喪服がないと非常識?急な葬儀の対処法や身だしなみのマナーを解説

急に届いた訃報で、「喪服がない」と慌てた経験がある方も多いのではないでしょうか?暗い色のスーツで参列してもよいか、それとも喪服を調達すべきなのか、普段から情報に接する機会が少ない分、悩んでしまいがちです。

喪服は、その名のとおり「喪に服していること」を表す服装であるため、葬儀への参列は喪服着用が原則です。一方で、一般の弔問客として通夜に参列する場合には、平服でもマナーには反しないとされています。

今回の記事では、どのような場面で喪服を着用すべきなのか用意するのであればどのような喪服なのかについて、詳しく解説していきます。

1分でわかる!記事の内容
  • 遺族は通夜・葬儀・告別式ともに喪服の着用が必須
  • 一般参列者は通夜であれば平服でもOK
  • 失礼にあたるものを「身に着けないこと」を意識する

喪服を着ないのはマナー違反?

通夜や葬儀へ参列する際に喪服を着用しないのは、マナーに反するのでしょうか?

葬儀にはさまざまなマナーがあり、服装もその1つです。喪服は、「喪に服していること」自体を表す服装であるため、葬儀への参列は喪服着用が原則です。

このため遺族であれば、必ず喪服を着用しなければなりません。一方で一般の参列者であれば、通夜は喪服でなくてもマナー違反ではないとされています。

どのようなケースで喪服を着用すべきなのか、またどのような喪服を用意すべきなのか、詳しくみていきましょう。

通夜は喪服以外で参列できる

訃報は突然訪れるものであることから、通夜への参列は喪服を着用しなくても問題ないとされています。むしろ「急いで駆けつけた」という意味で、喪服を着用しないことがマナーと考えられるケースもあるほどです。

しかし現在では、通夜だけに参列する会葬者も多いことから、「準備ができるのであれば喪服が望ましい」と考えられるようになっています。

実際に「職場から駆けつけるため着替える時間がない」などの場合を除いては、喪服を着用したほうがマナーの心配をせずに会葬できます。

しかし一方で、前述したとおり「通夜であれば喪服を準備する時間がないのが当然」という考えがあることも事実です。これは地域によっても違いがあり、どちらが正しいとは言い切れません。

どちらの考えに則した服装か悩むケースでは、黒無地のビジネススーツなどを着用するのも1つの方法です。

ただし故人の遺族である場合には、通夜でも喪服を着用しなければなりません。

葬儀・告別式は喪服を必ず着用する

一般の参列者でも、葬儀や告別式には喪服を必ず着用するのが葬式のマナーです。ここでいう喪服とは、後述する「準喪服」と捉えてください。

喪服を単なる「黒無地のスーツ」と認識されている方もいるかもしれませんが、ビジネススーツと喪服では生地や色合い、光沢などが異なります。

黒無地のスーツはあくまでも平服です。通夜であれば着用できます。

家族葬の場合も喪服を着用する

葬儀が家族葬である場合にも、喪服の着用は必須です。遺族はもちろん、葬儀に参列する方は全員喪服を着用するのがマナーといえます。

家族葬とは、ご家族や近親者だけの少人数で故人を送り出す小規模な葬式のことです。

近親者だけで行うことから「喪服は不要なのでは」と考えてしまうかもしれません。しかし、仮に小規模な葬儀であっても「喪に服していること」を表すためにも、喪服を着用すべきとされます。

喪服には3種類ある

喪服は3種類あります。しかし、一般的に使用されているのは準喪服で、喪服といえば準喪服を指すといっても過言ではありません。

  • 正喪服
  • 準喪服
  • 略喪服

それぞれの特徴と着用すべき場面をみていきましょう。

正喪服

正喪服は最も格式の高い喪服です。紋付羽織袴の和装モーニングコートなどがこれにあたります。喪主や故人と血縁関係の強い家族が着用するものとされ、一般の参列者は着用しないのがマナーです。

