香典返しはいつ送る?忌明けの時期やマナーについても解説

「香典返しはいつ送るのがベスト?」「香典返しは葬儀のあとすぐ送っていいの?」など、香典返しを送るタイミングについてお困りではありませんか?

香典返しを送るベストなタイミングは忌明け後2週間以内です。遅くとも、1カ月以内には手配できるようにしましょう。できるだけ早く香典返しを済ませたい場合は、お通夜や葬儀当日に香典返しをする「当日返し」というものもあります。

この記事では、香典返しを送るタイミングや忌明けの時期について解説します。香典返しのマナーについても解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

1分でわかる!記事の内容
  • 香典返しは忌明けの法要後に送るのが一般的
  • 香典返しが遅れた場合はお礼状(挨拶状)にお詫びの言葉を一言添える
  • 忌明けの時期は宗教・宗派によって異なる

そもそも香典返しとは

そもそも香典返しとは、お通夜や葬儀でいただいた香典に対するお礼のことです。また、弔事を無事終えて、忌明けを迎えたことを報告するために送るものでもあります。

「香典」や「香典返し」は、江戸以前から続く日本古来の風習です。もともとは、葬儀の際に米を持ち寄っていたものがお香やお供えものに変わり、現在のように現金を包むスタイルになったのは江戸時代だといわれています。

香典返しは北海道から沖縄まで日本各地で行われていますが、香典返しを送る時期やマナーには地域による違いがあります。さらに宗教・宗派によっても異なるため、マナーに反していないか確認しながら準備を進める必要があるでしょう。

香典返しはいつ送る?

香典返しの品物は、忌明けの法要後に送るのが一般的です。前述のとおり、香典返しは香典に対するお礼だけでなく、忌明けの報告も兼ねているためです。「忌明けの法要後2週間以内」を送る目安とし、遅くとも1カ月以内には送れるよう準備しましょう。

ただし、忌明けの法要を行うタイミングは宗教・宗派ごとに異なるため、忌明けが「故人の死亡から何日後」にあたるのかは宗教・宗派によります。

また、香典返しには、お通夜や葬儀当日にその場でお返しをする「当日返し」というものもあります。地域によっては当日返しが主流になっているところもあり、当日返しをした場合、通常であればそのタイミングで香典返しは完了です。

「香典返しのタイミングは忌明けが基本だがケースにもよる」ということを覚えておきましょう。宗教・宗派別の忌明けの時期については後述します。

香典返しが遅くなった場合

香典返しをするべきタイミングに間に合わず、渡すのが遅くなってしまったときは、遅れたことをお礼状(挨拶状)でお詫びしましょう。葬儀後は、遺産相続やさまざまな手続きをしなければならないため、さらに忙しくなることが予想されます。

忌明けの法要が終わったあと、忙しさから香典返しの準備が進まないこともあるでしょう。しかし、香典返しが遅くなると香典をいただいた方に心配をかけてしまいます。

忌明けの法要から1カ月以上経ってしまった場合などは、お礼状にお詫びの言葉を一言添えるようにしましょう。

宗教別の忌明けの時期

前述したように、忌明けの時期は宗教・宗派によって異なります。宗教別の忌明けの時期は以下のとおりです。

宗教・宗派 忌明けの時期 法要などの名称
仏式 死亡から49日目 四十九日法要
キリスト教式(カトリック) 死亡から30日目 追悼ミサ
キリスト教式(プロテスタント) 死亡の1カ月後 召天記念式
神式 死亡から50日目 五十日祭
無宗教 なし

それぞれ解説します。

仏式

仏式の忌明けは、故人の死亡から数えて49日目です。そのあと四十九日の法要が執り行われ、香典をいただいた方にお返しをします。

ただし、四十九日法要までの期間が3カ月にわたる場合は、35日に繰り上げることがあります。なぜなら、3カ月にわたることを「三月(みつき)またぎ」といい、「49(始終苦)が三(身)につく」という語呂合わせが不吉だとされているためです。

法要を35日に繰り上げた場合は、死亡から35日目以降が香典返しのタイミングです。

なお、仏式でも浄土真宗であれば「四十九日の法要後」にこだわる必要はありません。「人は死後すぐに極楽浄土に向かう」というのが浄土真宗の考え方であるためです。四十九日を待たずに、葬儀後の落ち着いたタイミングで香典返しを行ってもよいでしょう。

キリスト教式

キリスト教には香典返しの習慣はありません。しかし、葬儀でいただいた御花料(おはなりょう)や御霊前(ごれいぜん)などに対してお返しをする、香典返しのような習慣はあります。

なお、同じキリスト教式でも、カトリックとプロテスタントではさまざまな点が異なるため注意が必要です。

カトリックでは故人の死亡から30日目の追悼ミサ、プロテスタントでは1カ月後に行われる召天記念式が忌明けにあたり、そのあと御花料などをいただいた方にお返しをします。

