お通夜の正しいあいさつとは?例文や注意点、大切なマナーを解説

お通夜の正しいあいさつを身に付けたいと考えていませんか?

お通夜とは、故人と親しい方々が集まり、共に故人を偲ぶ儀式のこと。遺族や参列者に失礼のないように、本記事を読んで正しいあいさつを身に付けましょう。

解説する内容は、お通夜における正しいあいさつの意味や例文、注意点です。あいさつ以外のマナーや注意点にも言及しますので、ぜひ参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • お通夜のあいさつでは、感謝の気持ちや哀悼の意を表すことが重要
  • お通夜で注意したいあいさつは6種類
  • お通夜のあいさつでは、3つのマナーを身に付ける必要がある

お通夜の正しいあいさつとは?

あいさつには、「会合・儀式などで、改まってお祝いや感謝などの言葉を述べること。また、その言葉」という意味が含まれています。

お通夜でお祝いの言葉を述べることはありませんが、喪主が参列者に感謝の意を表したり、参列者が喪主・遺族に哀悼の意を表したりするために、正しいあいさつが欠かせません。詳しい内容をみていきましょう。

喪主の場合

喪主のあいさつでは、参列してくれた方々へ感謝の気持ちを伝えること、葬儀に必要な案内をもらさず伝えることが重要です。

はじめに故人と縁のある方々に対して、お通夜に足を運んでくれたことやお世話になったことへのお礼を述べます。来場してくれた僧侶にも忘れずに感謝の気持ちを伝えましょう。

お通夜の閉式の際には、以下の項目を伝えます。

喪主がお通夜の閉式で伝えること
  • 通夜振る舞いの案内
  • 告別式の案内

喪主はお通夜の主催者です。参列者が不安を感じることなく、故人と思い思いのお別れができるように、あいさつを通じて必要な情報を伝えましょう。

以下は、喪主があいさつするタイミングです。

喪主があいさつするタイミング
  • お通夜終了時
  • 僧侶へのあいさつ
  • 通夜振る舞いの「開式」「閉式」
  • 出棺時
  • 精進落とし

参列者の場合

参列者のあいさつでは、故人を悼む気持ちを表すこと、遺族への気遣いを伝えることが大切です。

哀悼の意を表すために、声のトーンを落とし、小さな声で話すことがマナーとなります。参列者があいさつをするタイミングは、受付や焼香などです。次章では、あいさつの詳しい内容をご紹介します。

正しいあいさつの例文と注意点

以下の場面のあいさつを解説します。

  • 遺族へのあいさつ
  • 参列者へのあいさつ
  • 喪主代理のあいさつ
  • 家族葬でのあいさつ
  • 僧侶へのあいさつ

それぞれの意味や注意点、例文について確認しましょう。

遺族へのあいさつ

遺族へのあいさつでは、お悔やみの言葉を使用します。お悔やみの言葉とは、参列者が遺族に対して思いやりの気持ちを表す言葉です。短い言葉でも構いません。

例文

この度はご愁傷様でした。心よりお悔やみ申し上げます

謹んでお悔やみ申し上げます


なお、「哀悼の意を表します」は、弔電で用いられるあいさつです。遺族の前では口にしないようご注意ください。

参列者へのあいさつ

参列者へのあいさつでは、喪主・遺族が参列者に対して、足を運んでくれたお礼や故人がお世話になったことへのお礼を述べます。

故人の死去について伝える際は、亡くなった日付や場所、理由などを伝えます。ただし、自死や事故の場合は、亡くなった理由にふれる必要はありません。「何をどのように伝えるか」については、参列者によって使い分けましょう。

なお、喪主は、お通夜終了の際に参列者全員に向けてあいさつします。告別式の日取りや場所を案内したうえで、結びのお礼を述べるのです。

例文

ここまでご紹介したポイントに沿って例文をみていきましょう。参列者へあいさつする際の一般的な順番がこちらです。

  1. 参列者へのお礼を述べる
  2. 故人の死去についてふれる
  3. 通夜振る舞いを案内する
  4. 告別式の案内を口頭で伝える
  5. 結びのお礼を述べる
参列者へのお礼を述べる

本日はお忙しい中、父のためにご焼香をたまわりまして、誠にありがとうございます。生前のご厚誼(こうぎ)についても、父に代わり、厚くお礼申し上げます。

故人の死去についてふれる

父は心臓を患っており、治療のために入院しておりましたが、昨日の午後1時30分、眠るように息を引き取りました。享年90歳でございました。

臨終の際には、家族や遠方から駆けつけてくださった親戚の皆さまとお会いでき、幸せな最期だったのがせめてもの慰めでございます。

父の加療中は皆さま方にいろいろとお世話になり、誠にありがとうございました。

通夜振る舞いを案内する

なお、故人の供養のためにささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。故人を偲びながらお召し上がりいただければと存じます。

