お通夜の開始時間や流れを知りたいと考えていませんか?
現代の日本で主流となっている「半通夜」の場合、18時から21時までの3時間に及ぶケースが一般的です。式の開始後に読経や焼香が行われ、通夜振る舞いをもって閉式となります。
本記事では、お通夜の時間ごとの流れについて詳しくまとめました。遅れた場合の対処法やお通夜のマナーにも言及しています。遺族の方と参列者の方の双方に役立つ内容ですので、ぜひご覧ください。
- お通夜には「半通夜」と「本通夜」「仮通夜」があり所要時間や目的が異なる
- 一般的なお通夜の時間は、18時から21時である
- お通夜の服装や持ち物などにはマナーが存在する
お通夜の種類と開始時間
お通夜とは、近親者や故人とゆかりのある方が集まり、夜通し灯りをともしながら故人を見守る儀式です。ご臨終の翌日または翌々日の告別式前日に執り行われます。
参列者に明確な決まりはなく、「近親者と故人の死を悼みたい」「遺族に哀悼の意を表したい」という方であればどなたでも参列できます。遺族が参列者を招く際は、身内や親族などの近親者、故人の友人・知人、仕事でお世話になった方などを招くのが通例です。
お通夜には、「半通夜」「本通夜」「仮通夜」が存在し、開式時間や目的が異なります。それぞれの違いを以下の表で確認しましょう。
半通夜(はんつや) | 本通夜(ほんつや) | 仮通夜(かりつや) | |
---|---|---|---|
意味 | 短時間で執り行われるお通夜 | 夜通し執り行われるお通夜 | 親族だけで執り行われるお通夜 |
参列者 | 親族 交流の深い友人・知人 仕事でお世話になった方など |
親族 交流の深い友人・知人 仕事でお世話になった方など |
親族 (故人と関係の深い方は参列可) |
目的 | 遺族と参列者で故人を偲ぶ | 遺族と参列者で故人を偲ぶ 一晩中故人を見守る |
親族を中心に、静かに故人を偲ぶ |
宗教的儀式 | 行う | 行う | 行わなくてもよい |
半通夜と本通夜
半通夜とは、2時間ほどの短時間で執り行われるお通夜です。お通夜開始の18時から、読経・焼香を経て20時頃に終了となります。通夜振る舞いを含めると3時間後の21時終了となるケースが多いでしょう。
一方の本通夜とは、夜通し故人の遺体を見守るお通夜です。通夜振る舞い終了後も近親者が会場あるいは自宅に残り、線香を絶やさないよう寝ずの番を行います。
現在の日本では、半通夜の形式が一般的です。遺族が寝泊まりできる宿泊施設を備えた斎場が少なくなっているほか、住宅事情などにより自宅で通夜を執り行う遺族も少なくなっていることが主な理由と考えられます。
開始時間
お通夜の開始時間に明確な決まりはありませんが、18時または19時に開式となるのが通例です。日程は、故人が亡くなった翌日または翌々日となります。
「亡くなった当日にお通夜を行ってはいけないの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、現在の日本では「墓地、埋火葬に関する法律」によって、死後24時間以内の火葬や土葬は禁じられています。
第3条 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
引用元:厚生労働省-墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
お通夜の流れと所要時間
お通夜の流れと所要時間をご紹介します。はじめに一般的な流れとタイムスケジュールを以下の表で確認しましょう。
時間 | 内容 |
---|---|
17:45 | 受付開始 |
18:00 | 開式 |
18:05 | 読経・焼香 |
19:00 | 喪主からのあいさつ |
19:10 | 通夜振る舞い |
20:00 | 閉式 |
続いて、それぞれの儀式の概要や注意点をみていきましょう。
受付・記帳
受付は開式時刻の15分前から30分前に行われます。18時開式の場合は、17時30分から17時45分の間に受付が開始されるでしょう。
参列者は、芳名帳に氏名や住所を記帳したあとに香典をお渡しします。このとき、「お悔やみ申し上げます」「この度はご愁傷様です」といったお悔やみの言葉を述べて、哀悼の意を表すのがマナーです。
