「家族葬では弔問に行ってもいい?」「家族葬で弔問するとき香典は持っていけばいいの?」家族葬の弔問について、このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか?
家族葬での弔問においてマナー違反の行為があると、遺族の方との関係が気まずくなりかねません。
本記事では、弔問に行くべきか否かを判断する基準を説明し、弔問のマナーを葬儀の当日と後日に分けて詳しく解説します。
- 参列の案内がない、または訃報の連絡がないときは弔問に行かない
- 香典辞退の案内があるときは、香典を持参しない
- 家族葬のあとで弔問に行くときは、遺族の了解を得る
そもそも家族葬とは?
家族葬とは、平成に入ってできた葬儀形式ですが、明確な定義はまだ存在しません。人数規模が10人から30人ぐらいで執り行われるケースが最も多いのですが、50人以上のケースもあります。
基本的に家族葬は家族・親族で執り行われるため、周囲の目を気にせず自由度の高い葬儀を執り行えるでしょう。
したがって、家族葬は一般葬と比較すると規模は小さくなります。
弔問すべきか否かの判断基準
弔問に行くべきか否かの判断基準は次の2つです。
- 参列の案内がない
- 訃報の連絡がない
それぞれ解説していきます。
弔問とは、近しい方の訃報を受け遺族にお悔やみを伝えにいくことです。
参列の案内がない
「参列していただきたい」と遺族から連絡されなければ、家族葬への参列はご遠慮ください。遺族から「葬儀は家族葬で執り行う」との案内があったときは、通夜と葬儀には弔問に行かないほうがいいのです。
本来、家族葬とは家族、親族などの内々で執り行い、一般の参列者にはご遠慮いただく葬儀です。家族葬が終わり、時間をおいてからお悔やみを伝えたほうが遺族の負担にならないでしょう。
そうはいっても、訃報の案内に「参列はご遠慮願います」と記載されていないと、参列していいかどうか判断に苦しみます。迷ったときは、通夜・葬儀に参列できるかどうか直接遺族に確認するといいでしょう。
訃報の連絡がない
訃報の連絡がない場合も、弔問はやめておきましょう。家族葬では、あえて訃報を知らせないこともよくあります。「訃報を知らせたら、相手が弔問に行くべきか否か判断に迷わせては心苦しい」と遺族が考え、訃報を連絡しないことが往々にして起きるのです。
たまたま訃報を知ったとしても、通夜・葬儀での弔問は遠慮しましょう。
どうしても弔問したければ、通夜・葬儀が終了したあとで、「故人に最後のお別れをさせてほしい」と遺族にお願いすることをおすすめします。
弔問できる家族葬とは
家族葬の参列者をどこまでにするかは、喪主の意志・故人の生前の意向により千差万別です。故人と親しかった友人の方に参列してもらう家族葬もあります。
したがって、遺族から参列してほしいとの連絡があったときは、通夜・葬儀に参列してかまいません。
葬儀・通夜の案内状に「家族葬のため、参列はご遠慮願います」という旨の記載がなく、葬儀の会場・日時が載っていれば弔問しても差し支えないでしょう。
家族葬当日の弔問のマナー
家族葬も一般葬と同様、故人とのお別れの儀式であるため、守るべきマナーがあります。参列者が最も気になるマナーは、次の3つについてでしょう。
- 香典
- 服装
- お悔やみ・焼香
それでは1つずつ見ていきましょう。
香典
家族葬では、遺族が香典を辞退することもよくあります。香典を受け取れば、当然お返しをしなければなりません。特に近親者のみで執り行う場合では、香典を受け取ると何かと煩わしくなるため、最初から香典を辞退することも多く見受けられます。
ただし案内状に香典辞退の文言がないときは、持参していくことをおすすめします。遺族から「香典の受け取りを辞退します」といわれたら持ち帰ればいいのです。持参していったのだからといって無理やり渡すことはNGです。
香典の金額は、参列者と故人との関係性により異なります。関係性が近くなるほど金額は多くなります。
服装
家族葬では一般葬と同様に準喪服または略喪服の着用がマナーです。
男性は黒・濃紺などの光沢のないスーツで参列します。ネクタイは黒無地が原則です。靴・靴下も黒です。靴はストレートチップまたはプレーントゥにしましょう。
夏の葬儀で半袖シャツを着る場合でも、葬儀中は上着を脱がないでください。
女性は黒のワンピース・スーツ・アンサンブル・パンツスーツを着用します。インナーは白シャツで素材は光沢がないもの、スカートは通常より心もち長めがいいでしょう。
お悔やみ・焼香
家族葬で受付が設けられていないときは、遺族に直接お悔やみを伝えてもマナー違反にはなりません。
代表的なお悔やみの言葉は「このたびはご愁傷さまです」「お悔やみ申し上げます」です。その他には、「ご冥福をお祈りします」「残念でなりません」もあります。
- このたびはご愁傷さまです
- お悔やみ申し上げます
- ご冥福をお祈りします
- 残念でなりません
遺族は故人が亡くなってから疲労がたまっているため、短い表現にしておきましょう。その際、忌み言葉や重ね言葉を使用するのはNGです。たとえば、切る、浮かばれない、重ね重ね、またまた等です。
