「家族葬の弔電の受け取りは辞退できる?受け取った場合のお礼は必要?」「家族葬に弔電を送っても平気?明記されていない場合のマナーを知りたい」家族葬での弔電の扱いについて、このようにお悩みの方はいませんか?
弔電は故人を偲ぶ日本の伝統的なマナーであり、近年増加している家族葬での扱いに悩んでしまう方も多いと思います。
この記事では、家族葬と弔電の関係について、受け取り手(喪主・遺族側)と送り手側それぞれに分けて解説します。
- 喪主は弔電の受け取りを辞退できる
- 弔電を受け取ったら1週間以内を目途にお礼状を送る
- 送り手は故人・喪主・遺族の意思に従う
家族葬や弔電の基本的な知識
家族葬や弔電に関する基本的な知識をご紹介します。家族葬の目的や範囲、弔電の取り扱いなどについては、各家庭や地域によって異なります。何か不明な点があれば、葬儀会場などに直接問い合わせるといいでしょう。
家族葬は小規模な葬儀のこと
家族葬は、故人の身近な家族・親族だけで行われる葬儀のことで、近年急速に普及している形態です。
大規模な葬儀に比べて費用を抑えられ、プライベートな雰囲気の中で個人との最後の時間を過ごせるため、故人との絆を深く感じられるのも魅力として挙げられます。
このような背景から家族葬では弔電や香典、供花などを辞退することも多く、喪主としては辞退するかどうかを決めなければなりません。また、送り手側としては喪主が辞退しているかどうかをしっかり確認する必要があります。
弔電はお悔やみの電報のこと
弔電(ちょうでん)とは、葬儀・法要に参加できない場合に、遺族に対してお悔やみの意を伝えるための電報のことです。
日本の伝統的な慣習のひとつであり、遠方に住んでいる方や、急な都合で葬儀に参加できない場合に利用されています。葬儀・法要のいずれかに参列する場合には送りません。
弔電を送る際には、縁起が悪い「忌み言葉」を避けて適切な言葉を使い、個人や遺族に対する弔意を示すことが重要です。
現在では、さまざまなデザインの弔電をインターネット等で注文でき、基本的には葬儀・法要が行われる会場に直接送付します。
【受け取り手】弔電を受け取るかは自由
ここでは、弔電を受け取る喪主側の対応やマナーを解説します。
葬儀・法要では故人の意思が最も重視され、次に喪主の意向が優先されます。弔電等を受け取るかどうかは喪主が自由に決められますが、故人の交友関係や社会的地位等も考慮に入れたうえ、葬儀会場等ともしっかり話し合って決めるようにしましょう。
弔電を受け取る場合の対応
一般的に、弔電は葬儀・法要が行われる会場に直接届けられ、葬儀等のなかで一部が読み上げられたり、会場に展示場所が設けられたりします。
弔電を紹介するかどうかは喪主の判断に委ねられます。特に決められたタイミングがあるわけではありませんが、焼香後や出棺前の挨拶前などで紹介されることが一般的です。複数届いている場合には、2,3通を選んで「他多数頂戴しております」と省略することもあります。
弔電を読む順番は、故人との関係が深い順です。読み上げる際には会社名や名前を正確に把握し、読み間違えがないようにしましょう。
弔電を断る場合の対応と文例
弔電を辞退するときは、訃報を伝えるタイミングで辞退の意も伝えます。
家族葬の場合、家族・親族に対しては電話で、それ以外に対してはハガキ等で訃報を伝えることが多いでしょう。いずれの場合でも、訃報・家族葬を行う旨・弔電辞退の旨を伝えます。
- 誠に勝手ながら、御香典・御弔電・御供花等は辞退いたします
- 御香典・御弔電・御供花等のご厚意は謹んで辞退いたします
- 大変申し訳ございませんが、故人の意向により、御香典・御弔電・御供花等は辞退させていただきます
断ったあとに弔電を受け取った場合の対応
弔電は日本の伝統的なマナーとして浸透しているため、弔電辞退の意向を伝えたあとであっても送られてくることもあります。
弔電辞退の意を明らかにしていても、送られてきた弔電はありがたく受け取ることがマナーです。電報の受け取りを拒否すると差出人にその旨が通知されるため、トラブルに発展する可能性もあります。
また、弔電を受け取ったあとは、弔電辞退の意を伝えていた場合であっても、お礼状を書くようにしましょう。
弔電を受け取った後のお礼状の文例
弔電を受け取った場合、送り主に直接出向いてお礼の言葉を伝えるのが理想ではありますが、今日ではお礼状で感謝の意を伝えることが一般的です。お礼状自体が略式での挨拶となるため、さらに略式となるメールやメッセンジャーアプリ等の利用は避けましょう。
お礼状には葬儀が無事に終わったことを伝える意味もあるため、できれば葬儀後1週間以内に送るようにします。そのほか、以下のような点に注意しましょう。
- 差出人は喪主にする
- 故人の名前を記載する(「故〇〇儀」など)
- ハガキや便箋はフォーマルなもの(派手でないもの)を利用する
- 縦書きで記入し、可能であれば筆で書く
- 時候の挨拶は省く
- あくまで略儀であることを示す
- 基本的に句読点は使わない
基本的に、弔電に対してはお礼の品を送る必要はありません。お礼の品を送るとかえって相手に負担を感じさせてしまうこともあります。
