近親者が所有している不動産は亡くなった後にどうなるのか、詳しく理解していない方も多いでしょう。不動産を所有する方が亡くなり、故人となった際は、その不動産を対象に相続登記をする必要があります。
本記事では故人の残した不動産を正しく相続するために必要な、相続登記の概要や手順、必要書類や費用について解説します。
また、相続登記を怠った場合のリスクやいつまでに実施すべきかという疑問にも触れているので、故人の不動産における「今後」を明瞭にするうえで本記事の情報をご活用ください。
- 相続登記とは何か
- 相続登記はどのように進めるべきか
- 相続登記を怠るとどのようなリスクがあるのか
相続登記とは
戸建て・マンション・土地などの不動産を所有する人が亡くなった際、元々の名義を相続人に変更する手続きを「相続登記」といいます。
故人の残した不動産を売却・賃貸活用する場合に行うべき手続きのこと。
不動産における登記とは、建物・土地の所有者や担保の借り入れといった情報を記録することです。これにより、不動産の権利を第三者に明らかにできます。
相続登記は期間の定めはないものの、怠ることで不動産の所有権が不明瞭になり、売買における不備が発生します。
また、近親者による相続争いが起こることも。そのため、相続登記を行わないことは故人の所有していた不動産に関するトラブルの発生リスクが高まることを指します。
相続登記とは、故人の残した不動産を売却・賃貸活用する場合に行うべき手続き
相続登記を行わないこと、故人の所有していた不動産に関するトラブルの発生リスクが高まる
相続登記の基本手順
相続登記は、以下5つの手順で進められるのが一般的です。ここでは、相続登記における手順について、ステップごとに詳しく解説します。
- 登記事項証明書の取得
- 被相続人・相続人の戸籍謄本収集
- 遺産分割協議書の作成
- その他書類の作成・収集
- 法務局での登記申請
相続登記は、相続内容の確定や必要書類を揃えるまでに1ヶ月程かかるとされています。なお法務局への登記申請までを終えてから相続登記の完了までは、1週間程度かかるのが一般的です。
そのため、相続登記には最低でも2ヶ月ほどの期間が必要になることを覚えておきましょう。
すぐには書類は発行できません。早めに取得手続きをしておくと安心ですね。
1.登記事項証明書の取得
相続登記をするうえでは、対象となる不動産における登記簿の状況を確認するため、登記事項証明書の取得が必要です。
登記事項証明書は、不動産に関する以下の情報が記載された書類を指します。
- 所有者
- 地番
- 担保
登記事項証明書は法務局で発行できますが、家屋番号(建物)もしくは地番(地番)を把握しておかなければ発行できないことを覚えておきましょう。
家屋番号・地番は、固定資産税納税通知書・権利証・登記簿謄本などに記載があります。相続登記の対象となる不動産の家屋番号・地番を把握したうえで、最寄りの法務局へ問い合わせて登記事項証明書を発行してもらってください。
ちなみに登記事項証明書は、遺産分割協議・登記申請書の作成にも必要です。また、不動産の所有者名義が、事前の認識と異なっているといった事態を防ぐうえでも役立ちます。
2.被相続人・相続人の戸籍謄本収集
登記事項証明書の取得により不動産を所有する名義人を明確にしたあとは、被相続人・相続人の戸籍謄本を収集し、相続関係を把握してください。
戸籍謄本が必要な理由は、故人の残した遺言状がない場合、法定相続人全員で相続登記の手続きを行わなければならないためです。
戸籍謄本を収集するうえでは、戸籍謄本に該当する以下の種類も把握しておきましょう。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 附表
- 改製原戸籍
上記いずれかの書類から、相続登記に必要な情報の記載されている謄本を選択してください。戸籍謄本のみでは故人の出生・死亡までの情報を把握しきれない場合があるため、適宜上記の謄本を揃える必要があります。
戸籍謄本をはじめとした各種謄本は、市区町村役場にて発行可能です。故人の本籍地にある役場から、出生から死亡までの情報が記載された謄本を請求・取得しましょう。
なんらかの理由で故人の本拠地が変更されている際は、過去の本籍地を調べたうえで謄本の発行申請を行う必要があります。過去の本籍地が遠方であれば、取り寄せでの取得も可能です。
3.遺産分割協議書の作成
