喪主と施主の違いは?役割や決め方、葬儀でのマナーも詳しく解説

葬儀を主催する立場として混同されがちな喪主と施主ですが、その正確な違いを知っている方は少ないのではないでしょうか?ご自身の身近な方が亡くなったことで、その役割を知る必要に駆られている方もいるかもしれません。

実は喪主と施主には明確な違いがあり、喪主は葬儀の責任者、施主は費用負担者という役割です。

今回の記事では、喪主と施主のそれぞれの役割などを詳しく解説します。「何をするのか」「誰がやるべきか」がわからずに悩んでいる方は必読です。

1分でわかる!記事の内容
  • 喪主は遺族を代表して葬儀を執り行う責任者、施主は葬儀費用の負担者
  • 喪主と施主は必ずしもそれぞれ立てる必要はなく、兼任も一般的
  • 葬儀では喪主の負担が過大になりがちなため、施主やご家族のサポートが大切

喪主と施主の違いは?

喪主と施主を同一の方が兼任するケースも少なくないため、その役割の違いを正しく認識している方のほうが稀ではないでしょうか?

しかし本来の役割でいえば、「喪主は葬儀を執り行う責任者」「施主は葬儀費用の負担者」という明確な違いがあるのです。

喪主は葬儀の責任者

喪主は、葬儀を執り行う責任者です。遺族の代表として葬儀を取りしきり、弔問や会葬を受けること自体が喪主の役割といえます。

葬儀には、身近な方が亡くなって悲しみに暮れる中でさまざまな手配をし、滞りなく進めなければならない側面があります。このため喪主になる方の負担は、ともすれば過大になりかねません。

喪主は責任者として重要な意思決定をする立場ではありますが、特に準備に関してはご家族で相談しながら、役割分担をして進めていく必要があります。

施主は葬儀費用の負担者

施主は葬儀費用を負担する方を指します。費用負担も含め、いわば葬儀を裏側から支えるのが施主の仕事といえるでしょう。

前述のとおり、葬儀においては喪主の負担が大きくなりすぎる可能性が否めません。施主は葬儀費用を負担するとともに、喪主をサポートしながら進めていくのが望ましいと考えられます。

喪主と施主の兼任も一般的

喪主と施主では担う役割が異なるとはいえ、必ずしも別の方を選ばなければならないという訳ではありません。近年ではむしろ、喪主と施主を兼任するのが一般的ともいえます。

施主は葬儀費用を負担して喪主をサポートする役割ですから、喪主が費用負担をするのであれば兼任しても構わないのです。

例えば未成年の長男が喪主を務め、故人の配偶者が施主として費用を負担するなどのケースが、喪主と施主を別々に立てるわかりやすい事例でしょう。

故人が会社経営者で、喪主を配偶者が務め、会社が費用を負担する場合なども、喪主と施主が別のケースに該当します。

喪主の役割は?

喪主の役割は、遺族の代表として葬儀を取り仕切ることです。葬儀の準備から進行、弔問客の挨拶などに至るまで、すべての責任者という立場です。

もちろんすべての手続きを1人で行うのは難しいケースもありますから、最も重要な役割は「責任者として意思決定をすること」と考えればわかりやすいでしょう。

死後事務手続き

喪主は遺族の代表として、死後の事務手続きから葬儀を終えるまで責任者としての役割を担います。

葬儀の前の段階でも、死亡届や火葬許可証の申請手続き、葬儀社やご遺体の安置場所の選択、訃報の連絡など、さまざまな手続きが必要です。

もちろん喪主の方がすべてを1人で行う必要はありませんが、これらの手続きが滞りなく進むように喪主が中心になって行うと考えましょう。

死亡届などの事務手続きは葬儀社でも代行してもらえますから、葬儀にあわせて依頼できる手続きなども確認する必要があります。

葬儀の事前準備

葬儀の事前準備も喪主の大切な役割の1つです。葬儀社と打ち合わせをして日程や形式を決め、参列者の数などから葬儀の規模を決めていきます。

その際、費用についても決めていく必要があるため、施主の同席も必要です。

葬儀の形はさまざまです。宗教などによって形式が異なるのはもちろんですが、参列者の人数によっても必要な準備が大きく異なるのです。

これらを踏まえて、葬儀の形式や規模などの詳細を固めます。仮に個人が遺言やエンディングノートで意向を示していた場合には、できるだけそれに沿った形で行うのが望ましいでしょう。

