「家族葬でも香典は必要?」「包む金額の相場は違うの?」と気になっていませんか?
家族葬とは、近親者を招き少人数でおこなう葬儀です。ごく親しい身内だけで執り行い、形式にとらわれないことも多いため、マナーにも違いがあるのかと不安に感じてしまいます。
そこで今回の記事では、家族葬での香典について解説します。香典におけるマナーや相場、香典返しについても詳しく解説しますのでぜひ参考にしてください。
- 家族葬での香典のルールは一般の葬儀と変わらない
- 家族葬では香典が辞退されることが多い
- 香典をいただいた場合には、香典返しの品を贈るのがマナー
家族葬とは
家族葬とは、家族や親族、ごく親しい友人や知人のみで行う小規模な葬儀をいい、最近の時代背景からニーズが高まっている葬儀の形態です。お通夜と告別式を2日間にわたって執り行うので、全体の流れや内容は一般の葬儀と同じです。
近年では、少子高齢化・核家族世帯の増加・地域コミュニティーの変化などの影響で、葬儀に参列する方自体が少なくなっています。そのため、大規模な葬儀の必要性がなくなっているのです。
また、終活への意識も高まっているため「親しい人だけで見送ってほしい」「大々的な葬式はしなくていい」と故人からの遺言が遺されているケースもあります。
堅苦しい形式にとらわれることなく、アットホームな雰囲気の中で故人を見送りたいという思いで家族葬を選択する方も増えています。
【参列者側】家族葬の香典の相場
家族葬があまり堅苦しくない葬儀とはいえ、香典の相場やルールに関しては一般の葬儀と変わりありません。ただし、親しい親族だけが参加する葬儀のため、香典が辞退されることが多い傾向にあります。
一般的な香典の相場は以下のとおりです。
親 | 5~10万円 |
---|---|
兄弟姉妹 | 3〜5万円 |
祖父母 | 1~5万円 |
叔父・叔母 | 1~3万円 |
友人 | 5,000円〜1万円 |
職場関係 | 5,000円〜1万円 |
上記はあくまでも相場であり、香典を渡す方の年齢やお亡くなりになった方との関係性により金額が異なります。
【参列者側】家族葬での香典のマナー
家族葬で香典をお渡しするときのマナーも、一般的な葬儀と同じです。辞退の連絡がなかった場合には必ず用意して参列します。
礼儀を欠いてしまわないように決まりごとを確認していきましょう。
香典が必要な親族の範囲
香典を渡さなければならない親族の範囲などは、とくに明確化されていません。大切な判断基準は、故人との関係性です。とはいえ、基準がなければ判断に迷ってしまうでしょう。
基本的には親族でも香典を渡すのがマナーなので、故人の両親・子ども・子どもの家族、兄弟姉妹など、関係が深い身内も香典を包みます。ただし、故人と同居していた子どもや孫、喪主の場合は不要です。
同じ続柄の子や孫でも、同居していなかった場合には香典が必要だということです。子どもの場合、未成年や学生の場合も必要ありません。
逆に、付き合いがあまりなかった場合にも香典が必要なのか悩むところです。判断がつかない場合は、一般的に三親等以内の親族は香典を渡すものとされています。しかし、葬儀に参列するのであれば香典を包むのがマナーです。
香典袋の書き方
香典袋は、水引の色が黒白や銀色のものを使用するのが一般的です。銀色の水引は5万円以上の高額な金額を包む場合に使用されます。関西では黄白の香典袋が使用されることが多く、とくに京都では黒白の水引は使用せず黄白が選ばれます。
記入する際には薄墨の筆記具を使って、表書きと中袋の名前・住所・金額などを記載するのがマナーです。表書きに書く文字は宗教により異なります。
宗教別の表書きは以下のとおりです。
宗教 | 表書き |
---|---|
仏教(浄土真宗以外) | 御霊前 御仏前 |
仏教(浄土真宗) | 御仏前 |