続いて、遺産分割協議書を作成します。「遺産分割協議」とは、故人の残した遺産に対し、相続人全員で分配を決定するための話し合いのことで、遺言が残されていない場合などに行われるものです。
この遺産分割協議の内容をまとめた書類を、遺産分割協議書といいます。あくまで、相続人が複数人いる場合のみに必要なステップです。
遺産分割協議の際は、故人の所有していた不動産の配分を決めます。遺言がない場合の配分方法は、相続人全員で決めるのが一般的です。不動産の配分を明確にした内容が記載された書類に、相続人全員による署名と実印での捺印が完了すれば遺産分割協議書の作成は完了します。
4.その他書類の作成・収集
相続登記においては、以下の書類が必要になります。1〜3までで紹介した書類も含め、作成・収集場所とあわせて把握しておきましょう。各書類の詳細については後述する「相続登記の必要書類」の項目をご覧ください。
<故人に関する書類>
書類の種類 | 作成・収集場所 |
---|---|
戸籍謄本等(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍) | 本籍地もしくは転籍前・婚姻前の本籍地にある市区町村役場 |
住民票の除票もしくは戸籍の付表(本籍地・登記簿上の住民を記載) | 最終居住地にある市区町村役場 |
<相続人に関する書類>
書類の種類 | 作成・収集方法 |
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戸籍謄本(相続人全員) | 相続人の本籍地にある市区町村役場 |
住民票(新たに不動産の名義人になる相続人) | 相続人の居住地にある市区町村役場 |
遺産分割協議書 | 相続人が個人で作成 |
印鑑証明書(相続人全員) | 最寄りの市区町村役場 |
運転免許証・パスポートなどの本人確認資料(相続人全員) | 相続人がそれぞれ自身で準備 |
<不動産に関する書類>
書類の種類 | 作成・収集方法 |
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固定資産評価証明書(名義変更年度の直近にあたる証明書) | 市区町村役場・市税事務所 |
5.法務局での登記申請
遺産分割協議までを済ませ、その他必要書類を準備したら、法務局にて登記申請を行います。登記申請は、不動産の所在地にある法務局で行ってください。
法務局へ登記申請を行う際は、まず「登記申請書」の用意が必要です。登記申請書は、法務局のホームページからフォーマットをダウンロードして作成してください。相続登記の内容により申請書の内容はそれぞれ異なるため、該当事由に当てはまる申請書のフォーマットを選択しましょう。
相続登記の主な方法
相続登記には、単独登記・共有登記の2種類があることをご存じでしょうか。ここでは、単独登記・共有登記の詳細について解説します。それぞれの概要だけでなく、違いも把握しておきましょう。
単独登記
単独登記とは、1人の相続人に対し不動産の所有権を移転する登記のことです。故人の所有していた不動産を、遺言・遺産分割協議の内容に応じて1人の相続人が引き継ぐ場合に行われます。
単独登記のメリットは所有者が1人のみになるため、不動産の売却や融資における判断・手続きがスムーズになることです。
共有登記
共有登記とは、相続人が2人以上になる場合を対象に行われる登記のことです。遺言・遺産分割協議の内容により、兄弟姉妹などで不動産を共有して引き継ぐ際に行われます。
共有登記は、相続人それぞれの所有割合を明記のうえ登記されます。兄弟姉妹2人で不動産を半分ずつ相続するのであれば「持分100分の50」とし、申請するのが一般的です。
ただし共有登記には、単独登記と比べると相続後の取引が複雑化しやすい側面があります。相続した不動産を売却・融資の対象にする際は、相続人全員の同意を得なければなりません。
相続する不動産によっては最初のうちに分割し、それぞれ単独登記する方法も推奨されます。
相続登記の必要書類
相続登記の際は、以下に挙げる8つの書類を用意する必要があります。それぞれの書類について把握し、相続登記をスムーズに進めましょう。
- 登記申請書
- 不動産の登記事項証明書
- 遺言・遺産分割協議書
- 戸籍謄本
- 住民票の除票
- 戸籍本・住民票
