お通夜の香典袋の書き方や香典の費用相場は?渡す際のマナーも紹介

お通夜で香典を出す際、用意すべき香典袋や出し方のマナーがわからず、困ってしまう方は多いでしょう。とくに20代・30代になってはじめてお葬式に参列するとき、戸惑う場合が少なくありません。

まずは香典袋を準備して、必要事項を書き入れる必要があります。香典の金額は故人との関係性によって変わり、間柄が近づくにつれ多くなります。亡くなった方の宗教・宗派や金額によって、適切な香典袋の種類が異なることにも注意しましょう。

今回はお通夜で出す香典の作法についてご紹介します。シチュエーション別の金額の相場にも触れているので、ぜひご一読ください。

1分でわかる!記事の内容
  • 香典袋には外袋に氏名、中袋に金額・氏名・住所を記載する
  • 表書きの書き方は宗教や宗派ごとに異なる
  • 香典の相場は5,000円~10万円

お通夜の香典袋の書き方

香典袋は外袋とお札を入れる中袋から成り、それぞれ自筆で必要事項を書き足します。記載項目や書き方は、袋の種類ごとに異なるのが特徴です。

外袋には氏名を書く

外袋は表書きの下に、自筆で氏名を書き入れる必要があります。薄墨の筆書きで書くのが好ましい形ですが、筆ペンを使用しても問題ありません。

夫婦で香典を出す際は、水引きの真下に夫の氏名を、左側に名字を省略した妻の名前を書き入れます。

会社名義で香典を出す際は中央(水引)の真下に氏名を、その右側に会社名を記入します。ご遺族が故人との関係性を把握できるよう、会社の上司や部下ならば、社名を書き加えましょう。

会社や団体による複数人の連名で出す場合、目上の方から順に、右から左へ書き連ねましょう。上下の優劣がないときは五十音順で問題ありません。香典が4名以上からなる場合、代表者1名の氏名を記載し、その下に「外一同」と書き加えます。

中袋には金額・氏名・住所を書く

直接お札を入れる中袋には、表に金額、裏に住所・氏名を書きましょう。金額は算用数字ではなく「金伍萬圓也」と漢数字で記載するのが正式です。金額ごとの正しい書き方については次の表をご覧ください。

金額 書き方
3,000円 金参仟圓也
5,000円 金伍仟圓也
1万円 金壱萬圓也

外袋と同じく、筆記用具は筆を使うのが好ましいですが、筆ペンでもマナー違反にはなりません。氏名や住所は、中袋の裏面の左側に記載します。ご遺族が誰からの香典か把握できるよう、郵便番号や建物名、部屋番号まで正確に書き入れるのが大切です。

表書きの書き方は宗派によって異なる

香典袋は水引の上部に表書きが印字されています。お通夜やお葬式で香典を送付する名目を示しており、故人が信仰していた宗教・宗派によって記載内容が異なるのが特徴です。場合によっては避けるべき書き方もあるので、宗教ごとの正しい記載項目を理解しましょう。

  • 「御霊前」または「御仏前」が一般的
  • キリスト教では「御花料」
  • 神式では「御玉串料)」

「御霊前」または「御仏前」が一般的

仏教の香典袋には「御霊前」または「御仏前」と記載するのが一般的です。仏式では亡くなってから四十九日間、故人の魂が現世とあの世のはざまにとどまっていると考えます。香典は霊体にお供えするものなので、表書きには「御霊前」と書き入れます。

「御仏前」は、天に召して仏になった四十九日以降の法要で使われる書き方です。日本に多い仏教のお葬式では「御霊前」と記載するのが一般的ですが、宗派によっては葬儀から「御仏前」を使用する場合もあります。

たとえば、亡くなると同時に仏に召すと考える、浄土真宗・曹洞宗のお葬式です。仏教だから「御霊前」が正しいと安直に考えると、誤って記載してしまいかねないので、事前に故人の宗教・宗派はきちんと確認しましょう。

キリスト教では「御花料(おはなりょう)」

故人がキリスト教を信仰していた場合「御花料(おはなりょう)」と書き入れます。カトリックとプロテスタントの教派に分かれますが、両方に使用できる書き方です。教派がわからないときは御花料と記載すれば、誤りにはあたりません。

教派がわからないとき 御花料(おはなりょう)
カトリック 御ミサ料(おみさりょう)
プロテスタント 献花料(けんかりょう)
弔慰料(ちょういりょう)

