葬式の日程はどう決める?亡くなってから葬儀までの流れを詳しく解説

身内の方が亡くなり、葬式の手配をしなければならなくなったとき、「葬式の日程はどうやって決めたらいいのだろう?」と不安を覚える方も少なくないでしょう。

実は葬式の日程には特別な決まりはなく、遺族の意向で決められるのです。しかし葬式の日程を決めるには、火葬場や葬儀会場を予約する、僧侶の都合を確認するなど、さまざまな手続を経なければなりません。遺体が傷むリスクを考慮すると、できるだけ早い日程が望ましいです。

今回の記事では、葬式の日程を決めるポイントと、亡くなってから葬式までの流れを詳しく解説します。避けるべき日などに不安を覚えている方も、ぜひ最後までお読みください。

1分でわかる!記事の内容
  • 葬式の日程に特別な決まりはないものの、できるだけ早めに行うのが望ましい
  • 葬儀日程を決める際、最も重要な要素となるのは火葬場の予約
  • 参列者が不吉な印象を受けないよう、必要に応じて地域の風習や六曜なども考慮すべき

今日亡くなったらいつ葬式を行う?

葬式の日程には、特別な決まりはありません。つまり、遺族の意向で決められるのですが、「できるだけ早めに行う」という考え方で調整するのが一般的です。

時間がたてば遺体が傷むリスクも生じるため、長期間にわたって安置しておくのは好ましくありません。

火葬場や葬儀会場が利用できる日程などを踏まえて、可能な限り早い日程で行うのが望ましいです。

翌日にお通夜、翌々日に葬儀が一般的

一般的な葬式の日程は、亡くなった翌日に通夜を行い、翌々日に葬儀・告別式を行う流れです。亡くなった日を1日目とすると、その日を含めて3日間で行います。

ただし、あくまでも一般的な日程であり、必ずしもこのとおりに進められるとは限りません。火葬場が利用できる日に合わせる必要があるなど、さまざまな制約を受けるからです。

また民間や公営の斎場を利用するのであれば、参列者数に応じた会場を押さえる必要があることも、認識しておかなければなりません。

お葬式の日程の決め方

葬式の日程を決める際には、前述した火葬場や斎場の予約なども含め、さまざまな要素を考慮して決めなければなりません。

「亡くなった翌日に通夜、翌々日に葬儀・告別式」という3日間の日程を踏まえたうえで、施設の空き状況、寺院や僧侶の都合、参列者の都合などを考慮して検討します。

葬儀場・火葬場の空き状況を確認

葬式の日程を決める際に、まず確認しなければならないのが葬儀場・火葬場の空き状況です。特に、火葬場の予約を確保することは必須といえます。葬儀場ほど、多くの選択肢から選べるわけではないからです。

年末年始などは多くの火葬場が休業しているため、葬式を挙げられません。また休業明けの期間は混みあうため、さらに先の日程に延びる可能性も生じます。

火葬場には公営のものと民間のものがありますが、公営の施設は原則として地域住民の利用を想定しており、住民以外は利用できないケースが多いです。

火葬料が高くなるなどの条件のもとに利用できるケースもありますが、住まいからの距離などを考慮すると、あまり遠方の火葬場を利用することは現実的ではありません。

年末年始は極端な例ともいえますが、特に都市部では火葬場の予約が取りづらく、葬式の日程を決めるうえで最も重要な要素となりがちです。

火葬場や葬儀場を確保できなければ、日程の候補をあげることすらできません。このため火葬場の空き状況を確認することが、第一にやるべき課題といえるのです。

菩提寺・僧侶の都合を確認

通夜や葬儀で読経をしてもらう僧侶にも、都合を確認しなければなりません。菩提寺(ぼだいじ)がある場合には自ら連絡を入れ、希望の日程で僧侶に来てもらえるかを確かめるのが原則です。

僧侶も季節によっては、希望の日程に合わせるのが難しいケースがあります。お盆の時期などは、法要が集中するからです。

菩提寺の僧侶にお願いするのが基本ではありますが、どうしても日程が合わない場合には、同じ宗派の僧侶の紹介を依頼してみましょう。

特に付き合いのあるお寺がない場合には、葬儀社で手配してもらうことも可能です。

親族・参列者の予定を確認

火葬場や斎場、僧侶の予定などが確認できたのであれば、親族の予定などを考慮して最終的な日程を決めましょう。喪主となる方はもちろん、配偶者や子どもなどの故人に近い遺族が参列できる日程にすることも大切です。