お礼状の文例(個人宛の場合)
謹啓 このたびは故〇〇儀の葬儀に際しまして ご多用中にも関わらずお心のこもったご弔電を賜り 厚く御礼申し上げます おかげさまで葬儀も滞りなく済みましたことをご報告いたします 故〇〇にかわり生前のご厚情に感謝いたしますとともに 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます 本来ならばお伺いしてお礼を差し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちまして謹んでお礼申し上げます 謹白 令和〇年〇月〇日 (はがきの場合)住所 喪主 〇〇 (場合に応じて親族名や、「親族一同」と記載) |
お礼状の文例(会社宛の場合)
謹啓 皆さま方におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます このたびは故〇〇葬儀に際しまして ご多用中にも関わらずお心のこもったご弔電を賜り 厚く御礼申し上げます おかげさまで葬儀も滞りなく済みましたことをご報告いたします 本来ならばお伺いしてお礼を差し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちまして謹んでお礼申し上げます 謹白 令和〇年〇月〇日 (はがきの場合)住所 喪主 〇〇 (場合に応じて親族名や、「親族一同」と記載) |
【送り手】弔電を送る前に確認を
ここでは、弔電の送り方や注意点を解説します。基本的な考え方として、故人や遺族の意思を尊重し、負担をかけないようにしつつ、謹んで哀悼の意を示すことが大切です。
弔電の宛名や送り先、文例
弔電は、喪主名を宛名とします。喪主名がわからない場合には遺族や葬儀会場に確認し、葬儀会場も分からない場合には「〇〇家喪主様」、「故〇〇様ご遺族様」とすることも可能です。
弔電の送り先は、基本的には葬儀会場です。弔電は故人のもとに供えられるため、喪主等のもとに送った場合には、葬儀会場に持参する手間が生じてしまいます。
弔電の到着が葬儀までに間に合わない場合には、喪主や遺族の自宅を送り先として送付しましょう。
弔電の文面を考える際には、故人の宗教・宗派にも注意が必要です。例えば「冥福」という言葉は仏教用語であり、神道式・キリスト教式では利用できず、仏教でも浄土真宗では利用できません。
故人の宗教・宗派がわからない場合には、「哀悼の意」や「お悔やみ」など、宗教色のない言葉を使うようにしましょう。
- ご逝去を慎み、心より哀悼の意を表します(一般)
- ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます(一般)
- ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、心からご冥福をお祈りいたします(仏教)
- 御霊の御平安を心よりお祈り申し上げます(神道)
- ご昇天の報に接し、心より哀悼の意を表します(キリスト教)
弔電を送る前の注意点
弔電を送る前に、以下の注意点を確認しておきましょう。
辞退と明記されている場合は送らない
訃報に弔電辞退の旨が記されている場合には、故人ないし遺族の意思を尊重し、弔電を送るのは控えましょう。
家族葬とは家族や親族に参列者を限定して行われるものであり、プライベートな時間・空間を大切にするとともに、故人の友人や知人・関係者に迷惑をかけたくないという思いにより催されるものです。
そのため、弔電辞退の意向が明らかであるのに弔電を送ることは、かえってマナー違反となり、喪主の負担となってしまいます。
明記されていない場合は確認する
前提として、弔電辞退が明記されていない場合には、弔電を送っても構いません。
とはいえ、家族葬であるということを考慮すると、弔電を送ってもいいか喪主や葬儀会場に確認するといいでしょう。喪主は葬儀の準備等で忙しいため、葬儀会場に確認するのをおすすめします。
ただし、直接訃報を受け取っていない場合には、弔電の送付は控えたほうが無難です。家族葬では、参列者以外の個人・団体に対しては、葬儀等がすべて終わったあとに訃報と葬儀終了のお知らせをする場合があるためです。
家族葬で香典や供花はどうする?
家族葬では、弔電と同様に、香典や供花も辞退されることがあります。
香典や供花を受け取るかどうかも故人・遺族の意思次第であり、受け取りを辞退する場合には訃報の際に併記されることが一般的です。
香典・供物・供花などをいただいた場合には、受け取り辞退の意を表明していたかどうかにかかわらず、香典返しとして3分の1~半分ほどの返礼品を送ることがマナーとなっています。
送り手側は、まず故人・遺族の意思を確認したうえ、辞退されていれば送付は差し控えるようにしましょう。
受け取り側・送り手側のどちらも、いたずらにマナーだけにとらわれることなく、互いに思いやりをもって対応することが一番大切です。
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