「御霊前」はカトリックならば問題ありませんが、霊を異教だととらえるプロテスタントでは不適切な書き方です。

神式では「御玉串料(おたまぐしりょう)」

神道(神式)の場合、「御玉串料(おたまぐしりょう)」や「御神前(ごしんぜん)」、「御榊料(おさかきりょう)」と記載します。御霊前でも誤った書き方にはあたりませんが、宗派ごとの文言を書き入れるのが適切な手法です。

神道(神式) 御玉串料(おたまぐしりょう)
御神前(ごしんぜん)
御榊料(おさかきりょう)

神道は行事や教派によって表書きの内容が変わらないのが特徴です。「御玉串料」は神様にお供えする金品を示しており、お葬式以外の行事でも使えます。

神式は天皇家をはじめ旧来から信仰される宗教ですが、一般的なご家庭で通夜祭・神葬祭が行われることは多くありません。もしものときに備えて、神道の正式な記載を覚えておくとよいですよ。

香典袋は包む金額によって変わる

香典袋は種類が多く、どれを選ぶべきか迷う方もいるでしょう。黒と白の2色や銀のみのカラー、印字タイプなどバリエーションが豊富にあり、金額に応じて適切な香典袋を選ぶ必要があります。

5,000円以下ならば水引が印字されたタイプで問題ありません。3万円以下までは黒白の水引を、3万円を超えるときは双銀タイプを使用しましょう。

金額 香典袋
5,000円以下 水引が印字されたもの
3万円以下 黒白の水引
3万円以上 双銀の水引

水引の色は地域差もあり、関西地方では黒白の代わりに黄白が使われます。公家文化のなごりが関係しており、中国において、黄色は皇帝が身につける神聖なカラーだと位置づけられていました。

影響を受けた京都の公家たちも格調高さを表す色として取り入れています。香典袋には銀のハスをはじめ、宗教ごとに適切な絵柄があるのも特徴です。

特定の宗派のみに使える袋を、他の宗派の香典に使用しないよう注意が必要です。以下に宗派と絵柄の関係性をまとめたのでご確認ください。

絵柄 使用可能な場面
無地 宗教・宗派にかかわらず使用可能
十字架やユリ キリスト教
ハスの絵 仏教

香典の費用相場

香典の必要が生じたとき、いくら包めばよいか悩まれる方もいるでしょう。少ないと恥ずかしい思いをしてしまい、多くても先方が気を遣い、かえってご遺族の負担になりかねません。

香典の適切な金額は故人との関係性によって変わります。シチュエーション別に金額の相場をご紹介します。

包む金額は故人との関係性で変わる

香典の金額は故人との関係性が近しいほど高額になります。最も高いのは親が亡くなったときで、相場は5万円〜10万円です。

故人との間柄 香典の金額
ご自身や配偶者の親 5万円~10万円
兄弟・姉妹 3万円~5万円
祖父母、おじ・おば 1万円~3万円
上司や部下 5,000円~1万円
同僚、近所の人 5,000円前後

昨今では、ご自身や配偶者の親兄弟の葬儀で、香典を出さないご家庭が目立ちつつあります。上記は身内にかぎらず、職場関係の間柄にも当てはまります。香典に対する意識が薄まり、省いても問題ないと考える方が増えたのでしょう。

背景には親族や親しい友人など、参列者を限定した家族葬の普及があります。参列するお葬式の数が減ったため、香典を出す機会も少なくなったといえます。

迷ったときは5,000円が目安

上司の家族や近所の方など関係性が遠い方が亡くなり、香典の金額で迷ったときは5,000円を目安にしましょう。顔見知り程度の間柄なら3,000円程度でもよいのですが、少なすぎるとかえって失礼です。

下限を5,000円に設定しておけば、お葬式の度に悩む手間から解放されます。あくまでも目安なので、付き合いの程度によっては、より多くの額を包んでも問題ありません。

たとえば家族ぐるみで親交があった同僚のご家族が亡くなった場合、1万円以上を出す方もいらっしゃいます。香典は相互扶助の精神に基づくものです。弔う気持ちの程度で金額を変えても問題ありません。

偶数や縁起の悪い数字は避ける

香典の金額を決める際の重要なポイントは、偶数や縁起の悪い数字を避けることです。

「縁が切れる」という不吉な連想をもたらす割り切れる金額のほか、苦しみや死を連想させる4や9がつくのもタブーです。

  • 偶数:「縁が切れる」という不吉な連想をもたらす
  • 4や9:苦しみや死を連想させる

偶数には故人とのご縁を断つだけでなく、夫婦の関係性を断つという意味も含まれます。弔事にかぎらず、冠婚葬祭で包む金額を決める際には意識すべきマナーです。

偶数でも2は例外にあたり、2万円や2,000円を出しても問題ない場合があります。地域の風習や親族の考え方にも影響を受けるので、不安があれば事前に確認を入れましょう。

