身近な方が亡くなったときに真っ先に行うべきことは、死亡届の提出です。死亡届は提出期限があるため、早めに対応しなければなりません。
しかし、葬儀の準備や手続きに追われて、役所に行く時間がないこともあるでしょう。 そのような場合に役立つのが葬儀屋です。
この記事では、死亡届の提出を葬儀屋に依頼するメリットや、依頼するときの注意点を解説していきます。死後の手続きをスムーズに行いたい方は必読です。
- 死亡届の提出は葬儀屋が代行できるが、記入できるのは届出人のみ
- 葬儀屋に代行を依頼すれば、遺族側の負担が減り葬儀・火葬をスムーズに行える
- 葬儀屋に依頼する前に死亡届のコピーを取っておく
死亡届は葬儀屋が提出してくれる?
死亡届を提出する方に決まりはありませんが、書類に記入できる方はあらかじめ決まっています。
死後の手続きを円滑に進めるためにも、死亡届の提出方法や作成方法をきちんと確認しておきましょう。
死亡届の提出は葬儀屋が代行するケースが多い
遺族は葬儀の準備で忙しいので、葬儀屋に死亡届の提出を代行してもらうのが一般的です。死亡届を提出するのは遺族である必要はないため、葬儀屋に代理人として提出してもらっても構いません。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。提出が遅れると葬儀など死後の手続きにも影響が及ぶだけでなく、5万円以下の過料という罰則を受けてしまいます。
家族が亡くなったあとは精神的に落ち込んでおり、ミスが発生しやすいため、プロに依頼したほうが安心です。葬儀屋に提出を依頼する場合、委任状は不要です。
提出を代行してもらうときの費用
多くの葬儀屋では、葬儀プランのなかに死亡届の手続き代行が含まれています。そのため、追加費用がかからないケースが大半です。
ただし、無償で代行してくれるか否かという点は、依頼する葬儀屋・プランによって異なります。場合によっては別途費用が加算されることもあるため、事前にプラン内容を確認しておくことが大切です。
死亡届の作成は届出人が行う
死亡届の提出は葬儀屋に依頼できますが、死亡届の作成は戸籍法で定められている「届出人」が行うのが原則です。葬儀屋などの他人が代筆することはできません。
届出人には以下の方が該当します。
- 1.同居の親族
- 2.その他の同居人
- 3.家主、地主、家屋・土地の管理人
届出人には優先順位がありますが、実際は順番に関係なく提出可能です。上記のほかに、同居以外の親族や、後見人・保佐人・補助人・任意後見人も届出人として認められます。
死亡届には故人の氏名や住所、本籍地などを記入する必要があります。遺族でないと知り得ない情報を書くので、遺族が確認しながら間違えずに記入していきましょう。
葬儀屋は代筆ができないので、書類に誤りや不備があった場合はすぐに訂正ができません。提出を依頼する前に、間違って記入した箇所がないか死亡届の隅々まで確認をしておくことが大事です。
死亡届を葬儀屋に依頼するメリット
死亡届を葬儀屋に依頼することには、以下2つのメリットがあります。
- 葬儀・火葬をスムーズに行える
- 遺族側の負担を軽減できる
遺族側のメリットは大きいので、困ったときは葬儀屋に依頼しましょう。
葬儀・火葬をスムーズに行える
死亡届は葬儀・火葬を行うのに不可欠な書類なので、葬儀屋が提出してくれれば死後の手続きをスムーズに進められます。
死亡届を提出しないと火葬許可証がもらえないため、火葬ができません。死亡届の提出が遅れると、葬儀の準備がすべて滞ってしまいます。
葬儀屋に依頼すれば火葬許可の手続きも代行してくれるため、葬儀の準備が滞る心配はありません。手続き漏れを防げる効果もあるので、葬儀屋に依頼するメリットは大きいと言えます。
大切な方の葬儀をしっかりと執り行うためにも、葬儀屋と連携しながら進めていきましょう。
遺族側の負担を軽減できる
葬儀屋に代行を依頼すれば、遺族側の手間が省けます。死亡届の提出自体は決して難しい作業ではありませんが、臨終後はやるべきことが山ほどあり、役所に足を運ぶ時間を確保できないこともあります。