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
登記申請書
登記申請書とは、相続登記などを申請するうえで活用される書類のことです。法務局のホームページからダウンロードすることで作成できます。登記申請書を作成する際は、状況に応じた様式の書類を取得することが大切です。
登記申請書の様式には、以下のものがあります。
情報引用:不動産登記の申請書様式について|法務局
- 土地地目変更登記申請書
- 所有権保存登記申請書
- 合筆登記申請書
- 所有権移転登記申請書 (売買)
- 所有権移転登記申請書(贈与)
- 所有権移転登記申請書(財産分与)
- 抵当権設定登記申請書
- 根抵当権設定登記申請書
- 共同根抵当権設定登記申請書
- 登記名義人住所・氏名変更登記申請書(住所移転の場合)
- 登記名義人住所・氏名変更登記申請書(住居表示実施の場合)
- 登記名義人住所・氏名変更登記申請書(氏名変更の場合)
- 登記名義人住所・氏名変更登記申請書(住所及び氏名の変更の場合)
- 登記名義人住所・氏名変更登記申請書(会社の商号又は本店を変更又は移転した場合)
- 抵当権抹消登記申請書
- 根抵当権抹消登記申請書
- 所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
- 所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)
- 所有権移転登記申請書(相続・法定相続)
- 所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)
- 所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)(数次相続)
- 所有権移転登記申請書(相続人に対する遺贈・単独申請)
- 建物滅失登記申請書
- 配偶者居住権の登記申請書
不動産の登記事項証明書
登記事項証明書とは、不動産に関する所有者・地番・担保の情報が記載された書類のことです。相続登記の際は、不動産の情報を確認するため、現状の登記事項証明書を用意し、申請書を作成する必要があります。申請書には、登記事項証明書に記載のある内容をそのまま記載してください。
登記事項証明書が手元になければ、不動産を管轄する法務局に問い合わせることで郵送、もしくはオンラインで発行できます。
遺言書・遺産分割協議書
相続登記においては、遺言書・遺産分割協議書の用意も必要です。なお、相続人が1人で、かつ遺言書がない場合は、いずれも不要になります。
遺言で相続する際は、遺言書もあわせて用意しなければなりません。
遺言書が自筆証書だった場合、家庭裁判所から検認済証明書をもらってください。公正証書遺言の場合は現物を用意し、法務局の保管制度を利用した遺言書(自筆)の場合は、遺言書情報証明書を入手のうえ、提出しましょう。
遺産分割協議による相続であれば、相続人全員の実印が押印された遺産分割協議書が必要です。あわせて、相続人全員分の印鑑証明書も用意してください。
戸籍謄本
故人の出生から死亡までの情報が記載された、戸籍謄本が必要になります。まずは死亡時の戸籍謄本を入手のうえ、戸籍がどこから移されたか確認してください。その後、本籍地のある役場にて一つ前の戸籍謄本を入手して、戸籍の変遷を確認します。
最終的には、出生時までさかのぼり、すべての戸籍謄本を入手しましょう。
役場が遠方の場合は、郵送での取り寄せが可能です。また高齢者であれば戸籍が何度か改正されていることも考えられるため、あわせて「改製原戸籍謄本」を用意する必要があります。
住民票の除票
相続登記においては、故人の住民票の除票も必要です。住民票の除票は、故人の最後の住所にある役場で入手してください。
戸籍謄本・住民票
戸籍謄本は、相続人それぞれが本籍地のある役場から入手する必要があります。「法定相続情報証明制度」の利用により相続関係の一覧図を入手しなければならない場合は、相続人全員分の住民票も用意しなければなりません。住民票も戸籍謄本と同様、相続人それぞれが役場で発行します。
印鑑証明書
相続登記における印鑑証明書は、遺産分割協議による相続で活用されます。遺産分割協議書に押印した印鑑が、実印であると証明するために必要です。印鑑証明書は、相続人全員がそれぞれが印鑑登録した役場で入手します。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書とは、相続登記の申請に必要な登録免許税の計算に必要な書類のことです。故人の残した不動産がある地域の役場などから入手できます。
