「家族葬はどこまで招待すればいいの?」「家族葬に参列するか迷ったときはどうすればいい?」家族葬での葬儀を考えている方、または家族葬のお知らせを聞いた方で、このようにお悩みの方はいませんか?
家族葬は親族を中心に行われる小規模な葬儀のことで、故人と親しかった友人や仕事関係の方が参列します。参列の範囲は正確には定められておらず、遺族が自由に決定できるのです。
この記事では、家族葬の参列者をどこまでにするのか、具体的な目安や基準を挙げてわかりやすく解説します。また、参列してもいいか迷った際の判断基準もご紹介します。
- 参列者の範囲は全体の人数から逆算する
- 参加の可否や香典辞退の有無を明確に伝える
- 参列してもいいか迷ったら訃報やお知らせを確認する
そもそも家族葬とは?
家族葬とは、故人の家族・親族を中心に、特に親しかった友人や会社関係の方等を招いて行われる小規模な葬儀のことです。
近年、家族葬が増加している背景には、落ち着いた雰囲気の中で故人とお別れし、感謝や思い出を共有したいという気持ちが強く影響しています。
家族葬を選択することで、故人との絆や、生前の思い出を家族だけでゆっくりと振り返ることができます。また、一般的な葬儀と比べて、家族葬は規模が小さいため、経済的な負担が軽減されることが多いのも特徴です。
さらに、家族葬は形式にとらわれることなく、故人の好きだった場所や音楽、趣味などを取り入れることが容易です。
故人の人生や性格を反映した、オリジナルで心温まる葬儀を行えます。
しかし、家族葬を選択する際には、故人と関係を持つ他の親戚や友人への配慮も忘れてはいけません。家族葬で行う理由をしっかり伝え、後日弔問を受け付けるなどし、人々との関係を大切にしましょう。
家族葬はどこまで呼ぶ?
家族葬を行うにあたり、大きな悩みとなるのが「どこまで呼ぶか」という問題です。以下からは、家族葬に呼ぶ範囲や、参列者の基準についてご紹介します。
家族葬の範囲は遺族の自由
家族葬に招待する範囲は、喪主や遺族が自由に決められます。故人が生前に希望を語っていた場合や、遺書に葬儀に関する希望が書かれている場合には、故人の意思を最優先にしましょう。
葬儀は故人のために行われるものですから、「故人が最後に会いたい方かどうか」を基準に考えるのがおすすめです。
「家族葬」という名前ではありますが、遠い親族や個人のご友人、仕事関係の方を呼ぶこともあります。公正取引委員会による調査では、家族葬について以下のように暫定的な定義がなされており、参列者50名未満の葬儀が家族葬として取り扱われています。
親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。 通夜・告別式、火葬等は一般葬と同様に執り行われる。
※本調査においては、参列者50名未満の葬儀を家族葬と定義した。
引用元:公正取引委員会-葬儀の取引に関する実態調査報告書
家族葬に呼ぶ範囲の目安は2親等以内
家族葬に参列する親族の範囲として、故人の2親等以内とすることがあります。2親等の範囲は、故人およびその配偶者からみて、次の範囲にいる方のことを指します。
1親等 | 父母、子およびその配偶者 |
---|---|
2親等 | 祖父母、兄弟姉妹およびその配偶者、孫およびその配偶者 |
これらの親族に加え、生前特に親しかった友人などを含めると、おおよそ総勢15名~30名程度になります。2親等以内の親族は故人との距離が特に近いため、小規模な家族葬であってもこの範囲の親族は招待することが一般的です。
ただし、「2親等以内」という基準も、あくまでひとつの指標として捉え、ケースバイケースで判断することが大切です。
明確な基準をもつことが重要
参列者を招く際は、どのような基準で選んだのかを明確にして、しっかり説明できるようにしましょう。
家族葬では、招待する方・しない方という区別ができてしまうため、後々「どうして呼んでくれなかったのか」というトラブルに発展する可能性があります。
