遺影写真に決まりはある?写真のサイズや選び方、準備方法を解説

遺影写真の選び方がわからず、困っている方もいるのではないでしょうか?

遺影のサイズや選び方を知っておくと、万が一のときにスムーズに準備できます。生前から準備しておけば、故人も遺族も納得のいく遺影を飾れるでしょう。

今回は、遺影写真の決まりや選び方、準備方法などをご紹介します。

1分でわかる!記事の内容
  • 遺影とは、葬儀の祭壇に飾る故人の写真
  • ルールはないが、ピントが合っていて故人の魅力が伝わる写真がよい
  • 仏壇の中や上には飾らずに、仏壇近くや仏間に飾る

遺影写真とは?

遺影(いえい)とは、葬儀の祭壇に飾られる故人の写真です。故人を追悼するために、最後のお別れの場に飾ります。

遺影の歴史はさほど古くなく、日清・日露戦争で戦死した軍人の葬儀で使い弔われたことがきっかけとされています。

遺影を飾るかどうかは故人や遺族の自由なので、必ずしも用意する必要はありません。とはいえ、現代の葬儀では飾るのが一般的です。

遺影を飾る場合、通夜当日のお昼までに準備しておきましょう。亡くなってから通夜までにはやるべき仕事が多くあるため、できれば生前に準備しておくことをおすすめします。

遺影写真に決まりやルールはある?

遺影に使う写真に決まりやルールはありません。どの写真を使うかは、故人や遺族が自由に決められます。

印刷やインターネットなどの技術発展に伴い、近年は撮影や加工方法がどんどん自由化しています。背景や服装はあとから合成できるので、特に気にする必要はありません。正装で撮影する必要はなく、スナップ写真も可能です。

フレームも黒の漆塗りが定番でしたが、現在はカラフルなパステル調や木目調、アルミや樹脂などの素材でできたものなどさまざまです。葬儀社も多種多様なフレームを用意しているので、好みや雰囲気などに合わせて選ぶとよいでしょう。

通常は葬儀社のプランに遺影が含まれており、適切なサイズの額縁を合わせてくれます。

遺影に適した写真の選び方

 遺影写真を選ぶときは、以下3つのポイントを重視しましょう。

その人らしさが出ている

遺影は、故人の魅力が出ている写真が理想です。以前はかしこまった表情の写真を選ぶのが一般的でしたが、現在は故人らしさが出た写真が好ましいとされています。

服装は正装でなくてもよく、表情は笑顔であってもかまいません。故人が真面目なタイプなら引き締まった表情、穏やかなタイプなら笑顔など、故人の魅力や人柄が伝わるものを選びましょう。 

趣味の時間や友人・家族と旅行しているとき、記念日などがおすすめの撮影シーンです。リラックスした状態で撮影した写真は、故人の魅力が出やすいと言えます。

また、背景に関してはグレーが一般的ですが、故人の好きな色を選ぶことも可能です。ピンク・黄などの暖色から青・紫などの寒色まで幅広くあり、なかには花壇や空模様といった風景も選択できます。

葬儀後に飾ることも考えて、故人をより身近に感じられるような写真を選びましょう。

ピントが合っている

ピントが合っていて、200万画素以上の高画質であることも大切です。

解像度が低くピントがズレていると、拡大したときにぼやけた印象になります。最近のスマホやデジタルカメラで撮影した写真なら、ほぼ心配ありません。

ただし、集合写真からの切り抜きで顔が小さい場合は、綺麗に仕上がらないので注意が必要です。顔の大きさは、10円玉サイズ以上あることが目安です。

綺麗な写真に仕上げるために、故人の顔がしっかりとわかるものを選びましょう。

葬儀の場で故人と向き合えるように、カメラ目線の写真を選ぶとよいです。

直近に撮影している

遺影は亡くなる1~5年以内に撮影したものが理想です。直近に撮影した写真なら、故人が元気だったころの様子を思い出しやすくなります。

何十年も前の写真を使うと違和感が生じます。若いころの写真を使いたいときは、メモリアルコーナーを作るなど工夫しましょう。

ただし、病気だった期間が長くて亡くなる直前の写真がない場合は、直近のものでなくてもかまいません。困ったときは、葬儀社の担当者に相談してみてください。

遺影写真のサイズ

サイズに決まりはありませんが、一般的に「祭壇用」と「焼香台用」の2サイズに分けられます。

祭壇用 四つ切りサイズ 縦305mm×横254mm
A4サイズ 縦297mm×横210mm
焼香台用 L判サイズ 縦127mm×横89mm
小キャビネサイズ 縦165mm×横120mm
2Lサイズ 縦178mm×横127mm