香典袋へお金を入れる際の注意点

香典で使用するお札や袋への入れ方にも注意したいマナーが存在します。礼儀やしきたりを重んじる地域・ご家庭では、配慮のなさを理由にトラブルを招く危険があります。とくに次の2つは注意してください。

新しいお札やしわしわのお札は避ける

特別な理由がない限り、新札やしわしわのお札は避けましょう。新しいお札が不適切なのは、死亡を予期して、香典をあらかじめ準備していたと捉えられるためです。

弔事独特の考え方ですが、突然の訃報で急遽お金を用意したと印象づけるためには、折り目つきのお札が適しています。新札しか手元にない場合は、真ん中に折り目をつけてから香典袋へ入れるのがマナーです。

折り目がつきすぎてしわしわだとかえって失礼にあたります。汚れていたり破けていたりするのもタブーなので、使用するお札には注意を払いましょう。

お札は裏向きに入れる

香典袋には肖像画が描かれた面が下を向くようお札を入れてください。取り出したときに顔が見えないほうが、故人を亡くした悲しみを表現できると考えられるためです。中袋の表書きに対して肖像画が下を向くように入れます。

中袋なしで香典袋しか使わない場合、表書きとお札の顔は反対を向きます。お札を裏向きに入れるのはお通夜やお葬式で渡す香典の場合です。

同じ法事でも、一周忌や三周忌では肖像画を表にして入れなくてはいけません。これらの場合は故人を失った悲しみを示すのではなく、お供え物という意味が強くなるためです。

お通夜で香典を渡す際のマナー

香典の渡し方にもマナーがあり、礼儀やしきたりを考慮しないと、ご遺族の反感を買う恐れがあります。具体的には、絹や縮緬でできた袱紗(ふくさ)と呼ばれる小さな袋に包んで持参しましょう。お通夜で香典を渡す際の正しいマナーについてご紹介します。

袱紗(ふくさ)に包んで渡す

冠婚葬祭で現金を渡す場合、袱紗に包んだ状態で持参し、ご遺族の前で取り出します。出し方にも作法があり、右手に袱紗を乗せた状態で、左手で開いて、香典袋を手に取りましょう。

香典袋を別の袋に包む理由は、しわや水引が崩れことを避けるためです。故人が亡くなった悲しみを共有する意味もあり、お葬式の基本的なマナーの1つです。袱紗はいくつかの種類に分かれ、状況に応じて使い分ける必要があります。

それぞれの特徴やメリットについては次の表をご覧ください。

種類 特徴 メリット
爪付き袱紗 爪と留め糸がついている 中身が飛び出す危険が少ない
台付き袱紗 内側に香典袋を乗せる台がついている 持ち運ぶ途中でお札がズレない
風呂敷袱紗 風呂敷の形をしている 使用後に畳めるので持ち運びやすい
金封袱紗 ファイルの形をして内側にポケットがついている 開閉しやすい

袱紗を用意できない場合、ハンカチで代用するのも1つの手です。しかし、マナー違反と捉えられかねないので、参列の機会が増えることを見越して購入しておくとよいでしょう。

お悔やみの言葉を添える

香典を渡す際は「ご愁傷さまでした」と言葉を添え、表書きのある側を上にして、両手で渡します。受付にて、氏名や住所の記帳を済ませたタイミングで声をかけましょう。

弔いの意思を示すため、深々と一礼することも忘れないでください。相手方がのし書きの文字を読めるよう、必要に応じて向きを変えるようにします。

お通夜の香典のQ&A

最後に、お通夜の香典に関するよくある疑問についてお答えします。

香典は通夜と告別式の別々に持参すべき?

香典はお通夜と告別式のどちらか一方に持参すれば問題ありません。2回渡すと「不幸が繰り返される」と想起され、縁起が悪いと考えられています。お通夜で渡しておけば、翌日の葬儀・告別式では不要です。

ご遺族の援助として少しでも多く渡したいと考える方はいるかもしれません。しかし、不幸が重なるとの意を示すため、弔事ではマナー違反に該当します。

香典返しを断りたいときは?

香典を差し入れると、後日お返しを頂くことになるでしょう。ご遺族の負担を考慮して香典返しを断りたいときは、その旨を直接伝えても問題ありません。ただし、準備の負担を省くためにも早めに連絡を入れましょう。

伝達手段は口頭ではなく文書がおすすめです。香典袋に直接辞退の旨を記載するほか、一筆箋をつづり、香典袋へ同封する方法もあります。

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