窓口での発行はもちろん、郵送での取り寄せも可能です。なお東京23区の場合、入手場所は都税事務所で共通しています。
相続登記にかかる費用
相続登記には、書類の入手費用や郵送代、交通費などのいわゆる「実費」がかかります。またそのほかに、登録免許税・司法書士への報酬が別途費用としてかかります。ここでは、相続登記にかかる費用の詳細についてそれぞれ解説します。
登録免許税
登録免許税とは、相続登記における登記申請の際にあわせて納付が必要になるものです。登記申請については当記事の「相続登記の基本手順」をご覧ください。
登録免許税は、不動産における固定資産評価額の0.4%と定められるのが一般的です。固定資産評価額は、公的機関より発行される固定資産税に関する納税通知書から確認できます。
納税通知書が手元にない場合は、市区町村役場にて「固定資産評価証明書」を取得してください。
登録免許税は現金もしくは、収入印紙にて納付します。現金で納付する際は、金融機関にて登録免許税用の納付書を作成し、窓口にて支払ってください。
支払いの際に発行される領収書は、法務局での手続き時に必要です。収入印紙で納付する際は、法務局もしくは金融機関で収入印紙を購入しましょう。
司法書士への報酬
相続登記は専門家である司法書士に依頼することでスムーズになるため、司法書士に支払う報酬もあわせて用意しておくべきです。司法書士に依頼できる相続登記の手続きは、以下のとおりです。
- 必要書類の入手
- 申請書作成
- 法務局への提出
上記手続きを、平均6〜10万円程度で依頼可能です。ただし、相続登記の対象となる不動産が複数ある場合や、数箇所の法務局で手続きする場合は、司法書士への報酬額が高くなります。
司法書士に相続登記の各種手続きを依頼するのであれば、手続きの内容を明確にしたうえで事前に見積もりをとっておくことが大切です。
相続登記の手続きを司法書士にサポートしてもらうことで、登記識別情報通知や登記完了証、戸籍謄本などの原本といった書類の受け取りも代行してもらえます。これらの書類は司法書士が受け取りを代行した際は、後日自宅宛に郵送で届くのが一般的です。
相続登記をしないことによるリスク
相続登記は手続きを怠ることで、以下4つのリスクを被る可能性があります。
- 遺産分割協議が難航する
- 相続した不動産が差し押さえられる
- 不動産売却が難しくなる
- 必要書類の準備が遅れる
相続登記は期間の定めがないため、登記すること自体をうっかり忘れてしまうことも少なくありません。手続き自体も時間がかかることから、あえて後回しにする方も多いでしょう。
しかし、相続手続きを怠ることにはリスクがあるため、ここで紹介する内容を把握し、できるだけ早い段階で相続登記を進めることを推奨します。
遺産分割協議が難航する
相続登記を怠ると、故人の遺産分配を相続人全員で協議する、遺産分割協議が難航してしまいます。時間経過とともに新たな相続が発生し、相続関係者が増えて複雑化することで遺産分割協議がより困難になるため、できるだけ早く進めるべきといえるでしょう。
遺産分割協議は、相続人全員で行うべき手続きで、相続人全員の捺印が必要です。相続登記を怠り時間が経過し、相続人が亡くなったり、関係性が薄くなったりすると全員で協議することが難しくなります。そのため、相続登記は相続人全員が集結しやすい段階で、遺産分割協議をスムーズに行うことが大切といえるでしょう。
相続した不動産が差し押さえられる
相続登記をしていない状態だと、仮に遺産分割協議で不動産の取得が可能になっていても他人に差し押さえられてしまう可能性があることも覚えておきましょう。共同相続人が抱える借金により、債権者に不動産を差し押さえられてしまうことがあります。
相続人が3人おり、そのうち1人が借金を抱えていたとしましょう。債権者には、借金を抱える相続人の法定相続分を相続登記し、差押登記をする権利があります。借金を抱える相続人が不動産を取得せずとも、差押登記は取り消されません。
したがって、借金を抱えていない相続人まで、資産が差し押さえられることになってしまいます。なぜなら、法定相続分を超えた相続財産の取得は、登記しないと債権者に対応できないためです。
