「相続放棄に必要な書類は?どこで入手できるの?」相続放棄をお考えの方で、このようにお悩みの方はいませんか?
相続放棄に必要な書類は、被相続人(亡くなった方)との続柄によって変わります。
今回は相続放棄に必要な書類や、その入手方法・費用を詳しくご紹介します。また、相続放棄申述書の書き方や、相続放棄の基本的な知識も解説します。この記事を読んで適切な書類を用意し、スムーズな相続放棄手続を行いましょう。
- 相続放棄の必要書類は、被相続人との続柄によって変わる
- 相続放棄申述書の記述は1行程度でOK
- 相続放棄の手続きは専門家に相談して進めよう
相続放棄の必要書類一覧【チェックリスト】
初めに、相続放棄に必要な書類の一覧を掲示します。それぞれが必要になるケースや、具体的な取得方法・費用等はのちほど詳しく解説します。
続柄 | 必要な書類 |
---|---|
共通 | ・収入印紙代(申述人1名につき800円分) ・連絡用の郵便切手代(裁判所によって異なるが、概ね500円程度) ・住民票除票、除籍謄本、戸籍謄本などの発行手数料(300円から750円程度) ・相続放棄申述書 ・被相続人の住民票除票または戸籍附票 ・申述人の戸籍謄本 |
配偶者 | ・相続放棄申述書< ・被相続人の住民票除票または戸籍附票 ・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
子・孫 | ・被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・被代襲者(本来の相続人)の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
親・祖父母 | ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・被相続人の直系尊属に死亡している人がいる場合(相続人より下の代の直系尊属に限る)、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
兄弟姉妹・甥姪 | ・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・被相続人の直系尊属の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 ・申述人が代襲相続人(甥姪)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 |
相続放棄の必要書類と取得方法
相続放棄に必要な書類は、どの相続人であっても必要な書類と、相続人の属性(相続人との続柄等)に応じて必要な書類とに分けられます。
後ほど詳しく解説しますが、相続放棄の手続きは複数人の相続人(兄弟姉妹同士など)でまとめて行えます。その場合、重複する書類は収集・提出しなくても構いません。
まずは身近な相続人が相続放棄を検討しているか確認したうえで、まとめて手続きを行う場合には書類の共用ができないか検討しましょう。
全員必要となる書類
まず、相続人全員が必要となる書類を解説します。これらの書類は、どのような相続人でも必要となるため、身近な相続人のために複数部用意するのもおすすめです。
収入印紙・切手
相続放棄では裁判所に支払う手数料として、申述人(相続放棄をする方)1人あたり800円分の収入印紙を、相続放棄申述書に貼付する必要があります。
収入印紙は主に法務局や市区町村役場、郵便局で購入できるほか、200円分のものであれば一部コンビニエンスストアでも購入できます。よく似たものに「収入証紙」がありますが、こちらは相続放棄では使えないため注意してください。
通常、契約書等に収入印紙を貼付する際には消印や割印が必要となりますが、相続放棄手続では不要です。
購入したものをそのまま相続放棄申述書に貼付するだけで構いません。
郵便切手については、各裁判所によって必要金額が異なるため、あらかじめ管轄の裁判所に電話等で問い合わせましょう。金額は500円前後になることが多いです。
裁判所や法律専門家は郵便切手を「郵券(ゆうけん)」と呼ぶ慣習がありますが、これは通常の郵便切手のことであり特別なものではないため、安心してください。
相続放棄申述書
一般的に、相続放棄は家庭裁判所に相続放棄申述書を提出(郵送)する方法で行います。相続放棄申述書のフォーマットや記入例は、裁判所のWebサイトから入手できます。
参照:裁判所-相続の放棄の申述
裁判所に提出する書類とはいえ、それほど難しい内容ではなく、記入例に従って偽りなく内容を記入していけば問題ありません。
被相続人の住民票除票または戸籍附票
被相続人の住民票除票または戸籍附票は、相続人全員に共通して必要な書類です。入手には約300円ほどの手数料がかかります。
住民票除票とは死亡により住民登録が抹消された住民票のことで、戸籍附票とは戸籍に在籍している方の住民票の移り変わりを記録したものです。
相続放棄の手続きは、被相続人が最後に住んでいた地域を管轄している家庭裁判所で行われます。どの裁判所が管轄なのかを明らかにするためにも、住民票除票や戸籍附票が必要となるのです。
住民票除票と戸籍附票は、どちらか片方用意すれば問題ありません。住民票除票は被相続人が最後に住民票を置いていた市区町村、戸籍附票は本籍地の市区町村が管理しています。
いずれも窓口または郵送で取得できます。
注意点としては、被相続人が転居を繰り返していた場合です。住民票附票には「転入前住所」と「現住所」の2カ所しか記載されていません。転居を繰り返しており最終的な住所が分からない場合、複数カ所に住民票附票の交付を依頼する必要があります。
一方、戸籍附票には戸籍がつくられてからの住所履歴が全て掲載されているため、迷った場合は戸籍附票を用意するといいでしょう。
申述人の戸籍謄本
相続放棄をする申述人の戸籍謄本も、全ての相続人に必要な書類です。
戸籍謄本は本籍地を管轄する市区町村が管理しており、窓口・郵送での取得のほか、コンビニエンスストアでも取得できます。
コンビニエンスストアで取得する際には、まず管轄市区町村がコンビニ交付に対応しているか確認が必要です。また、本籍地と現在の住所地が異なる場合には、事前に申込みをして5日程度待たなければなりません。
