死亡届のコピーはなぜ必要?コピーを忘れたときの対処法も紹介

死亡届は、人が亡くなったときに役所への提出が義務付けられている重要な書類です。死亡届には法律で提出期限があるため、早めに届け出る必要があります。

一度提出した死亡届は返却されないので、事前にコピーを取ることが大切です。コピーを忘れた場合、後日必要になったときに困ってしまいます。

この記事では、死亡届のコピーが必要な理由忘れたときの対処法などを詳しく解説します。

1分でわかる!記事の内容
  • 死亡届を役所に提出すると元本が手元に残らない
  • 死亡届のコピーは保険金の請求や年金受給などの手続きで必要
  • コピーを忘れたら死亡届記載事項証明書を請求、または死亡診断書を再発行する

死亡届とは?

死亡届とは、死亡した事実を役所に知らせるための書類のことです。死亡届の提出は戸籍法によって定められており、死亡届を受け取った役所は戸籍に死亡の記載をして住民票を抹消します。

死亡届の提出先や提出期限は以下のように定められています。

提出先故人の本籍地にある役所
届出人の住所地にある役所
死亡地にある役所
提出期限死亡の事実を知った日から7日以内
国外で死亡した場合は死亡の事実を知った日から3カ月以内
届出人親族または同居人
届出に必要なもの死亡診断書または死体検案書
届出人の身分証明書
届出人の印鑑(認印可)

死亡届は役所の窓口で入手できますが、通常は死亡した病院の医師が用意してくれます。死亡届に必要事項を記載できるのは届出人のみです。死亡届の書き方に注意して記載しましょう。

届出人になれる人は限定されていますが、役所に提出する人に限定はありません。そのため、近年は葬儀屋が提出を代行するケースが増えています。

死亡届の提出期限は、届出人が死亡の事実を知った日から7日以内です。正当な理由なく期間内に提出しなかった場合は5万円以下の過料が科されるので、早めに提出しましょう。

死亡診断書や死体検案書との違い

死亡届と似た名称の書類に「死亡診断書」と「死体検案書」があります。これらの書類は作成する人が異なります。

作成者
死亡届遺族
死亡診断書治療をしていた担当医
死体検案書検死を行った監察医や警察に委託された医師

死亡届は遺族が記入しますが、死亡診断書は医師が記入、死体検案書は警察医が記入します。

死亡診断書は、病気や怪我が原因で死去したときに医師が作成する書類です。記入する内容は、死亡時刻や死因などです。

死体検案書は、事件性が疑われる場合や、自殺や事故などの場合に作成されます。死因がはっきりしない場合は、警察医による検視(検死)が必要です。書式は死亡診断書とほぼ同じです。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は同じA3サイズの紙に印刷されており、紙の左側が死亡届、右側が死亡診断書となっています。

死亡届のコピーが必要な理由

死亡届のコピーが必要とされる理由は、保険や年金など死後のさまざまな手続きで提出が求められるためです。必要枚数は各家庭によって異なりますが、死後の手続きは多岐に渡るため、コピーは10枚ほどあると安心です。

死亡届の原本は死後7日以内に提出する必要があり、一度提出してしまうと原則返却されません。役所に提出する前に、必ずコピーを取っておきましょう。

死亡届のコピーが必要になるケース

死亡届のコピーが必要になるのは、主に以下のケースです。

  • 保険金の請求
  • 年金の受給
  • 携帯電話の解約
  • 公共料金の名義変更
  • 不動産や自動車等の名義変更

後日コピーの提出が必要になる場合もあるので、多めに取っておくことをおすすめします。

保険金の請求

加入している保険金の請求や停止手続きをする際に死亡届のコピーが必要です。保険の種類は以下のとおり多岐にわたるため、加入している保険の件数を考慮して多めにコピーを取っておくと安心です。

  • 生命保険の請求
  • 労災保険の請求
  • 葬儀保険の請求
  • 簡易生命保険の請求
  • 医療保険の停止
  • 雇用保険の停止
  • 自動車保険の停止
  • 損害保険の停止

葬儀保険は申請から数日で保険金が支払われるため、死亡届のコピーがあるとスムーズな手続きが可能になります。

年金の受給

遺族が未受給年金を受け取る場合や、遺族年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の手続きをする際にコピーが必要です。

ただし、個人のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合は、コピーの提出は原則不要です。

参考:日本年金機構 年金Q&A

死亡届のコピーが必要な場合は、10日(国民年金は14日)以内に年金事務所または年金相談センターに提出しましょう。

携帯電話の解約

故人が契約していた携帯電話を解約するときにも、死亡届のコピーが必要になる場合があります。

契約者本人が亡くなったことを確認できる書類であれば良いので、死亡届のコピーがない場合は、火葬(埋葬)許可書や会葬礼状のコピーを提出しても問題ありません。

どのような書類が必要になるかは携帯電話会社によって異なるので、ホームページなどで事前に確認しておきましょう。

公共料金の名義変更

公共料金の名義変更手続きに死亡届のコピーが必要な場合があります。

  • 電気
  • ガス
  • 水道

故人が上記の名義人であった場合は、死後すみやかに名義変更の手続きを行いましょう。

故人と別居している場合は、公共料金の解約手続きが必要です。解約と名義変更のどちらの場合でも、大まかな流れは同じです。まず契約会社に連絡して、必要な書類と手続きを教えてもらいましょう。

