お通夜の受付のやり方は?受け答えや服装、マナーについて解説

「お通夜の受付係を頼まれたけど、何をすればよいかわからない」「マナーが知りたい」といったお悩みはありませんか?

お通夜の受付係とは、お通夜の会場で参列者に記帳の案内をしたり、香典の受け取りや返礼品の受け渡しをしたりする方のことです。「会場の顔」として受付に立つことになるため、喪主や遺族の顔に泥を塗らないためには相応のマナーを身につける必要があります。

この記事では、お通夜の受付のやり方や受け答え、マナーについて解説します。ふさわしい服装や言葉遣いについても解説しているため、マナーを短時間で身につけたい方はぜひ参考にしてください。

1分でわかる!記事の内容
  • お通夜の受付係とはお通夜の会場で記帳の案内をしたり、香典を受け取って返礼品の受け渡しを行ったりする方のこと
  • お通夜の受付係は参列者以上に身だしなみに気を配り、言葉遣いにも気をつける必要がある
  • 香典を受け取る際は「お預かりいたします」と一言添える

お通夜の受付係とは

お通夜の受付係とは、お通夜の会場でカウンター付近に立ち、参列者への案内を行う方のことです。芳名帳(ほうめいちょう)への記帳を促したり、香典を預かって返礼品を受け渡したりする役割があります。

芳名帳とは受付に置かれている帳面のことで、お通夜の参列者に氏名や住所を記入してもらいます。喪主は芳名帳に書かれている情報を頼りに、香典返しや挨拶状(お礼状)を送るのです。

お通夜に関する雑務は葬儀場の職員が引き受けてくれるものの、現金を扱う受付は遺族側が担当する必要があります。

なお、お通夜とは葬儀の前に故人とのひとときを過ごし、別れを惜しむ儀式のことです。

お通夜の受付は誰がやる?

お通夜の受付を誰がやるべきかについて、とくにルールはありません。では、一般的にどのような立場の方がやるのでしょうか?ここでは、お通夜の受付は誰がやるのかについて解説します。

故人と関係の遠い親族

お通夜の受付候補として名前が上がりやすいのは故人の甥や姪、いとこといった、故人との関係が少し遠い親族です。そのほか、子どもの配偶者や故人の兄弟の孫が担当するケースなどもよくあります。

故人の配偶者や親、子どもといった直系の親族はお通夜の準備で忙しく、喪主としての務めなどもあるため、受付は担当できません。また、受付を担当すると、故人とのお別れが十分にできない可能性があります。

そういった面でも、近しい関係の方より少し遠い関係の方のほうが適任といえるでしょう。

遺族の友人や知人、会社関係者

遺族の友人や知人が受付を担当するケースもあります。昔からよく知っている知人や家族ぐるみで親交のある友人なら、安心して香典を預けられるためです。

また、親族が遠方で普段付き合いがない場合、いくら親族であってもどのように頼ってよいのかわからないこともあります。血縁関係にはなくても気心知れた存在が近くにいてくれるのは、遺族にとって心強いことでしょう。

そのほか、故人や遺族が会社を経営しているなど、仕事の関係で深い付き合いのある方がいるケースでは、会社関係者がお通夜の受付を担当することもあります。

お通夜の受付の流れ

お通夜の受付の流れは以下のとおりです。

  1. 受付の準備
  2. 役割分担
  3. 記帳の案内
  4. 香典の受け取り
  5. 返礼品の受け渡し
  6. お通夜への参列
  7. 香典の会計確認や返礼品の整理

流れに沿って解説します。

1.受付の準備

まずは受付の準備です。お通夜の受付はお通夜開始の30分前から始まるのが一般的であるため、お通夜開始の1時間前には会場入りしましょう。

時間ぎりぎりに到着してしまうと、何も確認できていない状態で参列者への対応をしなければならなくなってしまいます。また、受付には2名以上置くのが一般的ですが、会場入りが遅れるとほかの受付に迷惑がかかります。

