「密葬と家族葬とでは何が違うの?」「それぞれの費用はいくらかかる?」密葬と家族葬について、どこが違うかわからない方も多いのではないでしょうか?
どちらも規模が小さい葬儀ですが、密葬は後日に「本葬」や「お別れ会」を行い、故人を弔うという特徴があります。一方の家族葬では別日に式を設けることはせず、家族葬のみで完結するのが特徴です。
本記事では、密葬と家族葬の違いや執り行ううえでの注意点を詳しく解説し、よくある質問に答えます。
- 密葬は本葬またはお別れ会がセットになっている
- 密葬では情報漏洩に注意する
- 家族葬では参列者の選別に注意する
密葬と家族葬の概要
そもそも密葬、家族葬とはどのような葬儀でしょうか?以下にそれぞれ説明します。
密葬とは
密葬とは、本葬の前に家族・親族などの内々の方だけが集まり、執り行われる葬儀のことです。
地方の有力者や社会的地位の高い有名人、芸能人などの遺族が密葬を選択する傾向にあります。
「故人とゆっくり最後のお別れをしたいが、お世話になった方にもお別れの機会を与えたい」というニーズにこたえるため、「密葬+本葬」または「密葬+お別れの会」といったセットでの開催が一般的です。
家族葬とは
家族葬には明確な定義はありません。通常、家族葬は家族や親族で執り行われますが、親しかった友人の方も参列できます。故人と近しい方々だけで執り行われるため、自由度の高い葬儀にできるでしょう。
家族葬は一般葬より規模が小さくなる傾向にあります。通常、10人から30人ぐらいの人数規模で執り行われるケースが多いのですが、50人以上のケースもあります。
密葬と家族葬の違い
密葬と家族葬の違いを以下の項目にそって説明します。
- 葬儀形式
- 費用
- 参列者(範囲、数)
葬儀形式
密葬・家族葬ともに一般葬とほとんど同じ葬儀形式です。基本的な流れは次のとおりです。
- 逝去
- 遺体の安置
- 葬儀会社と葬儀の概要の打ち合わせ
- 納棺
- 通夜
- 告別式
- 火葬
火葬が完了したら家族や親族の手で、骨上げ(こつあげ)が行われます。骨上げとは拾った遺骨を骨壺に収める儀式のことで、これをもって葬儀が終了します。
しかし、近年では骨上げ後に初七日法要(しょなのかほうよう)が執り行われることもあるようです。初七日法要は本来命日から7日目に行いますが、葬儀から法要までの期間が短く慌ただしいため、葬儀当日に行われることが増えています。
費用
葬儀費用を密葬と家族葬に分けて説明します。
密葬
葬儀内容により一概にはいえませんが、密葬の費用は50万円から100万円程度が相場といわれています。
一般葬の費用相場と比較すると4分の1から半分程度となります。密葬では通夜・告別式の参列者が一般葬より少なくなる傾向があるため、料理や挨拶状、お返しの品などにかかる費用を抑えられるからです。
ただし通常、密葬は本葬やお別れの会をセットで執り行われることが多いため、これらの費用がどの程度かかるか考えておかなければなりません。故人が知名度の高い有名人であったり社会的地位の高い方であったりする場合、一般葬より葬儀費用が高額になる可能性は十分にあります。
家族葬
家族葬の費用は40万円から100万円程度が相場です。
参列者をどこまでにするか、祭壇や棺桶をどのレベルにするか等により異なります。特に参列者の数で料理やお返しの品などの費用が変動するため、参列者の数を絞れば費用を抑えられます。
参列者(範囲、数)
密葬、家族葬ともに参列者は家族や親族、故人と親しかった友人の方に限られます。
これに対し一般葬では親戚だけでなく友人知人や仕事の関係者も参列します。
密葬、家族葬では、参列者の範囲・数とも一般葬に比べ少ないため、準備や参列者応対の負担が軽減できるでしょう。結果として、ゆっくり故人と最後のお別れができます。
執り行ううえでの注意点
密葬、家族葬を執り行ううえでの注意点を解説します。
密葬
密葬を執り行ううえでの注意点は、次のとおりです。
- 情報漏洩に注意する
- 故人の勤務先に連絡する
- 密葬の実績豊富な葬儀会社を選ぶ
情報漏洩に注意する
密葬を執り行う際、最も注意すべきことは情報漏洩です。葬儀が密葬であることが事前に洩れると、招待されていない方から次のような要望や意見が多く寄せられ、遺族は対応に追われ疲弊してしまいます。
- なぜ自分は呼ばれないのか
- 故人に大変お世話になったので参列させてほしい
- 故人は社会的地位のある方なので一般葬にすべきではないか
また密葬で執り行う理由を説明し参列を遠慮してほしいとお願いしても、参列希望者が葬儀場に現れることも予想されます。
本来、密葬とは故人の意向により家族や親族がごく内々で行うものです。家族・親族以外を招くときは、該当する参列予定者にだけ連絡を入れるようにしましょう。
その際、参列者が外部へ口外しないことが何より重要です。
また、密葬に呼ばない親族がいる場合、葬儀を密葬で行うことを事前に伝えておきます。親戚づきあいを続けるためにも、あらかじめ同意を得ておくことが大切です。
故人の勤務先に連絡する
故人が役所または企業等に勤務していた場合は、勤務先に死亡の事実と葬儀を密葬で行うことをできるだけ早い時点で連絡します。香典や供花、供物などを辞退するのであれば、連絡したときに伝えましょう。
またマナーとして、密葬終了後に葬儀が無事に終わったことを連絡します。
密葬の実績豊富な葬儀会社を選ぶ
