般的な霊園と同様の感覚で利用でき、墓石の代わりにシンボルとなる樹木や草花が植えられています。

故人の遺骨を自然に還すという思いで、樹木葬を希望されている場合には意図されているものとイメージが異なるかもしれません。しかし、比較的交通アクセスのよい土地にあるため、お参りがしやすいという利点があります。

それと同時に都市部の便利な場所にあることで地価も高く、費用は高くなる傾向があります。

里山型

里山型は、自然の山林をそのままの形で利用する樹木葬です。

故人を自然の中に埋葬し、土に還していくという樹木葬の本来持つイメージに近い形でしょう。

ただし都市型と異なり、都市部からかなり離れた郊外や、交通アクセスのよくない立地に位置することが多いです。その分費用面は比較的抑えられるという特徴があります。

埋葬方法によって費用が異なる

埋葬方法は大きく分けて以下の3種類になります。

  • 合祀型
  • 個別型
  • 家族型

どの埋葬方法を選ぶかによって費用も大きく異なるため、どのタイプが希望に合致しているかを比較検討しましょう。選択する際の参考になるよう、それぞれの特徴についてご紹介します。

合祀型

合祀型(ごうしがた)とは、同じ区画の中に複数の遺骨を埋葬する方法です。それぞれの遺骨に対して必要となるスペースが少ないために、費用は最も安く抑えられます

ただし、多くの場合に遺骨は骨壷から出して、他の方の遺骨とともに埋葬されます。一旦埋葬すると、遺骨を取り出せなくなってしまうというデメリットがあることを理解しておきましょう。

個別型

個別型の埋葬は、一人ひとりの遺骨を別々に埋葬する方法です。一般墓に一番近い感覚で利用できるタイプです。

それぞれにシンボルとなる樹木がある場合と、個別に埋葬されていてもシンボルは複数の遺骨で共有という場合があります。

また、契約によって定められた一定期間が経過すると、合祀されるのが一般的になっています。

家族型

家族専用の区画に埋葬される樹木葬です。家族型は個別型よりも埋葬される遺骨の数が増え多くのスペースを必要とするため、費用は若干高くなる傾向があります。

契約する際に、家族や友人の何人で利用する計画なのかを明確にして、適したプランで利用できるようにしましょう。

樹木葬にかかる費用の内訳

樹木葬を行う場合の費用には以下のような4つの項目があります。

  • 霊園使用料
  • 埋葬料
  • 彫刻料
  • 維持管理費用

一般的なお墓の費用と比較して、費用が安く抑えられるというイメージが強い樹木葬ですが、諸費用は同様にかかります。それぞれの費用について、以下に解説していきます。

霊園使用料

霊園を使用するためにかかる使用料のことです。霊園のタイプや埋葬方法によって、金額は幅広い開きがあります。土地や区画の使用種類によって金額が異なります。

合祀型では5万円〜10万円程度、個別型では15万円〜60 万円程度、家族型では20万円〜80万円程度が相場です。また霊園によって、設定金額に差があります。

使用料の相場
合祀型 5万円〜10万円程度
個別型 15万円〜60 万円程度
家族型 20万円〜80万円程度

埋葬料

遺骨を埋葬するために必要な費用のことです。遺骨を埋葬する度に費用はかかるため、家族型の樹木葬の場合はその都度埋葬料が発生します。

また、埋葬料が霊園使用料の中に含まれて設定されている霊園もあるため、比較検討する際には注意が必要です。

霊園によって取り扱いは異なるため、事前によく確認をしておきましょう。

彫刻料

彫刻料とは、銘板(めいばん)と呼ばれるネームプレートに故人の名前を刻むための費用です。

樹木葬の種類によっては銘板がない場合もありますし、有無を選択できるオプションとして設定されていることもあるので、霊園ごとのプランや価格設定を比較検討する必要があります。

