香典返しの金額相場とは?贈るタイミングや即日返しについても解説

「香典返しの相場はどれくらい?」「高額な香典を受け取ったときはどうすればいい?」など、香典返しの金額相場についてお困りではありませんか?

香典返しの金額相場は、受け取った香典の半額程度の品物を贈る「半返し」が一般的です。しかし、地域や事情によっては4分の1〜3分の1程度でよいとされているケースや、香典返し自体必要ないこともあります。

この記事では、香典返しの金額相場や贈るタイミング、即日返しについて解説します。香典返しの金額相場についてお困りの方はぜひ参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • 香典返しの金額相場は、受け取った香典の3分の1〜半分程度
  • 即日返しだけではお返しが不足する場合、あらためて後返しをする
  • 香典返しを辞退されたときなど、「半返し」にこだわらなくてよいケースもある

そもそも香典返しとは

そもそも香典返しとは、お通夜や葬儀で参列者から受け取った香典に対するお礼のことです。日持ちするお菓子やお茶、タオル、カタログギフトなどがよく選ばれています。

また、四十九日の法要後に贈るときは「無事法要がすべて終わりました」という報告も兼ねます。香典へのお礼であるため、香典をいただいていない方には渡す必要がありません。

香典返しの金額相場

香典返しの金額相場は、受け取った香典の3分の1〜半分程度です。以前は関東では半分、関西では3分の1というのが主流でしたが、現在もっとも一般的なのは、受け取った香典の半額に相当する品物を贈る「半返し」です。

香典の金額に対する品物の予算は以下を参考にしてください。

香典の金額品物の予算
1万円5,000円
5,000円2,500円
3,000円1,500円

ただし、地域によっては現在も細かい慣習が残っているところもあるため、ご自身の地域の相場がわからない場合は、親族や地域のことに詳しい方に確認するとよいでしょう。

お供えものや供花をいただいた場合

いただいたのが供花のみである場合、お礼は挨拶状(お礼状)のみで済ませるパターンが一般的で、わざわざ品物を用意する必要はないとされています。

しかし、感謝の気持ちを込めて菓子折りを贈るケースなどもあります。お返しをするかどうかは、ご自身の気持ちや相手との関係性、地域性などを考慮して判断するとよいでしょう。

お供えものをいただいたときも、お返しをするべきかどうかは意見が分かれるところですが、お返しをしないにしても挨拶状を送り感謝を伝えるのがマナーです。

お返しの相場は、香典返しと同じくお供えものや供花にかかった金額の3分の1〜半分程度です。香典返しと分けて用意する必要はないため、香典もいただいているならお供えものや供花のお返しと香典返しの合計金額で品物を選ぶとよいでしょう。

葬儀当日に渡す即日返しとは

即日返しとは、香典返しを後日贈るのではなく、お通夜や葬儀当日に渡すことをいい、「当日返し」と呼ぶこともあります。当日その場で渡せるため、後日品物を発送する手間や送料がかからず、挨拶状をつける必要もありません。

即日返しの品物は事前に用意しておき、香典の金額にかかわらず香典をいただいた方全員に同じものを渡します。お通夜や葬儀に参列してくれた方全員に配布する「会葬御礼」とは別物であるため、香典をいただかなかった方には渡す必要がありません。

もし途中で品物が足りなくなったら、渡せなかった方をメモしておき、後日お返しするようにしましょう。

なお、即日返しの金額相場は2,000〜3,000円程度です。

香典が即日返しより多い場合は後返しをする

想定していたよりも多めに香典を受け取ったときなど、即日返しで返しきれないなら、後日あらためてお返しをします。

たとえば、半返しが一般的な地域で受け取った香典が1万円なら、本来5,000円相当のものをお返しするべきです。そのため、2,000〜3,000円の即日返しではお返しが不足します。

このようなケースでは、1,000〜3,000円の品物を別途用意し、後日「後返し」というかたちで贈ります。

香典返しのタイミング

香典返しは、忌明け後に行うことが一般的です。ただし、忌明けの時期は宗教・宗派によって異なります。宗教・宗派ごとのタイミングは以下のとおりです。

宗教・宗派香典返しのタイミング
仏教四十九日の法要後2週間以内
キリスト教カトリック追悼ミサ後1カ月以内
プロテスタント召天記念式後1カ月以内
神道五十日祭後1カ月以内
無宗教いつでも