すべての親族に確認することは難しいですが、参列してほしい方には日程を決める前に予定を確認しておきましょう。

地域の風習を考慮

葬儀の日程は、地域の風習によってもさまざまな違いがあります。お住まいの地域の慣習などを考慮して決めることも必要です。

例をあげれば、葬儀・告別式の前に火葬を行う「前火葬(まえかそう)」「骨葬(こつそう)」の風習や、亡くなった当日に通夜を行うなどの風習がある地域も珍しくはありません。

また、後に詳しく記述する「六曜(ろくよう・りくよう)」に関しても、地域によって捉え方が異なります。

これらの風習も葬式の日程に影響を及ぼすため、葬儀社の方や近隣に方に聞いてみるのもよいでしょう。

六曜による葬式を避けたい日

六曜とは、その日の吉凶を示す暦注(れきちゅう)の1つです。いわば占いのような性質のものですが、古くからの言い伝えとして広く浸透しており、特に冠婚葬祭の日取りを決める際に多くの方が参考にしています。

「先勝(せんしょう)は午前中の運勢がよい」「先負(せんぶ)は午後の運勢がよい」など、6つの曜にはそれぞれ吉凶の決まりがあるという言い伝えです。「大安(たいあん)吉日に結婚式を挙げるのがよい」という習わしは、多くの方が耳にしたことがあるでしょう。

宗教上の教えなどとは関係がないものの、地域の風習などによって特定の六曜を避けるなどの慣習があります。

特に広く浸透している考え方をみていきましょう。

友引の葬式は避ける

六曜の中で葬式の日程に最も大きな影響を及ぼすのは「友引(ともびき)」です。

もとはといえば「勝負の決着がつかず引き分ける日」「良くも悪くもない日」などの意味でしたが、そこから転じて「友を引き寄せる」と解釈されるようになったといわれています。

友引に葬式を行うと、「故人が友を引き寄せる」ということから敬遠される傾向があり、そのため火葬場なども友引を休業としているところが少なくありません。

前述したとおり宗教上の教えなどとは関係がありませんが、地域の風習や参列する方が受ける印象などを考慮して決めるとよいでしょう。

なお、友引で避けるべきとされるのは葬儀・告別式の日で、通夜は友引でも行うほうが一般的です。

仏滅・大安は葬儀を行っても問題ない

「仏滅(ぶつめつ)」は最も縁起の悪い日、一方の「大安(たいあん)」は最も縁起のよい日です。

仏滅は「仏が滅びるほど何をしてもよい結果が望めない日」とされることから、慶事を避ける傾向が強いです。字面から仏教の教えと誤解されやすいものの、実際には仏教に由来するものではなく、通夜や葬式を行うことに問題はありません。

一方の大安は、「大いに安し」という意味で、1日をとおして運勢のよい日とされています。このためお祝い事には好まれますが、弔事を行うことに対して不安を覚える方もいるようです。

縁起のよい日に通夜や葬儀を行っても問題ありません。


ただし、六曜は数々の暦注の中でも、古くから定着してきたものの1つです。六曜と地域ごとの風習が絡み合い、特定の日を好ましくないと考える地域も存在します。

風習にそぐわない日程で葬儀を行うことで、参列する方が不吉な印象を受ける場合などには、六曜なども考慮すべきでしょう。

亡くなってからの流れ

葬式の一般的な日程では、亡くなってから葬儀・告別式まで、あまり時間がありません。つまり、故人を亡くした悲しみに暮れる間もなく、さまざまな準備をしなければならないことを意味しています。

スムーズに葬式の手配を進めるためには、亡くなってから葬式までの流れを把握しておくことが不可欠です。特に喪主を務める方は、短い時間の中で葬儀の日程や形式などを決めなければなりません。

  1. 喪主を決める
  2. 葬儀日程を決める
  3. 葬儀費用の支払元を話し合う
  4. 葬儀の形式を決める
  5. 葬儀社と打ち合わせる
  6. 死亡届を提出する・火葬許可を申請する
  7. 親族や知人へ訃報を伝える

喪主を決める

喪主とは、遺族の代表として葬式を執り行う責任者です。喪主を中心として「どのような形で葬式を行うか」「いつ葬式を行うか」を決めていくため、まずは誰が喪主を務めるかを決めなければなりません。

喪主の決め方に特に決まりはありません。一般的には、故人の配偶者や子どもなど、関係性の強い家族を選びます。

葬式の日程はじめ規模や形式にいたるまで、重要な意思決定は喪主の役割です。しかし、近年では葬儀の形も多様化しており、喪主の一存だけでは決められないケースもあるでしょう。