葬儀社との打ち合わせ

葬儀の事前準備として、葬儀社との打ち合わせが挙げられます。

近親者だけで行う家族葬から、故人の仕事の関係者など大勢が集まる葬儀まで、葬儀の形はさまざまです。葬儀の規模や形式によってかかる費用も大きく異なりますから、それも踏まえたうえで葬儀の形を決めていかねばなりません。

このため、葬儀社と打ち合わせすべき項目も多岐に渡ります。身近な方が亡くなった悲しみに暮れる間もないほど、多忙な時間を過ごさなければならない可能性も否めません。

どのような項目を決めなければならないのか、故人が希望していたものはないかなど、あらかじめ整理しておくことも大切です。

葬儀社との打ち合わせ項目
  • 通夜・葬儀・告別式の日程
  • 通夜・葬儀・告別式の形式
  • 斎場
  • 参列者の想定人数・葬儀の規模
  • 宗派
  • 会食の有無・形式
  • 費用

宗教者の手配

宗教者の手配も葬儀の事前準備として欠かせない項目です。

仏教か神道か、キリスト教かなど、故人の信仰によって大まかな葬儀の形式が決まります。仮に仏教であったとしても、どの宗派で行うのかなどは家族でなければわかりません。

このため葬儀社と相談のうえで、宗教者を手配する必要があるのです。

仏式の葬儀では僧侶を呼ぶのが一般的ですが、その手配の方法は必ずしも1つではありません。

ご家族に菩提寺(ぼだいじ)がある場合には、そちらに依頼します。菩提寺とは、先祖のお墓があるお寺のことです。菩提寺であれば、葬儀自体を依頼することもできます。それも含めて相談してみるとよいでしょう。

菩提寺がない場合には、葬儀社に手配を依頼することも可能です。

葬儀の進行

通夜や葬儀の当日の進行も、喪主の重要な役割です。もちろん進行そのものは葬儀社のスタッフが行ってくれますが、参列者をもてなし、弔問に対する感謝の意を伝えることが主な役割といえます。