神道 | 御霊前 御神前 御玉串料 御榊料 |
キリスト教 | 御花料 |
お札の入れ方と金額の書き方
香典で包む金額は偶数のような「割り切れる」数は、縁が切れることを連想させるため避けるべきとされています。「4」や「9」も「死」や「苦」を思わせる縁起の悪い数字といわれます。
ただし、最近では偶数になってもあまり気にすることなく、ちょうどよい金額だと思う場合には2万円を包むケースもあるようです。その場合、1枚の1万円札と2枚の5,000円札を入れるなど、お札の枚数を奇数にしておけばよいでしょう。
お札は方向をそろえ、袋の表面に対して裏向きに入れます。肖像画の位置は下側になるようにしましょう。このとき新札ではなく古いお札を選びます。新札は準備していたかのように思われてはいけないためです。
中袋にお札を入れたら、表面に縦書きで「金⚪︎円(圓)也」と金額を記載します。金額は「大字」と呼ばれる旧漢字で書くのが一般的です。
主な金額の書き方は以下のとおりです。
漢数字 | 旧漢字 |
---|---|
五千円 | 伍阡円 伍阡圓 伍仟円 伍仟圓 |
一万円 | 壱萬円 壱萬圓 |
二万円 | 弐萬円 弐萬圓 |
三万円 | 参萬円 参萬圓 |
五万円 | 伍萬円 伍萬圓 |
十万円 | 拾萬円 拾萬圓 壱拾萬円 壱拾萬圓 |
お葬式での香典の渡し方
香典は、黒・紺・緑・紫色などの寒色の袱紗(ふくさ)に包んで持参します。袱紗に包まずに持参するのはマナー違反になるため注意しましょう。
渡すタイミングは、受付がある場合は記帳するときに渡すのがベストです。受付がなければ喪主やご遺族にお渡しします。
お渡しするときは、袱紗から香典袋を取り出し、相手から文字が読める向きに変えて両手で差し出します。このときに「この度はお悔やみ申し上げます」「この度はご愁傷様です」と言葉を添えましょう。
式場に到着してから香典を辞退されることがわかった場合は無理にお渡しせず、そのまま持ち帰るのがマナーです。
参列できない場合の香典の渡し方
家族葬に参列できなかった場合に香典をお渡しするときは、後日訪問してお渡しする方法と、郵送する方法があります。
後日訪問する場合は、通夜や葬儀を終え少し落ち着いた時期を選びます。とはいえ時間が空きすぎるのもよくないため、ご家族のスケジュールにもよりますが、四十九日までに訪問するのがベストです。郵送する場合には、現金書留で送るのが一般的です。
弔問する際も、郵送する際も突然訪問したり送りつけたりするのは控えましょう。必ず事前に連絡し、お悔やみの言葉を伝え、弔問や香典を郵送したい旨を伝えます。
どちらの場合もお返しはいらないと申し添えておくと、気を遣わせずに済むでしょう。
【参列者側】香典を辞退された場合の対応
前述のとおり、家族葬の香典は辞退されるケースが多い傾向です。しかし、お世話になった故人にどうしても弔意を示したい場合もあるでしょう。
香典以外に気持ちを伝える方法には以下の2つの方法があります。
- 供花や供物を送る
- 弔電でお悔やみの気持ちを伝える
供花や供物を送る
香典を辞退された場合は、供花や供物を贈ることが可能です。
供花は、白をベースとした落ち着いた色合いの花を贈ります。菊・百合・蘭・カーネーションなどの種類がふさわしいでしょう。供物を贈る場合は、果物・お菓子・線香・ろうそくなどを贈るのが一般的です。
供花や供物はご自身でも手配できますが、葬儀会社を通じて依頼するとスムーズです。辞退されている場合があるので、葬儀会社を通すことで、同時にご遺族の意向が確認できます。
また、宗教によってタブーとされる贈り物もあるため、葬儀会社を通して確認ができるので安心です。供花や供物は祭壇の脇に飾られるため、全体のバランスを考えたセレクトをしてもらえます。
弔電でお悔やみの気持ちを伝える