葬式の準備を進める際は、家族で協力し相談しながら、役割分担をして進めていくことも大切です。

喪主になる方の一般的な候補
  • 配偶者
  • 長男、次男など直系の男子
  • 長女、次女など直系の女子

葬儀日程を決める

前述した日程の決め方に即して、通夜と葬儀・告別式の日程を決めます。そのためにも故人が亡くなった際には、身近な親族や葬儀に参列してほしい方には早急に訃報を伝えておきましょう。

目安となる葬式の日程は亡くなった2日後ですが、必ずしもそれを優先すべきとは限りません。わからないことがあれば、葬儀社の担当者に確認しながら進めましょう。

葬儀費用の支払元を話し合う

葬儀を執り行うには、決して小さくはない出費を伴います。葬儀費用は喪主が負担するのが一般的とされていますが、それが絶対ではありません。

「親族が共同で負担する」「遺産の中から拠出する」「喪主とは別の施主を立てる」などの選択肢も考えられますから、早い段階で支払元を検討しておくとよいでしょう。

例えば喪主が遺産から支払うと考えていたとしたら、すべての相続人にその考えを伝え、共有しておかなければなりません。事前に話し合うことなく喪主が立て替えたあとで遺産から捻出した場合、思わぬトラブルが生じる恐れがあります。

葬儀の形式を決める

どのような形で葬儀を行うかは、早い段階で決めなければならないことがらです。葬儀形式によって、押さえるべき式場なども異なるからです。

近年では、葬儀の形も多様化しています。一般参列者を迎え入れずに近親者だけで行う「家族葬」、通夜を省略した「一日葬」など、通常の形式以外で行いたいという希望がある場合もあるでしょう。

葬儀の形式についてはさまざまな考え方があり、「広く参列者を迎えて行う一般葬が原則」という考え方が根強いのも事実です。しかし実情は、むしろ家族葬が一般葬よりも主流となっている傾向もみられます。

故人がどのような希望を持っていたかを考え、家族の意見を聞きながら決めるとよいでしょう。

葬儀社と打ち合わせる

葬儀の詳細は、葬儀社との打ち合わせで決定します。祭壇を始めとした会場のレイアウト、棺や骨壺、会食の有無や内容に至るまで、さまざまなことを決めていかなければなりません。

葬儀社のおすすめとして提示されたプランなどをもとに、予算や家族の希望を考慮して検討します。

遺影にする写真などは、打ち合わせの段階で用意しておくとスムーズです。

葬儀社との必須の打ち合わせ項目
  • 葬儀会場
  • 祭壇・棺・骨壺・その他仏具
  • 通夜、葬儀・告別式の流れ
  • 会食の有無・内容
  • 会葬御礼・返礼品

また、必要に応じて行う打ち合わせ項目は以下のとおりです。

必要に応じて行う打ち合わせ項目
  • オプションとなるサービス(湯灌やエンバーミングなど)
  • マイクロバスの手配(火葬場への移動など)
  • 受付スタッフの手配

死亡届を提出する・火葬許可を申請する

葬儀を行う際には、事前に自治体から火葬許可(もしくは埋葬許可)を受けなければなりません。火葬許可申請は、死亡届の提出と同時に行うのが一般的です。

死亡届と火葬許可申請は、人が亡くなった際に必ず行わなければならない行政手続きです。ただし、申請できるのは遺族などに限定されておらず、葬儀社などでも代行してもらえます

打ち合わせの際に、死亡診断書(もしくは死体検案書)を持参し、依頼しておくと安心です。

親族や知人へ訃報を伝える

葬式の日程や会場などが固まったあとに、親族や知人へ訃報を伝えましょう。亡くなった事実とともに、葬儀の案内を送ります。

訃報として伝える内容は、故人の名前や享年、亡くなった日などです。同時に、通夜や葬儀・告別式の場所と日程、喪主の名前・連絡先、宗旨・宗派などを記載し、会葬の案内を伝えます。

訃報を伝える手段は、電話やFAX、メールなどが一般的です。SNSなども活用するとよいでしょう。

ただし、一般参列者の会葬を受けない家族葬で執り行う場合には、葬儀の前に訃報を送らないほうがよいケースもあり得ます。招待していない方が弔問に訪れるなどのトラブルの懸念があるからです。