役所が遠方にあったり車を手配できなかったりすれば、移動だけでも負担がかかります。そのような負担を取り除けるのは、遺族にとって大きなメリットです。
葬儀の手続きに慣れていない場合、初めてのことだらけでミスが起きたり精神的に追い詰められたりすることもあります。大切な方を失ったばかりで、簡単な作業すら手につかないこともあるでしょう。
死後のストレスを少しでも減らすには、葬儀屋のサポートが必要です。多忙なときに葬儀屋に代行してもらえれば、遺族側の負担は大幅に減ります。死後のさまざまな手続きをスムーズに進めるためにも、プロの葬儀屋に依頼するのが賢明です。
死亡届を葬儀屋に依頼するときの注意点
死亡届の提出を葬儀屋に依頼するときは、以下2点に注意が必要です。
- 死亡届を出す前にコピーを取っておく
- プラン内容を確認しておく
気を付けるポイントを事前に把握して、トラブルやミスを回避しましょう。
死亡届を出す前にコピーを取っておく
死亡届を役所に提出すると返却できないので、必ずコピーを取っておきましょう。死亡届のコピーが求められるケースは、主に以下の手続きです。
- 医療保険・雇用保険の停止手続き
- 生命保険・労災保険の請求手続き
- 自動車保険や損害保険の手続き
- 共済年金・国民年金・厚生年金などの受給手続き
- 携帯電話の解約・名義変更手続き
- 不動産・銀行口座・自動車などの名義変更手続き
- 葬祭料・埋葬料の給付手続き
コピーが必要なケースは多岐にわたるため、多めに取っておくと安心です。10枚ほど用意しておくとよいでしょう。
万が一コピーを忘れた場合は、病院に有料で再発行してもらわなければなりません。再発行には手間と時間がかかるため、基本的にはコピーを取るようにしてください。
葬儀屋に依頼すれば、コピーを取っておいてくれる場合もあります。葬儀の準備などで忙しくてコピーを取る時間がない場合は、葬儀屋に相談してみましょう。
プラン内容を確認しておく
冒頭でも記したように、死亡届の手続き代行は葬儀屋によって別料金がかかることもあります。あとで追加料金が発生する事態を防ぐためにも、事前にプラン内容をよく確認しておきましょう。
近年は葬儀の形式が多様化しており、葬儀屋も遺族のニーズに合わせた複数の葬儀プランを取り揃えています。直葬のみのシンプルなプランもあれば、アフターサポートまで対応するプランもあるため、詳細を確認しておくことが大事です。
料金の安いシンプルな葬儀プランを依頼しても、サービスを追加すると最終的な金額が高額になり、あとでトラブルに発展するケースもあります。
万が一のときに落ち着いて対応できるよう、普段から葬儀屋の情報収集をしておきましょう。死後は冷静な判断ができないことが多いため、入院した時点で家族と話し合い、葬儀屋を選んでおくのが無難です。
死亡届を提出する流れ
死亡届の提出を含めた、臨終から葬儀までの一連の流れを解説します。
- 臨終・死亡診断書の受け取り
- 葬儀屋へ連絡
- 死亡届に記入
- 死亡届の提出・火葬許可証の受け取り
- 葬儀・火葬
死後にやるべきことを把握し、万が一のときにスムーズに対応できるようにしておきましょう。
1.臨終・死亡診断書の受け取り
臨終を迎えると、医師から死亡診断書を受け取ります。死亡診断書は保険診療に該当しないため、発行手数料がかかります。病院や地域によって費用が異なりますが、3,000~1万円が相場です。
死亡診断書の用紙は、左側が死亡届の欄になっています。用紙は病院に用意されているため、家族が自ら役所に取りに行く必要はありません。近年は病院で臨終を迎える方が多く、病院で死亡届を受け取るケースがほとんどです。
病死ではなく事故死や突然死などの場合は、警察医に死体検案書を作成してもらう必要があります。死体検案書と死亡診断書はどちらも同じ様式なので、書き方に違いはありません。
ただし、死因を調査するための搬送代金や保管料、検案代などがかかるため、死亡診断書よりも費用は高めです。