このように、宗教によって忌明けの時期が異なるため、香典返しのタイミングもそれぞれです。

忌明け後は、これまでの疲れが出て思うように準備が進まないことも考えられます。たとえば仏教であれば、初七日あたりから少しずつ準備を始めるなど、早くから取り掛かっておくとあとから慌てずに済むためおすすめです。

無宗教に関しては、とくに「忌明け」というものが存在しないため、葬儀が終わったらいつ香典返しを行っても構いません。

香典返しの相場に左右されないケース

香典返しの相場は「半返し」であると前述しましたが、必ずしもそのとおりにする必要はありません。中にはさまざまな事情から、香典返しの相場を考慮しなくてよいケースもあるためです。ここでは、香典返しの相場に左右されないケースをご紹介します。

高額な香典を受け取った場合

高額な香典を受け取った場合、無理に半返しする必要はありません。受け取った香典の4分の1〜3分の1程度の品物でも、失礼にはあたりません。

高額な香典に対してのお返しは、カタログギフトがおすすめです。高級感のある品物も多く掲載されているため、贈ると喜ばれるでしょう。

香典返しを辞退された場合

香典返しを辞退された場合、無理に渡さないほうがよいこともあります。もらいっぱなしでは気が済まないかもしれませんが、相手の気持ちをありがたく受け取り、電話や挨拶状(お礼状)などで後日感謝の気持ちを伝えましょう。

お中元やお歳暮などの機会に贈りものをするのも1つです。

親族・親戚に香典返しをする場合

親族や親戚に香典返しをする場合も、半返しにこだわらなくてもよいケースがあります。本来であれば、親族や親戚に対しても半返しするのが基本です。

しかし、遺族の生活を気遣い通常よりも多めに香典をいただくことがあり、その場合は4分の1〜3分の1程度のお返しで構いません。場合によっては、お返しをしなくてよいこともあります。

勤務先から香典を受け取った場合

勤務先から香典を受け取った場合、ケースによっては香典返しが不要です。たとえば、香典の名義が会社名で、会社の総務部などから形式的に贈られたものであれば香典返しは必要ありません。

しかし上司や同僚、取引先の担当者などから個人的にいただいた場合は、通常と同じように香典返しをすべきです。名義が会社名+社長名であるなど、どのように対応すべきかわからないときは、会社の担当部署に問い合わせましょう。

また、「社員一同」や「◯◯課一同」など、連名で香典をいただくケースもあります。その場合、香典金額を人数で割ってそれぞれ個別にお返しするか、個包装のお菓子など、複数人で分けやすい品物を用意します。

故人が一家の大黒柱だった場合

大黒柱として一家を金銭的に支えていた方が亡くなった場合、遺族がこれから生活していくため香典返しは3分の1でよいとされています。なお、遺族の今後を心配して多めに包んでくれたようなケースでは、香典返しを辞退されることも珍しくありません。

地域の慣習がある場合

地域の慣習がある場合も、半返しにこだわる必要はありません。地域によっては香典自体が1,000〜5,000円程度と少ないケースや、香典返しを行わない、受け取らない風習のある地域、即日返しが一般的なところなどさまざまです。

どのようにするのがベストか、事前に確認しておくことをおすすめします。

故人の意志により香典を寄付する場合

故人の意志に従って香典を慈善団体などに寄付するなら、香典返しは不要です。ただし、その場合は香典をいただいた方々にひと言報告しておかないと、香典を受け取ったにもかかわらず香典返しをしなかったと誤解されてしまう可能性があります。

香典を寄付したことについて挨拶状(お礼状)の中で説明し、香典をいただいた方それぞれに送るようにしましょう。

香典返しの基本的なマナー

香典返しはマナーを守ったうえで行わないと、どれだけ心を込めて品物を贈っても悪い印象を与えてしまいます。ここでは、香典返しの基本的なマナーについて解説します。

タブーとされている品物は避ける

香典返しの品物には、タブーとされているものもあります。たとえば以下のものは香典返しにはふさわしくないため、避けなければなりません。

タブーとされている品物
  • 生肉・生魚などの「四つ足生臭もの」
  • 昆布や鰹節などの縁起物
  • お酒
  • 金券や商品券

「四つ足生臭もの」と呼ばれる生肉や生魚は、香典返しにふさわしくないとされています。殺生に直結するため宗教的によくないという理由もありますが、生ものは足が早く現実的にも向いていないため避けましょう。