受付に着いたら、ペンなどの備品のチェックや会葬御礼、香典返し(当日返し)の場所を確認しましょう。お手洗いやロッカー、駐車場の場所などを参列者に聞かれた際すぐに案内できるよう、会場内の配置も頭に入れておく必要があります。

そのほか、香典を辞退するケースもあるため、香典を受け取ってよいのかどうかを喪主に確認することも重要です。お通夜が始まってからは焼香をするタイミングをうまく作れない可能性もあるため、先に焼香を済ませる場合もあります。

2.役割分担

受付は通常、1人ではなく2人以上で担当します。スムーズに受付ができるよう、受付を開始する前にそれぞれの役割を決めておきましょう。人数によっても変わってきますが、受付には以下のような役割があります。

受付の主な役割
  • 記帳案内係
  • 香典受け取り係
  • 返礼品受け渡し係
  • 会計係

人数が足りない場合は、役割を複数兼任する必要があります。接客に慣れている方が記帳案内係を担当する、責任感のある方や計算に強い方などが香典受け取り係と会計係を兼任するなど、工夫して分担しましょう。

3.記帳の案内

芳名帳への記帳を案内するのも受付の仕事です。受付を訪れた参列者一人ひとりに、芳名帳への記帳をお願いします。喪主は芳名帳に記帳された内容を見て参列者を確認したり香典返しを送ったりするため、正確に書いてもらうようにしましょう。

なお、現在は帳面ではなくカード形式になった「芳名カード」で記録をとるケースが増えています。

一人ひとりへの対応に時間がかかることもあるため、受付の人数に余裕があるなら記帳案内係を専属で1人置いてもよいでしょう。

4.香典の受け取り

香典の受け取りも受付係の重要な仕事の1つです。香典袋に氏名や住所などが記載されているか確認し、香典を受け取ります。受け取りの際は「お預かりいたします」というひと言とともに、両手もしくはお盆で受け取りましょう。

参列者に式場を案内し、参列者が受付を離れたら中身を確認します。そして、香典袋に書かれている金額と中身が一致するかをチェックします。

中身の入れ忘れや金額が一致しないケースもあるため、お通夜が終わってからではなくこのタイミングで確かめておくのがおすすめです。もし現金の入れ忘れなどに気づいたら、香典の贈り主に確認しましょう。

5.返礼品の受け渡し

会葬御礼や当日返しといった返礼品は、受付のタイミングで渡す場合もありますが、この時点では引換券だけを渡しておき、焼香やお通夜のあと品物を渡すケースが多いです。

引換券を出されたら返礼品をすぐに渡せるよう、あらかじめ必要な分を用意しておくとよいでしょう。

お通夜が終わったあと、引換券の存在を忘れて帰ろうとしてしまう方も中にはいます。参列者が受付を通り過ぎる際は、積極的に声かけを行うようにしましょう。

なお、会葬御礼とはお通夜に参列してくれたことに対するお礼の品です。香典をいただいたかどうかにかかわらず、参列した方全員に渡します。

それに対し当日返しは、香典に対するお返しです。その名のとおり、香典をいただいた当日その場でお返しをします。こちらは香典の金額にかかわらず香典をいただいた方全員に同じものを渡しますが、香典をいただかなかったときは渡しません

忌明け後のタイミングで贈る後日返しが一般的ですが、全国的に当日返しは増えており、地域によっては当日返しが主流のところもあります。

6.お通夜への参列

お通夜が始まったら参列します。お通夜開始後は、受付係も着席する必要があるためです。

ただし、遅れて来る参列者や香典の管理のために、必ず1人は受付に残っていなければなりません。タイミングが合えば葬儀社の職員が交代してくれることもありますが、タイミングが合わなければ受付に1人残し、あとはお通夜に参列しましょう。