神式

故人の死亡から50日目の五十日祭が、神道での忌明けにあたります。この時期に納骨も行うのが一般的です。

五十日祭と納骨のあと、忌明けの法要と納骨を無事に終えられた報告も兼ねて、御玉串料(おたまぐしりょう)や御榊料(おさかきりょう)に対するお返しをします。

無宗教

無宗教の場合、いつ香典返しを行っても構いません。そもそも「忌明け」という考え方がないためです。葬儀が終わってすぐのタイミングでも問題ありません。

仏式でいう四十九日など、ほかの宗教の忌明けに合わせたり、納骨のタイミングで香典返しを行ったりすることもあります。

香典返しと会葬御礼の違い

香典返しとは、文字通り香典をいただいた方へのお返しです。そのため、香典をいただいていない方には渡す必要がありません。

それに対して会葬御礼は、参列してくれたことへのお礼として渡すものです。香典をいただいたかどうかは関係なく、お通夜や葬儀に参列してくれた方全員に同じものを配ります。

会葬御礼の費用相場は500〜1,000円程度とささやかに済ませることが多く、日常的に使用するものがよく選ばれます。

たとえばハンカチやコーヒー、タオル、海苔などの、軽くてかさばらないものが定番です。そのほか、図書カードやクオカードなどが選ばれるケースも増えています。

当日返しと後日返しの違い

当日返しとは、あらかじめ用意しておいた香典に対するお返しを、お通夜や葬儀の当日に渡すことです。それに対して後日返しとは、当日にお返しはせず、後日それぞれの香典金額に合わせて選んだ品物を渡すことをいいます。

どちらも香典返しですが、「香典返し」というと一般的には後日返しを指します。当日返しと後日返しの違い、それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

当日返し 後日返し
渡すタイミング お通夜・葬儀当日 後日(忌明け後が一般的)
費用相場 2,000〜3,000円 香典の3分の1〜半額
メリット ・後日送る必要がない
・送料がかからない
・品物を選ぶ手間が不要
・相手ごとに品物を選べる
・不公平になりにくい
デメリット ・会葬御礼と間違われる
・追加で後日返しが必要な場合がある
・選ぶのに時間がかかる
・送料がかかる

当日返しと後日返しのメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。

当日返しのメリットとデメリット

当日返しはその場で香典返しが完了するため、後日品物を手配する必要がありません。それぞれの好みに合わせて品物を選ばなくてよい点も、遺族の負担を減らせることを考えるとメリットといえるでしょう。

ただし、選ぶ品物しだいでは参列者全員に配布する「会葬御礼」と間違われる可能性がある点には要注意です。また、いただいた香典の金額によっては当日返しではお返しが足りず、追加で後日返しをしなければならないケースもあります。

後日返しのメリットとデメリット

後日返しには、香典をいただいた方の好みに合わせて品物を選べるというメリットがあります。全員に同じ品物を渡す当日返しよりも、渡す相手それぞれに気持ちを込めやすいかもしれません。

香典金額によって予算が異なるため、不公平になりにくいのもメリットです。しかし品物を選ぶのに時間がかかる点や、郵送する場合に送料がかかるなどのデメリットもあります。

香典返しのマナー

香典返しには守るべきマナーがいくつかあります。ここでは、香典返しのマナーについて解説します。無意識に失礼な行いをしてしまわないよう、念頭に置いておきましょう。

金額相場はいただいた香典の金額による

香典返しの金額相場は、いただいた香典の金額によって異なります。もっとも一般的なのは、香典の半額に相当する品物を贈る「半返し」です。たとえば1万円の香典をいただいたのであれば、5,000円相当の品物を選んで贈ります。

しかし、必ずしも半返しをする必要はなく、3分の1〜半額程度が妥当とされています。また、高額な香典をいただいたときは、4分の1〜3分の1程度でもマナー違反にはあたりません。

香典の金額が高額だった場合、遺族の今後を心配して多めに包んでくれているケースが多い傾向にあります。その気持ちをありがたく受け取っておくのもよいでしょう。

タブーとされる品物は避ける

マナー上タブーとされている品物は選ばないようにしましょう。香典返しには向かない、タブーとされている品物は以下のとおりです。

香典返しでタブーとされている品物
  • 生肉や生魚
  • 昆布や鰹節などの縁起物
  • お酒

「四つ足生臭もの」とも呼ばれる生肉や生魚は、香典返しの品物としてふさわしくありません。殺生を連想させることや宗教上の理由もありますが、生ものは日持ちしないためそもそもこういった贈りものには不向きです。

また、昆布や鰹節などの縁起物や、お祝いごとの際に贈られることの多いお酒なども香典返しでは避けるべきでしょう。

ただし肉や魚でも、佃煮などの加工品であれば選んでも構いません。香典返しには、日持ちするお菓子やアルコール以外の飲み物、タオルなどがよく選ばれています。

品物には掛け紙をつける

香典返しの品物には掛け紙をつけましょう。手渡し、郵送に関係なく掛け紙をつけるのがマナーです。なお、掛け紙とは品物を巻くようにつける紙のことで、おめでたいシーンでつける「のし(熨斗)」がついていないものを指します。