維持管理費用

霊園の設備維持や管理のために必要となる費用のことです。霊園によっては、霊園使用料に含まれている場合もあります。

樹木や草花の手入れ、設備の管理を行う費用も、ここからまかなわれています。

多くの場合年間でおよそ1万円程度となっているところが多く、生前に契約した場合には、納骨前から費用の支払いが必要となることが多いため、注意が必要です。

樹木葬の費用を抑えるための検討項目

樹木葬にも様々な種類があり、費用についてもそれに準じて差が生まれます。費用を抑えたいと考える場合には、以下の点に気をつけて検討しましょう。

  • 埋葬場所やタイプ
  • 個別納骨の期間
  • シンボル
  • 運営主体
  • 立地・アクセス
  • 埋葬する人数

項目別にご紹介し解説していきます。

埋葬場所やタイプ

樹木葬を行う場合、埋葬場所や埋葬方法によって、費用には大きな差がでます。

特に費用が安く抑えられるのは合祀型のタイプです。合祀型の場合には他の遺骨と一緒に埋葬されることで、個別に利用するスペースが必要ないためです。

個別型や家族型については、利用スペースが必然的に広くなるために費用が高くなります。

個別納骨の期間

個別納骨の期間も費用との兼ね合いをよく検討して、決定することが大切です。費用をできるだけ抑えたい場合には、個別納骨の期間を短く設定することも検討しましょう。

特定の区画に遺骨を納める個別納骨では、多くの場合に別途管理費用が加算されます。多くの場合、一定期間が経過すると合祀されますが、合祀後には、管理費用がかからなくなることが一般的です。

シンボル

お墓の目印となるシンボルの存在は、樹木葬にとって象徴的で大切な存在です。1つのシンボルを複数の方で共有するタイプの樹木葬は、比較的費用を抑えられます。

一方、従来の一般的なお墓でそれぞれに墓石が存在したのと同様に、1つのシンボルを故人1人に使用する形は、使用するスペースも広くなることから、費用は高くなります。

運営主体

どのような団体がその霊園の運営主体となっているかは、費用に直接的に影響します。霊園の運営を行うのは主に「公営」「民間」「寺院」となっており、費用については自治体が運営する公営霊園が最も安いです。

まだ樹木葬を行える公営霊園はそれほど多くはありませんが、需要の高まりとともに少しずつ増加しています。

立地・アクセス

樹木葬を行う霊園の立地も価格に大きく関わってきます。

都市部から離れれば離れるほど地価が安くなるため、管理費や供養料が安くなり樹木葬の費用もそれに伴って安くなる傾向にあります。

立地にそれほどこだわらない、できるだけ静かな場所に故人を埋葬してあげたい、といった希望がある場合には、都市部から離れた郊外の霊園や、公共交通機関ではアクセスしにくい霊園を選択することも一つの手段です。

都市型の霊園での樹木葬よりも、里山型の樹木葬のほうが多くの場合費用が抑えられるのはこういった点からです。

埋葬する人数

1つのお墓に家族全員が納骨される一般的なお墓と異なり、樹木葬の場合、埋葬される人数によって金額が異なります。新たに埋葬する場合には、その都度埋葬料が発生する他、予定になかった人数の埋葬はできないこともあります。

家族や友人同士で利用したいと希望される場合には、事前に何人の埋葬予定があるのか明確にして申し込むようにしましょう。

後悔しない樹木葬のためのポイント

ここまで見てきたように樹木葬には様々な種類があります。一般的なお墓を立てるよりは費用が安く抑えられると言われていますが、どのような形を希望するかによって、大きく費用は変わります。

また、申し込みをする霊園で行われている樹木葬が、本当に希望するタイプの樹木葬なのかを確認しておきましょう。イメージと異なっていた場合、樹木葬を後悔することになってしまいます。

  • 埋葬方法
  • 樹木の種類・配置
  • お墓参りへの行きやすさ
  • 宗教・宗派の縛り
  • 親族の理解
  • 現地見学の実施
  • 費用の比較検討

埋葬方法

遺骨を土に還したい、自然な埋葬方法がよいと考えて、樹木葬を希望されている場合には、そのような埋葬方法を採用している霊園なのか、事前に確認しましょう。

樹木葬といえば、里山型のような自然の中に埋葬し、遺骨を土に還していくものというイメージがありますが、骨壷に入れたまま納骨する樹木葬を行っている霊園も多くなっています。

申し込みをしてから思い描いていた埋葬方法と違っていたと気づき、後悔することになりかねません。

樹木の種類・配置

里山型のように自然の山林をそのまま活かして埋葬するタイプの一方で、都市型霊園の中には公園のように整地された中に樹木をシンボルとして据えるタイプ、また花壇のように色とりどりの草花を配置するタイプと様々です。