この場合には、葬儀が終わったあとに、家族葬で見送った旨を書き添えて訃報を出すとよいでしょう。

追善供養の日程

通夜と葬儀・告別式を終え、故人を見送ったあとにも、追悼のために節目ごとに追善供養を行うのが一般的です。

仏教の教えなどに従って、審判の日にあたる7日ごとの節目に忌日法要(きにちほうよう・きじつほうよう)、年の命日ごとに年忌法要(ねんきほうよう)などが行われます。

初七日法要

故人が亡くなって初めて行う追善供養が、7日目の初七日法要です。

仏教では、亡くなってから7日ごとに審判を受け、極楽浄土へ行けるか否かの判定が下されると考えられており、この日に合わせて追善供養を行います。

ただし現在では、初めての審判にあたる初七日法要と、最後の審判である49日目の四十九日法要に限って行うのが一般的です。

初七日法要は、葬儀からあまり日を置かずに行われるため、葬儀当日に繰り上げて行う「繰り上げ法要」が浸透しています。葬儀の中に法要を組み込む「式中初七日」か、火葬を終えてから行う「戻り初七日」のいずれかの形です。

葬儀の日に初七日法要を行う場合には、打ち合わせの段階で葬儀社や菩提寺に相談しましょう。また、宗教上の儀式を本来とは異なる形で行うため、親族の理解を得ておくことも必要です。

四十九日法要

四十九日法要とは、7回行われるとされる審判の最後にあたる49日目の追善供養です。七七日(なななのか)とも呼ばれます。故人が極楽浄土に行けるかことを願い、読経や焼香などを行って供養するのです。

この日をもって遺族が喪に服す期間を終えるとされ、「忌明け(きあけ)」ともいわれます。

また、四十九日法要に合わせて、納骨式を行い遺骨を墓に納めるのが一般的です。しかし、故人が亡くなってからお墓を建立する場合は、四十九日には間に合いません。

納骨には「いつまでに行わなければならない」といった決まりはないため、百箇日法要や初盆などの際に行うのもよいでしょう。

年忌法要

年忌法要とは、節目となる年の命日に行う追善供養です。亡くなった1年後の「一周忌」のあと、2年目の命日に行う「三回忌」、6年目に行う「七回忌」と、3と7の年に法要を行います。

故人は「三十三回忌」までに極楽浄土へ行くと考えられているため、32年目の命日に行う三十三回忌が最後の法要とされるのが一般的です。「弔い上げ」「年忌明け」などと呼ばれます。

宗派によっては、三十三回忌の後にも「三十七回忌」「四十三回忌」と続き、「百回忌」を弔い上げとする場合もありますが、このような追善供養を行っている家庭は少数派です。

現実的には故人を知る遺族も少なくなっていくため、家族の考えなどに応じて「いつまで追善供養をするか」を決めればよいでしょう。

年忌法要と法要を行う時期は以下のとおりです。

一周忌 1年後
三回忌 2年後
七回忌 6年後
十三回忌 12年後
十七回忌 16年後
二十三回忌 22年後
二十七回忌 26年後
三十三回忌 32年後

お葬式の日程に関するよくある質問

葬式には宗教などに即したさまざまな決まりやマナーがあるものの、葬式の日程に関してはあまり厳格な定めがありません。

とはいえ日程を決めるのに不安を感じる可能性もあり得ますから、よくある質問をチェックして疑問を解消しておきましょう。

お葬式は何日以内という決まりはある?

葬式を行う日程には、「何日以内に行わなければならない」という決まりはありません。逆に、墓地・埋葬等に関する法律の第3条で「24時間を経過したあとでなければ火葬してはいけない」という規定は設けられています。

現実には、東京を始めとする首都圏などでは、死亡者数に対する火葬場の数が十分とはいえず、葬儀まで数日の日数がかかることも珍しくはありません。

しかし、遺体を長期間安置するのは腐敗などのリスクも生じるため、できるだけ早急に葬式を終えるのが望ましいでしょう。

葬儀の連絡をSNSでするのは失礼?

近年ではSNSが浸透し、ビジネスの場などで用いられることも一般的になっています。しかし、葬儀の連絡にSNSを用いることに対して「相手に失礼なのではないか」「不謹慎なのではないか」と懸念する方は少なくありません。

現実的には、SNSは葬儀の案内をするうえで非常に適したツールといえます。必要とされるスピードと正確性を持ち合わせ、多くの送信先に一斉に送ることもできるからです。同様のことはメールにもあてはまります。

相手側が内容を確認したことがわかることも、SNSを利用するメリットといえるでしょう。

しかし、SNSを訃報に用いることを好ましく思わない方が一定数いる可能性は否めません。特に高齢の方や仕事上での目上の方などに送る際には、失礼のないように文面に配慮することも大切です。

SNSでの連絡が適切ではないと考えられる相手には、電話で一報を伝えたのち、はがきで案内を送るなどの方法も検討しましょう。

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