葬儀を検討する際に、家族葬と一般葬のどちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか?
家族葬と一般葬では葬儀の規模や参列者数などが異なり、どちらもメリットとデメリットがあります。「別の葬儀形式にすればよかった」と後悔しないように、それぞれの違いをきちんと知っておくことが大切です。
今回は、家族葬と一般葬の違いを解説するとともに、それぞれのメリットやデメリットについてご紹介します。
- 家族葬と一般葬は、葬儀内容や参列者数、葬儀にかかる費用が異なる
- 家族葬は身内だけでゆっくりお別れができるが、香典収入が少ない
- 一般葬は多くの方に見送ってもらえるが、費用が高く準備に時間がかかる
家族葬とは?
家族葬とは、家族や親戚など少人数で執り行う葬儀を指します。
名称は家族葬ですが、参列者の範囲に制限はありません。そのため、故人と親しかった友人が参列することもあります。ただ一般的には、参列者が30人以下で執り行う小規模な葬式を家族葬といいます。
少人数の葬儀になることから、遺族だけでゆっくりお別れしたい方や、費用を安く抑えたい方などに選ばれやすい葬儀形態です。
一般葬とは?
一般葬とは、参列者の制限をせずに、通夜式や告別式を行う伝統的な葬儀形式です。地域によって葬儀の流れは多少異なりますが、一般的に葬儀といえば一般葬を指します。
日本では近年、葬儀形式が多様化しており、従来の葬儀と他の葬儀を区別するために「一般葬」という名称が付いたとされています。
家族葬と一般葬の違い
家族葬と一般葬には、主に以下のような違いがあります。
家族葬 | 一般葬 | |
---|---|---|
葬儀内容 | 自由な葬儀形式 | 伝統的な葬儀形式 |
参列者の人数 | 少人数 | 大人数 |
葬儀にかかる費用 | 約80~100万円 | 約100〜120万円 |
香典の金額 | 少ない | 多い |
それぞれの違いについて詳しく解説していきます。
葬儀内容
一般葬では1日目に通夜、2日目に葬儀式・告別式と火葬を執り行うのが通例です。社会的な儀式としての側面が強く、しきたりや風習の踏襲が求められます。
家族葬でも、通夜と告別式を行うのが一般的です。しかし、参列者が親しい間柄の方に限られるため、どのような形式にするかは故人や遺族が自由に決められます。
通夜や告別式をせずに火葬式のみで終えたり、会食や返礼品などを簡素化したりすることもあります。
参列者の人数
一般葬では遺族や親戚だけでなく、故人の友人や知人、勤務先の関係者や近隣住民などにも訃報を出し、会場を訪れる方にはすべて参列してもらうのが原則です。そのため、参列者数は少なくとも50名以上となるケースが大半で、葬儀も大規模に執り行われます。
対して家族葬は、故人と深い関わりのあった少人数だけで行われるため、参列者数は30名以内に収まることがほとんどです。親戚が少ない場合は、10名程度になるケースも珍しくありません。
葬儀にかかる費用
一般葬の全国的な相場は約100~120万円です。葬儀日数や参列者数、祭壇・棺などのグレードによっては、費用が200万円を超えることもあります。
一般葬は多くの参列者を招くため、大規模な会場の手配が必要です。また、返礼品代や食事代もかさむので、費用は高額になります。
家族葬は参列者が少ないため、費用相場は約80~100万円と安めです。家族葬は自由度が高いので、式を簡素化すれば費用を最小限に抑えられます。
香典の金額
一般葬は参列者数が多いため、香典の金額も多い傾向にあります。
対して家族葬は基本的に身内だけで葬儀を済ませるので、喪主側が香典を辞退するケースが少なくありません。そのため、香典の金額は一般葬よりも少なくなります。
家族葬のメリット
ここでは、家族葬を行う3つのメリットをご紹介します。
- 身内だけで葬儀ができる
- 自由な形式で行える
- 準備に時間がかからない
身内だけで葬儀ができる
家族葬は家族や親族、親しい友人のみで行うため、一般葬と比べて気楽に葬儀を行えます。参列者のほとんどが顔見知りなので、普段と同じアットホームな雰囲気でお別れの時間を過ごせるでしょう。
多くの参列者に気遣いする精神的な負担もなく、思い出を語ったりお礼を述べたりしながら、故人とゆっくりお別れができます。
自由な形式で行える
家族葬は、ほぼ身内だけが参列する葬儀スタイルなので、周りの目を気にせず自由に葬儀を行えます。
宗派や形式に囚われない無宗教葬や自由葬にしたり、故人が好きだった歌手の曲を流したり、一般的な儀礼儀式に捉われない心を込めたお別れができます。
祭壇や会場づくりなど、細かい部分までこだわった葬儀を行える点も魅力です。
準備に時間がかからない
家族葬は少人数で行うため、一般葬に比べて各種準備に時間がかかりません。大勢の方に対して訃報の連絡をしなくてもよいので、余裕をもって葬儀に臨めます。
香典や弔問も遠慮するケースが多いため、体力的・精神的負担を軽減できます。葬儀前後の慌ただしさを少なくして、故人とお別れする時間を多く取れるのは、家族葬の大きなメリットです。
