葬儀費用の平均相場はどのくらい?内訳や費用を抑えるポイントを解説

身内の葬儀費用を出す機会はあまり多くはありません。「どのくらいの費用がかかるのだろう?」と不安に思う方も少なくないでしょう。

葬儀費用は規模や形式によって大きく異なり、平均という数値がわかりにくい側面があります。このため葬儀費用の内訳を理解して、「それぞれの項目でどのような支出があるか」「項目ごとの目安の金額がいくらか」などを知ることが大切です。

今回の記事では、葬儀費用の平均的な相場から内訳まで解説します。葬儀費用を抑えるポイントを知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

1分でわかる!記事の内容
  • 葬儀費用の相場は一般葬で150万円~200万円、家族葬で100万円程度
  • 葬儀費用の内訳は葬儀一式の費用、飲食接待費用、お布施の3種類
  • 費用を抑えるには、高くなる要因を把握して対処をすることが必要

葬儀費用の相場は?

葬儀費用の相場は100万円とも200万円ともいわれ、明確な目安がわかりにくいものです。挙げる葬儀の規模や形式によって金額が大きく異なるため、参列者が30人規模の葬式と200人規模の葬式を比較することは合理的とはいえません。つまり、平均を目安にするのが難しいのです。

それでもなお葬儀費用の相場を示すとするならば、一般葬の場合は150万円~200万円程度、参列者が30人程度までの家族葬の場合は100万円程度といわれています。

ただし、実際に葬儀の準備をするにあたっては、葬儀費用の内訳を理解して、それぞれの項目でどのような支出があるかを把握しなければ、その費用が合理的か否かの判断はつきません。

葬儀の規模や形式による費用の増減が、どのような要因で発生するのかを理解することが、ご自身の希望に合った葬儀を合理的な費用で執り行うことにつながります。

葬儀費用の内訳は3種類

葬儀費用の内訳は主に3種類とされています。

  • 斎場の使用や運営費など葬儀一式にかかる費用
  • 会食や返礼品などにかかる飲食接待費用
  • 宗教者へのお礼にかかる費用(お布施)

前述したとおり、平均という金額の目安があてにならないほど、挙げる葬儀の規模や形式によってそれぞれの金額が大きく異なります。

一般的には葬儀一式にかかる費用が最も大きくなるものの、これは規模などに応じて抑えられます。それに対して宗教者へのお礼は規模などの要因で上下するものではないため、「お布施が最も高い」という可能性も低くはありません。

葬儀そのものにかかる費用(葬儀一式費用)

葬儀一式の費用とは、通夜から告別式まで執り行うためにかかる直接的な経費のことです。斎場の使用料や祭壇の設営にかかる費用、棺や骨壺の費用、遺体の搬送や安置にかかる費用などが挙げられます。

葬儀社の見積りはこれらの経費が含まれるのが一般的ですが、火葬場に支払う火葬料などは必ずしも含まれているとは限りません。また、納棺の前に遺体を清める「湯灌(ゆかん)」の有無や、火葬場に移動するマイクロバスの費用なども葬儀社の考え方、いわば葬儀社のおすすめによって異なります。

必要な項目がすべて含まれているかを、しっかりと確認することが大切です。


また、遺体の安置費用なども、逝去から葬儀までの日数によって変わる点も知っておきましょう。

葬儀一式費用の相場は、50万円とも150万円ともいわれます。参列者数によって斎場の使用料が大きく変わるほか、葬儀会場の象徴ともいえる祭壇の料金も、グレードに応じて20万円~100万円以上と大きな開きがあるからです。

葬儀一式の費用は、「必要な項目がすべて含まれているか」「突出して高い項目はないか」などを確認して、ご自身の考える葬儀と予算とのバランスを考慮して決めましょう。

葬儀社のプランに含まれる主な費用
  • 斎場使用料
  • 遺体の運搬費
  • 祭壇の設営費
  • 棺・骨壺
  • 位牌、遺影
  • スタッフの人件費
  • 枕飾り、仏衣など

飲食などにかかる費用(飲食接待費用)