樹木葬、と一言でまとめきれないバリエーションがあるため、現地を確認してイメージと合致しているかを確かめましょう。

お墓参りへの行きやすさ

埋葬方法や植物の配置がイメージと合致し、気に入った霊園であっても、残された遺族がお墓参りに行くことを見据えて、選択することが大切です。

交通アクセスが悪いと、頻繁にはお参りに行かなくなるかもしれません。また、遺族が高齢になった場合などには特に、なかなかお参りにいけなくなってしまうことが考えられます。

宗教・宗派の縛り

樹木葬は基本的に宗教や宗派を問わず利用できるところが多いです。そのため、一緒に埋葬を希望されているご家族のなかに異なる宗教の方がいても、一緒のお墓に埋葬ができるという利点があります。

ただし、霊園によっては宗教や宗派の縛りがある場合もあります。また納骨の際の法要は運営管理を行っている寺院に頼まなければならないこともあるので、事前に確認しておきましょう。

親族の理解

比較的新しく、珍しいスタイルの埋葬方法であることから、親族の中には樹木葬に反対する方が出てくる可能性があります。一般的な墓石を使用したお墓とは、イメージが大きく異なるからです。

合祀型や遺骨を直接土に還すタイプの樹木葬では、一度埋葬すると遺骨を取り出せなくなってしまいます。そのため申し込みを行う前に、親族との話し合いを行って理解を得ておくことが大切です。

また、本人の意思で樹木葬を選択したいと考えている場合には、生前からそれを親族に伝えて納得してもらっておくことで、残された家族が親族と揉めることなくスムーズに樹木葬を行えるでしょう。

現地見学の実施

現地に行って雰囲気を確かめておきましょう。

例えば、費用の安さに魅力を感じて申し込んだものの、実際に行ってみるとアクセスが悪かったり、季節によって景観が大きく変わったりと、イメージしていたものと違う場合があります。

実際に現地へ行くことで、イメージのズレなく、理想としていた樹木葬を選択できるでしょう。

費用の比較検討

樹木葬を行う際の主な諸費用である「霊園使用料」「埋葬料」「彫刻料」「維持管理費用」は、霊園によって設定金額もさまざまです。

また、組み合わせや選択するプラン、どのような埋葬方法を行うかによっても金額は大きく異なってきます。

費用も含めて、イメージした樹木葬を実現するためには、それぞれの霊園で行われる樹木葬について、かかる費用を比較検討し選択することが必要です。

樹木葬のメリット・デメリット

近年、人気の高まりを見せている樹木葬ですが、樹木葬にもメリット・デメリットがあります。費用の面で、一般墓よりも安く済ませられると考え希望される方も増えていますが、本当にご家族にとって適した埋葬スタイルなのか、特徴をよく知ったうえで選択することが大切です。

ここでは樹木葬のメリットとデメリットについてご紹介します。

メリット

お墓の後継の心配をする必要がないことが、一番大きなメリットでしょう。一般的な従来のお墓の場合、代々親族で引き継いで供養をしていくものでした。

しかし樹木葬の場合、基本的に一代のみのお墓となっており、永代供養を前提としています。そのため、個別型や家族型の埋葬であっても契約した一定期間を過ぎると合祀され、永代供養を行ってくれます。

単身の方や子どものいない家庭、親族と疎遠など、さまざまな理由で亡くなったあとの供養や墓じまいなどにお悩みの方にとっては、非常に適したお墓のスタイルと言えるのです。

デメリット

合祀型や土に還すために遺骨をそのまま土に埋める埋葬方法を採った場合、あとから遺骨を取り出せなくなってしまうことが大きなデメリットと言えます。

埋葬後に、一般的なお墓に埋葬し直したいと考えても改葬できないため、親族間でよく話し合いを行い皆が納得したうえで決定するようにしましょう。そうしなければ、後々トラブルとなりかねません。

また、一般墓と比べて費用が安いと考えて樹木葬を選択したにも関わらず、いろいろな費用選択でこだわった結果、高額になってしまう可能性もあります。

樹木葬を選ぶ際には、よく特徴を知り、後悔のないように選択しましょう。

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