昆布や鰹節の縁起物、お酒も祝いごとに使われるものであるため、弔事にはふさわしくありません。そのほか、金券や商品券など、金額がはっきりわかってしまうものも避けたほうが無難です。

郵送する場合は挨拶状(お礼状)をつける

香典返しを郵送する場合、挨拶状(お礼状)をつけるのがマナーです。直接手渡すなら口頭でお礼や法要が終わったことの報告ができますが、郵送ではお礼も何も伝えられないためです。

品物だけを送りつけるのは失礼にあたるため、きちんと挨拶状を添えましょう。なお、挨拶状を作成する際にも、守るべきマナーはいくつかあります。たとえば、以下のようなことに注意して作成する必要があります。

挨拶状の注意点
  • 頭語(謹啓、拝啓など)、結語(謹白、敬具)を使用する
  • 句読点(「、」「。」)を使用しない
  • 重ね言葉や忌み言葉を避ける
  • 「逝去」は故人への敬語であるため使用しない
  • 宗教・宗派や地域性に合わせる

重ね言葉とは、「ますます」「たびたび」などのように、同じ言葉を繰り返すことです。「悪いことが重なる」という意味に捉えられるため、使わないようにしましょう。

また、「死ぬ」や「生きる」など、直接生死につながる言葉は「忌み言葉」と呼ばれ、挨拶状にはふさわしくないとされています。

そのほか、宗教・宗派や地域によっても使用できる文言は異なります。使用できる言葉と使用できない言葉、ルールについて調べたうえで作成しましょう。

表書きは「志」が一般的だが宗教にもよる

香典返しには「掛け紙」をつけるのがマナーです。掛け紙に記載する表書きは「志」がもっとも一般的であり、宗教・宗派に関係なく使用できます。

しかし、宗教によってはほかにもふさわしい言葉がある場合や、地域によって異なる部分などもあるため注意が必要です。宗教・宗派、地域別の表書きは以下のとおりです。

宗教・宗派、地域表書き
仏式「志」
キリスト教式、神式「偲草」「偲び草」
関西〜西日本「満中陰志」
中国・四国地方、瀬戸内海側「茶の子」

どのように書けばよいのかわからないときは詳しい方や葬儀社などに確認し、それでもよくわからない場合は「志」を使用するとよいでしょう。

香典返しに関するよくある質問

香典返しに関するよくある質問をご紹介します。

高額な香典とはいくらから?

高額な香典とは、一般的に3万円以上を指します。故人と差出人の関係にもよりますが、3万円を超える場合は無理に半返しせず、4分の1〜3分の1の金額で香典返しを準備するとよいでしょう。

3万円をいただいたときの香典返しの相場は?

先にも述べたように、3万円は高額な香典にあたるため半返しをする必要はありません。3分の1でお返しする場合は1万円前後の品物を、4分の1でお返しする場合は7,500円前後の品物を贈りましょう。

5万円以上の香典をいただいた場合、香典返しの相場は以下のようになります。

3分の14分の1
5万円1万7,000円前後1万3,000円前後
7万円2万4,000円前後1万8,000円前後
10万円3万3,000円前後2万5,000円前後
20万円6万7,000円前後1万5,000円前後

香典返しでお菓子を贈るときのタブーは?

香典返しでお菓子を贈る場合、縁起物と捉えられる品物は控えましょう。たとえば、長寿を意味するツル・カメや、子孫繁栄を意味するウサギが描かれたお饅頭などは避けたほうが無難です。

紅白の品物も祝い事を意味するため避ける傾向にあるものの、地域によって差がみられます。天寿を全うしたことの祝いとして、縁起物である紅白饅頭を贈る風習もあるため、ギフトを購入する前に確認しておきましょう。

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