例えば「故人に近い家族だけで葬儀を行う」「近隣に在住している親族・知人だけで家族葬を行う」など、判断基準をお知らせに明記しておくのもおすすめです。
家族葬に呼ぶ範囲を人数から決める方法
家族葬に参列する範囲を決める方法として、参列する総人数を先に決定し、そのうえで具体的な参列者を考えるというアプローチがあります。この方法では、葬儀会場のサイズや予算、参列者の数による手配や連絡の負担を具体的に把握することが可能です。
以下からは、参列者の人数が50名以内の場合・30名以内の場合・15名以内の場合に分けて、それぞれ具体的な参列者の内訳についてご紹介します。
50名以内の場合
家族葬の参列者数を50名とする場合、2親等以内の親族に加え、従兄弟(従姉妹)や甥姪、故人が親しくしていた友人や仕事関係の方もお招きできます。
50名近くの参列者数ともなれば、交友関係を把握するのが難しくなり、連絡漏れが起きる可能性もでてきます。そのため、30名以上を招く場合には、生前のうちに連絡名簿などを作成しておくようにしましょう。
30名以内の場合
一般的に最も多いのが、参列者数30名以下の家族葬です。この場合、2親等以内の親族を中心に、従姉妹や甥姪、親族以外で特に親しい方を呼ぶくらいの余裕があります。
参列者の総数が30名を切ってくると、親族であっても招待しない場合が出てくるため、しっかりとした線引きと丁寧な説明が求められます。
15名以内の場合
参列者を15名までに限定する場合は、故人と最も密接な関係をもつ家族を中心に参列者を考えることになります。この場合、親や兄弟、子どもや孫など、直系の親族を主に招待することが一般的です。
このような小規模な葬儀では、招待しない親族・友人への説明やフォローアップが重要となり、十分な配慮が必要となるでしょう。
また、葬儀後に弔問を受け付けることで、葬儀に来られなかった方の弔意を受け止めることも大切です。
家族葬を知らせる方法と例文
家族葬を行う場合、葬儀に招待しない親族等もいることから、訃報やお知らせにも特別な注意が必要です。ここでは、家族葬を知らせる方法や、具体的な内容を解説します。
香典や供花の扱いを明確に記載
家族葬が近年登場した葬儀スタイルであることから、香典や供花などの扱いに困る参列者の方もいます。そのため、訃報や葬儀の案内文には、香典などの取り扱いについて明確に記載することが重要です。
まずは訃報か葬儀の案内なのかを明確にし、そのうえで、香典や供花を辞退する場合にはその旨をしっかりと書いておきましょう。
- 御香典・御弔電・御供花等のご厚意は謹んで辞退いたします
- 誠に勝手ながら、御香典・御弔電・御供花等は辞退いたします
- 大変申し訳ございませんが、故人の意向により、御香典・御弔電・御供花等は辞退させていただきます
香典等を辞退する旨を記載したものの、なお持参された場合には、何度もお断りすることも失礼にあたるため、ありがたく受け取りましょう。ただし、相手によって対応が変わることがないよう、統一した対応が大切です。
参列者への連絡の仕方
家族葬への参加をお願いする場合、日ごろから関係の深い方には、取り急ぎ電話やメールなどで早急に情報を伝えます。近所にお住いの方であれば、直接訪問して伝えても問題ありません。
口頭で伝えるときは、あとから確認しやすいようにメールやハガキも送付しましょう。メールやハガキの文章は、基本的には葬儀会場が用意しているフォーマットに従って内容を作成すれば問題ありません。
主に、葬儀の日時・場所、喪主の名前・連絡先、家族葬である旨を記載します。
謹啓 〇月〇日 妻〇〇が逝去いたしました 生前に賜りましたご厚誼に感謝するとともに 謹んでお知らせ申し上げます 通夜及び葬式告別式は下記の通りです この度の葬儀は故人の遺志に従いまして家族葬にて執り行います 通夜 令和〇年〇月〇日〇時より 葬式告別式 令和〇年〇月〇日〇時より 会場 〇〇 住所 〇〇 電話番号 〇〇 喪主名および故人との続柄 喪主の電話番号 |
