散骨をしたいけれど、どの程度の費用がかかるのかわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
散骨の費用は種類や方法によって異なります。無料でできる場合もありますが、適切な場所を選ばないとトラブルになりやすいので注意が必要です。
今回は、散骨をする方法や費用相場、注意点などを解説します。
- 散骨とは、遺骨を粉末状にして自然に撒く供養方法
- 散骨の費用相場は、業者に依頼する場合と自分でする場合とで異なる
- 散骨するときは喪服を避け、自治体のルールに従って適切な場所で行う
散骨とは?
散骨とは、火葬後の遺骨を粉末状にして、海や山、空などの自然に撒く供養方法です。
古来より日本では、遺骨を骨壷に納めてお墓や納骨堂へ埋葬する方法が一般的でした。しかし、現代の日本では核家族化や少子化が進み、お墓の世話で遺族に迷惑をかけたくない理由から散骨を希望する方が増えています。
埋葬する場合は管理費や墓地の利用料などが発生しますが、散骨なら埋葬後に手間や費用がかかりません。子孫にお墓の手入れで迷惑をかけたくない方や、費用を少しでも抑えたいと考えている方にとって、散骨はメリットが大きいと言えるでしょう。
散骨をする時期に明確な決まりはありませんが、葬儀を終えて落ち着いた頃(四十九日や一周忌)に行われることが一般的です。
自然への散骨は法律で禁止されていませんが、散骨する際は必ず遺骨を粉末状(1~2mm)にする必要があります。
火葬を終えた焼骨をそのまま撒いてしまうと、死体遺棄罪などの罪に問われ、違法行為として罰せられるので注意しましょう。
散骨の種類
散骨にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な3種類をご紹介します。
- 海洋散骨
- 山散骨
- 空中散骨
海洋散骨
海洋散骨とは、遺骨を海に撒く供養方法です。海に関する職業に就いていた方や、海に関する趣味を持っていた方などに選ばれる傾向があります。
海洋散骨をするときは、船に乗って沖合まで出て、遺骨をそのまま海に撒きます。取り扱い業者が多いため、希望に合う会社やプランを選びやすいのがメリットです。
山散骨
山散骨は、遺骨を山間部に撒いて供養する方法です。登山や自然が好きだった方に選ばれることが多く、故人の思い入れがある場所や好きだった景色を見られる場所に撒くのが一般的です。
山に土地を持っている方は、その土地に散骨できます。他人の私有地や農地への散骨は禁止されているため、場所選びには注意が必要です。
また、遺骨を撒いて土に埋めると墓地埋葬法に違反するので、地表に撒くだけにとどめましょう。
空中散骨
空中散骨とは、上空から遺灰を撒く供養方法です。空に携わる仕事をしていた方やスカイダイビングが好きだった方などに人気の高い方法です。
故人の自宅や故郷の上空も飛べますが、空ならどこに撒いてもよいわけではありません。遺骨を撒けるのは許可のある海や山の上空のみとなります。
また、航空機を借りてプロに操縦を依頼する必要があるため、他の方法に比べて事前準備に手間がかかりやすい点に注意が必要です。
散骨をする方法
散骨は、自分でする方法と業者に依頼する方法の2種類があります。どちらもメリット・デメリットがあるので、特徴を押さえて、どの方法を選ぶかを検討しましょう。
業者に依頼する
業者に依頼すれば、遺骨の粉砕や自治体への連絡、船やヘリコプターのチャーターなどすべての手続きを任せられます。散骨場所の専門的知識があるため、後からトラブルになる心配もありません。
遺骨の粉砕など個人では困難な作業も、業者に依頼すれば簡単に済ませられます。
ただし、すべての作業を委託すると費用がかさみます。業者によって費用やサービス範囲、散骨場所は異なるので、複数業者を比較しながら選ぶようにしましょう。
自分でする
自分で行うときは業者を通さないため、費用を大幅に削減できます。
しかし、火葬場から受け取った遺骨を自分で砕かなければならず、遺骨を撒く場所も自分で探さなければいけないので負担が大きいです。
遺骨を粉状にするのは簡単ではありません。すり鉢や乳鉢を使って遺骨を粉砕する場合、かなり労力がかかるうえに精神的にも苦痛を伴うため、遺骨の粉砕は業者に依頼するのが賢明です。
一般的に粉骨と散骨は別料金となっており、粉骨のみの依頼は1~3万円程度が相場です。
「手間を減らしたいけれど、費用は安く抑えたい」という方は、個人では対応が難しい一部作業のみを業者に委託するとよいでしょう。
散骨の費用相場
散骨にかかる費用は、種類や方法によって異なります。ここでは平均相場を解説するので、参考にしてください。
海洋散骨
業者に依頼する場合 | 合同散骨:10〜15万円 単独散骨:20〜30万円 代行散骨:約5万円 |
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自分でする場合 | 30〜50万円 |
業者は主に以下3つのプランを用意しており、プランによって費用が大きく異なります。
- 合同散骨:複数の遺族が乗船して散骨
