直葬のトラブル事例は?デメリットや後悔しないための対策を紹介

直葬を検討している方のなかには、どのようなトラブルが起きるか心配に思っている方もいるのではないでしょうか?

直葬は近年人気が高まっている葬儀形式ですが、さまざまな要因でトラブルが生じることがあります。親族や菩提寺との関係が悪化することもあるので、事前対策が必要です。

今回は直葬でよく起こるトラブル事例と、具体的な対処法について解説します。

1分でわかる!記事の内容
  • 直葬は親族の理解が得られず、菩提寺に納骨できないトラブルが起きやすい
  • 直葬のトラブルを防ぐには、事前相談や挨拶状を出すことが大事
  • 直葬で後悔しないために、読経や戒名をつけることを検討する

直葬が人気の理由

近年は直葬を選ぶ方が増えています。直葬とは、 通夜や告別式を行わずに、火葬のみを行うシンプルな葬儀形式です。

ここでは、直葬が人気を集める理由について解説します。

葬儀費用を抑えられる

直葬の大きなメリットは、一般的な葬儀と比べて費用を安く抑えられる点です。

一般的な葬儀(一般葬)の費用相場は100〜200万円であるのに対し、直葬の費用は10〜30万円です。直葬では通夜式や告別式は行わず、葬儀の規模が小さいため、経済的な負担を大幅に抑えられます。

費用相場
一般葬 100〜200万円
直葬 10〜30万円

直葬では参列者の数も少ないので、接待や返礼品に費用もさほどかかりません。

経済的な事情で葬儀に費用をかけられない方にとって、費用負担の少ない直葬は大きなメリットだといえるでしょう。

▼こちらの記事では、直葬の費用について解説しています。詳しい内訳や相場を知りたい方は、ぜひご一読ください。

手間と時間がかからない

式の準備にかかる手間と時間を省けることも、直葬が増えている要因です。

直葬は火葬のみを行うシンプルな形式なので、通夜や告別式の準備は必要がありません少人数で行うため、参列者への挨拶や受付係の手配なども不要です。

一般葬では、喪主や遺族が参列者に応対したり会食の席で接待したりしなければならず、大きな負担がかかります。お坊さんの手配や参列者への連絡など、事前準備も大変です。

悲しむ間もなく準備する必要があるので、遺族の精神的負担は大きくなります。

その点、直葬は準備が簡単なので、多忙な方々が多い現代のニーズに合っていると言えます。

人間関係が希薄になっている

昔と比べて近所付き合いや親戚付き合いが希薄になっていることも、直葬が増えている理由の1つです。

通夜や告別式を行っても、弔問客が少数であるケースは少なくありません。そのため、身近な方だけで簡潔に執り行える直葬が選ばれているのです。

直葬でよく起こるトラブル事例

直葬は人気を集めている一方で、トラブルも数多く発生しています。ここでは、よく起こる4つのトラブル事例を解説します。

菩提寺へ納骨できない

直葬では宗教的な儀式が行われないため、菩提寺(ぼだいじ)に断りを入れずに独断で行うと、納骨を断られる場合があります。

菩提寺がある場合は、お寺の考えのもとに葬儀を行い、火葬後に菩提寺へ納骨するのが一般的です。そのため、勝手に直葬を行うことは、菩提寺に対して失礼な行動にあたります。

菩提寺の住職の理解が得られないと、先祖の墓も改葬しなければならない場合があるため注意が必要です。

他にも戒名をつけていない、儀式をしていないなどの理由で、檀家と寺の関係性が崩れてトラブルに発展する恐れがあります。 

檀家は直葬を希望していてもできないケースがあります。どうしても直葬にしたいのであれば、四十九日法要のタイミングで戒名授与するか、離檀して今後のお墓を探すなどの対応が必要です。

▼こちらの記事では、直葬での納骨について解説しています。菩提寺に断られた場合の対処法も解説しているので、気になる方はぜひご一読ください。

親族の理解が得られない

親族から理解を得られないことでトラブルが生じる事例もあります。

直葬は通夜式や告別式を行わないため、親族の中には「故人に対して失礼だ」と思う方がいるかもしれません。特に高齢の親族からは 「一般葬で見送ってあげたい」といった不満の声が上がることがあります。

直葬は都心部を中心に増えていますが、まだ直葬が浸透していない地域もあります。地方在住の親族の場合、故人とお別れする時間がない不満や、世間体が悪いなどの感情を持つこともあるでしょう。

親族の理解を得ないまま直葬を行ってしまうと、葬儀後に親族と疎遠になることもあるため注意が必要です。

自宅に弔問客が詰めかける

直葬は近親者のみで執り行われるため、あとから葬儀を知った弔問客が自宅に訪れることがあります。故人と親交があった友人や知人は自宅に弔問してくることがあるので、葬儀後の来客対応が大変です。

親族でも参列者が限定されるため、最期を見送りたいと考えていた方からクレームが生じるケースも少なくありません。

故人の友人や知人が多いときは、直葬が適切な葬儀形式であるか十分検討する必要があります。

葬儀社から高額な費用を請求される

直葬では葬儀社と費用面でトラブルが起こることがあります。

追加費用が想像以上に発生して揉めるケースが多いので、内訳まできちんと確認しましょう。

プランに含まれるサービス内容は、葬儀社によって異なります。格安プランで申し込んだはずが、オプションを追加していくうちにトータル費用が高額になるケースもあります。

費用の説明をしない葬儀社もあるので、きっちりと話し合いをしておきましょう。

直葬のデメリット

近年需要が高まっている直葬ですが、いくつかデメリットもあります。

遺体の安置所を用意する必要がある

法律によって死後24時間以上経過しないと火葬できないため、直葬でも遺体を安置する場所の確保が必要です。病院で亡くなったとしても長時間の安置はできないので、火葬場に運ばれるまで安置する場所を見つけておく必要があります。