焼香は家族葬でも行われますが、宗派によりやり方は異なります。故人の宗派の作法に則るのがマナーであるため、あらかじめ確認しておくことといいでしょう。
家族葬後日の弔問のマナー
家族葬が終わり少し落ち着いたタイミングで、弔問に訪れることは問題ありません。訪問するのは葬儀後3日から49日の間がいいでしょう。
ただし弔問する際のマナーとして、次の3点に気をつけてください。
- 事前に遺族に確認する
- 服装は地味な平服
- 香典は持参せず供花また供物にする
それぞれ説明していきます。
事前に遺族に確認する
訪問前に弔問していいかどうかを遺族に必ず確認してください。故人が亡くなったことによる遺族の肉体的・精神的な疲労は、大変なものです。家族葬が終わってから相当の期間を経過しても、疲労が回復していないこともあります。
したがって、遺族の了解なしに弔問に訪れることはマナー違反です。
服装は地味な平服
弔問に訪れるときの服装は地味な平服にして、喪服はやめましょう。喪服は故人が亡くなっていることを思い起こさせるからです。
また平服といっても、あまりにカジュアルなものは避けましょう。派手過ぎない服装であればOKです。
香典は持参せず供花また供物にする
多くの家族葬では、香典返しをしなくてもすむように香典を辞退しています。したがって、弔問に訪れる際にも香典ではなく、供物または供花の持参をおすすめします。
高価な供物や大きな供花ではお返しが必要になるため、故人の好物や手ごろな大きさの供花にしておきましょう。
家族葬の弔問についてよくある質問
家族葬の弔問についてよく尋ねられる質問をまとめましたのでご覧ください。
家族葬あとの香典の渡し方は?
弔問に行っていいかどうか、香典を渡していいか否かを遺族に確認のうえ、自宅を訪問し香典を渡します。
ただし遺族の自宅が遠方のため訪問がむずかしいときは、現金書留で郵送してもOKです。郵送する際は、香典を不祝儀袋に入れ、便箋(びんせん)にお悔やみの言葉を書いて送ります。決して香典を直接現金書留の封筒に入れないでください。
四十九日を過ぎてからの香典の表書きは?
四十九日を経過すると、仏式での香典の表書きは浄土真宗を除いて、「御霊前」から「御仏前」になります。これは四十九日法要から故人が仏になるという教義によるものです。
なお、浄土真宗の教義によれば、故人は亡くなるとすぐ仏になるため、四十九日法要の前でも表書きは「御仏前」と記載します。
神道式では「御玉串料」、キリスト教式では「お花料」が適しています。
香典の表書き | |
---|---|
仏式 | 御仏前 四十九日法要の前まで:浄土真宗以外は「御霊前」とする |
神道式 | 御玉串料 |
キリスト教式 | お花料 |
家族葬の香典の目安は?
家族葬の香典の目安は参列者と故人との関係性の深さにより様々です。大まかな目安は次のとおりです。
関係 | 香典の目安 |
---|---|
祖父母 | 1万円~5万円 |
叔父叔母 | 1万円~3万円 |
上記以外の親族 | 3,000円~1万円 |
勤務先関係者 | 5,000円~1万円 |
香典の代わりは何がいい?
香典に代えて供花や供物を贈れます。ただし遺族が辞退するかもしれないため、受け取りの意向を確認してから用意しましょう。
供物では故人の好物や線香など、供花も故人が愛好していた花や季節の花などが喜ばれるでしょう。何を選べばいいか迷ったときは、葬儀会社に相談することをおすすめします。
弔問の大まかな流れは?
弔問の大まかな流れは次のとおりです。
- 遺族宅に訪問する
- お悔やみを伝える
- お線香をあげる
- 遺族を元気づける
まずは弔問させてほしい旨を遺族に伝え、了解を得たうえで指定された時刻に訪問しましょう。遺族と対面したら「お悔やみ申し上げます」「ご愁傷さまです」といった短い言葉でお悔やみを伝えます。
その後、位牌にお線香をあげて帰ります。帰宅する際は、遺族を元気づける言葉をかけましょう。「お体に気をつけてください」「力になれることがあれば、なんでもおっしゃってください」など、相手を気遣う姿勢が大切です。
お線香のあげ方はどうすればいい?
お線香のあげ方は次のとおりです。
- 仏壇または位牌に一礼する
- ろうそくに火を灯す
- お線香に火をつけ、消す
- お線香を香炉に寝かせる、または立てる
- 合掌し、一礼する
まずは仏壇または位牌の前に正座し、遺族に一礼したあと仏壇または位牌に一礼しましょう。
ろうそくに火を灯したらお線香をかざして火をつけ、反対の手で軽く扇いで、お線香の火を消します。息を吹いて火を消すことはNGです。
火が消えたらお線香を香炉に置きます。宗派によりあげ方は異なり、香炉に寝かせる宗派もあれば、立てる宗派もあります。
お線香を置いたら手に数珠をそえて、おりんを鳴らしてから合掌しましょう。遺影に深く一礼し、遺族へ向き直り一礼します。
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