受付を済ませたあとは、読経・焼香が行われる会場に入り着席して開式のあいさつを静かに待ちましょう。なお、開式前の喪主・遺族の方は、参列者のあいさつに黙礼を返したり参列のお礼を述べたりします。
読経・焼香
僧侶の入場後、司会進行役の方から開式のあいさつがあります。間もなく僧侶による読経がはじまり、焼香へとうつるでしょう。焼香の順番は、喪主、親族、一般参列者となります。故人との関係性が深い方から焼香するのが通例です。
読経の時間は40分前後です。宗派によってかかる時間が異なるほか、読経後に僧侶が法話を説くこともあります。法話とは、仏教の教義などを一般の方にもわかりやすく僧侶が説くことを指し、所要時間は10分前後です。
なお、焼香とは、抹香(まっこう)という香木を香炉の中に落とす一連の作法を指します。心身の穢れ(けがれ)を除き、仏様へよい香りをお届けするといった目的があります。会場の規模や参列者の人数によりやり方は異なりますが、所要時間は40分前後となるでしょう。
通夜振る舞い
通夜振る舞いとは、遺族、僧侶、参列者が集まる食事会のことです。足を運んでくれた僧侶や参列者に、喪主や遺族がお食事を振る舞うことで、感謝の意を表します。
また、「あのときは楽しかったな」「一緒にこんなことをしたな」と、食事をしながら故人との思い出を共有することで、故人を偲ぶという目的があります。そのため、通夜振る舞いの出席者は、出された食事に箸を付けるのがマナーとされているのです。
通夜振る舞いは、お通夜終了後に別室にて行われ、1時間から2時間ほどで終了となります。途中退席する場合は、喪主・遺族に退席する旨を伝えましょう。
閉式
通夜振る舞い終了をもって葬儀1日目が終了となります。翌日の11時頃に葬儀・告別式が行われるため、参列する方はすみやかに自宅に帰り体調を整えることが大切です。
なお、会場にて身体を清めるための「清めの塩」を渡される場合があります。自宅の前に到着したら玄関の敷居をまたぐ前に、胸元、背中、足元の順に塩を振りかけましょう。自宅に家族がいる場合は、家族に振りかけてもらいます。
お通夜の時間に関するマナー
お通夜に招かれても、どうしても参列できない場合は、欠席の連絡を入れましょう。遅れても参列できそうな場合は、できる限り参列します。
お通夜は故人を偲ぶための儀式であるため、遅刻しても駆け付けるのがマナーと考えられているからです。ただし、どのくらい遅れるかによって適切な対応が異なります。時間ごとの対応方法を確認しておきましょう。
30分から1時間の遅刻なら参列する
開始時刻から30分あるいは1時間ほどの遅れなら、お通夜に参列しましょう。遅れることがわかった段階で、会場の関係者や遺族のどなたかに、遅れる旨を伝えることが大切です。到着時刻がわかりそうであれば、おおよその到着時刻もお伝えしましょう。
到着が遅れそうな場合は、早く着こうと焦らないことが肝心です。運転手の方は安全運転を心がけてください。万が一運転中に事故に遭ってしまうと、遺族の方にさらなる負担をかけることになります。連絡を入れたうえで、余裕をもって会場へ向かいましょう。
2時間の遅刻なら日を改める
開始時刻より2時間ほど遅れそうな場合は、お通夜に参列せず、翌日の葬儀・告別式に参列するなど日を改めましょう。仮にお通夜が18時開式の場合は、2時間後の20時に焼香が終了している計算になります。会場が閉館して入場できない可能性もあるでしょう。
お通夜が終了したあとは、喪主や遺族が残っているかもしれません。しかし、遺族は葬儀・告別式を控えているため、心身に大きな負担がかかっています。後日改めて弔問に伺うほうが喪主や遺族は助かるでしょう。
なお、お通夜を欠席する場合は、会場の担当者に連絡を入れて、やむを得ず欠席する旨をお伝えするのがマナーです。理由の詳細まで述べる必要はありません。
お通夜に遅れた場合の対処法
お通夜に遅れて到着した場合、どのように行動したらよいのでしょうか?具体的な対処法をご紹介します。
到着したら受付へ
まずは受付へ立ち寄り、遅れた旨をお伝えしてから、焼香が可能かどうかを確認しましょう。お通夜が執り行われている会場へは勝手に入らず、受付の方に一言確認するよう心がけてください。
受付では、「この度はご愁傷様です」といったお悔やみの言葉とは別に「遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした」と、一言お詫びの言葉を述べるのがよいでしょう。
香典の渡し方