祭壇用は、葬儀会場のうしろからも顔が見えるような大きいサイズを使います。

自宅に飾る焼香台用の写真は、小さめのはがきサイズが一般的です。焼香台に使用した遺影は仏壇用としても使えるため、葬儀終了後もそのまま使用されることが多いです。

上記以外でも、「写真を持ち歩きたい」「部屋に小さく飾りたい」など、要望や用途に合わせたサイズを選べます。

サイズを選ぶときは、額縁の選び方も重要です。葬儀が終わってから部屋に飾りたいなら、部屋の雰囲気に合う色やサイズを選ぶ必要があります。

生前に遺影写真を準備する方法

遺影に使う写真は、早めに決めておくのが理想です。事前準備を怠ると、短時間でバタバタと決めてしまい、中途半端な遺影になって後悔することがあります。

遺影は葬式の中でも大切なものであり、ずっと残り続けるものです。死後はさまざまな手続きで忙しくなり、遺影まで手が回らないことが多いので、生前からしっかり準備しておきましょう。

遺影を準備する方法は、主に2つあります。それぞれの方法について、詳しく解説します。

フォトスタジオで撮影する

生前に準備するなら、フォトスタジオで撮影するのがおすすめです。

フォトスタジオで撮影するメリットは、次のとおりです。

フォトスタジオで遺影写真を撮影するメリット
  • 品質がよく綺麗に仕上がる
  • こだわりのある写真を用意できる
  • 衣装レンタルやヘアメイク込みの撮影プランがある
  • 予算に合わせてプランを選べる
  • 画像の加工をしてもらえる

プロのカメラマンにアドバイスをもらいながら撮影するため、納得のいく1枚に仕上がります。 

料金は、ヘアメイク込みで2万円前後が相場です。オプションサービスが用意されていることも多く、衣装のレンタルやヘアメイクもプロにお任せできます。

出張撮影に対応しているところもあるので、事前に問い合わせてみましょう。

既存の写真を加工する

既存写真からご自身で加工するのも1つの方法です。加工ソフトやアプリを使えば、プロに依頼しなくても安く準備できます。

服装や雰囲気などは、加工によって希望に近づけられます。サイズを大きくしたり集合写真から切り取ったりできるため、納得いく遺影に仕上がるでしょう。

現在は写真の加工技術が進化しており、集合写真から故人だけを切り抜くことも可能です。 集合写真なら故人も自然な笑顔や優しい表情をしていることが多く、故人らしさが伝わる自然な写真に仕上がります。

ただし、ご自身で加工をするにはソフトやアプリの専門知識が必要です。知識や技術がない状態から作る場合は、作業に時間と手間がかかるため、葬儀までに間に合わないかもしれません。遺影に使いたい写真があるなら、あらかじめ加工しておきましょう。

また、見た目に違和感が出ないように配慮することも大切です。自己満足にならないように、参列者の見え方に注意しながら作成しましょう。

遺影写真の準備にかかる費用

葬儀会社やフォトスタジオに依頼する場合にかかる費用の相場は、1~5万円ほどです。費用の内訳は以下のとおりです。

撮影代 5,000円~3万円
加工代 5,000円~7,000円
装飾代(額縁・リボン) 5,000円~1万円

葬儀会社に依頼せずに、ご自身で既存写真を加工処理して作ったほうが費用を抑えられます。しかし、無料の写真加工アプリや修正ソフトには、できることに限界があります。高品質を求める場合は、業者に依頼したほうがよいでしょう。

料金は業者によって異なるので、事前確認が必要です。遺影のサイズや額縁の大きさ、オプションによっても値段は変わるので、よく比較検討しましょう。

なお、葬儀会社によっては遺影撮影がプランに組み込まれていることもあります。葬儀プランの内訳も確認しながら、どこに撮影を依頼するのかを考えてみましょう。

遺影写真の飾り方

遺影写真の飾り方には、いくつかルールがあります。

後飾り祭壇に飾る

葬儀と火葬が終わったあとの遺影は、四十九日の法要まで遺骨や位牌と一緒に後飾り祭壇に飾ります。後飾り祭壇とは遺骨を一時的に祀るための祭壇で、 忌明けまでの間、遺族や弔問客が故人を供養するためのものです。

四十九日が過ぎれば片付けるのが一般的ですが、そのまま飾り続けても問題ありません。

遺影は祭壇の上段に置くケースが多いですが、中段に置くこともあります。配置に関しては、葬儀社のスタッフに任せるようにしましょう。

仏壇の近くや仏間に飾る

四十九日を過ぎたら、仏壇のそばや仏間に飾るケースが多いです。自宅に仏間がない場合は、和室の床の間やリビング、寝室などに飾るケースが多いです。

場所選びに困ったときは、目につきやすい場所に飾りましょう。日常生活の中で、遺影が自然に目に入りやすい場所に飾れば、いつでも故人を思い出せます。

昔は鴨居(かもい)や長押(なげし)に取り付けることが一般的でしたが、現代の日本では和室のない住宅が増えています。そのため、近年は小さなフォトフレームなどで飾るケースも少なくありません。