弔電でお悔やみの気持ちを伝えるのもよいでしょう。弔電はインターネットか、115番に電話をかけて申し込めます。
インターネットであれば、文例を参考にしつつ、メッセージをじっくり考えて作成することが可能です。電話で申し込む際も、オペレーターが例文を読み上げて弔電にふさわしい文章を提示してくれます。
弔電の料金は、メッセージの文字数や台紙の種類によって異なります。相場は3,000円〜5,000円程度が一般的のようですが、プリザーブドフラワーの台紙や線香がついている台紙の場合は1万円以上と高価です。
弔電であれば、断られるケースがあまりなく、葬儀のときに読み上げてもらうことで、お悔やみの気持ちが伝えられます。ご遺族もお返しに気を使わなくて済むでしょう。
【喪主側】香典を辞退するときの伝え方
ご遺族が香典を辞退したいと考えている場合には、訃報の連絡をするときに伝えるか、葬儀の案内状に明記して伝えます。故人の遺志である場合はその旨を伝えるのが1番スマートです。
事前に辞退の連絡をせず、当日にお断りするケースもありますが、受け取る予定がないのであれば、事前に参列者の方に伝えておくほうが親切です。あらかじめ連絡しておくことで参列者も準備の手間が省け、気を使わなくて済みます。
供花や供物も辞退したい場合は、葬儀会社の方にお伝えしておきましょう。申し出があったときに葬儀会社の方から断ってもらえます。
【喪主側】家族葬での香典返しのマナー
香典を辞退していた場合でも、どうしてもお渡したいと持ってこられる方もいます。香典をいただいた場合には、香典返しの品を贈るのがマナーです。
香典返しのタイミング
香典返しのタイミングは、通夜や葬儀の当日か、忌明け後に改めてお渡しする方法があります。忌明けとは、仏式でいうと「四十九日」の法要後です。
忌明けの考え方は宗教によって異なり、神式は故人の命日から50日後、キリスト教は故人の命日から1カ月後です。
香典返しを当日にお渡しすることを「当日返し」や「即日返し」といいます。返礼品をあらかじめ準備しておき、一律同じ品物を葬儀の場でお返しします。返礼品は葬儀会社へ依頼することが可能です。
香典返しの相場と贈られる品物
香典返しの相場は当日返しの場合、2,500円〜3,500円程度です。香典の金額に関係なく同じ品物を用意します。
後日改めて香典返しを準備する場合には、いただいた香典の金額に応じた返礼品を選んでお渡しします。相場は、いただいた額の半額の返礼品をお返しする「半返し」が一般的です。
ただし、高額な香典の場合は「金銭的に遺族を援助したい」という相手の配慮を汲みとり、半返しよりも少ない1/3〜1/4返しでも問題ありません。
香典返しの品物の定番は、すぐに使ってなくなるような「消えもの」です。「不祝儀を残さない」という考えからあとに残らないものがふさわしいとされます。具体的には「お茶」「コーヒー」「乾物」「お菓子」「洗剤」などの食べ物や日用品です。
ほかにも、日本では昔から白い布を使って故人をお見送りする風習があったため、その名残からタオルやシーツなどの白い衣類が選ばれることもあります。最近ではカタログギフトも人気です。
香典返しにふさわしくない品物
香典返しにふさわしくない品物は「生肉や生魚」です。肉や魚類は弔事にはタブーとされています。
「お祝いごとで使われるもの」も香典返しには適していません。「お酒」「かつおぶし」「昆布」なども避けましょう。「商品券」などの金券も、値段がはっきりわかってしまうものなので、香典返しにはふさわしくありません。
お茶やお菓子などの食品を選ぶ際にも、個包装で日持ちのするものを選びましょう。
おすすめの記事
ほかにもこちらのメディアでは、家族葬の流れや家族葬の準備には何が必要かについても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。