直葬での葬儀を考えている場合に、戒名を授けてもらうべきか迷っている方もいるのではないでしょうか?
直葬では戒名をつけなくても大丈夫ですが、葬儀後の法事や納骨が難しくなるため注意が必要です。
今回は、直葬で戒名が必要になるケースや、戒名がないデメリットについて解説します。
- 直葬では戒名をつけないケースが多い
- 直葬でも寺院墓地に納骨するときは戒名が必要になる
- 直葬における戒名の費用相場は20〜100万円
戒名とは?
戒名とは、仏の弟子となった証として故人に授けられる名前です。 戒名は本来、生前に授与されるものですが、現在は亡くなってから葬儀までの間に僧侶から付与されるのが一般的です。
かつての戒名は2文字が主流でしたが、現代では10~15文字程度でつけられています。
なお、宗派によって戒名の呼び名は異なります。
戒名 | 天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、浄土宗 |
---|---|
法号 | 日蓮宗 |
法名 | 浄土真宗 |
浄土真宗では戒律が存在しないため「法名」、日蓮宗では法華経を大切にすることから「法号」と呼びます。
戒名がない場合は仏弟子と認められない
戒名がない故人は仏弟子と認められません。
お墓を管理している寺院では、仏弟子の証である戒名があることを納骨条件としている場合が多いです。そのため、先祖代々の魂が眠っているお墓でも、納骨を断られる可能性があります。
遺族や子孫はお墓のある寺院と関係が続いていくため、戒名をつけないことで寺院とトラブルが起こることもあるでしょう。今後も寺院と関係を続けたい場合は、戒名をつけたほうが無難だといえます。
戒名がなくても成仏できる
戒名がなくても成仏はできます。ただし、戒名があることで供養がスムーズに行われ、成仏への道を助けるとされています。
戒名は仏教徒の証であり、成仏する条件の1つです。戒名には故人の霊を導く力があり、故人の成仏が促進されるとされています。
仏教の宗派によっては戒名をつけないこともありますが、その場合は遺族や親族の信仰心や故人への供養が成仏に導く力となります。
戒名は後からもつけられる
直葬の後に戒名をつけてもらうことは可能です。特に期限はないため、亡くなってから10年後でも30年後でも戒名をつけられます。
また、一度つけた戒名をあとからつけなおすこともできます。直葬後に宗派に従ったものへと変えたい場合、戒名をつけてもらった寺院に相談しましょう。
ただし、葬儀を行わないと戒名を付けてくれない寺院もあります。
直葬では戒名をつけない方が多い
直葬では宗教的な儀式が省かれるため、戒名をつけないことが多いです。
そもそも宗教儀式は必要ないと考える方が直葬を選ぶため、僧侶も呼ばず、戒名の話すら出ないことも珍しくありません。
戒名をつけなくても問題ありませんが、あとのことを考えるとつけたほうがよい場合があります。菩提寺に納骨する場合は戒名が必要になることが多いので、なるべく生きているうちに本人の希望を尋ねておきましょう。
直葬で戒名が必要になるケース
直葬でも戒名が必要となるケースがあります。どういった場合に戒名が必要か、その基準を知っておきましょう。
通夜や葬儀をするとき
通夜や葬儀をするときは戒名が必須です。仏教で弔ってもらう場合は、僧侶に読経してもらい、戒名を授与してもらいます。
戒名をつけてもらうときは、戒名料を含んだ相応のお布施が必要なので準備しておきましょう。お布施の金額は、戒名のランクによって変わります。
寺院墓地に納骨するとき
菩提寺などの寺院経営の霊園へ納骨するときは、戒名が必須です。寺院が運営する霊園に納骨する際は、檀家になることが一般的です。
檀家とは経済的に寺院を支援する家庭のことで、檀家になるには戒名が必要になります。納骨後に檀家になる必要があるかを事前に確認しておきましょう。
また、寺院墓地には使用規則が存在し、葬儀や法要などに決まりがあります。戒名の授与をしない葬儀は行えません。勝手に直葬したり、菩提寺以外のお寺で戒名の授与をしたりすると、契約違反になるケースもあります。
先祖代々のお墓に納骨をするなら、菩提寺との事前相談を行い、直葬を検討しましょう。直葬でも戒名をつけられるか、納骨可能かを相談し、確認がとれたら正式に依頼します。
直葬後に法要するとき
直葬後に法要を行うときは、一般的に戒名が必要です。法要を行う寺院の僧侶以外が戒名をつけることが許されないケースもあるので、注意が必要です。
まずは寺院に相談して、法要に戒名が必須かどうか確認しましょう。
直葬で戒名が必要ないケース
直葬で戒名が必要ないケースは以下のとおりです。
公営墓地に納骨するとき
公共団体や自治体が運営している公営墓地や、企業が管理運営している民営墓地は、宗教による制約がないため、戒名は不要です。
宗教・宗派を問わず、誰に対しても墓地を提供しており、イスラム教やキリスト教などの宗派も受け入れています。戒名がない方や無宗教の方でも、何ら問題ありません。
ただし、公営墓地は公募制のため、いつでも好きなときにお墓を購入できるわけではありません。民営墓地も、墓地購入費用が他の墓地よりも割高という注意点があります。