告別式の案内を口頭で伝える

なお、告別式(葬儀)は、明日の午前10時ちょうどより、〇〇斎場にてとり行います。ご都合がよろしければご会葬くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

結びのお礼を述べる

本日はお忙しい中、父の通夜に足を運んでいただき誠にありがとうございました。

通夜振る舞いでのあいさつ

通夜振る舞いとは、遺族が主催者となり、参列者と僧侶を招いて食事やお酒を振る舞う食事会のことです。その目的は2つあります。1つ目は、参列者や僧侶へ感謝の気持ちを示すこと。2つ目は、食事の席で故人との思い出話を行い故人を偲ぶことです。

開式の例文

通夜振る舞いでは、喪主が開式と閉式のあいさつを行います。

開式のあいさつでは、あらためて参列者へのお礼を示しましょう。

例文

本日はお忙しい中、父の通夜へご参列いただき、誠にありがとうございます。生前に父が賜りました数々のご厚誼(こうぎ)についても、本人に代わりまして厚くお礼申し上げます。
ささやかではございますが、お食事を用意させていただきました。お時間の許す限り、食事をお召し上がりいただきながら、父との思い出話などをお聞かせいただけますと幸いです。

開式のあいさつ終了後、献杯をかかげる場合があります。献杯とは、参加者がグラスをかかげることで、故人に敬意を示す行為です。乾杯のように高くかかげたり、お互いのグラスを合わせたりはしませんのでご注意ください。

献杯をかかげる場合

それではグラスをお持ちいただきまして、私に続けて献杯のご唱和をお願いいたします。献杯。

閉式の例文

閉式のあいさつでは、通夜振る舞いに参加してくれたことへ感謝の意を表しましょう。その際、告別式(葬儀)もご案内します。

例文

本日はお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
生前親しくしていただきました皆さまにお集まりいただき、父もさぞ喜んでいることと存じます。名残惜しくはございますが、そろそろ夜も更けてまいりましたので、本日はこのあたりで終了とさせていただきます。
なお、明日の葬儀(告別式)は、明日の午前10時より、〇〇斎場にてとり行います。ご参列の際はお間違えのないようお願い申し上げます。
足元にお気を付けて、お帰りくださいませ。本日は誠にありがとうございました。

喪主代理のあいさつ

お通夜では、喪主が悲しみに打ちのめされていたり気持ちの整理ができなかったりして、あいさつできない場面もあります。その場合は、別の遺族が喪主を代理することとなります(喪主代理)。

喪主代理のあいさつでも、参列者に感謝の意を表すことが大切です。「喪主に代わりましてごあいさつ申し上げます。妻の〇〇です」と、前置きしてからあいさつにうつりましょう。前置きしたあとの流れは喪主の場合と同様です。

家族葬でのあいさつ

家族葬とは、身内などの親しい家族で集まり、故人をお見送りする葬儀を意味します。一般葬と異なり、参列者を幅広く招くことはありませんが、喪主があいさつを担当する点は変わりません。

そのため、家族葬のあいさつでも、故人と関係の深い知人・友人に感謝の意を表すほか、僧侶にもあいさつします。ただし家族葬だからといって特別なことを話す必要はありません。

僧侶へのあいさつ

読経のために足を運んでくれた僧侶に対して、喪主からあいさつします。

僧侶をお迎えする際は、以下のように簡潔にお礼を伝えましょう。

例文

お忙しい中、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。このような場面は不慣れなもので、不手際もあると存じますが、ご指導のほどお願い申し上げます。

お通夜が終了したあとに、再度あいさつします。

例文

お勤めありがとうございました。おかげさまで、滞りなく無事に通夜を終えることができました。明日の葬儀でも、お導きいただきますようお願い申し上げます。心ばかりではございますが、どうぞお納めください。

あいさつ後に、喪主からお布施(ふせ)をお渡しします。お布施とは、会場まで足を運び読経してくれたことに対して、お礼として渡すお金です。

お通夜のあいさつで大切なマナー

お通夜のあいさつで大切なマナーは、以下の3項目です。

  • 忌み言葉・重ね言葉を避ける
  • 3分程度にまとめる
  • 宗派の違いに配慮する

それぞれの詳しい内容や注意点をみていきましょう。

忌み言葉・重ね言葉を避ける

忌み言葉とは、不吉や不幸なことを連想させる言葉を指します。お通夜を含めた葬儀の席では避けるのがマナーです。

忌み言葉言い換え例
死ぬ、死亡、死逝去(せいきょ)された
急死、突然死急逝(きゅうせい)
生存、生きていたお元気なとき、ご生前(せいぜん)