葬儀には、故人をしのび冥福を祈るという目的だけでなく、悲しみにくれる遺族をいたわる気持ちで参列する方が数多くいることでしょう。

参列者に対して、生前の故人との親交に対する感謝とともに、遺族に対するねぎらいへの謝意を伝えるのが葬儀当日の喪主の役割です。

参列者へのあいさつ

弔問客に対する感謝を伝えるために、通夜や告別式などでは、節目節目で喪主があいさつをします。

当日の弔問に対するお礼とともに、故人が生前に受けた厚意に対する感謝の気持ちを、遺族の代表として伝える重要な役割です。

通夜と告別式、精進落としの開始時や終了時などでのタイミングで、それぞれ会葬者に向けた2~3分程度のあいさつをします。

僧侶に対するあいさつや、弔問客に対する個別のあいさつなども喪主が行います。

故人の追善供養

故人の命日に行う供養や忌日法要などの追善供養も、喪主が責任者として行います。

「初七日」「四十九日」など、命日から7日ごとに行われる法要が忌日法要、「一周忌」「三回忌」など年ごとに行われる法要が年忌法要です。

また、ご家族によっては「祭祀承継者」として喪主を選ぶケースもあるでしょう。

祭祀承継者とは、墓や仏壇などの祭祀財産を受け継ぎ、祖先の祭祀を主宰する方のことで、法律に定められた責任者にあたります。

この場合には、お墓の維持などの役割も担っていく必要があるのです。

施主の役割

施主は葬儀費用の負担者です。葬儀に関わる金銭を支出するだけでなく、香典などを含めた金銭の管理が施主の役割と考えればわかりやすいでしょう。

葬儀の責任者として表だって取りしきる喪主を、裏側からサポートするのも施主の大切な役割です。

費用負担・収支の確認

施主は葬儀費用の負担や、収支の確認を担います。葬儀費用を負担するといっても、決まった金額を支払うだけではありません。

葬儀社との打ち合わせに同席し、見積りを確認することも必要です。また、費用の負担者であることから、葬儀社との契約も施主が行わなければなりません。

お布施やお車代など、宗教者に対するお礼の準備も必要です。

このような支出を管理しつつ費用を負担する一方で、参列者からの香典も管理しなければなりません。

香典とは、弔問客が霊前に供える金品で、「葬儀費用の一部を負担する」という意味合いも含まれています。このため施主は香典を受ける側として、これらを管理しなければならないのです。

喪主の補助

葬儀での喪主の負担が大きいことから、施主は「喪主の補助」として役割を担わなければなりません。葬儀社との打ち合わせでは、喪主が最終決断にいたるまで適切な助言をすることなども大切な務めです。

特に喪主が未成年の場合などには、重要な局面での決断が難しいこともあるでしょう。

例えば祭壇を飾る供花などは、並べるべき順番に悩むケースも少なくありません。遺影と供花の位置関係は、故人との関係性の強さを示すものと考えられているため、並び順によって贈り主に失礼に当たる恐れがあるからです。

このようなケースで喪主の負担を軽くすることも、施主の重要な役割といえます。

喪主・施主は誰がやるべき?

喪主と施主は葬儀での重要な役割を担いますが、誰がやるのが適切といえるのでしょうか?

実は喪主・施主ともに、決め方のルールなどが決まっているわけではありません。ただし喪主に関しては「血縁関係の強い家族がなる」というのが一般的です。

喪主と施主は誰がやるべきか、参列者が違和感を抱かない決め方について考えていきましょう。

喪主は配偶者や血縁関係の強い家族が一般的

誰が喪主を務めるかを決める際に、明確な決まりがあるわけではありません。故人の配偶者や子どもなど、血縁関係の強い家族が喪主となるのが一般的です。

故人が遺言などで喪主を指定していれば、それに従います。故人が若い場合には、親が喪主となるケースも珍しくはありません。

ただし、喪主は遺族の代表として重責を担います。葬儀の準備などに多くの労力を割かねばならないうえ、葬儀の場でも参列者を迎え、主催者として挨拶するなど大変な仕事をこなさなければならないのです。

このため喪主となる候補の方の年齢などを考慮し、過分な負担がないように配慮することも大切です。

祭祀承継者として喪主を選ぶケースでは、「お墓を守り続ける」という観点から直系の男子を優先するケースもあります。このように、それぞれのご家族の考え方に即して、喪主を選ぶのが適切です。

喪主になる方の一般的な候補
  • 配偶者
  • 長男、次男など直系の男子
  • 長女、次女など直系の女子

施主は費用負担ができる方

施主の最大の役割が費用負担ですから、これができる方であれば誰がその役割を担っても構いません

ただし喪主と施主を別に立てるケースでは、喪主の年齢などの要因から一層の配慮が必要なケースが少なくありません。喪主が未成年である場合などがそれにあたります。

このようなケースでは、施主の補助がより重要です。「適切に喪主のサポートができる」という観点を加えて選ぶのが適切といえます。

知っておくべき喪主・施主のマナー

喪主・施主はともに葬儀を滞りなく進める立場であるため、一般の参列者以上に葬式のマナーなどには気を使うべきでしょう。例えば服装も、喪主や施主はしっかりとした喪服を着用することが望ましいです。

最低でも準喪服大規模な葬儀では、喪主は正喪服を着用するのが適切です。靴や靴下などの小物にも気を配り、喪主・施主にふさわしい服装で臨みましょう。

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