自宅での安置が望ましいですが、火葬まで日数があるときは、遺体の腐敗を防ぐためにドライアイスを用意するなど工夫をしなければなりません。適切な安置方法がわからないときは、葬儀社からアドバイスを受けましょう。

自宅に安置する場所がない場合は、葬儀社や火葬場にある霊安室の使用も可能です。

葬祭料を受け取れないことがある

直葬を行った場合、葬祭料を受け取れない可能性があります。

国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入している方が亡くなったときは、「葬祭料」と呼ばれる補助金が支給されることがあります。 保険の種類によって名称や給付金額は異なりますが、内容はおおむね同じです。

ただし、葬祭料は「葬祭」にかかった費用が対象なので、通夜や告別式を省いた直葬には支給されないことがあります。 

具体的な要件や手続きについては、保険組合や自治体の窓口に問い合わせて確認しましょう。

お別れの時間が短い

直葬は火葬場で直接お別れをする葬儀なので、火葬炉の前で故人とお別れする時間は5分から10分程度しかありません。時間があまりにも短くて、故人をゆっくりしのべなかったことを後悔するかもしれません。

一般葬を経験した方だと、供養をした実感がわかないと思うこともあるでしょう。

故人への最後のお別れに後悔しないよう、親族間で事前に細かな相談を行い、納得のいく形で直葬を進めることが重要です。

直葬のトラブルを防ぐ方法

後悔のない見送りをするには、起こりうる問題への対策が必要です。ここでは、直葬で起こるトラブルを回避し、円滑に執り行うための対処法を5つご紹介します。

故人の遺志であると伝える

親族とのトラブルを回避するには、事前に了承を得る必要があります。直葬が故人の遺志であるならば、そのことをはっきりと伝えましょう。

故人の希望であるとわかれば、親族や親しい友人から理解を得やすくなります。

曖昧な表現だと親族や友人と揉めてしまうこともあるので、直葬を行う理由を明確に伝えて、理解してもらいましょう

早めに挨拶状を送る

故人が亡くなってから1~2週間の間に、参列できなかった方に挨拶状を送りましょう。

直葬では参列者のみに通知するケースがほとんどなので、葬儀が終わったあとに、「事前に知らせてほしかった」「きちんとお別れしたかった」と思われる方もいます。

故人の友人や知人とのトラブル回避のために、葬儀を済ませた旨の挨拶状は早めに出しましょう。

挨拶状には、生前のお礼とともに以下の内容を書き添えます。

挨拶状に記載する内容
  • 生前お世話になったことへの感謝
  • 故人の遺志で直葬を行ったこと
  • 香典や弔問についてのお願い
  • お別れ会・偲ぶ会を行う際の案内

早めに挨拶状を送れば、後日訃報を知った方たちがバラバラに弔問に訪れるケースを回避できます。

菩提寺に事前に相談・確認する

先祖代々の遺骨を納めている菩提寺がある場合は、住職への事前相談が必須です。菩提寺に出向き、直葬を選んだ理由を説明します。受け入れてもらえる場合は、お布施を渡しておきます。

通夜や葬式はなくても、火葬前の読経など何らかの形で菩提寺に関与してもらえば、トラブルを回避できるでしょう。

お別れの機会を設ける

故人の交友関係が広い場合や、弔問客が多くなりそうな場合には、直葬とは別に故人をしのぶお別れの機会を設けましょう。

後日改めてお別れの会を行えば、弔問希望者への配慮にもなります。自宅への弔問客がなくなれば、遺族の負担軽減にもなるでしょう。

開催の時期は、直葬から1~2カ月後の落ち着いたころで問題ありません。

信頼できる葬儀社を利用する

費用面でのトラブルを防ぐには、信頼できる葬儀社を選ぶことが大切です。

ホームページ情報を見ただけでは良し悪しを判断できないため、実際にいくつかの葬儀社と話してみて、スタッフの対応をチェックしましょう。質問したときに的確な答えとアドバイスをくれる葬儀社なら、ある程度信頼できると言えます。

高額の支払いが生じないよう、料金体系のシンプルな葬儀社を選ぶことも大切です。直葬プランは、オプションの追加により高額になるケースもあります。

費用や付随するサービスの有無は葬儀社によって異なるので、見積もり金額だけでなく、内訳もしっかり確認しましょう。

直葬で後悔しないためのポイント

直葬を行ってから後悔しないために、事前にできる対策をご紹介します。

読経を依頼する

直葬でも読経は依頼できるので、事前に菩提寺に相談しておきましょう。直葬では火葬場や遺体安置所、自宅などに僧侶を招いて、読経してもらうことが可能です。

菩提寺がある方は、そのお寺にお願いすればトラブル回避につながります。菩提寺がない場合は、葬儀社に依頼して僧侶を手配しましょう。

戒名をつける

直葬でも戒名はつけられるので、まずは菩提寺に相談しましょう。

戒名とは、寺院で故人に対して付けてもらう名前です。戒名がないと納骨できないことがあるため、事前相談が必要です。戒名料として、15万~30万円程度のお布施を支払う必要があります。

宗旨・宗派不問の霊園に納骨するのであれば、戒名は必要ありません。どこに納骨するかによって戒名が必要になる場合とならない場合があるので、生前に確認しておきましょう。

▼こちらの記事では、直葬の戒名について解説しています。相場や戒名がない場合のトラブルについても解説しているので、ぜひご一読ください。

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