無宗教の墓地に納骨するとき
無宗教の永代供養墓に納骨する方法もあります。永代供養とは、遺族に代わってお寺や霊園が管理・供養することです。
永代供養では墓石や位牌が必要ないため、戒名は不要です。寺院の中には永代供養墓や納骨堂などの施設をもっているところもあり、その多くは宗教・宗派を問わず入れます。お寺により条件は異なりますが、檀家でない方が利用できるところもあります。
ご自身でお墓を管理する必要がないので、高齢で墓地に行くことが難しい方や子・孫に負担をかけたくないと考えている方におすすめです。
自然葬にするとき
自然葬とは、遺骨をお墓ではなく自然に還す埋葬形式です。自然葬には、以下のようにさまざまな種類があります。
樹木葬 | 墓石の代わりに樹木を墓標とする |
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海洋散骨 | 海に遺骨を撒く |
森林散骨 | 山や森など木々が生い茂る場所に散骨する |
自然葬では墓石を持たないため、戒名を持たなくても問題ありません。墓石がない分、価格もリーズナブルで管理も楽です。
直葬で戒名がないデメリット
戒名を付けないことで起こりうるデメリットを解説します。
親族に反対される
葬儀も行わず戒名もつけないとなると、親族や故人の友人・知人たちから反感を買うことがあります。
近年は直葬が浸透しつつありますが、まだ一般的ではないため、保守的な地域の親族などから批判されることもあるでしょう。
このような場合は親族を説得する必要があるので、かえって負担が増えることもあります。説得できないと、良好だった親族関係が悪くなることもあります。
戒名をつけないときは、事前に相談して親族や親しい友人に理解を求めましょう。先に親族に納得してもらえば、トラブルも未然に防げます。
菩提寺との関係が悪化する
菩提寺のある方は先祖代々から戒名をつけてもらい、葬儀で読経を依頼するケースがほとんどなので、戒名をつけないと不快に思われることがあります。
お寺の檀家にも関わらず、菩提寺の承諾もなく戒名をつけないと、お寺の墓地に納骨できないこともあります。
菩提寺との関係が悪くなる可能性があるので、慎重に決めるのがよいでしょう。
法事ができない
戒名をつけずに直葬を行った場合、初七日や四十九日といった法事を行えない可能性があります。
戒名は仏門に入ったことを証明する名であるため、戒名のない方は仏教徒とみなされません。関係の悪化した菩提寺だけでなく、どの寺にお願いしても、仏教徒でないなら法事を頼むことは難しくなるでしょう。
そのようなケースを避けるために、菩提寺の僧侶とはしっかり話し合い、直葬の戒名の有無を決めることが大事です。
直葬で戒名をつけてもらう方法
直葬でも希望すれば戒名授与ができます。直葬で戒名をつけるには、主に4つの方法があります。
寺院に依頼する
戒名は寺院に依頼する方法が最も一般的です。菩提寺がない方も、火葬で住読経を行ってもらい、戒名をつけてもらえます。
ただし、宗教儀式を省略した直葬では、お寺の許可が降りないケースが少なくありません。許可がないまま直葬をすると、納骨ができないトラブルもあるので注意しましょう。
先祖代々の墓へ納骨はしたいけど、葬儀は直葬で行いたいときは、事前相談が欠かせません。事前に戒名をつけてもらえるかを確かめ、同意がもらえたら正式に依頼しましょう。
葬儀社に相談する
菩提寺がない方は、葬儀社から紹介してもらう方法もあります。ご自身の宗教・宗派や状況に合う寺院を紹介してもらえれば、戒名の授与をスムーズに行えるでしょう。
葬儀社によっては、僧侶の手配まで一任できるケースもあります。
インターネットのサービスを利用する
インターネット上のサービスを利用して戒名の授与を依頼することも可能です。
インターネットのサービスならお寺に依頼するよりも費用がかからないため、節約したい方におすすめです。費用はサービスによって異なりますが、2万円程度から依頼できます。
申し込むと、1週間ほどで戒名が書かれた半紙が届きます。戒名は四十九日までにつければ問題ないため、インターネットで依頼しても十分間に合うでしょう。
ご自身でつける
戒名はご自身でつけることもできます。必ずしも僧侶がつける必要はなく、自分でつければ費用は一切かかりません。
とはいえ、戒名は構成が詳細に決められており、使用できる文字についてのルールがあります。宗派によっても違いがあるので注意が必要です。
戒名のルールを書物で調べながら、正しくつけましょう。
直葬における戒名の費用相場
戒名に決まった値段はありませんが、一般的な相場は20~100万円です。寺院や戒名のランクによって費用に幅があり、高位になれば100万を超えることもあります。
位別の戒名料相場は以下のとおりです。
信士・信女 | 20〜50万円 |
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居士・大姉 | 50〜80万円 |
院信士・院信女 | 70〜100万円以上 |
院居士・院大姉 | 100万円以上 |
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