7.香典の会計確認や返礼品の整理

お通夜が終わったあとも、香典の会計確認や返礼品の整理など、受付係の仕事はあります。さらに受付の片付けも行います。

香典袋や返礼品、芳名帳を整理したら葬儀社の職員に渡し、片付けがすべて済んだら喪主に挨拶して帰宅しましょう。

お通夜の受付係が守るべきマナー

お通夜の受付係はいわば「会場の顔」です。喪主や遺族に迷惑をかけないよう、どのようなマナーに気をつけるべきなのでしょうか?ここでは、お通夜の受付係が守るべきマナーについて解説します。

服装や髪型

服装や髪型に関して気をつけるべき点は以下のとおりです。

服装や髪型に関して気をつけるべき点
  • 喪服を着用する
  • 身だしなみに気を配る
  • ヒールの高い靴は避ける
  • 派手な化粧や髪型を避ける
  • マニキュアは使用しない
  • 香水は控える
  • アクセサリーをつけるなら一連のパールを選ぶ

服装は参列者と同じように喪服を着用しましょう。男性ならブラックスーツ、女性ならブラックまたはダーク系のスーツやワンピースを選びます。

受付は見られる立場であるため、通常よりも身だしなみに気を配る必要があります。シャツにはしっかりアイロンをかけましょう。

ヒールの高い靴は避け、髪型はシンプルで清潔感のあるスタイルを心がけます。色が明るすぎる場合は暗めの色に染めるかカラースプレーで色を調節し、束ねる場合は低めの位置でまとめます。全体的に、派手な印象にならないよう注意しましょう。

普段ネイルにこだわっている方も、落とした状態で受付に立つことが望ましいです。香水も控えたほうがよいでしょう。

アクセサリーは外すのが原則ですが、パールのアクセサリーであればつけても問題ありません。ただしネックレスの場合、「悲しみが重なる」といわれる2連は避け、1連のものを選ぶのがマナーです。

言葉遣い

受付係は言葉遣いにも気を配らなければなりません。フォーマルな言葉遣いを心がけ、低めのトーンでゆっくり丁寧に話しましょう。

また、お通夜や葬儀といったシーンでは使用してはならない「忌み言葉」にも注意する必要があります。忌み言葉とは、たとえば以下のような言葉を指します。

忌み言葉の例
  • 「ますます」「重ね重ね」といった重ね言葉
  • 「引き続き」「再び」など不幸が続くことを連想させる言葉
  • 「死ぬ」「生きる」といった生死を連想させる言葉
  • 4(死)や9(苦)などの不吉とされている数字

上記の言葉や数字は、「不吉」「縁起が悪い」として嫌がられます。お通夜の間は使用しないよう意識して話すようにしましょう。

お通夜の受付係にふさわしい受け答え

お通夜の受付係にふさわしい受け答えには、たとえば以下のようなものがあります。

参列者からの言葉や行動 参列者の言葉に対する受け答え
「このたびはご愁傷さまでした」 本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます
記帳のお願い こちらへのご記帳をお願いいたします
香典の受け取り お預かりいたします
返礼品の受け渡し こちらお礼の品でございます
香典の辞退 故人の意向によりお香典は辞退させていただきます

「このたびはご愁傷さまでした」に対する受け答えは、季節や天気の状況によって変えてみるとよいでしょう。たとえば、夏の盛りであれば「お忙しい中」を「暑い中」と変えて使ってみます。雨天であれば、「足元のお悪い中」と言い換えます。

香典は「お預かりいたします」と言って受け取るのが正解です。「ありがとうございます」など、とっさにお礼を言わないようにしましょう。

喪主はお通夜の受付係にお礼を渡す?

喪主は、受付係を引き受けてくれた方にお礼をするのがマナーです。その場合、無地の封筒か不祝儀袋に3,000〜5,000円程度入れて渡すとよいでしょう。

地域によっては5,000〜1万円包むこともあります。地域の慣習に詳しい方や葬儀社に相場を聞いておきましょう。

表書きは「寸志」や「」「御礼」などと記載します。お礼を渡すタイミングは、お通夜終了後でも後日あらためてというかたちでもどちらでも構いませんが、あまりに遅くなると失礼です。

お通夜が終わってから2日後くらいまでを目安に渡すようにしましょう。

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