大規模な葬儀などでなければ、現在は喪主であっても正喪服を着用するケースは稀といえるでしょう。

準喪服

準喪服は、葬儀や法要で着用される最も標準的な喪服です。「準」喪服という名称ではあるものの、一般的に喪服といえば準喪服を指すものと覚えておきましょう。

黒無地のスーツと喪服の違いが分かりにくい方もいるかもしれませんが、ビジネススーツなどよりも光沢のない漆黒の生地を使ったスーツがこれにあたります。

男性・女性とも、「準喪服」として販売されているブラックスーツを選べば間違いありません。

略喪服

略喪服とは、厳密にいうと喪服ではないものの、それに準ずる服装といえます。男性であれば黒無地や濃紺などのダークスーツ、女性であれば黒のスーツやワンピースが該当します。

「平服」という指定があった場合には、この略喪服を指していると考えれば間違いありません。「普段着」という意味ではないことも覚えておきましょう。

略喪服は、通夜で急に弔問する際や、三回忌以降の法要で一般参列者が着るものとされています。このため基本的に葬儀や告別式では、着用すべきではありません。

購入するなら準喪服を

これから初めての喪服を購入するのであれば、準喪服を選ぶのが間違いのない選択です。なぜなら喪服には、その服自体の「格」が存在するからです。

喪主や故人と血縁関係の遺族には格上の喪服の着用が求められ、一般の参列者はそれより格下の喪服を着用するのがマナーとされています。

とはいえ、喪主が正喪服を着ているケースは稀であることも事実です。「喪主が準喪服であれば、それよりも格が落ちる略喪服がよいのでは」と考えられるかもしれません。

しかし喪主が準喪服を着用している際に、一般参列者が同等の喪服を着ることはマナー違反にならないと考えられています。

略喪服はあくまでも「喪服に準ずる服装」であって、本来の意味での喪服ではないからです。

身だしなみのマナー

喪服を着用して葬儀に参列する場合はもちろん、急な通夜に平服で弔問する場合にも、身の回りの小物なども含めて身だしなみには注意しなければなりません。

せっかく喪服を着用しても、アクセサリーや手荷物に無頓着であれば、それが失礼にあたる恐れがあるからです。

ネクタイは黒にする

特に出先や勤務先から通夜に駆けつける場合などには、ビジネススーツなどで弔問することもあり得ます。その場合でも、ネクタイだけは黒に換えておくとよいでしょう。

黒いネクタイは駅の売店やコンビニなどでも購入できます。柄のネクタイを黒に換えるだけでも、喪に服す意を表せるのです。

これと同様に、靴下などを黒に揃えることも有効です。男性であれば黒い靴下女性であれば黒いストッキングなどが比較的容易に手に入ります。

華美なネイルが気になる女性であれば、黒の手袋を着用するのも1つの方法です。

柄物・光物は避ける

平服で参列する場合でも、できる限り柄物や光物は避けたほうが無難です。特に結婚指輪以外のアクセサリーなどは外しておきましょう。

このほかにも、デザインの個性が強い腕時計や、殺生を連想させる革製のバッグなども避けるべきとされています。

弔問に際して新たに何かを入手するには限界がありますが、外すことは可能です。もちろん服装も柄物でないことが望ましいですが、時間の制約などで着替えができないことも考えられます。

そのような「できないこと」でマナー違反を心配するよりも、失礼にあたるものを身に着けないことのほうが、より有効な手段といえます。

通夜なら普段着でも問題ない

平服とは基本的に略喪服を指すものと前述しましたが、通夜に参列する場合には普段着でも構いません。

もちろん喪服やそれに準じた服装で参列するのが望ましいですが、難しいケースもあり得ます。柄物のスーツを着ている日や、作業着しか持っていない日に通夜の連絡が入ることもあります。