不動産や自動車等の名義変更

不動産や自動車等の名義変更をする際に、死亡届のコピーが必要になる場合があります。

故人の相続財産調査によって不動産や自動車を所有していたことが発覚する場合もあるので、コピーを多めに取っておくと安心です。

死亡届のコピーを取るタイミング

死亡届は、病院で受け取ったあとすぐにコピーを取っておくのが望ましいと言えます。

check!
  • 【死亡日当日】死亡届の受け取り・コピー
  • 【死後2日目】死亡届の提出
  • 【死後3日目】葬儀・火葬

死亡届の提出期限は7日ありますが、死亡届を提出しないと火葬や埋葬の許可証がもらえません。そのため、葬儀の前に提出するのが一般的です。遅くとも死後2日目までにコピーを取っておきましょう。

最近では、遺族の代わりにコピーを取る葬儀屋も増えています。葬儀の準備で忙しい場合は、葬儀屋にコピーを依頼するのも一つの方法です。

死亡届のコピーを取り忘れたときの対処法

死亡届のコピーを忘れたときは、以下の方法で対処できます。

  • 死亡届記載事項証明書を請求する
  • 死亡届を再発行する

どちらの手続きも発行条件があるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

死亡届記載事項証明書を請求する

死亡届を提出した役所または法務局で、死亡届記載事項証明書(死亡届の写し)を発行してもらいましょう。

ただし、発行してもらう際は以下の条件を満たす必要があります。

発行条件遺族年金の受給者本人からの請求
簡易生命保険金の請求(保険金額が100万円を超えるもの)
婚姻、離婚などの無効の裁判の申立てをする場合 
請求できる人配偶者
三親等内の姻族
六親等内の血族
請求場所死亡届を提出した役所
故人の本籍地にある法務局
必要書類使用目的と必要性を証明する書類(簡易保険証書・年金請求書・年金手帳)
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
手数料1通350円
(法務局で請求する場合は無料)

請求場所は、死亡届提出後の日数によって変わります。死亡届の提出後1カ月以内であれば、役所で手続きできます。1カ月を過ぎている場合は、法務局で手続きをしましょう。

証明書の請求は郵送でも可能です。郵送の場合は事前に窓口へ確認し、返信用の郵便切手を貼った封筒を同封して送りましょう。特別な理由に該当せず発行できない場合は、次項で紹介する方法を試してください。

死亡届を再発行する

死亡診断を行った病院に申請すれば、死亡届を再発行してもらえます。コピーを忘れて死亡届記載事項証明書が発行できなかった場合でも慌てず、発行された病院に依頼しましょう。

ただし、再発行ができる人には以下のとおり一定の条件があります。

請求できる人配偶者
三親等以内の親族
必要書類請求者の身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
故人と請求者の関係を証明するもの(戸籍謄本など)
委任した人の署名・押印がされている委任状
手数料3,000~10,000円程度

死亡届の再発行を請求できるのは、原則として配偶者か三親等以内の親族です。それ以外の人が請求する場合は、委任状が必要になります。

再発行にかかる費用は医療機関によって異なりますが、3,000円〜10,000円程度が相場です。一般的に公立病院よりも、民間病院の方が費用が高い傾向があります。

病院に再発行を依頼するときは、発行にかかる日数や手数料、必要書類をあらかじめ聞いておきましょう。病院によっては、申請書に故人の死亡日や使用目的、必要枚数などの記入を求められます。書類の不備をなくすために、病院に事前確認を取りましょう。

死亡届で悩んだときは専門家に相談を

死亡届を役所に提出すると返却されないので、必ず事前に複数枚のコピーを取っておきましょう。家族が亡くなったときは、保険や年金などのさまざまな手続きが発生するため、10枚程度のコピーを取っておくことをおすすめします。

コピーを取り忘れた場合は、死亡届記載事項証明書の発行手続きをするか、病院に再発行を依頼しましょう。コピーを忘れると手続きが面倒になるだけでなく、追加費用が発生します。

煩雑な手続きをスムーズに進めるためにも、死亡届は受け取ったらすぐにコピーをしておくのが無難です。

コピーの提出先がわからないときは、信頼できる専門家に相談しましょう。死亡届のコピーについてわからないことがある場合は、今回の記事を参考にしてみてください。

ほかにもこちらのメディアでは、死亡届の提出期限について遺産分割調停についても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。