喪に服すとは?具体的な期間ややってはいけないことを解説

「喪に服すって、どのような意味があるんだろう?」このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?親族が亡くなられたときに「喪に服す」という言葉を聞きますが、具体的な過ごし方について知らないことは多いですよね。

喪に服す期間は、亡くなられた方との関係によって差がありますが、おおむね12カ月程度です。喪に服している間は、やってはいけないこともあるため、しきたりを守りたい場合は「過ごし方」に関して意識することが大切です。

こちらの記事では、喪に服すという言葉の意味や、やってはいけないことなどについて解説します。親族に不幸があった方に役立つ内容となっているので、参考にしてみてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 喪に服すとは、亡くなられた方の冥福を祈り行動を慎むこと
  • 喪に服す期間は12カ月程度が一般的
  • 喪に服しているときは慶事に参加しない

「喪に服す」の意味

「喪に服す(もにふくす)」とは、親族の方が亡くなられたあとに、冥福を祈る行為です。亡くなられた方に配慮して、ご自身の行動などを慎み、偲ぶ期間が「喪に服す期間」です。また、喪に服す期間は「喪中(もちゅう)」とも呼びます。

喪に服すことを通じて、徐々に悲しみを乗り越えて普段の生活に戻れると言われています。喪に服す期間や行動制限について法令上の定めがあるわけではありませんが、喪に服す期間は慶事を控え、秩序をもって過ごすのが一般的です。

なお、喪に服すという行為は、あくまでも「自主的に行うもの」です。誰かに強要されるものではなく、ご自身の判断で服する点には留意しましょう。

喪中と忌中の違い

故人の冥福を祈る期間には「喪中」と「忌中」があります。両者では「喪に服す期間の長さ」が異なるため注意しましょう。

喪中の期間については「喪に服す期間」にて詳しく解説するものの、長いときで1年間は喪に服します。

一方で、忌中は仏教の場合は四十九日法要を迎えるまで、神道の場合は五十日祭を迎えるまでと定められています。

忌中が明けたとしても喪中は続いており、その期間は引き続き喪に服すことになるのです。

喪に服す期間

喪に服す期間は正確に決められているわけではないものの、亡くなられた方との関係によって差があります。

ご自身との関係 喪に服す期間
両親・配偶者 12〜13カ月程度
6〜12カ月程度
祖父母・兄弟姉妹 3〜6カ月程度
親族以外 ご自身の判断

両親・配偶者が亡くなられた場合は「12〜13カ月程度」、子が亡くなられた場合は「6〜12カ月程度」が喪に服す期間の目安となります。「一周忌法要が終わるまで」が喪に服す期間というイメージです。

祖父母・兄弟姉妹の場合は「3〜6カ月程度」が喪に服す期間の目安です。なお、親族以外の方が亡くなった場合でも、ご自身の判断で喪に服せます。

例えば、生前特に懇意にしていた方や恩がある方が亡くなられたときは、自主的に喪に服せばよいでしょう。

喪に服す期間にやってはいけないこと

喪に服す期間は、亡くなられた方を悼むため、やってはいけないこと・ふさわしくない行動があります。以下で、喪に服す期間としてふさわしくない行動・過ごし方などを解説します。

結婚式などの慶事

喪に服している期間は、結婚式などの慶事は控えるのが通例です。結婚式だけでなく、できれば入籍も避けましょう

もし式場予約の関係で延期が難しい場合は、喪に服す期間であることを踏まえたうえで、催すとよいでしょう。

実際に、亡くなられた方が結婚を楽しみにしてくれていた場合などは、「予定どおり催すことが亡くなられた方への供養になる」と捉えることもあります。不安がある場合は、式場の担当者や家族とも相談してみてください。

結婚式への出席

ご自身が行う結婚式だけでなく、友人・知人の結婚式への出席も避けるのが無難と考えられています。喪に服している期間の慶事は控えるべきなので、ゲストとして招かれた場合であっても、結婚式への出席は避けたほうがよいでしょう。

ただし、急に出席を取りやめると新郎新婦に負担がかかってしまうことがあります。近年は、喪に服している期間でも「忌明け(四十九日法要が終わったあと)であれば問題ない」と捉えることもあります。

もし喪に服す期間と友人・知人の結婚式が被ってしまったときは、事前に新郎新婦側へ相談すると安心です。

お正月の祝い

喪に服す期間中は、お正月の祝いを慎むのが通例です。

  • 年賀状を出さない
  • 正月の飾りつけをしない
  • おせち料理は食べない
  • 初詣はいかない
  • お年玉はあげない
  • 「おめでとうございます」とは言わない