仮に差押登記された場合は、借金を抱える相続人による相続放棄が有効です。相続放棄することで、債権者の差押登記・相続登記が無効になります。
ただし相続放棄も、相続開始を把握した段階から3ヶ月以内に進めなければならないため、いずれにしても相続登記を早急に行うことが大切といえるでしょう。
不動産売却が難しくなる
相続登記が済んでいない不動産は、すぐに売却できないと指摘されるリスクがあります。一般的に、不動産売却には相続人への名義変更が必須であることが理由です。
相続登記の準備は不動産売却と並行して行うことが多いものの、故人が亡くなってから時間が経っている状態では相続登記に時間がかかる可能性があります。相続登記に時間がかかり、結果的に「相続登記ができていない現状」になってしまうと、いつまでも不動産を売却できません。
売却に時間がかかるだけでなく、時間の経過とともに不動産の資産評価額が下がるリスクもあります。そのため、相続登記を怠ることで不動産売却における機会損失につながることを認識しておきましょう。
必要書類の準備が遅れる
相続登記を後回しにすると、相続登記の際に必要な戸籍謄本・住民票の除票など、必要書類の準備に時間がかかってしまいます。なぜなら、相続登記に使用される公的な書類は、一定の保管期限が設定されているためです。
例えば故人の住民票の除票は、亡くなってから5年間が保存期間とされています。そのため、5年を過ぎると破棄される可能性も。
相続登記を早く済ませられれば、必要書類は一般的にかかるとされる時間で準備できます。しかし、手続きを怠ると書類の準備ができなくなり、相続登記自体ができなくなることもあります。時間をかけて書類を再発行できたとしても、余計な時間と費用がかかることに変わりはありません。
相続登記が必要な状態にある場合は、早急に手続きを進めるべきと認識しておきましょう。
相続登記はいつまでにすべきか
現段階で、相続登記には法律上の期限は設定されていません。しかし、2024年4月1日からは、3年以内の相続登記が義務化されるようになります。
そのため、これまでは相続登記をしていなくても罰則はありませんでしたが、3年以内に行わないことで罰則の対象になる可能性があります。
2024年4月1日から有効となる相続登記の期限は、不動産所有者の相続人だと認識した日から3年間です。仮に2024年4月1日に相続登記の義務が発生した場合は、2027年3月31日までに相続登記を終える必要があります。
ちなみに、放置していた過去の相続登記も対象となるため、2024年4月1日からはどんな理由があっても相続登記を怠ることは厳禁です。
期限直前まで待つと書類の取得が間に合わない可能性が高いです。余裕を持って準備しましょう。
相続登記しないことによる問題点
3年以内に相続登記を行わないと、罰則として10万円以下の過料が発生します。そのほかにも、本記事の「相続登記をしないことによるリスク」にて紹介した各種リスクが発生するのも、相続放棄をしないことによる問題点です。
またそのほかにも、相続放棄を怠ることで以下の問題が発生することを覚えておきましょう。
- 不動産を担保にした融資が受けられない
- 相続税評価額に加算される
- 不動産詐欺に遭いやすくなる
- 相続登記されず放置される所有者不明の土地が増える
まとめ
今回は、相続登記の概要や基本手順、必要書類や費用について解説しました。
相続登記とは、故人の所有していた不動産の名義を相続人に変更する手続きのことです。相続人の人数に応じて、単独登記・共有登記のいずれかを選択して行います。
登記申請書や戸籍謄本などの必要書類を用意し、法務局へ申請することで手続き可能です。司法書士へ依頼することも多いため、報酬を別途費用として用意することも視野に入れておく必要があります。
相続登記をしないとどうなるかというと、遺産分割協議や不動産売却におけるさまざまなリスクが発生します。また、2024年4月1日より相続登記が義務化されることに伴い、罰則の対象になる可能性も視野に入れなければなりません。
本記事で紹介した相続登記の内容を、相続登記の手続きをスムーズに進め、かつリスクを回避するための情報源としてご活用ください。
ほかにもこちらのメディアでは、相続手続きをしなかったらどうなるかや遺産相続手続きの期限についても解説しています。他メディアでは、相続準備ができていない理由も紹介されています。