このような際には、黒いネクタイなど調達できるものだけを用意し、身に着けるべきでないものを外したうえで参列してもマナー違反ではないと考えるべきです。

それでもなお、服装が気になるのであれば、「はせ参じたため、失礼な服装で申し訳ありません」など、遺族に一言添えて挨拶するとよいでしょう。

喪服がないときの対処法

「遺族として通夜に出なければならない」「通夜には平服で参列したけれど、葬儀に着ていく喪服がない」など、急いで対処しなければならない場面も考えられます。

このような場合に、喪服を用意する方法についても考えていきましょう。

量販店で購入する

スーツの量販店なら、比較的多くの在庫から選んで当日に持ち帰ることが可能です。裾上げや軽微な直しであれば、即日で対応してくれる店も少なくありません。

ただし、選べるサイズなどが限られる点には注意が必要です。ウエストや袖丈など、大きなサイズ直しが必要な場合には、当日の仕上げが難しい場合もあります。

通常のスーツなどと同様に、適正なサイズで着ることは最低限の身だしなみです。間に合わせにサイズが合わない喪服を購入しても、それを着用することが好ましくない可能性も生じます。

また、普段から頻繁に着用するスーツなどとは違い、喪服は何度も買いなおすものではありません。1度購入したら、最低でも10年間は使うものと考えたほうがよいでしょう。

店舗で試着し、あまりにもサイズが合わない場合には、別の方法を選択することをおすすめします。

レンタルサービスを利用する

喪服のレンタルサービスを利用するのも有効な方法です。喪服のレンタルを行っている店舗は少なくありません。またレンタル専門の店舗だけでなく、葬儀社などで借りられる場合もあります。

大都市圏であれば、ご自宅から比較的近いエリアで喪服のレンタルを行っている店を探せる可能性が高いです。

レンタルサービスのメリットは、参列する葬儀に適したグレードの喪服を選べるうえ、身の回りの小物なども合わせて調達できる点です。

また、実店舗に出向けるのであれば、試着したうえで選べる安心感もあります。

しかし、近隣に店舗がない場合や出向く時間がない場合には、ネットオーダーなどを利用せざるを得えません。

この場合には試着ができないため、ご自身のサイズをしっかりと確認してオーダーする必要があることや、レンタル品の到着までに時間を要する恐れがあることが懸念点です。

参列しない知人から借りる

葬儀に参列しない知人や友人が喪服を貸してくれるのであれば、それも選択肢の1つです。とはいえ購入やレンタルで用意する場合以上に、サイズが合わないなどの不都合が生じます。

特に個人が所有している喪服は、その方の体形に最もフィットするように仕立ててあるのが通常です。仮に身長や体重が同じくらいであっても、不格好な印象を与えてしまう可能性が否めません。

意外に多いサイズの問題

喪服はあまり頻繁に使用しない方が多いことから、いざ着ようと思ったときにサイズが合わないケースが生じやすくもあります。

ご自身が持っている喪服でも、訃報が入ったときにはできるだけ早めに確認することを意識しましょう。

通夜や葬儀に出かける直前になって「喪服のサイズが合わなくて着られない」というトラブルが生じる話は、往々にして耳にするものです。

極端なサイズ違いはNG

喪服は葬儀のマナーとはいえ、そもそも適正なサイズの服装は最低限の身だしなみといえます。あまりにもサイズが合わない喪服であれば、むしろ着用しないほうがよい場合もあり得るのです。

仮に通夜の前に極端なサイズ違いが発覚したのであれば、平服での参列に切り替えるのも1つの手段です。

トラブルが生じないよう、ご自身が所有する喪服には、年に1度くらいは袖を通してみるとよいでしょう。

男性なら応急処置も可能

男性であれば、ズボンのサイズが小さくて入らない場合でも対処可能です。

あくまでも緊急の対応という域を出ませんが、ボタンを留めずに着用するという手段があります。余裕を持たせて安全ピンで止めるほか、ボタンホールにゴムを通してボタンにかけるなどの方法が応急処置として知られています。

上着を脱がなければ見えない場所のため、ほかに方法がない場合の緊急の対策として覚えておくとよいでしょう。

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