死体検案書の発行 | 5,000円~1万円 |
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検案料 | 2万〜3万円 |
行政解剖 | 8万〜12万円 |
死因解明のため解剖をする場合、司法解剖の費用は国が負担しますが、行政解剖の費用は遺族側が負担しなければなりません。
警察署の所在地や死亡時の状況などによって費用は異なりますが、死体検案書の発行には合計で3万~15万円ほどが必要になります。
2.葬儀屋へ連絡
死亡診断書を受け取ったあとは、すぐに葬儀屋に連絡をしましょう。病院で亡くなった場合、遺体は霊安室で保管されますが、いつまでも置いてもらえるわけではありません。
遺体の搬送や葬儀の準備をするには、葬儀屋の協力が必要です。すでに葬儀屋が決まっている場合は、すぐに連絡して葬儀内容の打ち合わせを行いましょう。臨終後は葬儀の準備で慌ただしくなりますが、葬儀屋さえ決まっていれば比較的スムーズに手続きを進められます。
葬儀屋が決まっていない場合は、病院から紹介してもらえます。ただし、費用が高くついたり希望する葬儀ができなかったりするため、葬儀屋選びは慎重に行いましょう。理想とする葬儀の形がある場合、一旦は病院から紹介されたところに搬送だけを依頼し、あとからじっくりと葬儀屋を選ぶことも可能です。
葬儀屋に連絡すると同時に、近親者に連絡をします。入院中に危篤状態になった場合には、その段階で連絡しましょう。緊急性が高いため、深夜に連絡してもマナー違反にはなりません。
どの範囲まで連絡するかは難しい判断ですが、故人と3親等以内の親族や生前親しくしていた方などに連絡するのが一般的です。
3.死亡届に記入
死亡届の届出人は、用紙に必要事項を記入します。ここでの届出人とは提出を代行する葬儀屋ではなく、親族や同居人などが該当します。
死亡届に記入する内容は以下のとおりです。
- 届出日と届出をする役所名
- 死亡者の氏名・性別・生年月日
- 死亡時刻と死亡場所
- 死亡者の住所
- 死亡者の本籍
- 死亡者の配偶者の有無・年齢
- 死亡者の職業・産業と世帯の主な仕事
- 届出人の情報(住所・本籍・氏名・生年月日・押印)
死亡届はすぐに提出する必要があるため、用紙を受け取ったらその日のうちに記入を済ませましょう。
万が一書類に不備があった場合は、一度持ち帰って届出人が訂正する必要があります。二度手間にならないためにも、書類に不備がないかよく確認しましょう。
4.死亡届の提出・火葬許可証の受け取り
死亡届に必要な情報を記入したら役所に提出します。提出できる役所は、以下の3箇所です。
- 死亡者の死亡地
- 死亡者の本籍地
- 届出人の所在地(住民票の登録をしている場所)
故人が単身赴任先で亡くなった場合は、亡くなった場所にある役所のほうがすぐに提出できます。提出期限のある書類なので、状況に応じて適切に対応しましょう。
ただし、故人が住民票を登録していた場所や居住地の役所には提出できません。本籍地と居住地が同じであれば問題ありませんが、異なる場合は本籍地の役所に提出する必要があります。
葬儀屋に依頼すれば、遠方の役所にも提出してくれるので手間がかかりません。追加費用がかかる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
死亡届が受理されると、火葬(埋葬)許可証が発行されるので、必ず受け取りましょう。火葬許可証は火葬場の管理事務所に提出する書類であり、火葬をする当日に火葬許可証がないと火葬(埋葬)ができません。
受け取った火葬(埋葬)許可証は、当日まで紛失しないようにきちんと保管してきましょう。
5.葬儀・火葬
死亡届の提出が終わったら、葬儀・火葬を執り行います。事前に葬儀の担当者・親族が集まり、葬儀の段取りや火葬場に同行する人数について打合せをしておきましょう。
通夜から葬式、告別式までの全体的な運営は葬儀屋の担当です。会場の片付けなども葬儀屋が進めてくれます。・