参照:地方公共団体情報システム機構-本籍地の戸籍証明書取得方法
配偶者が相続放棄をするための必要書類
配偶者が相続放棄をする際の必要書類は、以下の3つです。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
配偶者が相続放棄をする場合、「申述人の戸籍謄本」の代わりに、「被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本」を提出します。
そもそも配偶者は被相続人と同じ戸籍に登録されているため、この書類を用意することで、申述人と被相続人の関係を一挙に説明できます。
戸籍に「被相続人の死亡」を記載させるためには、前もって死亡届の提出が必要です。死亡届の提出から約1週間ほどで、戸籍に反映されます。
子・孫が相続放棄をするための必要書類
被相続人の子や孫が相続放棄をするために必要な書類をご紹介します。特に孫が相続放棄をする場合、必要書類が増えるため注意が必要です。
本来、孫は相続人ではありませんが、被相続人の子が、被相続人の死亡に先だって死亡していた場合には、被相続人の孫が子に代わって相続人となります。これを「代襲相続」といい、代襲される子のことを「被代襲人」、代襲する孫のことを「代襲人」といいます。
孫が相続放棄をする場合、代襲相続が起きたこと、すなわち被代襲人が被相続人に先だって死亡していることを証明する必要があるのです。その際、「被代襲者(本来の相続人)の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本」が必要となります。
子が相続放棄をする場合
子が相続放棄をする場合、以下4つの書類が必要になります。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
孫が相続放棄をする場合
子が相続放棄をする場合、以下5つの書類が必要になります。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被代襲者(本来の相続人)の死亡が記載された戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
親・祖父母が相続放棄をするための必要書類
被相続人の親は、被相続人に配偶者・子がいない場合、またはその全員が相続放棄をした場合に相続人となります。
被相続人の祖父母が相続人となるのは、被相続人に配偶者・子・親がいない場合、またはその全員が相続放棄をした場合です。
そのため親や祖父母が相続放棄をするためには、より優先度の高い相続人がいないことを証明しなければならず、特に祖父母の場合には代襲相続の発生により、必要書類が多くなります。
親が相続放棄をする場合
親が相続放棄をする際に必要な書類は、以下の5つです。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
祖父母が相続放棄をする場合
祖父母が相続放棄をする際に必要な書類は、以下の6つです。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合(相続人より下の代の直系尊属に限る)、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
兄弟姉妹・甥姪が相続放棄をするための必要書類
被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に配偶者・子・親・祖父母がいないか、またはその全員が相続放棄をした場合に相続人となります。
被相続人の甥または姪が相続人となるのは、被相続人に配偶者・子・親・祖父母・兄弟姉妹がいない、またはその全員が相続放棄をした場合です。
このように、兄弟姉妹や甥姪が相続をする段階では多くの親族が関係してくるため、必要書類も相当な数となってしまいます。
兄弟姉妹が相続放棄をする場合
兄弟姉妹が相続放棄をする際に必要な書類は、以下の6つです。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
甥姪が相続放棄をする場合
甥姪が相続放棄をする際に必要な書類は、以下の7つです。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続放棄申述書の書き方(文例)
相続放棄申述書は、記入例の通りに記入すれば特に問題ありませんが、「放棄の理由」として挙げられている選択肢のいずれにも該当しない場合も考えられます。
参照:裁判所-相続の放棄の申述
このようなケースは、「6.その他」を選び、記入欄に理由を筆記します。とはいえ、記入欄の大きさからも分かるように、あまり詳細な記述は必要ありません。
実際の文例としては、次のようなものが挙げられます。
- 債務超過の疑いがあるため
- 遠方に在住しているため
- 相続に関わりたくないため
- 被相続人と疎遠であるため
- 他の相続人と疎遠であるため
- 相続に関わりたくないため
- 遺産分割協議に参加したくないため
- 特定の相続人に相続させるため
何らかの事情で詳細な説明が必要な場合、その他欄には「別紙記載の通り」と記入し、別紙にて詳細な説明をすることも可能です。
相続放棄の必要書類について知っておきたいこと
以下からは、相続放棄に必要な書類を準備・提出するうえで重要なポイントを解説します。これらの点を押さえ、書類準備の負担を軽減しましょう。
兄弟姉妹などでまとめて書類を提出できる
兄弟姉妹など同順位の相続人が複数名がいる場合には、まとめて書類を提出し、重複する書類を省略できます。
被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、配偶者以外の親族には、次のように順位が定められています。上順位の相続人がいる場合、下順位の親族は相続人になれません。
例えば、夫が亡くなったあと、その妻(常に相続人)および子の兄弟2人(第1順位)は同時に相続放棄を行えます。妻と子の相続放棄が認められると、はじめて夫の父母(第2順位)が相続人となり、夫の父母は同順位であるため同時に相続放棄できます。