飲食接待費用は、通夜の後に行う「通夜振る舞い」や、火葬の後に行う「精進落とし」などの会食にかかる費用と、会葬御礼や香典返しなどの返礼品にかかる費用です。

参列者の数が費用に直結します。


用意する食事の内容によっても金額が大きく異なりますが、通夜振る舞いの費用の目安は弔問客1人あたり2,000円~3,000円といわれます。

通夜振る舞いでは、寿司やオードブルなどのように1つの器に盛り込んだ料理を複数人で取り分けるのが一般的です。弔問客それぞれに対して個別の食事を用意するわけではなく、弔問客全員が通夜振る舞いの席に参加するわけでもないため、想定している参列数の1/2~1/3を目安に用意します。

通夜は本来、親族や親しい間柄の方が故人をしのぶ場でした。しかし、近年では日中に行われる告別式よりも、参列しやすい時間に行われる通夜に弔問客が集まる傾向が強く、参列者数がわかりにくいケースが多いです。弔問客に失礼のない範囲で、1人あたりの金額を抑えることなども検討すべきでしょう。

一方の精進落としは、通夜から火葬まで参列してくれたことに対する感謝の気持ちを示す席で、1人あたりの目安も5,000円~1万円程度となります。

通夜振る舞い・精進落としとも、僧侶も招待するのがマナーです。辞退された場合には、5,000円~1万円程度の御膳料を渡すのが一般的です。

宗教者へのお礼にかかる費用(お布施)

宗教者にお布施として包むのは、読経や戒名授与に対する謝礼です。あくまでもお礼という位置付けですから、明確な金額は決まっていません。このため葬式でのお布施の相場といわれる金額も、20万円~50万円と大きな差があります。

また、戒名には「位号(いごう)」といわれるランクがあり、それに応じてお布施の金額も大きく変わるのです。

相場に幅があるうえ明確な金額が提示されないため、ご自身で決めるのは難しいかもしれません。そのような場合には、葬儀社に相談してみることをおすすめします。

菩提寺(ぼだいじ)がある場合には、直接聞いてみてもよいでしょう。単刀直入に聞くのは失礼にあたりますから、「周りの方はいかほど包んでらっしゃいますか?」などの聞き方が無難です。

葬儀費用の追加料金

葬儀社から出される見積りには、希望する項目が計上されていなかったり、想定していたものよりもグレードの低いものが盛り込まれていたりする可能性が否めません。

打ち合わせを詰めていくにつれ、当初の費用よりも高額になるケースもままあることです。

見積りを確認する際には、ご自身が考えている項目をしっかりと突き合わせてみることが大切です。

オプション費用

葬儀費用の中でオプションとして計上されるケースが多いのは、前述した湯灌などです。バスタブやシャワーなど専用の道具を用意する必要があり、近年ではタオルで拭く程度に留めることも多いため、葬儀社のプランには含まれていない可能性があります。

また、遺体を移送する距離や安置する日数に応じて追加費用がかかるケースや、祭壇や棺などのアップグレードで追加費用がかかるケースなどがよくある事例です。

見積られていた金額よりも、結果的に費用が高額になる可能性もゼロとはいえません。参列者が想定よりも多かった場合などがこれにあたります。

飲食費や返礼品にかかる費用は、弔問客や参列者の人数によって当然変わります。例えば遺族が想定していたよりも、通夜の弔問客が多かった場合には、通夜振る舞いの料理や返礼品の数を増やさなければならないケースもあるでしょう。葬儀社では、このような不測の事態に対応するための準備をしているのが通常です。

葬儀社では、余った返礼品を返品できるなど、遺族の負担を考えた仕組みを用意しています。参列者数が読めないときなどには、事前に相談するとよいでしょう。

葬儀の形式による費用相場

近年ではさまざまな形式で葬儀が行われており、これによっても葬儀費用は大きく異なります。

葬儀の形式ごとの費用相場を確認していきましょう。

  • 一般葬
  • 家族葬
  • 一日葬
  • 無宗教葬
  • 直葬

一般葬

一般葬とは、文字どおり従来から広く行われてきた葬式の形で、会社関係の方や近隣に住まう方なども含め、多くの会葬者を呼ぶ葬式です。1日目に通夜、2日目に葬儀と告別式を執り行う、一般的な葬儀の形式をさします。

一般葬の費用相場は150万円~200万円程度といわれますが、参列者数によって大きな違いが生じるのがこの一般葬です。また、訃報を受けた方が参列するか否かの判断をし、事前に参加の可否を伝えるわけでもないため、参列者数が読みにくい形式ともいえます。