- 単独散骨:遺族一組のみが乗船して散骨
- 代行散骨:遺骨を業者に預けて散骨
合同散骨は、船のチャーター代を他の遺族と分担するため、船を貸し切る単独散骨よりも費用を安く抑えられるのがメリットです。
乗り合わせる遺族の数が多いほど料金は安くなりますが、乗船できる人数が決まっていたり日程が限定されていたりするなど、多少の制限があります。
代行散骨は複数の遺族から遺骨を預かってまとめて散骨するため、遺族は同乗できませんが、料金は割安です。費用の内訳やオプションの有無は業者によって異なるので、事前に確認しましょう。
自分で行う場合、船をチャーターする必要があるため、30〜50万円ほどの費用がかかります。業者に依頼するよりも高額ですが、船定員内であれば参加人数に制限はなく、家族や友人だけで故人を弔えます。
山散骨
業者に依頼する場合 | 約10万円 |
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自分でする場合 | 無料 |
山散骨は船やヘリコプターのチャーター料がかからないので、他の方法よりも安価です。
ただし、山散骨に対応している業者は少なく、希望する場所を選べないことがあります。また、交通の不便な場所で散骨する場合や、複数の遺骨を同時に散骨するときは、追加料金が発生するので注意が必要です。
自分で山散骨を行うなら、基本的に料金はかかりません。
空中散骨
業者に依頼する場合 | 35〜40万円 |
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自分でする場合 | 1時間15〜30万円 |
空中散骨はヘリコプターや小型飛行機のチャーター料がかかるため、自分でする際も費用は高額です。チャーター料金は航空機のサイズや乗り込む人数によって異なりますが、1時間あたり15〜30万円が相場です。
自分で航空機を用意するときは、散骨する旨を事前に伝えましょう。
散骨の手続きに必要な書類
散骨する際は、基本的に以下の書類が必要です。
埋葬許可証 | 遺骨を骨壷に納めたあとに火葬場から発行される書類 |
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改葬許可証 | すでに埋葬されている遺骨を他の場所に移す際に必要な書類 |
身分証明書 | 申請者の運転免許証、パスポートマイナンバーカードなど |
申込書 | 業者に依頼する場合は提出が必要 |
業者に散骨を依頼する場合は、申込書に必要事項を記入して提出しましょう。申込書と申請者の身分証明書がないと依頼できません。
お墓や納骨堂に納めた遺骨を取り出して散骨したいときは「改葬許可書」が必要です。市区町村の役場で改葬許可を申請し、書類を発行してもらいましょう。
散骨するときの注意点
魅力の多い散骨ですが、気を付けるべきポイントもあります。トラブルにならないように、以下3点に注意しながら準備を進めましょう。
喪服は避ける
散骨では喪服を着用しないのがマナーです。喪服を着て海や山などに行くと、散骨することが一目で分かり、観光客や地域住民などに不快な思いをさせる恐れがあります。余計なトラブルを防ぐためにも、喪服は避けるのが無難です。
散骨時は喪服ではなく、平服を着用しましょう。海洋散骨はデッキが滑りやすいため、スニーカーが適しています。山散骨は山道を歩く場合が多いので、ヒールなどの靴を避けて、動きやすい服装で参列しましょう。
適切な場所で行う
散骨場所に関する決まりはありませんが、衛生面やモラルの観点から散骨にふさわしくない場所もあります。散骨場所の概要は以下のとおりです。
散骨できる場所 | ・沖合 ・墓地 ・私有地 |
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散骨できない場所 | ・観光地/海水浴場/市街地/公園など人がよく集まる場所 ・養殖場/漁場/牧場など食に関わる場所 ・川や湖など水源に近い場所 ・所有者のいる土地 |
川や湖などの水源や、観光地などでは散骨できません。人がよく集まる場所で遺骨を撒くと、イメージ悪化による風評被害を受けたとして、管理者に訴えられる可能性もあります。
他人の所有地にも散骨はできません。土地所有者の承諾を得られれば散骨できる場合もありますが、承諾を得られる可能性は低いでしょう。
自分の私有地であっても、場所によっては苦情を入れられることがあるので、個人で安易に散骨するのは避けたほうが無難です。
周囲の人々や環境を考慮し、細心の注意を払いながら場所を選びましょう。
自治体のルールに従う
散骨自体は違法ではありませんが、自治体によっては条例で制限・禁止しているところもあります。自治体ごとにルールは異なるため、事前確認が必要です。
許可のない地域で散骨をすると、罰金や罰則が課される恐れがあります。自分の判断で行動するとトラブルになりやすいので、困ったときは業者に依頼しましょう。
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