相続を司法書士に相談するメリットは?頼まないデメリットも解説

相続の際に、司法書士に相談すべきか悩んでいる方もいるでしょう。司法書士にしかできない手続きもあるので、迷ったときは早めに相談するのが得策です。

この記事では、司法書士に相続を相談するメリットや、依頼する際に必要な費用を解説します。司法書士に頼まない場合に起こるリスクも紹介するので、相続相談を検討している方は必読です。

1分でわかる!記事の内容
  • 司法書士に相談すれば相続人調査や書類作成の代行をしてくれる
  • 司法書士に相談しないと手続き上のミスが発生しやすい
  • 相続の実務経験が豊富で各種士業と連携している司法書士を選ぶことが大事

司法書士が相続手続きでできること

司法書士には、相続に関する以下の手続きを依頼できます。

  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続不動産の名義変更(相続登記)
  • 相続放棄

各手続きについて解説していきます。

相続人調査

相続人調査とは、法定相続人が誰かを調べることです。 具体的には、亡くなった人(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本などを収集・分析して、家族関係の履歴を調査します。

戸籍だけでは相続関係を調べられないので、出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得して、相続人を確定しなければなりません。

戸籍謄本は戸籍のある自治体でしか取得できないため、複数の自治体にわたって戸籍を集める場合はかなり面倒な作業になります。相続人が配偶者と子供だけであれば調査も簡単ですが、元配偶者との間に子がいたりすると調査が大変です。

司法書士に相談すれば戸籍取得の代理を依頼できるので、精神的にも時間的にも余裕が生まれます。

相続財産調査

相続財産調査とは、故人の保有していた財産をすべて洗い出し、財産額を確定させる作業です。不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産まですべて洗い出す必要があります。

財産調査では銀行や証券会社、役所などに連絡をする必要があるため、手続きは非常に面倒です。調査漏れがあると、相続人同士のトラブルに発展する可能性があります。

相続トラブルを防いで手間を省くためにも、司法書士にすべて任せるのが得策です。

遺産分割協議書の作成

司法書士に依頼すれば、遺産分割協議書も作成してもらえます。 遺産分割協議書とは、遺産分割協議で決まった内容を書面化したもので、相続登記の申請書に添付する書類です。

遺産分割協議書に決まった書式はありませんが、法的に有効な内容を記載しなければなりません。遺産分割協議書に不備があると相続登記を受け付けてもらえないため、慎重に作成する必要があります。

作成ミスを防ぐためにも、遺産分割協議書作成は司法書士に任せるのが安心です。

相続不動産の名義変更(相続登記)

不動産の所有者が亡くなった場合は、不動産の名義人を変更する手続き(相続登記)が必要です。

相続登記をするには、戸籍謄本等を取得して登記申請書を作成し、法務局に申請する必要があります。すべての作業を自分で行うのは大変ですが、司法書士に依頼すれば、損のない正確な手続きができます。

自分で相続登記の申請ができたとしても、訂正や書類の不備があれば何度も法務局に足を運ばなければならず、手間がかかります。

不動産という大切な財産の名義変更を迅速かつ正確に行うためにも、相続登記は司法書士に依頼しましょう。

相続放棄

司法書士は相続放棄の申述にも対応できます。相続放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することです。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も一切相続しないため、被相続人の借金を引き継ぎたくない場合に効果的です。

相続放棄をしたい場合、相続開始を知ったときから3カ月以内に申述書を家庭裁判所に提出します。戸籍謄本の収集などに時間がかかっていて期間を延長したい場合は、期間伸長の手続きも可能です。

被相続人に借金があることを知らずに3カ月の期間が過ぎた場合も、司法書士に事情説明書を作成してもらえば、放棄が認められる場合があります。

司法書士に相談すれば、相続放棄に関連するさまざまなケースに対応してもらえます。遺産を引き継ぎたくない場合は、司法書士に相談して適切なアドバイスをもらいましょう。

司法書士に相続相談をするメリット

司法書士に相続相談をするメリットは、主に3つあります。

  • 面倒な調査を行ってくれる
  • 書類作成を代行してくれる
  • 必要な手続きを案内してくれる

それぞれのメリットについて説明します。

面倒な調査を行ってくれる

司法書士に依頼すれば、相続人調査や相続財産調査などの面倒な調査をすべて任せられます。

例えば相続人調査をする場合、収集しなければならない戸籍の範囲が広く、大量の戸籍謄本や除籍謄本などを集める必要があります。司法書士に依頼すれば、必要な戸籍をすべて収集してもらえるので手間がかかりません。