葬儀や告別式が終われば、火葬場に移動しましょう。火葬場が離れている場合は、葬儀屋が出棺車両や移動車両の手配をしてくれます。
火葬が終わるまで遺族や参列者は控室で待機しましょう。地域によっては、控室にいる時間に精進落としを振る舞うケースもあります。精進落としとは参列者や僧侶を労うため、食事の席を設ける風習です。
精進落としのタイミングは葬式の形式で異なるので、事前に葬儀屋と相談しておきましょう。
死亡届以外に葬儀屋に依頼できること
葬儀屋には死亡届の提出だけでなく、葬儀に関わる多くの手続きを依頼できます。サービスの詳細は異なりますが、依頼できる主な内容は次のとおりです。
設営 | 司会進行 弔問客の案内 会場の準備・片付け |
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各種手配 | 遺体の搬送・遺体のケア・納棺・枕飾りの設置 遺影・供花・線香などの消耗品 遺影用写真の引き延ばし ドライアイス 死亡通知状 料理(精進落とし) 僧侶・宗教者 霊柩車や移動用車両 火葬場 骨つぼ 返礼品(香典返し) 新聞の死亡広告 喪服の貸し出し |
役所の届出代行 | 死亡届の提出 火(埋)葬許可の申請・受け取り 喪中はがきの作成 |
葬儀後のサポート | 四十九日法要 初七日法要 一周忌法要 仏壇墓地・墓石 遺品整理 |
通夜から火葬までにしなければならないことは、ほとんどカバーされています。初めての葬儀でイメージが掴めない場合でも、参列者数がわかっていれば葬儀屋から適切な形式が提案されるので問題ありません。
アフターサポートまで依頼すれば、遺族の負担を最小限に抑えられます。上記以外にも、プランに含まれていないサービスをオプションとして依頼できる場合があります。
ただし、サービスによっては追加料金が発生するので、事前の打ち合わせでどこまでがプランに含まれるのかを細かく確認しておきましょう。
事前に予算を提示しておくと、その範囲内で葬儀屋が対応してくれます。予算の上限額をあらかじめ決めておけば、費用が想像以上に増えるリスクを避けられるでしょう。
死亡届の代行に関するよくある質問
死亡届の代行に関するよくある質問をご紹介します。葬儀屋への依頼を検討している方は、ぜひご覧ください。
葬儀屋にはいつまでに死亡届を渡す?
死亡届の提出を葬儀屋に代行してもらう場合、できるだけ早急に記入を済ませて葬儀屋へと渡しましょう。
死亡届は亡くなったと知った日から7日以内に提出しなければなりません。
記入した内容に誤りがあって修正する可能性も視野にいれて、余裕をもって葬儀屋へと手渡すことが大切です。
火葬許可証を葬儀屋に預けられる?
死亡届の提出後に発行される火葬許可証は、葬儀屋に預けられます。死亡届の代行を依頼した場合は、火葬許可証を遺族に渡すことなくそのまま保管してくれることが多いです。
火葬許可証の扱いに困ったときは、葬儀屋に確認してみましょう。
死亡届の提出は葬儀屋に依頼しよう
死亡届の提出は葬儀屋に依頼するのが一般的です。葬儀屋に代行してもらえば、遺族側の負担を軽減でき、葬儀や火葬などの死後の手続きを円滑に進められます。
ただし、一度提出した死亡届は返却されないため、あらかじめコピーを取っておくことが大切です。あとで追加費用を請求されることもあるので、事前にプラン内容をしっかり確認しておきましょう。
葬儀に関わる手続きのほとんどは葬儀屋に依頼できます。信頼できる葬儀屋を見つけておけば、突然の訃報にも慌てることはありません。死後は精神的にとても辛い時期なので、無理してやろうとせずに、葬儀屋にサポートしてもらうのが得策です。
ほとんどの葬儀屋では事前相談を無料で受け付けているので、わからないことがあれば気軽に問い合わせてみましょう。
ほかにもこちらのメディアでは、相続の手続きをしなかったらどうなるかや死亡届のコピーは必要かについても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。