受付の際に香典をお渡ししておきます。受付が終了していた場合は、遺族に直接お渡しします。
遺族にお渡しできなかった場合は、翌日の葬儀・告別式にてお渡ししましょう。葬儀・告別式に参列しない場合は、郵送でお送りするかご自宅を弔問した際にお渡しします。
なお、現金を包んだ香典を郵送する場合は、普通郵便や宅配便を利用できませんのでご注意ください。郵便局の窓口あるいは「ゆうゆう窓口」で、現金書留を利用してお送りします。現金書留を利用する際に必要な物品がこちらです。
- 現金書留封筒
- 手紙
- 香典袋
- お札
現金書留封筒に直接お札を入れるのはマナー違反となるためご注意ください。必ず香典袋に入れてから、現金書留封筒に入れましょう。
遺族へのあいさつ
遅れて参列した場合、喪主・遺族へ無理にあいさつをする必要はありません。焼香の際にあいさつするとよいでしょう。もしも、お通夜で適切なタイミングがなかったとしても、通夜振る舞いが控えていますので、焦る必要はありません。
あいさつの際は、お悔やみの言葉とお詫びの一言を述べましょう。お通夜では、故人への哀悼の意を表したり、遺族に思いやりの言葉をかけたりする気持ちが大切です。お詫びは簡潔に述べて問題ありません。
通夜振る舞いに招かれたら
通夜振る舞いに招かれたら、たとえ遅刻しても出席して問題ありません。通夜振る舞いは、故人を偲ぶための儀式であるため、招かれたら極力出席しましょう。
ここまで喪主や遺族にあいさつできなかった場合は、喪主・遺族の席まで出向き、こちらからお悔やみの言葉を述べるのがよいでしょう。
お通夜で身に付けたいマナー
ここまでご紹介した項目以外にも、お通夜には遺族・参列者ともに守るべきマナーが存在します。以下のマナーも確認していきましょう。
- 服装
- 持ち物
- 言葉遣い
- 宗教や宗派
服装
お通夜では、男女ともに喪服を着用するのがマナーです。
男性の場合は、ブラックスーツまたはビジネススーツを着用して、白のワイシャツに黒のネクタイを合わせましょう。ネクタイピンやベルトなどの装飾品を付ける際は、金色の素材や派手な装飾があるものを選んではいけません。
女性の場合は、ブラックスーツまたはワンピースを着用して、黒のブラウスを合わせましょう。ワンピースは黒、グレー、紺といった色合いのものを選び、黒のストッキングを着用します。お化粧はナチュラルメイクを意識して、派手なメイクやノーメイクは控えましょう。
なお、葬儀の場では「参列者は遺族より格式の高い喪服を身に付けない」というマナーがあります。参列者は格式の高い「和装の喪服」を着用しないようご注意ください。
持ち物
男性は鞄などを持ち込まず、できるだけ両手を空けておきましょう。一方の女性は、化粧道具や替えのストッキングといった身だしなみに必要な道具が存在します。黒を基調とした地味な色合いのバックを活用しましょう。
スマートフォンや携帯電話は、マナーモードに設定して必要なとき以外取り出さないようにご注意ください。
言葉遣い
お通夜では、不幸や不吉を連想させる言葉を口にしてはいけません、特に忌み言葉には注意が必要です。忌み言葉とは、以下のような言葉を指します。
- 死ぬ、死、死亡
- 散る、消える、終わる、いなくなる
- 災厄、災害、悲運
また、同じ言葉を2度続ける「重ね言葉」も、不幸が続くことを連想させるため使用しないのがマナーとされています。
- 度々(たびたび)、次々(つぎつぎ)
- 益々(ますます)、重ね重ね(かさねがさね)、重々(じゅうじゅう)
宗教や宗派による違い
お通夜は故人の宗教・宗派に則って執り行われる儀式です。宗教や宗派により、お通夜の意味や作法の細かい点が異なりますので注意しましょう。
例えば、キリスト教では、死を「召天」と呼び、復活の日まで天国で過ごすといった意味があります。神道では、亡くなった方は祖先の霊とともに子孫を守り続けてくれる守り神になると考えられているのです。
宗派による違いも存在します。浄土真宗には、戒名がなく「法名(ほうみょう)」が故人に授けられますが、日蓮宗では、「法号(ほうごう)」「日号(にちごう)」が授けられます。
このようにお通夜の作法や死生観は故人の宗教・宗派によって異なりますのでご注意ください。事前にご自身や親戚の宗教・宗派を確認しておくと安心です。
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