必要書類の取り寄せから法務局への申請手続きまで、一連の作業を任せられるため、複雑なケースでは司法書士に依頼した方が安心です。

書類作成を代行してくれる

司法書士は相続登記の専門家なので、相続関連の書類作成を代行できます。具体的に代行できるのは、以下の手続きです。

司法書士が代行できる作成書類
  • 相続関係図の作成
  • 財産目録の作成
  • 遺言書の検認申立書の作成
  • 遺産分割協議書の作成

上記書類の作成は非常に難しく煩わしいため、専門知識がない場合は手続きに多くの時間や労力を使います。

司法書士に依頼すれば、必要書類の作成や手続きをスムーズに進めるため、相続人は手続きに費やす時間や労力を大幅に削減できます。法律的に間違いのない正確な書類を作成できるので、ミスが発生する心配もありません

書類作成で何か一つでも間違えると相続トラブルに発展しやすいため、司法書士のサポートを得るのがおすすめです。

必要な手続きを案内してくれる

司法書士に相談すれば、それぞれの状況に合わせた相続手続きを案内してくれます。

例えば不動産を売却した上で相続したい場合、どういう遺産分割の方法が適しているかなど、法的に適切な形を提案してくれます。

相続手続きには、法律に関する知識が不可欠です。相続人が知識を持っていない場合、手続きを正しく進められなかったり、相続税の納付額が高くなったりするリスクがあります。

相続人が複数いれば、遺産分割をする際に相続人同士でのトラブルが発生することもあるでしょう。

司法書士に依頼すれば、相続人の希望や遺産の価値などを考慮して、公正な分配をするためのアドバイスを提供してくれます。そのため、トラブルを回避して納得いく分配が実現できます。

戸籍取り寄せから預貯金の解約まで、幅広い相談に対応してくれるので、相続に関してわからないことがあれば遠慮せずに相談してみましょう。

司法書士に相続を頼まない場合のデメリット

司法書士に相続を頼まない場合は、以下のようなデメリットが発生します。

  • 相続手続きでミスが起きやすい
  • 相続手続きに時間がかかる

それぞれのデメリットについて説明します。

相続手続きでミスが起きやすい

知識のない人が相続手続きをすると、ミスや記入漏れが起きやすくなります。相続手続きは記入すべき書類が多く、申請書の書き方までルールに沿う必要があるため、不慣れな人だと間違えたり不備があったりします。

1文字も間違いのないように書類を作成するのは大変です。作成した書類をチェックしても、専門知識のない人がミスを見つけるのは困難です。

相続登記の書類にミスがある場合は訂正しなければならず、決して簡単な手続きとは言えません。司法書士に相談すれば相続手続きを代行してくれるため、ミスを防いでスムーズな相続が可能になります。

相続手続きに時間がかかる

相続人調査に始まり、遺産分割協議を終えて相続財産を使えるようになるまで、最短でも3カ月はかかります。

すべての手続きを自分で行う場合、戸籍謄本などの必要書類を揃えるのにいくつもの役所を周ったり、法務局に何度も足を運んだりしなければならず、手間と時間がかかります。

専門知識のない人が必要書類を不足なく集めて、正確な申請書を作成するには、相当な時間と労力が必要です。仮に申請できたとしても、間違いが多すぎて申請をやり直すように言われてしまい、途中で挫折するケースも少なくありません。

司法書士に依頼すれば、必要書類の作成から提出まですべて対応してくれるため、手続きにかかる時間と手間を大幅に削減できます。

司法書士に相続手続きを依頼する費用

司法書士に相続手続きを依頼する際は、報酬を支払う必要があります。ここでは、相続手続きを依頼する際に発生する費用を解説します。

司法書士費用の相場

司法書士費用は、地域や相続人の数、手続きの範囲などによって異なります。定額制の事務所もあれば、依頼の範囲によって費用が変動する事務所もあるため、事前確認が必要です。

相続登記の費用は、5~15万円程度が相場です。相続手続きに関する相談から登記まで一括で依頼する場合は、20万円~であることが多いです。ただし、他に不動産がある場合や相続人の数が多い場合などは、別途費用が発生します。

相続人の調査や預貯金解約などの遺産整理業務は、遺産の1%前後が報酬の目安です。

必要書類を自分で集めると低価格で手続きできるプランや、不動産の調査から一貫して行うプランまで、事務所によって扱うプランは異なるため、自分に適したものを選びましょう。

値段が安ければ良いというわけではないので、どこまで対応してくれるか確認することが大切です。相場以上の費用を請求されないためにも、事前に見積もりを請求して、費用がいくらになるか確認しましょう。

司法書士の費用は誰が払う?