参列しない方への連絡の仕方
家族葬を行う会場では、参列しない方に向けたお知らせの文章のフォーマットも用意されていることが多いため、利用できる場合にはこちらを活用しましょう。
参列しない方に対する連絡では、参列を控えていただきたい旨、および弔電に関する旨を必ず記載します。
参列しない方には葬儀終了後にお知らせする方法もありますが、「もっと早く知りたかった」とのトラブルになる可能性があるため、やはり通夜・葬儀前に知らせましょう。
謹啓 〇月〇日 妻〇〇が逝去いたしました 生前に賜りましたご厚誼に感謝するとともに 謹んでお知らせ申し上げます 通夜及び葬式告別式は下記の通りです この度の葬儀は故人の遺志に従いまして家族葬にて執り行います つきましては ご参列 ご香典 ご弔電などのお気遣いは辞退させていただきます 通夜 令和〇年〇月〇日〇時より 葬式告別式 令和〇年〇月〇日〇時より 会場 〇〇 住所 〇〇 電話番号 〇〇 喪主名および故人との続柄 喪主の電話番号 |
家族葬に参加するか迷ったとき
以下からは家族葬が行われると聞いて、参加してもいいのかお悩みの方に向けて、参加の可否を判断する方法や、参加する・しない場合のマナーを解説します。
家族葬を選んだ故人・遺族の意思を尊重し、迷惑をかけないように弔意を示すことが大切です。
訃報やお知らせを確認
家族葬は基本的に故人の家族・親族が集まって行われる小規模な葬儀です。そのため、それ以外の方は、訃報や葬儀のお知らせで明確に参列をお願いされていない限り、参列は差し控えましょう。
訃報や葬儀のお知らせに「参列はお断りします」と明記されている場合のほか、葬儀の日時場所が明記されていない場合も参列はしません。
訃報やお知らせの文面から参加の可否が明らかでないときは、遺族や葬儀会場に問い合わせましょう。故人の家族や親族でない場合には、基本的に「迷ったら参列しない」くらいの考え方で大丈夫です。
葬儀を他の方に知らせない・誘わない
家族葬を行う際、参列者にだけ先に訃報や葬儀の案内を伝え、参列しない方には葬儀後に伝える場合があります。そのため、訃報や葬儀の案内について、他の方に知らせたり、参列を促したりしないようにしましょう。
葬儀等について何か不明点があるときは、喪主か葬儀会場に直接問い合わせるようにし、葬儀が終わったあとも喪主側からの報告があるまで多言してはいけません。
家族葬に参列するときのマナー
家族葬に参列するときのマナーは、通常の葬儀と同じです。黒を基調としたフォーマルな装いで、故人や遺族に失礼のないように行動しましょう。故人の家族や関係の近い親族が参加する場合には、できれば喪服を着用します。
家族葬では、遺族から香典や供花が辞退されていることが多いため、事前に訃報や葬儀のお知らせをよく確認しましょう。もし辞退の意向が示されている場合には、香典返しなどで遺族の負担を増やさないためにも、遺族の意向に従います。
家族葬に参列しないときのマナー
家族葬に参列しない場合には、弔問により弔意を示せます。弔問は葬儀の1週間ほどあとに行われることが一般的ですが、直接遺族のご自宅に伺う以上、必ず弔問に伺ってもいいか事前に確認するようにしましょう。
弔問時には枕花や供物を持参するのがマナーとされていますが、こちらも遺族の意向で辞退されている場合には、その意向に従いましょう。
葬儀後の弔問では、喪服は着用しません。ただし故人や遺族に失礼のないよう、落ち着いた色のスーツ・ワンピースなど、改まった服装で伺うことが大切です。
何よりも遺族に負担をかけないように心がけながら、忌み言葉や重ね言葉の利用を避け、早めに退去するようにしましょう。
おすすめの記事
ほかにもこちらのメディアでは、家族葬のメリット・デメリットや家族葬の流れについても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。