先ほど説明したように、密葬では執り行われること自体が事前に洩れてはいけません。情報漏洩を防ぐためにも、実績豊富な葬儀会社を選ぶことをおすすめします。
そのような会社であれば密葬プランも用意されていますから、葬儀費用も安く抑えられるでしょう。
家族葬
家族葬を執り行ううえでの注意点は、次のとおりです。
- 参列者をどこまで呼ぶか決める
- 菩提寺(ぼだいじ)へ事前に連絡する
- 家族葬の実績豊富な葬儀会社を選ぶ
参列者をどこまで呼ぶか決める
家族葬の参列者をどこまでの範囲にするかは、家族葬で一番むずかしい点です。
密葬の場合、密葬に参列できなくても、本葬には参列できます。これに対し、家族葬に本葬はなく、家族葬に参列できない方は葬儀で故人とお別れができません。
そのため遺族が参列できなかった方から、苦情をいわれる可能性もあります。参列者の選別を誤ると後々トラブルが発生するかもしれないため、家族や親族、葬儀会社で十分話し合って決めましょう。
また、家族葬では参列者を限るため、参列できなかった方が葬儀後に遺族宅へ弔問に訪れることもあります。その際に香典を渡されるかもしれないため、香典返しの準備など弔問に対する備えをしておきましょう。
菩提寺へ事前に連絡する
家族葬を行う場合、菩提寺へ事前連絡を入れましょう。
家族葬による葬儀が菩提寺に受け入れられないと、今後の付き合いができなくなるかもしれません。
最悪の場合、法要や納骨を拒絶されることもあり得ます。このような事態を避けるため、家族葬を検討した時点で菩提寺に必ず連絡してください。
家族葬の実績豊富な葬儀会社を選ぶ
家族葬を行う際は、実績が豊富な葬儀会社を選びましょう。葬儀会社は全国展開している大手企業から、地域密着型の企業までさまざまあり、強みも会社によって異なります。
家族葬を得意とする葬儀会社であれば、当然家族葬の基本プランに加え種々のオプションプランを取り揃えています。費用も安く抑えられ、葬儀を滞りなく進めてくれるでしょう。
よくある質問
以下は密葬や家族葬についてよく尋ねられる質問です。執り行う際あるいは参列する際の、参考にしてください。
参列するときの服装のマナーは?
密葬・家族葬に参列する際は、男女ともに準喪服を着用します。
案内状に平服着用の記載があったときは平服を着用し、この場合の平服には略喪服が該当します。
男性の場合、略喪服のスーツやネクタイは、濃紺・チャコールグレーなどの地味な色を選んでください。女性の場合、略喪服として黒、紺、グレーなどのワンピースやスーツを着用しましょう。
密葬で弔辞をお願いしてもいい?
密葬で弔辞をお願いする必要はありません。弔辞とは、故人への最後のお別れと遺族への弔意を述べるものです。
密葬のあとで執り行われる本葬が故人との最後のお別れであり、弔辞は本葬で読み上げられるからです。
なお、限られた人数で執り行う家族葬の場合、弔辞を行うかは自由に決められます。形式に縛られず、家族・親族だけでゆっくりと見送りたいと考えるのであれば、弔辞を省略しても問題ありません。
香典を持参してもいい?金額の目安は?
密葬・家族葬での香典の扱いは、一般葬と同じです。案内状に「香典はご辞退申し上げます」または「香典は遠慮いたします」などと記載している場合、持参は控えましょう。これらの記載がなければ持参しても問題ありません。
故人と親交が深く公私ともにお世話になっていたため香典を渡したいという気持ちが強くても、香典辞退の記載があるときに持参するのは重大なマナー違反になります。
無理に香典を渡せば、遺族はお返しの品を準備しなければならず、遺族を困らせるだけです。密葬や家族葬に限らず、葬儀に関しては遺族の意向を第一に考え、ご自身の感情は抑えましょう。
なお香典の目安は次のとおりです。
両親 | 5万円~10万円 |
---|---|
兄弟姉妹 | 3万円~5万円 |
祖父母 | 1万円~5万円 |
叔父叔母 | 1万円~3万円 |
親族 | 1万円~2万円 |
上記以外の親族 | 3,000円~1万円 |
勤務先関係者 | 5,000円~1万円 |
香典袋の表書きはどうすればいい?
香典袋の表書きは一般葬と同様ですが、宗教や宗派により異なりますので注意してください。
浄土真宗以外の仏教 | 「御霊前」 |
---|---|
浄土真宗 | 「御仏前」 |
神道 | 「御神前」「御玉串料」「御榊料(おんさかきりょう)」 |
カトリック | 「御花料」「御ミサ料」 |
プロテスタント | 「御花料」「献花料」「弔慰料(ちょういりょう)」など |
宗教または故人の宗派が不明 | 「御霊前」「御香典」など |
供花を贈ってもいい?
密葬・家族葬の案内状に供花辞退や供花を遠慮する旨の文言が記載してなければ、贈っても大丈夫です。逆にこれらの文言があれば、贈ってはいけません。
しかしながら、香典の代わりにせめてお花だけでも贈りたいと思う方も多いでしょう。特に仕事の都合や遠方にいるため参列できない方はその思いが強いとお察しします。悩んだときは、供花を贈ってもいいか直接遺族に確認することをおすすめします。
なお、供花は白を基調としたものが基本ですが、故人が愛好していた花や季節の花なども喜ばれるでしょう。何を選べばいいかわからないときは、葬儀会社に相談することをおすすめします。
おすすめの記事
ほかにもこちらのメディアでは、家族葬の流れや家族葬のメリット・デメリットについても解説しています。ぜひこちらの記事もご確認ください。