重ね言葉とは、同じ文言を繰り返した言葉のこと。不幸が続く、別の不幸が重なるなどと、不吉を連想させてしまうため、お通夜で使用してはいけません。

重ね言葉言い換え例
またまた立て続けに、ひっきりなしに
次々立て続けに、ひっきりなしに
重ね重ねくわえて
だんだん少しずつ

お通夜で、忌み言葉や重ね言葉を使用してしまうと、遺族や参列者が不快感を覚えてしまいます。日常的に使用している言葉もありますので、お通夜の際はご注意ください。

3分程度にまとめる

お通夜のあいさつは、3分程度にまとめましょう。参列者は忙しい中、お通夜のために時間を割いてくれているからです。

ただし、故人の人柄を参列者に伝えたいという思いも遺族にはあるでしょう。エピソードを聞いた別の遺族や参列者が、故人との思い出を振り返るきっかけになるかもしれません。

そこで、あいさつの前にメモ書きや原稿を用意してみてはいかがでしょうか?大切な内容を忘れずに伝えられるほか、あいさつの最中に感情が高まっても、正しいあいさつができるはずです。

喪主も、故人を失ったことで精神的なショックを受けています。心の安定を保つためにもぜひ活用してみてください。

宗教・宗派の違いに配慮する

宗教や宗派の違いによって、あいさつに適切な言葉は異なります。これは宗教や宗派によって、死に対する思想が異なるからです。具体的な注意点を確認しておきましょう。

キリスト教

キリスト教ではお悔やみの言葉を使用しません。キリスト教には、「死の際に神からそれまでの罪を赦される」という思想観があり、死は悲しむべきことではないととらえられているからです。

遺族へかける言葉に迷ったときは、慰めの言葉を選びましょう。

  • 平安をお祈りいたします
  • 安らかな眠りにつかれますよう、お祈り申し上げます

神道

神道では、「故人は家の守り神になる」という考え方があるため、死後の幸せを意味する「冥福」や「成仏」といった言葉は避けるべきです。「御霊の平安をお祈りいたします」「拝礼させていただきます」といった言葉に置き換えましょう。

また、お悔やみの言葉としてよく使われる「ご愁傷様でございます」でも問題ありません。

浄土真宗

仏教の浄土真宗では、「ご冥福をお祈りいたします」「安らかにお眠りください」の言葉を使用しません

浄土真宗には、「亡くなったあとに念仏を唱えることで、阿弥陀如来が極楽浄土へ迎え入れてくれる」という考え方があります。「冥福」「霊前」という言葉は使用しないようご注意ください。

あいさつ以外で気を付けたいマナー

あいさつ以外に気を付けたいマナーについてご紹介します。それぞれの内容を確認して、失礼のない作法を身に付けましょう。

服装や髪型

お通夜では、遺族や親族より格式の高い喪服を避けるのがマナーです。参列者は、洋装の喪服を着用しましょう。

男性の注意点を簡潔にまとめました。

 男性の注意点
喪服ブラックスーツを着用
(黒、グレー、紺のダークスーツでも可)
ネクタイピンシルバーの目立たないものを付ける
派手な色や飾りはNG
黒色の革靴を選ぶ
足先のとがった靴、エナメル素材の靴はNG
髪型清潔感のある髪型

女性の注意点がこちらです。

 女性の注意点
喪服ブラックスーツまたはワンピースを着用
肌の露出の少ない物を選ぶ
ストッキング黒色のストッキングを選ぶ
ベージュのストッキング、素足はNG
メイクナチュラルメイクを心がける
派手なメイク、ノーメイクはNG

お通夜では、服装や髪型のほかにも服装に関するマナーが複数存在します。忘れずに確認しておきましょう。

香典

香典とは、お悔やみの気持ちをこめて、故人の霊前に供える金品のことです。お通夜では必ず持参します。

香典は、袱紗(ふくさ)に入れて持参して受付でお渡しします。香典は、故人との関係性に応じた金額を包みますので相場を確認することが大切です。

持ち物

お通夜では、目立たない物を選ぶことが大切です。ハンカチや鞄などを持ち込む場合は、柄物や派手な色合いを避けるようご注意ください。

また、アクセサリーも種類によってはマナー違反にあたる可能性があります。

細かい注意点を押さえてからお通夜に向かいましょう。

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