ただし、飾り方が決められている宗派もあります。例えば、曹洞宗では南向きに置くことが決められています。あらかじめ宗派や地域の風習を確認しておくとよいでしょう。

仏壇の中や上には飾らない

仏壇にはご本尊が飾られているため、仏壇の中や上に飾るのは避けましょう。仏壇は彼岸の世界を表す場所なので、その中に遺影を入れたり、仏壇の上に置いたりするのは失礼にあたります。仏壇の中に飾ると、本尊が隠れてしまいお参りができません。

仏壇の中ではなく、近くにテーブルなどを設置して、そこに飾りましょう。 仏壇の上に飾ると仏様を見下しているようになるので、仏壇の真上を避けて見やすい場所に飾ります。

遺影をしっかり固定して飾る

遺影を飾るときは、地震などで倒れたり落ちたりしないように固定しましょう。遺影が落ちると縁起が悪く、フレームが破損してケガをする可能性もあります。

仏間や床の間などに置いて飾るときも、置き場所は選びましょう。小さい子どもやペットがいる家庭では、誤って落として壊してしまう危険性もあります。そのため、子どもやペットが触らないような棚の上部などに置くのがおすすめです。

葬儀後の遺影写真はどうする?

遺影を葬儀後にどう扱うかは遺族の自由です。ここでは、葬儀後における遺影の扱い方を解説するので、参考にしてください。

写真のサイズを小さくして保管する

遺影が大きくて置き場所に困る場合は、サイズを小さくしましょう。

現代の日本では、仏間やスペースのない住宅が多く、遺影を飾るのが難しいケースが増えています。また、賃貸住宅のため飾るスペースを確保できない方もいます。

そのような住宅でも、小さいサイズであれば飾る場所に困りません。場所を取らず、持ち運びもしやすいため、机の上やソファの横など好きな場所に置けます。思い出として手元にしまっておくことも可能です。

処分をためらう方は、サイズを変えて保管しましょう。

データ化して保存する

写真をデータ化して、パソコンやスマホなどで保存するのも1つの方法です。写真をスキャンしてデータ化すれば、劣化を防いで長期保存できます。

デジタルデータなら場所をとらないので、保管場所に困りません。手持ちのスマホやタブレットなどで、いつでも好きなときに眺められるのもメリットです。あらかじめバックアップをとっておけば、消失や紛失する心配もありません。

データがあれば、住宅や生活スタイルに合わせて何度でも作り直せるので便利です。データを残しておくことで、自身で簡単にリサイズできます。

またデジタルフォトフレームを使用し、複数の写真を飾る方法もあります。故人に対する敬意があれば、ライフスタイルや時代に合わせて保管方法を選んでも問題ありません。

最近はデータ化した写真をキーホルダーやアクセサリーにしてくれるサービスもあります。遺影の残し方は自由なので、好きなサービスを選びましょう。

お寺や神社で供養してもらう

遺影を飾り続けるのが困難で処分したい場合、お寺や神社に頼んで供養してもらうこともできます。僧侶の読経や祈祷で清めてからお焚き上げをするので、遺族も安心です。

供養にかかる料金は1〜5万円が相場です。ある程度の費用はかかりますが、後悔や心配が残らないため、精神的にもすっきりするでしょう。

お寺に依頼するときに、必ずしも菩提寺(ぼだいじ)を選ぶ必要はありません。ネット検索や葬儀社に相談して、供養してもらえるところを探してみましょう。

葬儀社に引き取ってもらう

葬儀社の中には遺影を引き取ってくれるところもあります。忌明けのタイミングで、引き取りを依頼してみましょう。処分にかかる費用はそれぞれ異なるため、事前確認が必要です。

ただし、葬儀から時間が経過していると、遺影の処分だけを依頼するのは困難です。まずは葬儀を依頼した会社へ相談してみて、引き取りを断られたときは別の方法を検討しましょう。

自治体のルールに従って処分する

遺影には宗教上の意味がないため、自治体のルールに従って通常のゴミとして捨てても支障ありません。写真は可燃ゴミ、フレームは不燃ゴミに分別されます。ゴミの分別は自治体によって異なるので、ルールを確認してから処分しましょう。

そのままゴミとして捨てるのに抵抗がある場合は、白い紙で包んで塩をまき、浄化してから処分するのがおすすめです。

ただし、勝手に捨てるとトラブルになることがあります。事前に家族や親族に相談しておきましょう。

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