参列者の数を予測して斎場を抑える必要があることや、飲食接待費が多くなりがちなことから、葬儀費用が最も高額になるのです。

ただし費用の面では、参列者数に応じて香典が多くなるという側面もあります。葬儀費用は高額になっても、遺族の実質的な負担は軽減される傾向が強いのも一般葬の特徴です。

家族葬

家族葬とは、故人と血縁関係の近い親族やとりわけ親しかった友人など、近親者だけを招いて執り行う小規模な葬儀です。

葬儀の流れは一般葬と変わらないものの、参列者が少ない分、葬儀一式費用と飲食接待費用が抑えられます。このため家族葬に要する費用は、全体で100万円程度です。

家族葬に関しては、明確な定義があるわけではないですが、参列者を30人程度までに限定した葬儀を指してこう呼ばれます。

参列者が少ないことで、斎場の使用料や会食の費用などが抑えられる一方、読経や戒名に対するお布施などは参列者数の影響を受けません。このため、参列者1人あたりの費用で考えれば、一般葬よりも逆に高くなる可能性もあり得ます。

また、参列者が少ないことは、香典の額も少なくなることを意味しています。このため実質的な負担でいえば、一般葬よりも高くなる可能性があることを覚えておきましょう。

一日葬

一日葬とは、通夜を行わず、葬儀と告別式、火葬だけを1日で執り行う形式の葬式です。家族葬のように規模を制限するという形ではなく、葬儀の流れを簡略化した形式といえます。

一日葬の費用は、40万円から80万円程度が相場です。通夜を行わないことで1日分の会場費や通夜振る舞いで必要な飲食費などが抑えられます。ただし、斎場の料金については注意が必要です。遺体を葬儀の前日に運び入れなければならない場合や、斎場の使用料自体が2日分で設定されている場合など、通夜を行わなくても2日分の費用が必要になる可能性もあり得ます。

一日葬は費用を抑えられるだけでなく、遠方から参列する親族や高齢の参列者の時間的な負担、体力的な負担を軽減できる点をメリットと捉える方が多いようです。

とはいえ通夜を省略する形は、まだまだ一般に浸透しているとはいえません。親族からの同意が得られないことも、菩提寺から認められないこともあるでしょう。宗教上の教えで定められた儀式を省略することになるからです。

一日葬を検討する場合には、事前にお寺や親族に相談し、同意を得ておくことが不可欠です。

無宗教葬

無宗教葬とは、特定の宗教に則した儀礼、つまり宗教者による読経や説教、焼香などを行わない葬儀の形です。「自由葬」とも呼ばれます。特定の宗教にこだわりがない日本人ならではの葬式の形ともいえるでしょう。

費用の面では、僧侶による読経などを行わないためお布施の必要がないことが特徴です。前述のとおり、葬式でのお布施の相場は20万円~50万円ともいわれ、比較的大きな出費となっています。この負担がない分、他の葬儀形式よりも費用が抑えられる傾向があるのです。

一般的な葬儀で行われる読経や焼香などがない代わりに、故人に黙祷を捧げたり、献花を行ったりするのが一般的ですが、そもそも決められた形式がありません。故人の好きな音楽を流したり、生演奏をしたりするケースもあります。

無宗教という考え方は日本では一般的といえるものの、多くの葬儀は仏式で行われています。つまり無宗教の概念は、葬儀までは浸透しているとはいえません。

親族から同意を得られない可能性もあるうえ、菩提寺のお墓に入れなくなる可能性なども考慮する必要があるでしょう。

直葬

直送とは、通夜や告別式を行わず、火葬だけを行なう形式です。火葬式(かそうしき)とも呼ばれます。

宗教的な儀式は行わないか、火葬場で簡易的な供養を行うに留まります。つまり、故人との別れは火葬炉の前だけで行われ、僧侶が読経する場合にも納めの式だけを行うイメージです。

直葬の費用は20万円~50万円程度と、通夜や告別式に要する費用を必要としない分、大幅に圧縮できます。このほか、葬儀の時間が短縮できるなどのメリットが挙げられますが、まだまだ親族から同意を得るにはハードルが高いようです。