相続放棄で実印や印鑑証明書は不要
相続放棄手続では、実印や印鑑証明書を使う場面はありません。相続放棄申述書には押印欄がありますが、認印で足り、実印を押印した場合でも印鑑証明書は不要です。ただし、インク内蔵式でスタンプタイプの印鑑は認められません。
一方で、遺産分割協議書には実印と印鑑証明書が必要です。法律で定められているわけではありませんが、遺産分割協議では相続人全員の真意が重要であるため、銀行等に提出する際に実印の利用を求められます。
相続放棄申述受理証明書は保管しておく
相続放棄が認められると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理書」が送付されます。この書類は一度しか発行されないため、大切に保管しておきましょう。
もし相続財産にマイナスの財産が含まれていた場合、相続放棄の事情を知らない債権者等が取立てを行う場合があります。このような事態に備え、家庭裁判所に申請して「相続放棄申述受理証明書」の発行を依頼しておくことがおすすめです。
相続放棄手続について知っておきたいこと
以下からは、相続放棄に関する基本的な知識を解説します。相続放棄手続の流れや提出場所、提出期間を把握することで、問題なく手続きを進められるようにしましょう。
相続放棄の流れ
相続放棄をスムーズに行うためには、相続放棄手続全体の流れをしっかりと把握しておくことが重要です。大まかな流れをまとめると、次のようになります。
- 期間延長を申請する
- 必要書類を揃える
- 相続放棄申述書を記入する
- 家庭裁判所に申述する
- 照会書を返送する
- 相続放棄申述受理書を受け取る
基本的にこれらのステップは全て郵送で行われるため、思いがけず時間をロスしてしまう可能性があります。必要書類はできる限り早い段階で用意し、余裕をもったスケジュールを組むようにしましょう。
どうしても期限内に相続財産の調査が難しい等の事情がある場合には、裁判所に申請することにより、最長3カ月期限を伸ばせます。
相続放棄の提出場所
第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
引用:e-gov法令検索-民法938条
相続放棄の手続きは、被相続人が最後に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所で行います。直接裁判所に書類を持参することも可能ですが、郵送で手続きを行うことが一般的です。
被相続人の最後の居住地は、相続放棄の必要書類でもある住民票除票または戸籍附票で確認できます。各地域を管轄する家庭裁判所については、裁判所のWebサイトから確認できます。
参照:裁判所-裁判所の管轄区域
具体的な送付先(部署など)は裁判所によって異なるため、まずは管轄裁判所に電話で問い合わせてみるといいでしょう。
相続放棄の期間は原則3カ月
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。(以降略)
引用:e-gov法令検索-民法915条
相続放棄の期間は、相続の開始(被相続人の死亡)およびご自身が相続人になったことを知った時から3カ月以内に行わなければなりません。
この期間を「熟慮期間」といい、熟慮期間内に限定承認または相続放棄をしなければ相続を単純承認したものとみなされ(法定単純承認)、相続放棄はできなくなってしまいます。
単純承認が成立すると相続放棄できない
相続人が単純承認をした場合や、熟慮期間の経過により法定単純承認が成立した場合、相続放棄はできなくなります。
単純承認とは、プラス・マイナス問わず相続財産を承継するという相続人の意思表示です。遺産分割協議書の作成といった積極的な行為のほか、被相続人名義の預金口座から現金を引き出し、ご自身のために消費した場合なども単純承認にあたります。
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
第1項 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為(略)は、この限りでない。
第3項 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私(筆者注:ひそか)にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
引用: e-gov法令検索-民法921条1項3項
熟慮期間が満了する前に単純承認をした場合、単純承認の撤回は許されず相続放棄できません。
どのような行為が単純承認に該当するかの判断は難しいため、相続放棄を検討している方は早めに専門家に相談し、うっかり単純承認を成立させてしまわないようにアドバイスを受けましょう。
第919条第1項 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内(筆者注:熟慮期間のこと)でも、撤回することができない。
引用:e-gov法令検索-民法919条第1項
相続放棄に他の相続人の同意は不要
相続放棄は、相続人が裁判所に対して行う単独行為であり、他の相続人の承認を得る必要はありません。
ただし、相続放棄によって他の相続人の相続割合が増え、相続税の負担が重くなったり、後順位の親族が相続人に繰り上がったりして、他の相続人に影響を及ぼすことがあります。
このようなリスクを考えると、承認を得る必要はないとはいえ、相続放棄に先だって他の相続人に連絡をしておくことをおすすめします。
相続放棄で代襲相続は起きない
相続放棄をしても、代襲相続は起きません。相続放棄をすると、放棄をした方は「初めから相続人」ではなかったこととなり、被代襲人としての資格も失うためです。
例えば夫が死亡し、相続人が妻と子であるときに子が相続放棄をすると、子にさらに子がいる場合でも代襲相続は起きず、最終的な相続人は妻ひとりということになります。
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
引用:e-gov法令検索-民法939条
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