上記のように、通常のお正月とは異なる過ごし方をする点に留意しましょう。喪に服す期間は、年賀状を送らず前年のうちに喪中はがきか寒中見舞いを送ります

また、おせちは「新年を祝うための料理」が多くあるため、喪に服す期間に食べるものとしてふさわしくありません。神道では死を「穢れ」と考えているため、穢れを持ち込まないために初詣も避けましょう。

お年玉に関しても控えたほうが無難ですが、お小遣いという名目で渡す分には問題ありません。親戚の子が遊びに来たときにお年玉を渡さないのは酷でもあるので、名目を変えて渡してあげましょう。

喪に服している期間に新年を迎えたら、「あけましておめでとうございます」ではなく、「去年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いいたします」と伝えるのが、葬式全般のマナーです。

飲み会・宴会

飲み会や宴会など、楽しむためのイベントも喪に服している期間は避けましょう。アルコールを摂取し羽目を外して楽しんでしまうと、亡くなられた方に対して失礼にあたります。

ただし、楽しむ目的ではなくビジネスや仕事で参加せざるを得ない会合に関しては、出席しても問題ありません

仕事関連の飲み会や会合でも、お酒はほどほどにするか「喪中なのでソフトドリンクで失礼します」など伝えれば、失礼にはあたらないでしょう。

旅行

喪に服している期間は、旅行を避けるのが通例です。旅行も楽しむためのイベントなので、喪中の過ごし方としてふさわしくありません。

ただし、近年は「忌明け以降の旅行は問題ない」と捉えることもあり、考え方が柔軟になっています。予約していた旅行をキャンセルするとキャンセル料が発生し、また楽しみにしていた家族を悲しませることになりかねません。

そのため、事前に計画していた旅行に関しては、節度を守って楽しむ分には問題ないとされています。

喪に服す期間に何をするべきか

喪に服す期間は、亡くなられた方を悼むことを意識しましょう。ほかにも、法要の準備など遺族として行うべきこともあるため、何をするべきか押さえておくことが大切です。

亡くなられた方や葬儀に参列した方に対して失礼がないよう振舞うためにも、以下で解説する内容を参考にしてみてください。

亡くなられた方を偲ぶ

喪に服す期間は、第一に亡くなられた方を偲ぶことを優先しましょう。毎日仏壇へお供え物をして、手を合わせることで弔意を示せます。また、毎日線香をあげることも大切です。

亡くなられたことを悲しむだけでなく、亡くなられた方の考えや行動に思いをはせながら、喪に服せばよいでしょう。楽しいイベントをすべて制限するのではなく、節度を保ちながら徐々に日常生活に戻れるように意識してみてください。

四十九日法要の準備をする

亡くなられた日から48日目に四十九日法要が行われるケースが多いため、法要の準備を進めましょう。先祖代々の墓である菩提寺(ぼだいじ)の僧侶との連絡調整をはじめ、法要の段取りについて確認を行う必要があります。

また、参列が見込まれる人数次第では会場を確保する必要があるため、遺族の方々がやるべきことは多くあります。四十九日法要は亡くなられた方を冥土(めいど)にお送りするための重要な催しなので、着実に準備を進めましょう。

香典返しの準備をする

お通夜や葬儀の際に香典をいただいた場合は、香典返しの準備をする必要があります。香典返しは、一般的に四十九日法要のあとに行いますが、準備は早い段階で済ませておくと安心です。

香典返しでは、食品や消耗品などの「消えもの」を選ぶケースが一般的です。「いただいた香典の半額程度」の品物を探し、発注しておくとよいでしょう。なお、香典返しは、直接相手に渡しても配送しても問題ありません。

喪中はがきを用意する

喪に服す期間と新年が重複した場合は、年賀状ではなく喪中はがきを送る必要があります。喪中はがきは、新年のタイミングではなく、相手方が年賀状を作り始める前に送るのが一般的なマナーです。

具体的には、11月から12月初旬頃までに届くように手配すれば、失礼にはあたりません。喪中はがきは、年賀状のやり取りをしている方や葬儀に参列してくれた方などに送るため、人によっては多くの枚数を用意しなければなりません。

直前になって慌てないためにも、早い段階で喪中はがきを用意しておくと安心です。なお、亡くなられた日が12月中旬以降で喪中はがきが間に合わない場合は、新年に「寒中見舞い」を出します