掛け紙には以下の3種類があります。

宗教・宗派、地域 掛け紙の種類
全般 黒白のし(蓮の絵が入っていないもの)
仏式 黒白のし(蓮の絵が入っているもの)
キリスト教式、神式
北陸地方、関西〜西日本
黄白のし

宗教・宗派や地域によって、使用する掛け紙は異なります。たとえば蓮の絵が入っていない黒白のしは宗教・宗派に関係なく使用できますが、同じ黒白のしでも蓮の絵が入っているものは仏式のみ使用可能です。

また、仏式でも北陸地方や西日本、関西では黄白のしを使用する地域もあります。

表書きも宗教・宗派や地域によって異なる

掛け紙と同様に、表書きも宗教・宗派や地域によって書き方が異なります。表書きとは掛け紙の上段、水引の上に記載する文言のことです。宗教・宗派、地域別の書き方は以下のとおりです。

宗教・宗派、地域 表書き
全般
仏式
キリスト教式、神式 偲び草、偲草
北陸地方、関西〜西日本 満中陰志
中国、四国、九州地方の瀬戸内海側 茶の子

「志」は宗教・宗派、地域に関係なく使用できる表書きです。仏式でも「志」と書きます。

キリスト教式や神式では「偲び草(しのびくさ)」が使われます。送りがなは、あってもなくてもどちらでも構いません。

北陸地方や関西〜西日本の一部地域では「満中陰志(まんちゅういんし)」、瀬戸内海に面している中国、四国、九州地方では「茶の子(ちゃのこ)」と書く地方もあります。

郵送する場合はお礼状(挨拶状)を添える

香典返しを郵送する場合はお礼状(挨拶状)を添えるのがマナーです。直接手渡すなら口頭でお礼を伝えられますが、郵送ではお礼の言葉も何もなく品物だけ送りつけることになってしまい、先方に失礼であるためです。

ただし、直接手渡せる場合はいりません。お礼の言葉とともに品物を渡せばよいでしょう。

なお、お礼状はルールに則って作成する必要があります。お礼状のルールについては次の見出しで詳しく解説します。

お礼状(挨拶状)はルールに則って作成する

お礼状(挨拶状)は、以下のルールに則って作成します。

お礼状(挨拶状)を書くときのルール
  • 句読点を使用しない
  • 季節の挨拶を入れない
  • 頭語と結語を入れる
  • 忌み言葉を避ける
  • 宗教・宗派に配慮する

お礼状を書くときは句読点を使用しません。理由としては、もともと毛筆で書状を書く際に句読点を使用する習慣がなかったことが挙げられます。流れを断ち切ることなくお通夜や葬儀を終えられるよう、句読点を使用しないともいわれています。

季節の挨拶は不要です。その代わり「謹啓」や「拝啓」などの頭語、「敬白」や「敬具」などの結語を文章の始めと最後に入れます。

忌み言葉も避けなければなりません。たとえば「重ね重ね」「ますます」といった重ね言葉や、死を連想させるような言葉は使わないようにしましょう。

そのほか、宗教・宗派によって使用できる言葉が異なる点にも注意が必要です。たとえば、「浮かばれない」「迷う」といった言葉は、故人の成仏を願う仏教の考え方にそぐわないため仏式では使用できません。

香典返しを辞退されたときはお礼状のみ送る

香典返しを辞退されたら、香典返しは必要ありません。ただし、その場合でもお礼状は送りましょう。

香典返しを辞退された方は、遺族の負担やこれからの生活について気にかけてくれているケースが多いです。心遣いに対する感謝の気持ちを綴るとよいでしょう。

その際は「返礼無用とのお心遣いをいただき心より御礼申し上げます」など、香典返しを辞退されたことについてお礼の言葉を付け加えることをおすすめします。

遅れて香典をいただいたときもお返しする

遅れて香典をいただいたときでも、香典返しはするべきです。香典返しは香典に対するお礼であり、忌明け後1カ月の目安を過ぎたらもう渡せないというものではないためです。

たとえば四十九日の法要が終わったあとや半年後に香典をいただいた場合でも、そのあと通常どおりに香典返しを行えます。

正月と重なるときはタイミングを遅らせる

香典返しの時期が正月と重なるときは、香典返しのタイミングを遅らせましょう。元旦から1月7日ごろまでのおめでたい期間を避け、1月中旬以降に渡せるよう準備することをおすすめします。

香典返しのタイミングを遅らせたくない場合は、お通夜や葬儀当日にお返しをする「当日返し」をするのも1つです。ただし、当日返しをするなら故人が亡くなったあとすぐに品物を手配する必要があります。

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