家族葬のデメリット
家族葬にはメリットが多い一方で、デメリットもあります。葬儀を終えてから後悔しないように、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
- 香典の金額が少ない
- 参列できない方とトラブルになりやすい
香典の金額が少ない
家族葬では参列者が少ないため、香典の金額も少ない傾向にあります。香典を辞退するケースも多いので、葬儀にかかった費用はすべて持ち出しで払わなければなりません。
葬儀費用に香典を充てることができないと、一般葬よりも費用負担が増す可能性があります。家族葬のほうがお金がかからないかどうかはケースバイケースなので、事前の検討が大切です。
香典による収入が少ないことを理解したうえで、葬儀の予算や形式を慎重に決めましょう。
参列できない方とトラブルになりやすい
家族葬は家族や親族など限られた方しか参列できないため、後日参列できなかった方と問題になる可能性があります。
葬儀に参列できなかった方から「故人と最後のお別れがしたかった」などと苦情が入り、対人関係に悪影響が出ることも珍しくありません。
また、故人の知人が後日弔問のために自宅に訪れることもあります。弔問客が来るたびに応対や香典返しをしなければならず、予期せぬ費用と手間がかかるデメリットもあります。
あとから問題にならないように、訃報連絡などをきちんとするなど、相手の気持ちも考えてより丁寧に対応することが大切です。
一般葬のメリット
日本の標準的な葬儀形式である一般葬には、主に以下3つのメリットがあります。
- 故人を多くの方に見送ってもらえる
- 香典収入が多い
- 後日弔問に来るケースが少ない
故人を多くの方に見送ってもらえる
一般葬は、家族や親族だけでなく、友人や会社関係者なども出席するため、故人を多くの方に見送ってもらえます。悲しみを大勢で語り合い、参列者から励ましをもらえるため、遺族の寂しさも紛れるでしょう。
一般葬は従来のしきたりや慣習を大切にする葬儀スタイルなので、大勢の方が参列しても苦情が出る心配はありません。世間体を気にする親戚や高齢者も安心して参列できます。
故人と縁のあった方たちが広く参列して、思い出にふれながら偲ぶことで、故人のいろいろな一面を知れるでしょう。
香典収入が多い
一般葬には多くの方が参列するので、それに比例して香典の集まる金額も多くなります。葬儀費用が高くても、香典が多く集まれば、結果として家族葬よりも費用を安く抑えることが可能です。
友人や知り合いが多い故人の葬儀では、多くの方が香典を持って参列するので、持ち出しの費用がほとんど発生しないケースもあります。
香典が集まることによって葬儀費用の負担を大幅に減らせるのは、一般葬の大きなメリットです。
後日弔問に来るケースが少ない
故人が生前親しくしていた方の多くは葬儀に参列するため、後日弔問客の対応に追われる心配はほぼありません。葬儀前は準備に追われて疲れるかもしれませんが、葬儀後は比較的ゆっくり過ごせます。
葬儀後の負担を軽減したいと思っている方には、一般葬がおすすめです。
一般葬のデメリット
一般葬は日本に広く普及している葬儀スタイルですが、デメリットもあります。
- 葬儀費用が高い
- 準備に時間がかかる
- 参列者の対応に追われる
葬儀費用が高い
一般葬は参列者が多く規模も大きいため、会場にかける費用や飲食代、返礼品などの負担が多くなります。2日かけて儀式を執り行うため、宿泊や2日分の会食費用が必要です。
葬儀の規模に比例して費用も高額になるので、予算と照らし合わせながら検討することが大切です。葬儀保険や貯蓄などを使って事前に準備しておくなど、いざというときに費用がなくて困らないようにしましょう。
準備に時間がかかる
一般葬では出席する人数が多く、手配するものも多いため、遺族は直前まで準備に追われます。訃報の連絡や会食の準備、香典返しなどやることは多岐にわたるので、遺族には相応の負担がかかるでしょう。
葬儀社のサポートもありますが、故人の交友関係が広くて友人や知人が多いと、参列者の数を把握するのに時間がかかり、準備を進めるうえで悩みのタネになります。
葬儀の準備にあまり時間をかけられない方や、参列者の対応に負担を感じる方には、一般葬はデメリットと感じるかもしれません。
参列者の対応に追われる
一般葬は参列者が数十人から数百人になることが多いため、遺族は参列者の対応に追われます。多くの方に参列してもらえるのは有り難いことですが、参列者の人数に比例して遺族側の対応が増えることを考慮しておく必要があります。
参列者の対応に追われて慌ただしく葬儀が終わってしまい、「故人を偲ぶ時間がなかった」と後悔するケースは少なくありません。
遺族側の負担を軽減したいなら、サポートの手厚い葬儀社に依頼するのも1つの方法です。遺族だけで故人を偲ぶ時間を事前に設けるなどして、後悔のない一般葬を行いましょう。
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