司法書士の費用について、誰が払うという決まりはありません。誰が払っても良いため、一般的には相続人が話し合って決めます。

相続登記の場合は、不動産を相続する人が費用を払うのが一般的です。相続人が1人しかいない場合は、1人が全額負担します。

複数人で不動産を相続する場合は、事前に費用の負担割合を話し合っておくと良いでしょう。不動産の相続割合に準じて費用を負担する、もしくは相続割合に関係なく均等に負担するというように、事前に決めておいた方が手続きがスムーズです。

相続相談をする司法書士の探し方・選び方

相続相談をする司法書士を探すときは、以下3つのポイントをチェックしましょう。

  • 相続の実務経験が豊富にある
  • 各種士業と連携している
  • 無料相談がある

司法書士の選び方を把握して、相続手続きをスムーズに進めましょう。

相続の実務経験が豊富にある

相続相談をするときは、相続手続きに強い司法書士を選びましょう。司法書士の職域は幅広いため、中には相続の実務経験や知識がほとんどないという人もいます。

ホームページなどで相続の実務経験を調べて、得意分野が何かを確認しましょう。相続登記だけでなく、相続全般を得意とする司法書士に相談することが大切です。

相続にまつわる事実関係や法律関係を正確に把握して、必要な手続きや解決策を提案するには、相続全般に精通した司法書士でなければ対応できません。

相続に関する実務経験が豊富な司法書士であれば、二次相続対策まで含めた相続手続きを提案してくれるため、安心して手続きを進められます。

各種士業と連携している

相続手続きには特定の専門家しかできない内容もあるので、各種士業と連携している司法書士を選ぶことが大切です。

裁判所での遺産分割調停や審判の代理人は弁護士しかできません。相続税の申告ができるのは税理士のみです。

しかし、各専門家に別々に依頼するのは合理的ではありません。新たな手続きが発生するたびに専門家を探していては、時間や手間ばかりかかってしまいます。

他の専門家とのネットワークも持っている司法書士なら、他の専門家と連携しているので、相続手続きをワンストップで代行してもらえます。

無料相談がある

司法書士は実際に会ってみないと相性がわからないので、無料相談を利用して直接話をしてみましょう。

実際の相続手続きでは大切な書類を預けることになるため、面談してみて信頼できる司法書士を選ぶことが大切です。

最近は初回無料で相続相談を行う事務所が増えているので、複数の司法書士の人柄やコミュニケーション能力を比較検討できます。

親身になって話を聞き、的確なアドバイスをくれる司法書士を選べば安心して手続きを進められます。精神的負担が重くならないように、相談しやすい司法書士を選びましょう。

相続相談をするなら司法書士と税理士のどっち?

相続相談は司法書士以外の専門家も受け付けているため、状況に応じて相談先を変えましょう。

  • 不動産を相続するなら司法書士
  • 相続税対策をしたいなら税理士

司法書士と税理士、それぞれ相続相談をすべき状況を解説します。

不動産を相続するなら司法書士

不動産を相続する場合は、司法書士に依頼しましょう。司法書士は登記手続きを代理できる専門家であり、不動産の名義変更手続きや不動産売却にも精通しています。

司法書士に相談すれば、不動産をめぐる相続トラブルを防止できるとともに、相続不動産を速やかに現金化できます。

不動産売却時の手続きや税金、法律上の問題点などもアドバイスできるため、不動産関連の手続きは司法書士に任せれば問題ありません。

実際、相続税の申告が必要ない場合は、司法書士だけですべての相続手続きを進められるケースがほとんどです。

2024年4月1日以降は相続登記が義務化されるため、今後ますます司法書士のサポートが必要になるでしょう。

相続税対策をしたいなら税理士

相続税対策をしたいなら、税理士に依頼しましょう。税務の専門家である税理士は、相続税の申告から税務調査まで幅広く対応できます。

相続税対策をするとしないでは、相続税額が大きく異なります。相続税の知識と実績が豊富な税理士に相談すれば、相続税の正確な試算をしたうえで、二次相続も考慮した相続税対策を提案してくれます。

相続税を節税するための対策を講じるには、生前のうちに相続税を試算しておくことが大事です。生前のうちに財産を渡して相続財産を減らしておけば、相続税の金額を下げられます。

相続税をなるべく安くしたいのであれば、早いうちから税理士に相談して相続税対策を始めましょう。

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