遺品整理を行う

喪に服している期間に、遺品整理を行いましょう。遺品整理は、基本的には忌明け(きあけ)に行いますが、忌明け前に着手しても問題ありません。

亡くなられた方の持ち物が多い場合や、賃貸住宅に住んでいて速やかに退去したい場合は、早い段階で遺品整理を行いましょう。廃棄するものや継承するものなどを整理し、遺族で分け合えば遺品整理は完了です。

また、あわせて健康保険証の返納や年金停止の手続きなど、行政関連の手続きも忘れずに行いましょう。

喪に服す期間にやってもいいこと

喪に服す期間は、慶事や楽しいイベントなどを控えるのが通例です。「やってはいけないことが多い」のは確かですが、やっていいことも存在します。以下で、喪に服す期間にやってもいいことについて解説します。

仕事

喪に服す期間に、出勤して仕事をしても問題ありません。喪に服す期間は12カ月程度に及ぶこともあり、その期間に仕事を休み続けるのは現実的ではありません。

勤務先によっては「忌引き休暇」などを設けているため、勤務先のルールに応じて休む分には問題ないでしょう。親族が亡くなられたあとは、葬儀や遺品整理などで忙しくなるため、休暇制度を活用してください。

お中元・お歳暮

喪に服している期間に、お中元やお歳暮をやり取りすることも問題ないと言われています。お中元やお歳暮は「季節のあいさつ」「お世話になったことに対するお礼」であり、喪に服していることとは関係が薄いためです。

ただし、のしを貼って送るときは、めでたい意味合いを持つ紅白の水引が描かれたものは避けましょう。無地ののしを選び、購入する際に店舗のスタッフに「喪中の相手へ送る」ことを伝えれば安心です。

お正月以外の年中行事

お正月は新年を祝う「慶事」なので慎むべきですが、お正月以外の年中行事に関しては行っても問題ありません。

  • ひな祭り
  • 節分
  • 七五三
  • お宮参り
  • 暑中見舞い
  • 寒中見舞い

上記のように、季節のイベントや「人生で一度きり」などの重大なイベントに関しては、喪に服す期間でも行って大丈夫です。

寺院への参拝

喪に服している期間に初詣は控えるべきですが、寺院への参拝は問題ありません。

死を「穢れ」と捉えているのは神道で、仏教ではそのように考えていないためです。初詣に行きたい場合は寺院へ参拝すれば、しきたり上は問題ありません。

喪に服す期間や過ごし方に関するよくある質問

最後に、喪に服す期間や過ごし方に関するよくある質問をご紹介します。身内の不幸があると落ち込んでしまいますが、亡くなられた方に弔意を示しながら過ごす必要があります。多くの方が疑問に感じていることをまとめたので、参考にしてみてください。

喪に服す期間は具体的に何をしますか?

喪に服す期間は、まず亡くなられた方を偲び冥福を祈りましょう。「喪」には、亡くなられた方の近親者が、一定期間祝い事や交際を避ける意味があります。

亡くなられた方を偲びつつ、四十九日法要や香典返しの準備も進めていきましょう。

喪に服すときのマナーは宗教によって違いますか?

喪中のマナーに宗教による差はほとんどありませんが、キリスト教と浄土真宗(仏教)は例外です。キリスト教では死者が復活すると考えられており、浄土真宗では死後に仏様になると考えられています。

上記の理由から死を悲しむ必要はなく、喪に服すという考え自体が存在しません

ほかの宗教や宗派のように、やっていいこと・やってはいけないこと決められていないのです。なお、日本で生活する以上、建前として喪中はがきを出すことはあります。

神社へ参拝に行っても大丈夫ですか?

神社への参拝は忌中を終えるまでは控えましょう。仏教の場合は四十九日法要を迎えるまで、神道の場合は五十日祭を迎えるまでは避けるのが無難です。

しかし、喪中期間にわたり神社への参拝を遠慮する必要はありません。喪中であっても忌中が終われば参拝して構わないのです。

喪に服す期間にやってはいけないことは何ですか?

結婚式や飲み会、旅行などの楽しいイベントは避けるべきとされています。ほかにも、祝賀会やパーティーなどへの出席も避けたほうが無難です。

ただし、近年はそこまで厳格ではなく、事情に応じて結婚式や旅行への参加もできます。亡くなられた方に対する供養の気持ちを忘れず、柔軟に決めればよいでしょう。

喪に服している期間、外出しても大丈夫ですか?

喪に服している期間中、外出を制限されることはありません。厳格な家では、不要不急な外出を控えることがあります。

ただし、仕事などで外出せざるを得ない場合、外出を控えるのは現実的ではありません。喪に服す期間の外出に関しては、そこまで気にする必要はないでしょう

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