また、菩提寺があるケースでは、事前に相談をしておかなければお墓に遺骨を納められない可能性も否めません。

葬儀費用を抑えるポイント

葬儀費用を抑えるには、費用が高くなる要因を把握して、それに応じた対処をする必要があります。葬儀費用を合理的に抑えるためのポイントをみていきましょう。

複数の見積もりの比較

葬儀社を選ぶ際には、できるだけ複数の葬儀社から見積りを取って比較することが望ましいです。

葬儀社を選ぶのに許される時間は短く、さまざまな手続きを並行しながら見積りを比較するのは容易ではないかもしれません。

しかし、依頼した葬儀社によって葬儀費用が大きく変わるのはもちろん、葬儀社ごとに設定された内容やグレードが異なります。見積りの比較によって、希望する葬儀の形が明確になるという利点もあります。

葬儀の形式や規模の見直し

葬儀の費用を決めるうえで大きなウエイトを占めるのが、規模と形式です。葬儀費用の主な内訳として3種類の費用を挙げましたが、この中から重要視する項目とそうでない項目を見極め、不要な部分を削ることで葬儀費用を抑えられます。

そもそも近親者で落ち着いた葬儀を行いたいのであれば、参列者を限定した家族葬のほうが合っているでしょう。斎場を使わずに自宅で葬儀をあげれば、さらに出費を抑えることも可能です。

故人の希望とご家族の希望を考慮しつつ葬儀の形式や規模を見直すことは、合理的な葬儀費用の抑制につながります。

会食の見直し

会食の内容を見直すことも、葬儀費用の抑制に効果的です。

葬儀費用の中でも、会食に要する支出は小さくありません。しかし、通夜振る舞いなどは出席しない方も多く、出席したとしても礼儀として箸をつけただけで退席される方も一定数います。

弔問客の数が多ければそれだけ通夜振る舞いの支出は多くなりますから、会食の内容を見直すことは大きく費用を抑えることにつながります。

葬儀費用は誰が負担する?

どのような形であれ、葬儀を行えば少なからず支出が生じます。その費用は、どこから拠出すべきといえるのでしょう?

喪主が負担するのが一般的とされますが、それが必ずしも正しいとはいえません。葬儀費用として活用できる手段などについてもみていきましょう。

葬儀費用の負担者については、明確な決まりがありません。

一般的な負担者は喪主

葬儀の主催者が負担するのが一般的とされ、それは喪主にあたります。

葬儀の主催者とは別に、費用負担者として施主を立てるケースもありますが、家族が出す葬式においては喪主が施主を兼ねるのが通常です。

とはいえ、喪主だけでの費用負担が難しいケースもあるでしょう。この場合には、親族と事前に話し合い、複数人が共同で負担するなどの方法を検討するのが現実的です。

ただし、葬儀の形式やそれにかかる費用を決定するのは喪主の責任です。このため、事前に話し合いを行わずに他の親族に費用負担を請求すると、トラブルになる可能性が否めません。

香典の活用

香典には、故人を追悼するお供え物としての意味のほかに、葬儀費用の一部を負担して遺族を助けるという目的があります。つまり香典は葬儀費用にあてるべきお金といえるのです。

しかし、香典で葬儀費用をすべてまかなえるケースは極めて稀といえます。あくまでも一部を補填できるという認識に留めておいたほうがよいでしょう。

遺産の活用

過大な葬儀などではなく、社会通念上で合理的と認められる範囲の葬儀であれば、遺産の中から葬儀費用を支払うことも可能です。

ただしこの場合にも、葬儀費用を遺産の中から出すことに関して、相続人全員が合意している必要があります。故人の預金から葬儀費用を拠出して、後の遺産分割でトラブルが生じることもあります。

親族の方に費用負担を求めるケースと同様に、事前に話し合っておくことが必要です。

給付金の申請

葬儀費用を支払った方に対しては、健康保険から支給される給付金があります。申請をしなければ受け取れないため、忘れずに手続きをしましょう。

故人が社会保険に加入していた場合は「埋葬料(埋葬費)」、国民健康保険に加入していた場合は「葬祭費」として支給されますが、その内容はほぼ同様です。埋葬料は故人が加入していた健康保険組合などに、葬祭費は自治体の国民健康保険の窓口に申請します。

給付が受けられるのは2年以内で、それを過ぎると権利が時効によって消滅することも覚えておきましょう。

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